音楽配信も価格比較もブログもヤフーで。

ヤフー、音楽配信サービス開始へ – CNET Japanを読んで。

 ここしばらくヤフーの新サービス攻勢がすごいですね。

 1月31日に「Yahoo!ブログ」β版がスタートしたと思ったら、2月4日には新検索サービス「Y!Q」を公開2月17日には「Yahoo!商品検索」のベータ版を公開して、昨日の有料ダウンロード型音楽配信サービス「Yahoo!ミュージックダウンロード」の2月中開始発表という矢継ぎ早。
 
 おまけにnobilog2によると次は「米国で行われているような本格的なLocal Search(地域情報検索)か、あるいはSocial Network Serviceか?」と予想されています。
 とてもじゃないですが、私のブログのペースではウォッチしきれません。

 この新サービス発表を振り返って、やはり改めて感じるのは、日本のインターネットサービスがヤフーを外しては語れないと言うことですね。
 このタイミングでの有料音楽ダウンロードサービス参入は、近々参入が予測されるiTunesMusicStore対抗のものでしょうし、Y!QはGoogleのAdsense対抗、Yahoo!商品検索は価格.com対抗の模様です。

ITmediaに掲載されているYahoo!ブログの河村プロデューサーのインタビューには「ヤフーは、オークションなど業界トップのサービスをたくさん持っている。Blogもトップにしたい」と発言が引用されていますが、それ以外のサービスについてもおそらく思いは同じでしょう。

 インターネットの主流サービスは、もれなくヤフーが提供すると言う強い意思が感じられるサービス展開です。

 もちろん、いくらヤフーが日本のトップポータルとはいえ、後発で先行するサービスを抜きされるかどうかは個別の戦術の問題になります。

 例えば有料音楽ダウンロードについては、Yahoo!はATRACでサービス提供をするようですが、現状の音楽端末の出荷台数は何と言ってもiPodとの連携をうたえるAppleが有利。価格帯もiTunesが本国に近い根付けをすると厳しい感じがします。
 
 ブログについてもブームが踊り場を迎えている感もありますから、今からトップを狙うには新たにブログ利用者を開拓していく必要があるでしょう。
 
 ただ、ヤフーが日本のインターネット利用者に対して大きな影響力を持っているのは間違いないですから、はたして各サービスでどんな展開をしてくるのか注目したいです。

 ちなみに、タイミングの良いことに次回のアカデメディアはYahoo!をスポンサーにした検索会議2005だそうです。
 ヤフーの今後が気になる方は、是非参加してみてはいかがでしょう?

アスクジーブス、Ask.jpでグーグル越えを狙う?

アスク ジーブス、Ask.jpを正式稼動–検索結果を保存するMy Askなど新機能 – CNET Japanを読んで。

 先日、アスクジーブスがBloglinesを買収してちょっとした話題になっていましたが、いよいよ国内でもAsk.jpが正式サービスを開始したようです。

 CNETの記事によると、アスクジーブスジャパンの塩川社長は「グーグルの検索結果に満足しないユーザーがAsk.jpを利用する傾向があるとの印象から、「あとはヤフーを利用しないユーザーを取り込めば、2番手に入ることも可能」と強気だ。」とのこと。

 正直なところ検索関連は素人に近いので、いまいちAsk.jpの何が凄いのか良く理解できてはいないのですが、国内2番手に入ると言うことは現在2番手のグーグルを抜くと言うことですから、かなり強気な発言ですね。

 Ask.jpを使って見たところ、特徴は「スマートファインダー」と呼ばれる絞込みのヒントとなる語句の表示機能と、「エキスパートリンク」と呼ばれるリンク集サイトの抽出機能のようです。

 スマートファインダー機能とは、例えばブログを始めたいときに、最初から「ブログ 無料 サービス」とか複数語句で検索しなくても、「ブログ」と一語句でとりあえず検索すれば「無料レンタル」などという候補が複数表示される機能。
 エキスパートリンク機能は、その語句の関連に強そうな「無料ブログレンタル一覧」などのサイトリストが並ぶ機能のようです。

