「独自性の発見」は、「マーケティング22の法則」や「リ・ポジショニング戦略 」の著者でもあるジャック・トラウト氏が差別化について考察している書籍です。
献本を頂いたので、書評抜き読書メモを公開させて頂きます。
この本の原題は「Differentiate or Die」、直訳するなら「差別化か死か」とでもいうところでしょうか。
この本では、商品やサービスをコモディティ化するのではなく、いかに差別化すべきかという点を深く考察されていますので、差別化の基本を学ぶための教科書的な本と言えると思います。
先日ご紹介した「経験経済」もあわせて読むのをオススメします。
【読書メモ】
■「選択肢がありすぎて、おまけにすぐに何でも手に入れて楽しむことができるので、子どもたちは---おとなもですが---いつまでも幼児のままです。」
■差別化の程度、あるいは消費者にとっての意味
・コモディティ
・場所取り商品
・ブランド
・人物のブランド化
■マーケティング担当者がブランド力を構築するよりも希薄化する方向で動いている
・販促プログラムに頼りすぎている
・マーケティング担当者は広告会社の困った本能を抑えることができない
・チャネル変更の呪い
・クリオ賞の呪い
・経営コンサルタントは山ほどいるが、この問題に正しく切り込む者はめったにいない。
■USP(Unique Selling Proposition)
・広告はすべて、消費者に何かを提案する必要がある
・その提案は、競争相手は出さないか、あるいは出せないものでなくてはならない
・その提案にはおおぜいの消費者の気持ちを動かす力がなくてはいけない
■買い手には四つのタイプがある
・直感タイプ:可能性を重視する。
新しいタイプの商品を向けると効果が上がることが多い
・思考タイプ:論理的。
商品に関する事実を論理的に説明されるとよく反応する
・感情タイプ:他人がどう思うかを気にする
頼りになりそうな専門家のほめ言葉に反応する
・感覚タイプ:事実を尊重する
■コモディティの差別化
・識別化する
・人間化する
・新しいカテゴリーを作る
・名前を変える
・カテゴリーを変える
■マーケティングで大事なのは商品を売ることで、賑やかなCMソングやセレブを引っ張り出すことではない(セルジオ・ジーマン)
■広告とは商品に関する重要な情報を伝えて、なぜその商品を買うべきかを納得させるもの
■価格攻撃をかわす
・特別なことをする
・混乱を引き起こす
・論点をずらす
■バーゲンによる短期的な販売促進が終われば売上は元に戻ってしまう
バーゲンで購入するのは、ほとんどが以前からの顧客、ブランドのファンだ。
ただ安いからというだけで知らないブランドを買う人は多くない。これは事実が証明している。
■ロジックによる差別化
・全体的な状況を考慮する
・独自のアイデアを模索する
・信頼できる裏付けを示す
・アピールを徹底させる
■買い物のリスク
・金銭的なリスク
・機能的なリスク
・肉体的なリスク
・社会的なリスク
・心理的なリスク
■「心を変えるか、それとも変える必要がないことを証明するかの二者択一を迫られたら、ほとんど誰もが、変える必要がないことを証明しようとする」(ジョン・ケネス・ガルブレイス)
■「平均的な記事は平均的な広告のおよそ六倍も読まれている」
「コミュニケーション力は編集者の方が広告担当者よりも上だ」
(デイヴィッド・オグルヴィ)
■日本と中国ではどんな商品でもセレブによる差別化が可能だ。
だがアメリカでは向き不向きというものがあって、間違うと多額の金を無駄にする。
■商品の違いはしばしば製法にある。
できればその技術に名前をつけてクローズアップし、商品の違いを際立たせる魔法の要素として売り込む。特許をとっている技術ならますます都合がいい。
■「成長しなければならないという絶対的なニーズがあるわけではない。成長したいという絶対的な欲求があるだけだ」
■一つのブランドだけを守っていれば確かにマーケティング費用は節約できるだろう。
しかしブランドを増やした方が全体としてシェアが拡大することは、経験が教えている。
■要するに、クチコミ・マーケティングとは一つの武器、ツールにすぎない。
消費者に自社の戦略や差別化のポイントを話題にしてもらう方法があれば、こんなにいいことはない。だが、そのまわりを広告宣伝その他でがっちりと固めなくてはいけない。
■インターネットを使って顧客を?むことは、既存メディアを使ってきたのと同じく理にかなっている。しかし新商品を売り出すのにインターネットだけに頼るのは疑問だ。
独自性の発見 ジャック・トラウト Jack Trout スティーブ・リヴキン Steve Rivkin 吉田利子 海と月社 2011-04-28 by G-Tools |