ウォークマン携帯でソニーはiPodに勝てるか?

Sony Ericsson、“ウォークマン携帯”発表を読んで。

 2月中旬に「今後、ソニーの“ウォークマン”ブランドを冠した携帯電話を投入する計画だ」と報道されていたので注目していましたが、いよいよ最初のモデルが発表されましたね。

 写真を見る限りは、なかなかお洒落でいい感じです。 
 Sony Ericssonのマイルス・フリント社長は、「2005年に注力するのは、エンタープライズとエンタテインメント、中でも音楽」と発言されていたようですし、独走を続けるiPodに、もし今からソニーが追いつく余地があるとしたら、間違いなく音楽携帯電話端末でしょうから、ソニーの力の入れようも分かります。

 
 ソニーと言えば先日PDAのCLIEの新機種投入の終了が発表されましたから、タイミング的には今回のプランもある程度影響したんだろうと想像してしまいますね。
(ただ、CNETの森さんのコラムではCLIE撤退の理由は、携帯電話の登場が直接の原因ではないと分析されています。)

 これにあわせて参考になるのがCNETの「ソニーはふたたびクールになれるのか」というインタビュー記事です。
 
 ソニーが、コンテンツ事業を自社に抱え込んでしまったことによる弊害は良く指摘されるところですが、なんでも「Apple Computerの携帯音楽プレイヤー、iPodの人気の高さが、コンテンツ部門とハードウェア部門が手を結べば大きな利益が手に入ることを、ソニーにまざまざと見せつけた」そうで、ソニー社内には変化のきざしが見られるようになったようです。
 ライバルの大成功で社内の改革が進むようになるというのも複雑なものがあるでしょうが、最近のソニーの展開にはちょっと将来を期待させるものがありますね。

 以前、「なぜソニーがiPodブームを作れなかったのか」という記事を書いたことがありますが、個人的にはソニーファンなので、是非頑張って欲しいものです。

 と書きながらも、どうしても納得いかないのがウォークマン携帯の発売が欧州限定発売の点。
 日経の記事によると日本での発売は「通信会社の需要をみて考えたい」とのことで、発売は未定。単純に実験的発売だからエリア限定販売なのか、それとも日本で売らない何か理由があるのか?
 しょせんエリクソン主導ということなんですかね。

 日本でも頑張って欲しいものですが・・・

ヤフーもバリューコマースと提携でアフィリエイトに参入

ヤフーもTOB仕掛ける!–バリューコマースを子会社化しアフィリエイト参入 – CNET Japanを読んで。

 ヤフーの最近の活発な事業展開については、先日も取り上げたばかりですが、今度はアフィリエイトに参入です。
 しかも提携先は国内アフィリエイト大手のバリューコマース。

 投資金額も109億円だそうで、ライブドアのニッポン放送買収騒動の影にかくれつつも、実際のネット業界に与える影響はこちらの方が大きそうです。

 ウェブ販売におけるアフィリエイトの存在感が大きくなる中、ヤフーショッピングの最大のライバルにあたる楽天は独自のアフィリエイトを着々と展開していますから、手っ取り早く追いつくにはバリューコマースとの提携が得策と判断したのでしょうか。

 バリューコマースからしても、最近は大手企業に受けが良いリンクシェアと個人サイトに受けの良いA8.netに挟まれて苦戦が噂されていましたから、非常に良いタイミングでベストの提携と言えますね。

 ちなみに、CNETの別の記事にあるリンクシェアのインタビューでは、「テレビのように幅広いユーザーを抱えるポータルは、人集めの役割を果たす。ただし、ポータルはひとつひとつの製品情報を掲載しきれないので、そこをアフィリエイトサイトがカバーできるのではないか。ポータルは入り口となり、最終目的地がアフィリエイトサイトとなるわけだ」というCOOの発言が紹介されています。
 他にも、ポータル側からすると、アフィリエイトサイト経由のトラフィックの流入増も期待できますし、アフィリエイトによるリンクが増えることによるSEO効果も期待できます。 
(まぁ、自分のサイト自体が検索を持っているヤフーにはあまり関係ないかもしれませんが)

 さらにプレスリリースにはオークション事業との連携にも言及されていますから、かなり興味深い提携になりそうです。

 ちなみに、先ほどバリューコマースからお知らせのメールが来たのですが、発表記事にはバリューコマースの議決権総数の54.85%を取得と書いてあるのでいっせいに子会社化と書かれていますが、正式には現存の未行使の新株予約権等の議決権相当数を勘案すると45.46%だとのこと。
 あくまで「提携」だというのを強調したいようです。

 まぁ外野の印象からすると大筋に変わりは無いんですけど、経営陣からしたら重要なんでしょうね。

NTTドコモのPHS撤退はウィルコムへのアシスト?

