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We-Think ぼくたちが考えるに (チャールズ・レッドビーター)

4767808146 「ぼくたちが考えるに」は、副題の通りインターネットによって広がるマスコラボレーションについて考察した本です。

 久しぶりに本屋で衝動買いして読んでいたのですが、読書メモを書けてなかったので、書評抜き読書メモを公開させて頂きます。

 この本の原題はタイトルにも書いたように「We Think」。
 いわゆる「ウィキノミクス」や「クラウドソーシング」、「グランズウェル」などに描かれているネットによって開かれたあらたな参加や、共有、協働の可能性について考察している本です。
 ただ、上記にあげた本に比べると、その可能性を絶賛するだけでなく、その未来が含んでいるリスクや悪いシナリオについても冷静に分析している点が非常に印象的な本です。

 個人的な印象としては、「インターネットが、政治資金の流れを変えられれば、それは何かきわめて重要なものを変えることになるだろう」というオバマのネット選挙に関しての示唆であるとか、ネットが社会に与える影響の考察であるとか、「トップダウンのコントロール権を持っている人々は、権力が先細りになっているときにさえ、それを維持しようと戦うだろう」というフレーズに最近の日本のネット規制に関する議論を思い出してしまったりとか、うならされる点が非常に多い本でした。

 ネットの功罪両方を冷静に踏まえて、未来の可能性を考えてみたい方には、是非お薦めしたい本です。


【読書メモ】

■ウェブをいちばん有益に使えるのは、すでに充分なつながりを持った人たちだ。かれらはネットワークを強め、その特権を強化する。

■素人たちがいくらブログを書いても、きちんと訓練を受けて資金もある調査ジャーナリズムの代わりにはならない。権力者たちが隠しておきたいスキャンダルの深みを探り、政治家たちを震撼させられるのは、本物のジャーナリストだけだ。

■インターネットは、人々が自分の小さな文化的井戸にこもったまま、自分と同じ見方をする人を探すように仕向けるので、人々はそれぞれ独自のまったく関連性のない対話ばかり追求することになり、社会の共通文化は断片化して分断されてしまう。

■アイデアは共有されればされるほど交配し、変異しては増殖するからで、そのプロセスこそはわれわれの創造性やイノベーションや福祉の最大の源だからだ。

■We-Thinkの組織レシピは、参加、認知と協働という3つの材料のバランスの上に成り立っている。

■I-Thinkが増えるほど作られるコンテンツや情報は増え、それを整理するためにさらに多くのWe-Thinkが必要になる


■We-Thinkプロジェクトは、それほど熱心にプロジェクトに関わらない非常に大規模な集団をひきつけるとうまくいく。かれらがたまにする小さな貢献は、全体としては最初にコアグループがやった作業とおなじくらい重要になる可能性がある。

■We-Thinkの群集には、創造的な対話のための中立の場所、アイデアの自由な流れを可能にするような管理された集会場が必要だ。

■We-Thinkが成功するのは、コミュニティが単純な活気ある目標の下に集まり、アイデアを評価して分別する理にかなった方法を発展させ、適切なリーダーシップを備えている場合だけだ。決して平等な自治民主主義などではない。

■We-Thinkの程度
・ブログは、たくさんの人々に意見を提供させてくれるが、かれらが中心に据えるべき核を見いだすことはきわめてまれだ。ブログ作成は参加が多く、協働は少ない。
・FlickrやYouTubeは大量の参加者を視聴者と互いに結びつけてくれるが、協働的創造は比較的少ない。
・ソーシャルネットワーキングは、意図的な協働的創造をまだあまり生み出していないが、一部の参加者たちはすでに政治家候補の支援や、関心事をめぐる集まりにこれらを使い始めている
・フルWe-Thinkは、大量の分散、独立した参加者の意図的かつ組織的な組み合わせである。

■多くの企業が社外のコミュニティのアイデアを利用して、かつては油断なく守られていた知的財産の固まりを共有する、オープンイノベーションモデルを構築していくだろう。

■ある調査によると、活動的なスポーツの重要なイノベーションの約57%が、消費者によってもたらされている

■最も洗練された広告とは、絵の残りの部分を消費者に埋めさせる「完成半ば」の枠組みであることを発見した(アーヴィング・ゴッフマン)

