日経ビジネスオンラインで連載を行っているコラム「企業と顧客を結ぶソーシャルメディア」に新しいコラムを書きました。
今回は、前回のコラムで取り上げたポイントの中から「利用者によるコラボレーション
についての部分を中心にまとめてみました。
今回で一旦震災関連コラムは終わりにしたいと思い、あえて批判を覚悟でポジティブにまとめてみました。
不明点や不足点等ありましたら、記事の方でもこちらのブログでも遠慮無くご指摘下さい。
■300万の日本よりその20倍、6億市場の世界とつながろう
「私が「2011年はフェイスブックの年になる?」というコラムを書いてから4カ月が経過しようとしています。
日本におけるフェイスブックのアクティブ利用者数は前回の記事執筆時点の180万人から310万人と、70%以上の伸びを示しており、着実に昨年のツイッターと同じ普及への道を歩んでいるように見えます。」
※このコラムでは、カンバセーショナルマーケティングの講演資料でまとめている話の掘り下げだとか、実際にソーシャルメディアを活用したマーケティングの事例を分析する形で書いていければと思っています。
月別: 2011年5月
本日発売の書籍「エンパワード (ジョシュ・バーノフ)」は、企業の中でソーシャルメディアを担当しながらも悩んでいる方々に、是非読んでほしい一冊です。
「エンパワード」は、ソーシャルメディア活用のバイブルともいわれる「グランズウェル」の共著者であるフォレスター・リサーチのジョシュ・バーノフ氏が、新たに書かれた書籍です。
私のプレゼンテーション資料のほとんどで「グランズウェル」を紹介している関係で、発売前に翔泳社さんから献本を頂いたので、書評抜き読書メモを公開させて頂きます。
「グランズウェル」では、ソーシャルメディアにより企業と顧客の関係がどう変わるか、という点に焦点が当てられていましたが、今回の「エンパワード」では副題に「ソーシャルメディアを最大活用する組織体制」と入っているように、ではグランズウェル時代に企業の担当者はどのように行動し、どのような組織体制が必要なのか、という点にフォーカスしています。
グランズウェルの続編と言うことで、フォレスター・リサーチとしてもかなり力が入っているようで、エンパワードをタイトルにした立派なウェブサイトも作られているようです。
「グランズウェル」に書かれている理論やコンセプトは、今でもほとんど陳腐化していないと個人的には感じていますが、そうは言ってもグランズウェルが書かれたのは2008年4月。この3年間の間に業界も大きく変化していますし、本書で言及されている事例も、より全社的な活動のケースが増えてきているように感じます。
特に注目すべきは本書の内容が、どちらかというと一般的なマーケティングの話だけではなく、「グランズウェルの顧客サービス」というアクティブサポート的な新しい顧客サービスから、社内の体制や社内のコラボレーションシステムの構築まで、幅広くカバーしている点でしょう。
米国においては、ソーシャルメディア利用者の影響力が上がっている関係で、下記の「United Breaks Guitars」(ユナイテッド航空にギターを壊され、対応してもらえなかった歌手が怒りを歌にした動画をアップしたところ、現時点で1000万回再生を超すほどの話題になった)のケースのように、企業に大きな影響を与えた事例が多数存在するため、かなりいわゆる傾聴に対して重きを置いている印象が強くあります。
当然、今後日本でもソーシャルメディア利用者が増えてくるとしたら、類似の事例が増えてくることは間違いありませんから、このエンパワードで提示されている新しい顧客サービスの視点というのは非常に重要になってくると感じます。
大企業におけるソーシャルメディア活用の黎明期というのは、一般的にごく少数のソーシャルメディア担当者が、日々のソーシャルメディアの運営や顧客の対応に孤軍奮闘するケースというのが多々見られます。
「エンパワード」ではそんな担当者を「HERO(Highly Empowered and Resourceful Operatives)」と名付け、このHEROをいかにIT部門やマネジメントが支えていくべきかという点について俯瞰的にまとめています。
日本においても、企業によるソーシャルメディア活用が一時的なブームになるのか、中長期的に取り組むべきトレンドになるのか、今年が大きな分岐点になると感じていますが、この「エンパワード」は、そんな分岐点で日々悩んでいる企業のソーシャルメディア担当者の方々にとって、非常に重要な視点を与えてくれる必読書と言えると思います。
久しぶりに大量に付箋がついてしまい、読書メモも長大になってます。
(引用が多くて翔泳社さんすいません。)
ただ、この読書メモに出てくる各種のフレーズに興味を持たれた方は、読書メモを見て読んだ気にならずに、是非ちゃんと買って読まれることをお勧めします。
もちろん、まだ「グランズウェル」を読んでない方は、二冊まとめて是非どうぞ。
※なお、個人的にも、AMNとしても、この本を使って何かしらソーシャルメディアの勉強会を考えたいと思いますので興味がある方は、こちらのSocial Media Club JapanのFacebookページに登録してください。
【読書メモ】
■力を持った顧客を相手にして、成功するためには、従業員に力を与えて、顧客の問題の解決にあたらせる必要がある
■HERO(Highly Empowered and Resourceful Operatives)
大きな力を与えられ、臨機応変に行動できる従業員
■ユナイテッドはギターの壊し屋(United Breaks Guitars)
(ブログにおける)肯定的な意見は34%から28%に減り、否定的な意見は22%から25%に。
(メディアにおける)肯定的な報道は39%から27%に減少し、否定的な報道が18%から23%に。