 Google検索に慣れた人間からすると、ちょっと回りくどい気もしますが、そう言われれば日本の検索市場はディレクトリ方式から始まったヤフーが単独トップ。
 自分で検索すると言うよりも、人が勧めてくれる候補を選べばよいと言う意味では便利な気もしますから、アスクジーブスがグーグルに追いつく可能性も無くは無いのかもしれません。

 しかし、果たして現在の検索サービスに慣れた人たちが、なだれをうってAsk.jpに移るかと言うとそれほどの魅力はまだ無いように感じます。

 グーグルの登場時には、一般的な検索サービスではページ単位で適切な情報が「探せない」という明確な問題がインターネットに存在し、それを埋めるサービスとしてグーグルが急速にシェアを拡大しました。
 おまけに、グーグルの躍進の原動力は、実はYahoo!など様々なディレクトリ型検索ポータルの補助に利用されたことがあったりします。

 そういう意味では、
 はたして今それほどの問題意識が利用者側にあるのか。
 Ask.jpがその問題意識を埋めてくれるサービスなのか。
 各ポータルが自前の検索を持とうとしている現在に単独の検索エンジンが機能するのか。
 個人的にはまだどうにも良く分かりません・・・

 ちなみにAlexaのサイトランクで見ると、本国のask.comは85位。
 Yahoo!、MSN、Googleのトップ3は置いておいても、先日話題を呼んだAmazonのa9は1578位ですから、良い位置につけてはいるのかもしれませんが・・・どうなんでしょう?

モトローラのSkype搭載で携帯電話業界も三途の川を渡る?

モトローラ、Skypeを搭載したWi-Fi携帯電話機を開発中 – CNET Japanを読んで。

 P2P電話のSkypeが携帯電話端末への導入を狙っているのは周知の事実でしたが、さすがにモトローラが対応と言うのはインパクトが大きいですね。

 携帯電話事業者からすると、携帯電話のIP電話化は一度わたってしまったら戻れない三途の川。
 現在の日本の固定電話市場のように、電話料金市場が急速に無料化への道を進むのは明白で、できることなら渡る日をできる限り先延ばししたいと言うのが本音でしょう。

 しかもその手段が携帯電話事業者独自のソフトではなく、Skypeというのは最悪に近い事態でしょう。
 NTTドコモやauのような携帯電話事業者が端末をある程度コントロールできている日本市場では発生しにくい事態ですが、端末メーカーの方が市場をリードしている海外市場ならではですね。
 想像していたよりもはるかに展開が早かったです。

 ちなみに、一歩引いて眺めて見るとモトローラが今回の決断をしたのも、ある程度理由が想像できなくはありません。
 まず世界3位という地位は、しょせん3位にしか過ぎないと言うこと。世界の携帯電話端末のトップはなんと言ってもNokiaですし、現在急成長をしているのが2位の韓国サムソンです。
 実はモトローラは丁度この12月に発表された統計で、サムソンに抜かれて3位に転落したところでした。

 このままだとノキアに肉薄するどころかサムソンにも水をあけられるのは明白で、何か新しいことをやらなければいけない、という危機意識が芽生えるには丁度良いタイミングだったともいえます。

 そして、もう一つ注目したいのは現在のモトローラのCEOがサンマイクロシステムズのCOOだったEd Zanderだということ。

 2004年12月にコンピュータ業界のプロがモトローラのCEOに就任して、一年が経過したところですから、新しいことを仕掛けるには丁度良いタイミングで丁度良いSkypeというアプリケーションが登場したと言うこともできるでしょう。

 そういう意味では、今回のモトローラのSkype搭載は来るべくして来たというほうが正しいのかもしれませんね。
 Nokiaやサムソンの対抗策、日本メーカーの今後の動きにも注目したいです。

 個人的には、CNETの記事にかかれている「各携帯電話会社がVoIPを利用して、ローカルの固定電話会社から顧客を奪う可能性もある」というのは十分起こりうるシナリオだと考えています。
 さぁ、いよいよ固定電話と携帯電話入り乱れての仁義無き戦いが始まるのか、それとも日本はしばらく蚊帳の外で進むのでしょうか?

