「マーケティング戦争」は、マーケティングの専門家として有名なアル・ライズとジャック・トラウトが、クラウゼヴィッツの戦争論を元に、マーケティング戦争の戦い方についてまとめた書籍です。
「マーケティング22の法則」、「ブランディング22の法則」が良かったので、こちらも購入して読んでいたのですが、読書メモを書けてなかったので、書評抜き読書メモを公開させて頂きます。
アル・ライズの本全般に言えることですが、この本も基本的な法則を元に、マーケティングでやるべきこと、やってはいけないことを明確に断じてくれるので非常に参考になります。
本を読んでいるときには当たり前だよな、と思っているようなことも、自分の過去や身の回りを見回してみると、案外多くの人が犯してしまっている間違いが多いことに驚きます。
技術の進化とか情報の氾濫に惑わされてしまいがちですが、本質的なことや基本的なことはクラウゼヴィッツの時代からそれほど大きくは変わっていないと言うことでしょうか。
マーケティングに携わる方だけでなく、競争戦略に悩んでいる経営者の方、担当者の方にもお薦めの本です。
【読書メモ】
■マーケティングとは
・「交換過程を通じてニーズとウォンツを満たすための人的活動」（フィリップ・コトラー）
・「担い手から消費者へと、モノとサービスの流れを導く事業活動の遂行」（米国マーケティング協会）
■戦後のマーケティング界の軸は、顧客へと移り変わった。だが、「お客様は神様です」の時代は、終わりを迎えているようだ。
■こんにち成功するには、企業は競争相手志向にならなければならない。
■「戦争論」
史上最高のマーケティングの著者は、プロシアの退役将軍カール・フォン・クラウゼヴィッツ
■兵力の原則：決戦には、できる限りの兵力を集結せよ
物量の優位性はあまりにも大きく、質的な優位性をはるかに上回る。
■防衛の優位性：戦争では、攻めるよりも守る方が有利である
■マーケティングでは戦争と同じく、約束はあいまいでなければならない
■防衛戦の原則（市場リーダー）
・防衛戦とはトップ企業だけが採りうる特権だ
・最高の防衛戦略は、我が身を断つ勇気を持つことだ
・競争相手に手強い攻撃を仕掛けられたら、必ず手を打たなければならない
■パイ全体を抑えているときは、自社の取り分を大きくするのではなく、パイそのものを大きくすることを考えるべきだ。
■積極攻撃の原則（市場リーダーを攻撃し続けるだけの体力がある会社）
・何より大切なことは、トップ企業やブランドの持つポジションの強みである
・リーダーの持つ強みに潜む弱みを見つけ、そこを攻撃せよ
・できるだけ絞り込んだ前線で攻撃を開始せよ
（フルライン戦略の贅沢が許されるのは、市場リーダーだけだ）
■側面攻撃の原則（最も革新的なマーケティング手法）
・最善の側面攻撃は、手つかずの攻撃を仕掛け、競争者のいない分野で展開するものだ
・不意打ち作戦を大切に、側面攻撃は、本質的に不意打ちである
・追撃は、攻撃と同じほど大切である
（リーダーが反撃に出たり、二番煎じのような商品が押し寄せてくる前に、強く売り込んでおくことだ）
■ゲリラ戦の原則（小さな会社でも巨人の縄張りで成功できる）
・十分守りきれる程度の規模の市場セグメントを見出せ
・どんなに成功しても、市場リーダーのようにふるまうな
・いつでも退却できる準備を怠るな
（小さすぎる市場にこだわってつぶれた会社の話は、あまり聞かない）
■マクドナルドがリーダーになったのは、最初に市場に乗り込み、急激に展開してその地位を保ち続けたおかげだ。
よりおいしいハンバーガーをつくったからといって、ハンバーガー戦争に勝てるわけではない。
■どんなマーケターにとっても、三種類の商品がある
・広告する商品（見せ筋商品）
・売上を取る商品（売れ筋商品）
・儲ける商品（利益商品）
■戦略は市場の泥沼から自然に生まれるべきであり、無菌の象牙の塔からひねり出すものではない
■「状況をすでに立てた計画に合わせようとするものではない。計画を状況に合わせるのだ。司令官の明暗をわけるのは、この能力の有無に尽きると思う」（ジョージ・S・パットン）
■良き戦略の真髄は、戦術が特に優れていなくてもマーケティング戦争に勝てることだ。
■多くの企業幹部は、広告という武器の威力を認めるあまり、それにすがってしまう。
広告に「神風」を期待してしまうのだ。
■マーケティング戦争を勝ち抜くには、広告代理店は戦略立案にもっと深く関わらなければならないし、広告主は広告の戦術にもっと詳しくならなければならない。
■戦略とタイミングこそ、マーケティング界にそびえる雄峰である。それ以外のすべては、小山に過ぎない。
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マーケティング戦争 全米No.1マーケターが教える、勝つための4つの戦術 酒井 泰介 翔泳社 2007-04-20 by G-Tools |