NTTドコモ、PHSの新規申し込み受付終了を正式発表–業績予想を下方修正 – CNET Japanを読んで。

 一部で既にリークされていましたが、NTTドコモのPHS事業撤退が正式に発表されましたね。

 構内PHSの代わりにするべく無線LAN+FOMAデュアルサービスも発表したし、@Freedの代わりにするべくFOMAカードの準定額制も発表したし、着々と撤退への布石を打っていたと言うことなんでしょうか。

 そもそも、NTTグループのPHS事業は、NTTパーソナルグループとして独立して開始したものが、DDIポケットとの競争に敗れ、1998年にNTTドコモに営業譲渡した経緯があります。
 その時点で確か累積損失が2000億円を超えていたと思いますが、NTTドコモグループ入りした後も状況は変わらなかったようで、6年間で3800億もの累計赤字を積み上げたそうです。
 まぁ、撤退も当然と言うところでしょう。

 ただ、個人的にちょっと気になるのが撤退による余波。

 アステル東京が鷹山に、DDIポケットがカーライルグループに売却されたのに対し、NTTドコモのPHS事業は2年程度で終了に向かうようです。
 つまり既存顧客はNTTドコモの他のサービスに乗り換えてくれと言うことのようですが、特に定額PHSの@Freedの受け皿が準定額制なるFOMAデータカードと言うのが微妙。
 
 @Freedが月額5000円程度なのに、FOMAデータカードは最長のプランで月額9000円以上。しかも1万8000円以上の利用は従量制。

 既存の@Freed利用者がウィルコムに乗り換えるのは火を見るより明らかですが、ドコモとしても最大のライバルであるauでなく、ウィルコムになら少々利用者が増えたところで良いという判断でしょう。
 おまけにPHSを利用した企業システムを組んだ法人顧客からしても、今回のサービス撤退は驚きのはずです。

 まぁ、既存のドコモのPHS利用客は136万件で、携帯電話契約者のわずか2.8%、たいした影響は無いと言うところでしょうか。
 ただ、@Freedにしろ、構内PHSにしろ、PHSによる企業システムにしろ、利用しているのはモバイルのヘビーユーザーや、先進的な法人顧客。

 今回の処理を誤ると、重要な顧客を失ってしまう可能性も高いように思いますが・・・
 どうなんでしょう?

FireFoxがマイクロソフトのお尻に火をつけた?

次期IEはスタンドアロンで–マイクロソフト、方針を大転換 – CNET Japanを読んで。

 ちょっと前のニュースになりますが、Internet Explorerの次期バージョンは、IT業界にとっては非常に注目のニュースですね。

 Netscapeとの戦いにマイクロソフトが勝利を収めた後、マイクロソフトが次世代OSのLonghorn中心思考に戻り、IEの進化が停止しているというのは多くの人が指摘する点でしたが、ここに来て方針を大転換。
 やはり、1.0リリースから100日で2500万ダウンロードに到達したFireFoxの勢いが大きく影響したようで、IEだけ単独前倒しでリリースするようです。

 CNETの記事には50を超えるトラックバックがついていますから、注目の高さがうかがえます。

 なんでも「IEのシェアはブラウザ戦争が最も激しかった1990年代以降初めて90%を割り込んだ」そうですから、マイクロソフトとしては当然とらざるを得ない打ち手でしょう。

 過去の記事を振り返ると、「マイクロソフト、IEスタンドアローン版廃止へ」と報道されたのが、2003年6月のこと。
 その後、2004年10月には「マイクロソフトはIEを消滅させるのか」という記事で「Microsoftはブラウザ技術を取り込み、機能拡張を図るが、最終的にはそれを消滅させる」という予言が紹介されていたばかりですから、今回のFireFoxショックは急激な方針転換を引き起こしたと推測されます。

