何だか、Twitterとかそこら中で「残念」とかが盛り上がっていたのを、何事かなと横目で見ていたのですが、梅田さんのインタビューだったんですね。
・日本のWebは「残念」 梅田望夫さんに聞く(前編)
・Web、はてな、将棋への思い 梅田望夫さんに聞く(後編)
ITmediaの名物インタビューといえば、当然聞き手は岡田有花さん。
久しぶりに岡田有花さんらしい力作ですね。
個人的には、梅田さんも岡田さんも、自分がブログやネットコミュニティにどっぷりつかるきっかけをくれた人なので、なんだかインタビューを読みながら懐かしい気分に浸ってしまいました。
私が、梅田さんのブログに影響され、岡田さんのインタビュー記事に影響されて、ブログをはじめたり、イベントに参加したりし始めたのが、2004年の春頃ですから、もうあれから5年も経つんですよね。
2004~2005年頃は、梅田さんが問題提起したPC世代、ネット世代論とか、ブログ論とか、私自身、梅田さんの発言に日々刺激を受けながら、必死に議論について行こうとしていたことを良く覚えていますし。
岡田さんが手がけたまだGREEが会社になる前の田中さんの2004年7月のインタビュー記事や、百式の田口さんのインタビュー記事は、僕にとって未だにバイブル的な記事だったりします。
そんな二人の長文インタビュー記事ということで、この記事には自分の振り替えりのためにも言及しておいた方が良い気がするので、ブログ上の議論には周回遅れながら、個人的な感想をメモしておきたいと思います。
インタビューの詳細はITmediaの記事を読んで頂くとして。
今回、このインタビューを読んで改めて感じたのは、日米インターネットの根本的な違い。
今回のインタビューは、全体を通して梅田さんと岡田さんの対立姿勢が見て取れて面白いわけですが。
その背景には梅田さんと岡田さんの、根本的な立ち位置の違いがあるように思います。
梅田さんはもともと、「ウェブ進化論」に代表されるように、米国にいながらグーグルを中心としたシリコンバレー文化を、日本人の視点から日本に伝えていた人。
一方で岡田さんは、「ネットで人生、変わりましたか?」にまとめられているように、日本にいながら日本の代表的なネットベンチャーの経営者やキーマンの活躍や成長を伝えていた人。
私からすると、二人とも自分に大きな影響を与えてくれたネットコミュニティの大先輩であることは変わらないのですが、このスタンスの違いは読む人の期待に対して、大きな違いを生むんですよね。
梅田さんは、昔から日本のインターネットや日本の若者が米国やシリコンバレーの良い部分を取り込んで成長することを期待していた人で、そのためにグーグルやシリコンバレーのエッセンスを日本人に伝えるというのを、一つのライフワークにされていた人だと思います。
ただ、あくまで梅田さんのフィールドはシリコンバレーであり、興味や愛情の対象はシリコンバレーの英語圏で活躍する人たちで、それを日本に伝えてくれていたというのが、大きな影響力の根源だったと思っています。
ただ、その後はてなの取締役というポジションになり、そのエッセンスを日本のインターネットコミュニティにも活かしてくれると期待されるようになり、ウェブ進化論が大ヒットして、日本におけるインターネットの予言者的なポジションを期待されるようになり、多くの人が梅田さん個人を日本のインターネットを良い方向に導く道しるべとしてみるようになってしまったということなんではないかと思います。
でも、梅田さん自体の興味範囲は今も昔も、最先端を追いかけることにあって、実は日本のインターネットをどうするべきか、というところにはなく、今回のようなトーンになったんだろうなぁと感じます。
一方で岡田さんは、そんな梅田さんのレーダーには映らないニコニコ動画やmixiやGREEの誕生や成長を間近で見守り、伝えてきた人で、当然そんな日本のインターネットにいろんな思いを持っているはずで。
最近の日本のインターネットが抱えている、なんとなく新しいモノが出てこない行き詰まり感とか、規制の話ばかりが騒がれることに対するフラストレーションとか、そういうものもきっと感じているんじゃないかと思います。
そんな中、日本のネットだけじゃなくマスメディア側にも影響力があるはずの梅田さんに、もっと声を大にして日本のネットの良いところを語って欲しいという思いを、大なり小なり持っていたのかなーと。
岡田さんのインタビューの中で、日本のインターネットの良いところを梅田さんから引き出そうとするところや、最後に識者のポジションについて聞くあたりに、そんな岡田さんの思いを感じてしまったりします。
(考え過ぎかもしれませんが。)
私自身、梅田さんがブログを書かなくなってしまって、何となくネットの方向性を指し示してくれる人がいなくなった感があり、梅田さんの道しるべを待ち望んでしまっている人間な訳ですが。
今回のインタビューを読んで改めて考えたのは、実はそういう道しるべを期待すること自体が、梅田さんに正解を教えてもらおうという甘えだったのかもしれないな、ということ。
一歩引いてみると、米国のインターネットを見つづけている人に、日本のインターネットの行くべき道を予言してもらおうというのが、やっぱりちょっと筋が違う話なわけで。
米国のインターネットの最新事情や方向性は教えてもらえるとしても、
それが日本にとってどういう意味があるのか、
日本のインターネットはどういう風になるべきなのか、
日本のインターネットのどこが世界のインターネットにも役に立ちうるのか
ということを考えるのは、やっぱり日本のインターネットで生きていくことを決めて、日本で生きている私たちの役目であり、義務ですよね。
もちろん、個人的には、梅田さんには、是非引き続き機会を見て、ブログなり本なりで、米国やシリコンバレーの空気を日本の私たちに伝え続けていただきたいと思っていますし、いつか必ずまた議論の中心に戻ってきてくれると信じていますが。
私たち自身は、いつまでも梅田さんの生徒として先生に答えを教えてもらえることを待ち続けるのではなく、自分たちで自分が正解だと思うことを信じて、まずは行動して、答えを探し続けるしかないんだろうな、と。
もし、今回の「日本のWebは「残念」」という記事タイトルに、怒りを感じたり、悲しさを感じたり、悔しさを感じるのであれば。
そうじゃないことを証明し、胸を張って日本のネットの面白さを自分たちや世界にアピールするにはどうすれば良いか、日本のネットを使い、形作っている私たち自身が行動して証明するしかないんだろうな、と。
そんなことを改めて強く感じたインタビューでした。
そう言う意味では、今回のインタビューは、アメリカにいる梅田さんと、日本にいる岡田さん双方からの、日本のインターネットとインターネットユーザーに対する挑戦状だったりするのかなと。
そんな風に思ったりします。
いや、疲れてるから考えすぎなのかな・・・ということで、皆さんお休みなさい。
とりあえず、私は明日からもう一度、いろいろと気合い入れ直してがんばります。
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