■成功する組織の3つのポイント
・集団の努力に最も効果的な貢献をするよう人々を動機づけること
・多くの人々の貢献を調整して適切な順に仕事ができるように調整すること
・人々に学習と動機を促して革新すること

■その週にやりとげたことを毎週5つ箇条書きにした上に次週の予定を5つ書き出してメールを送ってよこす(グーグル クリス・サッカのチーム)

■近代教育システムが直面している難題を考察する方法のひとつは、これをプレイヤーが100万人いるコンピュータゲームだととらえることだ。
 仮にイギリスの公教育を受けている700万人かそこらの生徒の1%をプレイヤー兼開発者にできるとすると、子ども約7万人あるいは教員労働力の20%に相当する。

■We-Thinkが民主主義に有益だということを疑う理由はやまほどある。
 多くの人が自分の意見を表明する機会が増えるという事実は、議論が改善されると言うことを保証しない

■テレビは中身やアイデアのある政治家より、スタイルと情感をもった政治家を有利にする。また民主政治を大きく金持ち有利にしてしまう。

■ウェブがもっと多くの視点を表明できるようにすることから、市民たちは論争への参加と、もっと広い提案からの選択について批判的な参加をするようになる(ヨハイ・ベンクラー)

■アメリカでは広告にいちばん金をかけられる候補者が、大統領選でも下院選挙でも勝つことが多い。だがこの金を出しているのは、アメリカ人口のごく少数の人たちだ。

■インターネットが、政治資金の流れを変えられれば、それは何かきわめて重要なものを変えることになるだろう

■ウィキペディアの真の重要性は、その批判者がおおむね見落とすことだが、多数の言語による世界的な知識源をつくり出していると言うことにある。

■知識を所有して牛耳るための独占システムは、支払える人々の利益や関心に研究対象をせばめてしまう。だからこそ、裕福で肥え太った人々の病気に関する製薬についての研究はきわめて多いのに、それより何百万人以上にも影響する病気の研究はごくわずかなのだ。

■独占ソフトへの依存は依存分化を創り出すが、オープンソースは人々が自分で技能を構築できるようにする(セルジオ・アマデュ)

■We-Think型のソリューションは、先進国では根付かないかもしれない。既存の産業時代の組織と競争しなくてはならないからだ。こうした制度をまだ確立できていない発展途上国の方が、ずっと肥沃な地盤を提供してくれるかもしれない。

■いじめや性的な嫌がらせは、ティーンの間で猖獗を極める。だがそれは分化規範や役割を学ぶ手法なのだ。こうした子どもたちは知らない人々の中で自分の生活を探求する必要がある。この世とどうやって折り合いをつけるか学ぶのだ。

■ウェブのすごいところは、それがこれまで私的所有権に基づいていた経済のダイナミズムの中核に共有を持ってくるところだ。

■人々が共有に惹かれるのは、単にアイデアを発表するためだけでなく、その貢献が仲間たちのコミュニティに認知されるという希望のためなのだ。

■われわれが直面する、突出して最大の課題とは、強力な技術が責任ある組織や専門家の手からにじみ出て、社会全般に広がり、知的財産やよいガバナンスにまるで敬意を払わない人々にまで広まってしまいかねないときに、どうやってコントロールを維持するかということだ。

■共有能力を犠牲にすることなく、秩序と安心感を作り出すための方法
・トップダウンのコントロール権を持っている人々は、権力が先細りになっているときにさえ、それを維持しようと戦うだろう
・ピアツーピアによるコントロールの形態や監視方式さえますます増えるし、それは情報と権力がますます分散化して集中化しない世界のあり方に沿うようになる
・われわれは人々が成長する技術力を責任ある形で使うように、もっと自己抑制を奨励する必要がある

■人は自分が所有するものだけで定義されるのではない。人は何を共有するか次第でもある。

4767808146ぼくたちが考えるに、 マスコラボレーション時代をどう生きるか?
山形浩生 守岡桜
エクスナレッジ 2009-01-23

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