はてなブックマークに見るソーシャルブックマークの今後

ブックマークからユーザー同士をつなぐ「はてなブックマーク」ベータ版を読んで。

 はてなブックマークが開始されてもうすぐ一週間になろうとしていますが、かなりいろいろな反響を呼んでいるようですね。

 vanillachipsによると、国内初と発表しているものの実は先行サービスがあった、というお手つきはあったようですが、Googleで「はてなブックマーク」で検索すると、すでに4万件を超えているからたいしたものです。

 梅田さんのブログでも、「知的生産のための道具」や「ブックマークによるコミュニケーション」への可能性について考察されており、はてなブックマークがきっかけで日本でも更にソーシャルブックマークの普及が進みそうな感じを受けます。

 ソーシャルブックマークとして見た場合のはてなブックマークの最大の特徴は、やはりdel.icio.usやSpurlは自分でタグの言葉を登録するのに対して、はてなブックマークは自動でタグ付けをすると言う点でしょうか。

 この点に関しては、Text Oceanでは「はてなブックマークはフォルクソノミーに非ず」と書かれているなど、かなり物議を読んでいる点もあるようです。

 
 まぁ、βが開始されたばかりですし、今後どうなるのかはわかりませんが、個人的には自動タグ付けは案外ありかなぁと思っています。

 もちろん自分自身は整理好きなので、Spurlのように個別にカテゴリやタグを設定できるサービスが大好きなのですが、全部自分で決めるのは結構大変だったりもします。
 過去にどういうタグで自分が整理しているのか認識しないといけませんし、例えばBlogかBlogかブログかで違うタグになってしまいます。

 そういう意味では、まずソーシャルブックマークの第一歩の機能としては、自動タグというのは有りかなぁと思ってしまうわけで、はてなキーワードという財産を生かしたアプローチは上手いなぁとも感じます。

 もちろん、こだわりの強い利用者向けに、今後カテゴリ分けができる機能が必要にはなると思いますが、その辺は利用者の声を吸い上げるのが上手いので定評があるはてな。
 これからの機能追加に注目したいところです。

 最後に、はてなブックマークの注目のエントリー経由ではてなの近藤さん、伊藤さん、川崎さんのインタビューを見つけましたのでご紹介しておきます。
 情報をすべてさらけだしてユーザーと対話する (HotWired)
 

GoogleとWikipediaが連携すれば便利になるか

グーグル、Wikipediaに支援を申し入れ–無償ホスティングを提案 – CNET Japanを読んで。

 GoogleがWikimediaに支援を提案しているようです。

 Wikimediaといえば、Wikipediaという利用者自身が制作に参加しているオンライン百科事典が有名ですが、非営利団体で運営は寄付を基本にしているそうで最近は接続の遅さも指摘されていました。
 そこで、Googleがサーバーを無償でホスティングするという提案をしているそうです。

 実は個人的には、どうしても誰でも編集できると言う感覚が分からず、いまだにWikiの本質を理解できていなかったりするのですが、もし今回のGoogleの支援提案がGoogleの検索エンジンとWikipediaとの連携を含んでいるのであれば興味深いものがあります。

 もちろん、現在のところは、Wikimediaも「Googleといかなる関係が築かれようとも、それによって同グループのサイトに広告が表示されることはない」と発言しているそうですから憶測に過ぎませんが、単なる支援であれば「寄付」をすれば良いわけで、Wikimediaが「提案を検討中」というからには、何らかの連携が議論されているように想像してしまいますね。

