USP ユニーク・セリング・ポジション 売上に直結させる絶対不変の法則(ロッサー・リーブス)

490321236X 「USP ユニーク・セリング・ポジション」は、タイトル通りUSPの概念について考察されている書籍です。
 献本を頂いたので、書評抜き読書メモを公開させて頂きます。
 「USP(ユニーク・セリング・ポジション)」という概念は50年以上前から使われ続けている概念だそうですが、実はこの書籍がその教科書にあたる本だそうです。
 実際、この本に推薦者として名を連ねているのは、『ある広告人の告白』で有名なデイヴィッド・オグルヴィなど、そうそうたる面々ですから、広告業界勃興時の中核にあった本と言えるのだと思います。
 実際、この本を読んでみると50年以上前の本とは思えないほど、現在の広告においても同じことが当てはめられるのに驚きます。
 本質というのは実はインターネットの普及とかメディアの変化にはあまり影響されないんだな、というのが正直な感想です。
 広告のあるべき役割を根本から見つめ直したい方には参考になる点がある本だと思います。
【読書メモ】
■私はなにも、広告が大きな要因ではない、と言いたいわけではない。広告キャンペーンの善し悪しをつねに売上で判断しようとすれば、大きな過ちを犯しかねないことをはっきりさせておきたいだけだ。
■広告における真実の三大基本原則
・ストーリーの頻繁な変更は、浸透度に関するかぎり、広告自体をやめるのと同じ結果しか生まない。
・毎年見事なキャンペーンを実施しても、それが毎年変わっていれば、さほど見事でないキャンペーンを継続して展開する競争相手に追い抜かれる可能性がある。
・商品が流行遅れにならないかぎり、素晴らしいキャンペーンが古びることはない。
■何百ものキャンペーンの特性を長期にわたって調べていると、アメリカできわめて評価の高い広告キャンペーンの多くは、単なるショーウインドウだと分かる。
■USPの三つの定義
・広告はすべて、消費者に対して提案をしなければならない。
 「この製品を買えば、この便益が手に入ります。」と。
・その提案は、競争相手が示せない、もしくは示さないものでなければならない。
 それは独自でなければならない。
・その提案は、数百万人の人々を動かせるほど強力でなければならない。
 すなわち、製品に新規顧客を引き寄せられるものでなければならない。
■実際に商品が比較的画一化している場合に広告会社が進むことのできる道
・商品のUSPを見つけること
・クライアントに商品を変えるよう、つまり商品を改善するよう誘導すること
・商品を変えることができず、特徴がないままだとしても、その商品について以前は明かされていなかった情報を世間に伝えること
■商品とキャンペーンの原則(アルフレッド・ポリッツ)
・広告はよい商品の売り上げ向上を促し、悪い商品の駆逐を加速する
 商品にない要素をあると主張すれば、その不在に消費者が気づく頻度を増すだけだ
・消費者にはわからないような些細な違いを強調するキャンペーンもまた、実際にはその商品の駆逐を加速する。 
 そのようなキャンペーンも、主張した要素の不在に消費者が気づく頻度を増す。
■USPとは広告に埋め込むものではない
 それは、消費者が広告から受け取るものだ
■バンパイア的映像
 バンパイア的映像は、テレビCMを台無しにする。USPをほとんど消し去り、隠し、曖昧にする。芸術的には輝かしくとも、売上の役には立たない。
■広告とは商品についてのニュースではなく、印刷された販売術です。
■広告とは、USPを、最大多数の人々の頭に、可能な限り低コストで届ける技術である。
■もし商品が消費者のもっている欲望やニーズを満たさないなら、その広告は結局、失敗する
 広告は欲望を作り出さない。
 欲望が広告を作り出すのだ。
■広告の真の役割とは、新商品を売り出すべく企業に雇われた最初のセールスマンの役割にほかならない。その目的は競争相手から仕事を奪うことだ。

490321236X USP ユニーク・セリング・プロポジション 売上に直結させる絶対不変の法則
ロッサー・リーブス Rosser Reeves 近藤隆文
海と月社 2012-06-26

by G-Tools