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逆パノプティコン社会の到来 (ジョン・キム) を読むと、ウィキリークスやフェイスブック、アノニマスと言った新しいメディアや組織が世界をどのように変えようとしているのか見えてくるはず。
「逆パノプティコン社会の到来」は、副題に「ウィキリークスからフェイスブック革命まで」とあるように、ウィキリークスやフェイスブックのような新しいメディアや組織が、世界をどのように変えようとしているか考察している書籍です。
著者のキムさんから献本を頂いたので、書評抜き読書メモを公開させて頂きます。
この本ではメディア学者であるキムさんならではの俯瞰的な視点から、ウィキリークスやフェイスブック、そして最近プレイステーションネットワークをダウンさせて話題になったハッカー集団「アノニマス」などが、どのように成長を遂げてきたのかを学ぶことができます。
Collateral Murder Wikileaks 投稿者 wikileaks
特に驚くのが、昨年非常に話題になった上記の「Collateral Murder」というビデオから、チュニジアのジャスミン革命、エジプトの革命など、ここ1年間に世界で話題になった出来事のほとんどのに、ウィキリークスやアノニマス、フェイスブックが網の目のように関係していたという事実。
正直、自分がいかに表面的にしかニュースを見ていなかったか。
今回の革命や騒動が、実は様々な面でソーシャルメディア時代ならではの出来事であるかというのを、この本を読むと痛感させられます。
ウィキリークスを巡る騒動やアノニマスによる企業への攻撃自体は、テレビのニュースで見る限り、ウィキリークスやアノニマスというメディアや組織によって引き起こされた良くある内輪もめやトラブルにみえてしまうかもしれませんが、実際には国家と個人のパワーバランス、既存の秩序と新しい勢力とのハレーションとでも言うべき出来事と見るべきなのかも知れません。
フェイスブックなどのソーシャルメディアによって引き起こされる根源的な国家や企業の変化について考えたい方には、非常に参考になる点が多々ある本だと思います。
【読書メモ】
■パノプティコン(全展望監視システム)
監獄の真ん中に看守等が立つ。そしてその看守塔を囲む形で円形の独房があり、そこに囚人を収監する。
■ウィキリークスのミッション
情報の完全透明化を通じて社会における不正を暴くことで、社会をより正義あるものにする
■ウィキリークスの特徴
・完全匿名性の保証
・法的リスクの削減
・多数のミラーサイトの存在
・既存の報道機関との緊密な連携
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ソーシャルネットワーク革命がみるみるわかる本 (ふくりゅう・山口哲一)
「ソーシャルネットワーク革命がみるみるわかる本」は、日本におけるソーシャルネットワーク革命について考察している書籍です。
献本を頂いたので、書評抜き読書メモを公開させて頂きます。
この本では著者のお二人の体験に基づいた視点から、ソーシャルネットワークの基本から、mixiの笠原さんやデジタルガレージの佐々木さんのインタビューなど、ムック的に幅広い内容が収録されていますので、日本ならではのソーシャルネットワーク現象を基本から学びたい方には参考になる点がある本だと思います。
【読書メモ】
■(mixiチェックボタンも)順調に増えていると思います。
うまくいっているサイトだと、1チェックで50~60人ほどが、そのサービスに訪れるという導線になっています。(mixi笠原氏)
■心の距離の近い人がつながって、つながった後も自然にそれぞれとコミュニケーションができるような、そういうサービスにしていくことができれば、というのが、まずあります(mixi笠原氏)
■公式な発表ではないのですが、日本語でのツイートが世界全体の12~15%になっています。日本人ユーザーはツイート数が相対的に多いので、ユーザー数の割合は、もう少し低いですかね。
2010年の4月時点では日本語比率は6%だったんです。(デジガレ佐々木氏)
Facebookもっと使いこなし術 (根岸智幸)
「Facebookもっと使いこなし術」は、「Facebook使いこなし術」の続編にあたる書籍です。
献本を頂いたので、書評抜き読書メモを公開させて頂きます。
この本では、副題に「アプリ&新メッセージシステム編」と書かれているように、様々なFacebookページ用のアプリの使い方が紹介されていますので、アプリが多すぎてどれを使えばいいか分からないいと言う方には参考になる点がある本だと思います。
【読書メモ】
■Docsアプリでオフィス文書を共有する
■My Blog Postで、ブログをフェイスブックに連動させる
ツイッターやFacebook、mixi等のソーシャルメディア活用事例を、プレゼン資料にまとめてみました。
昨日の宣伝会議さんの「Web最新ケーススタディ1日セミナー」でも使いましたが、新しいソーシャルメディアの活用事例のプレゼン資料を作成しましたので、こちらでも公開しておきます。
(PDFファイルはこちらからダウンロードできます。)
昨年一年間は、長らくカンバセーショナルマーケティングの基本コンセプトのプレゼンをし続けてきましたが、今年は明らかに啓蒙フェーズから実践フェーズに移りつつあるという感じがしています。
ただ、一方で、ソーシャルメディアをマスメディア同様に利用しようとして失敗しているケースも増えている印象もあります。
そこで、今回のプレゼン資料ではグランズウェルの5つの戦略に基づき、具体的に傾聴や会話、活性化をどのような目的で実施するべきかという部分を活用事例を元に深掘りしてみました。