 GoogleとWikipediaの連携のパターンとしては、シンプルにはGoogleの検索結果のトップあたりにWikipediaの単語リンクを表示させると言う手が考えられるでしょう。

 昨年開催されたゴッゴルコンテストでも明らかになったように、ロボット型の検索エンジンは、適切にSEO手法を駆使すればランキングを上げることができます。つまり極端なことを言ってしまうと、実際のページの有用性や重要度には関係なく順位を上げることが「可能」なわけです。
 
 インターネット上の情報量が増えれば増えるほど、検索と言う手段はますます玄人にしか利用できなくなってしまうわけで、一般的に検索する人が多いであろう「単語の意味」を、Wikipediaの内容を優先して表示させると言う手は有りな気はします。
 
 もちろん、利用者が勝手に編集できてしまうWikipediaの内容をどこまで信じれば良いのかという問題は残りますから、微妙な感じはしますが。

 ちなみに、日本で類似のサービスと呼べるのは、はてなダイアリーのキーワードだと思いますが、こちらはキーワードを元に、Google Adsenseで関連する広告を表示しているのをはじめ、Amazonの関連書籍へのアフィリエイトや、楽天の関連商品へのリンクなど、効果的に広告を表示して収益を上げているように聞いています。
 Wikipediaもそれぐらいやっても問題ないような気もするのですが、あくまで広告を拒否するのは中立性の維持のためなのでしょうか?非営利団体の性格上なのでしょうか?
 
 ちなみに、以前CNETに共同創設者Jimmy Walesのインタビューが掲載されていましたのでリンクしておきます。
 「ニュースをオープンソース化せよ–Wikiの挑戦

 こういうある種のボランティアパワーが今後のインターネットの中心を担うようになるのか、それともやっぱりマネーの論理が中心でありつづけるのか、非常に興味深いです。

Flickrとdel.icio.usに始まるフォークソノミー

Wired News – ネット世界をタグで分類する「フォークソノミー」 – : Hotwiredを読んで。

 最近、フォークソノミーとかソーシャルタギングという言葉を聞くことが増えてきたように思います。
 
 「フォークソノミー」(folksonomy)とはfolks(人々)とtaxonomy(分類法)を合わせた造語だそうで、まぁなんとも分かりづらい言葉なんですが、この対象となっているサービスが実に面白いです。

 その代表的なサービスが写真共有サイトのFlickr(フリッカー)とソーシャルブックマークのdel.icio.us(デリシャス)。
 自分の登録した写真やブックマークをもとに、タグやキーワードをキーに、他の利用者とつながっていくサービスです。

 
 こうやって書くと、mixiやGREEのようなSNSみたいな感じを受けるかもしれませんが、フォークソノミー系のサービスの特徴は、まずは自分のために写真管理やブックマーク管理をするためのサービスであること。
 SNSのように他人とつながるのが目的のサービスとは少し趣が異なります。

 この辺りの詳細はgoodpicの「自分の便利が、皆の知識に。Folksonomy系ツールのソーシャル効果」に丁寧に解説されています。
 なんといっても興味深いのは「個人の情報発信を助ける便利なツールが、将来的にはネットワーク全体の価値を増大させる、ということが明確になってきた」という点ですね。

 ちなみに、個人的にはSpurlというソーシャルブックマークにはまっているのですが、Spurlを教えてくれたText Oceanの「ちまたで祭りの「Folksonomy」ってなんだ?」という記事では、カテゴリ構造に対するタグの特徴がわかりやすく図解されています。
 このタグと言う概念は、慣れるまではちょっとややこしいかもしれませんが、これが実に便利。ブックマークが山盛りになってしまっていた自分としてはとりあえず参考になった記事をメモしておくのに非常に重宝しています。

 ブログにしてもネットにしてもSNSにしても、最近の私たちの興味の対象って、綺麗にカテゴリ分けできる世界じゃないんですよねぇ。
 と、同じようなことで悩んでいる人は、まぁ、是非一度試して見てください。