オバマ現象のカラクリ (田中愼一、本田哲也)

4048677462 「オバマ現象のカラクリ」は、フライシュマン・ヒラード・ジャパンの代表をされている田中愼一さんと、「戦略PR」を書かれたブルーカレントの本田さんの共著です。
 献本を頂いていたのですが、読書メモを書けてなかったので、書評抜き読書メモを公開させて頂きます。
 先日のACフォーラムでも田中さんの講演を聴いて改めて感じたのですが、日本で見ていると、オバマが従来の大統領候補と何が違うのか結構見えづらい気がします。
 特に単純に「Change」というメッセージの部分だけ見ていると、ある意味「改革」を旗印にかかげた小泉さんと同じように見えるのですが、その裏側にはインターネットを活用した組織づくりや集金システムなど、本質的に異なる部分があるようです。
 オバマ現象が気になる方だけでなく、ネットを活用したマーケティングやPRに興味がある方にはお勧めの本です。
【読書メモ】
■コミュニケーションは人を動かす力である
■オバマのコミュニケーションは、一言で表現すれば「共感のコミュニケーション」
■選挙戦を通して、オバマ陣営が制作したCMは400本にも上る
 そのうち実際に使われたのは180本に過ぎない。できあがったCMは、毎晩フォーカス・グループ・セッションによって、一般視聴者の印象を探り、それにパスしたCMだけを流していたためである。
■オバマの戦略コミュニケーションを支える三つの仕掛け
1 弱みを強みに変える土俵設定
2 参画意識の醸成と支持者の囲い込み
3 コミュニケーション・レバレッジを効かせる
■メッセージングには二つの方法がある
・恐怖を見せる
・希望を見せる
■「トップダウンよりもボトムアップ」が、彼の政治哲学のひとつでもあった


■「少しでも彼を支援した」という記憶が、草の根の人々に強い参画意識を促す
■コミュニケーション・レバレッジ
 当事者以外がオバマのメッセージを間接的に伝えることによって、そのメッセージ性は飛躍的に高まる
■インフルエンサーが社会に影響を与える力をもっているのは、彼らが自発的に語るメッセージに信頼感があるからである。
 お金を通じてインフルエンサーを囲い込んだことが露呈すれば、インフルエンサーは社会的地位を失いかねない。カリスマブロガーであれば、そのブログは即炎上する。
■「チーム・オバマ」三つの特徴
1 空前の巨大組織
2 まれにみるチームスピリット
3 インターネットを利用した組織づくり
■BarackObama.comの五つの方針
1 Transparent 透明であること、オープンであること
2 Collaborative 一般の人と協力して活動がしやすいこと
3 Personalized 個々人にあった使い方ができること
4 Value Driven オバマの価値を適切に伝えていくこと
5 Multi-Channel マルチチャンネル、さまざまなサービスと連結すること
■コミュニケーションの5つのステップ
1 目的意識を持つ
2 相手を見極める
3 メッセージを構築する
4 タイミングを図る
5 伝える工夫をする
■ソート・リーダーシップ・コミュニケーション
 知見とは、企業が蓄積してきた経験、ノウハウ、見識、ビジョン、想いなどである。この知見を社会的な課題解決に使うのである。

4048677462 オバマ現象のカラクリ 共感の戦略コミュニケーション(アスキー新書) (アスキー新書)
田中 愼一
アスキー・メディアワークス 2009-02-11

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