 また、MSNspacesにある「Windowsな生活」では「実はこのIE7、かなり前より話は出ていたのですが、なかなか実現しなかったのです。」と書かれていますから、社内でも戦略的に様々な議論があったことが想像されます。

 
 ちなみに、私も以前横田さんの記事を読んでから複数のPCでFireFoxを利用していますから、2500万分の3ぐらい貢献していますが。
 果たして後からインストールするタイプのブラウザが、いわゆるキャズムを超えて一般に浸透するのかは微妙なところだとも思っています。
 そういう意味では、PCにバンドルされるようになるかどうかが一つの分岐点になるのでしょうか。

 もし、インターネットコンピューティングのインフラが、マイクロソフトが掌握しているOSレベルでなく、ブラウザレベルに戻ってくると、最近iPodブームで見直されているMacやLinuxなんかの可能性が更に広がってきます。
 やはり、FireFoxとIEのこの戦い、しばらく目が離せないですね。

ニューヨークタイムズのAbout.com買収にみるメディアの未来

ニューヨークタイムズがAbout.comを買収 – CNET Japanを読んで。

 ちょっと前のニュースですが、ニューヨークタイムズのAbout.com買収はなかなか興味深いものがあります。

 日本の方にはAbout.comよりもオールアバウトの方が有名だとは思いますが、About.comはもともとはこのオールアバウトの親会社。
 ガイドと呼ばれる専門家を抱える情報サイトです。

 これに関連して、CNETのEditorのJeff Pellineによる「ニュースサイトを買い漁る大手新聞社」というコラムが掲載されています。

 Jeff Pellineによると、これまで「多くの大手新聞社の幹部たちは、ほとんどインターネットを無視していた」のが、防衛的な理由から「最近になって大手新聞社のネットに対する態度が変わってきた」とのことです。

 何でも今回のニューヨークタイムズのAbout.com買収以外にもDow JonesやWashington Postなどもオンラインメディアの買収を行っているようです。
 

 日本ではITmediaと@ITの合併や、オールアバウトへのYahoo!の出資などが記憶に新しいですが、そうはいってもまだオンラインメディア同士の連携にすぎないように思います。
 
 まぁ、そういう意味では今回のライブドアのニッポン放送買収問題が、一つのきっかけになりそうな雰囲気ではあります。
 
 今回はネット側のライブドアが、大手メディアの買収を試みましたが、はたして大手メディアがネットメディアを買収するパターンがこれから日本でも出てくるのか?
 それとも、日本ではまだしばらく両者は距離を維持したままになるのでしょうか?

ようやくモバイルSuica開始。Edyとの競争激化?

ついにSuicaもケータイに:JR東日本、2006年1月にモバイルSuicaを開始 – CNET Japanを読んで。

 ようやくモバイルSuicaの開始時期が決まったようです。
 しかし、その開始時期は2006年1月。
 残念ながらまだ少し先です。

 個人的には勝手にモバイルSuicaの開始は2005「年」後半と思い込んでいたので、このニュースを見て何だよー、と思ったのですが、以前のニュースを良く見たら以前の発表は2005「年度」後半
 まぁ予定通りということなのでしょうか。

 聞くところによると、やはりコンビニを中心のEdyと異なり、モバイルSuicaにはいろいろ苦労があるようです。

 例えば、コンビニの場合は、利用者はある程度決まった店舗で買い物をしますから、電子マネー対応は一店舗から気軽に始められます。

 しかし、これがSuicaのような交通インフラに関わるものだと、利用拠点が「点」から「線」や「面」に代わるので大変。
 例えばモバイルSuicaに入金をする端末はある程度の主要駅に必須になるでしょうし、乗り越し時にプリペイド分の金額で足りなかった場合には駅員が追加で料金を請求できるような仕組みも教育も必要です。

 改札機についてはおそらく現状のものを使うのでしょうが、携帯との接触が頻繁に起こると、お互いに故障の原因になるのでは?という話もあるようです。

 おまけに聞いた話では、現在のお財布ケータイの仕様では、電源を切った状態でも電子マネーは利用できるものの、携帯電話のバッテリーが完全にあがってしまうと、電子マネーが利用できないとか。つまりモバイルSuicaで乗車した後にバッテリーが切れると、下車しようとしたときに降りれないと言う話になります。
 もし、この話が本当なら、JRの各駅には携帯電話の充電設備も必要になってしまう、ということでしょうか。

 実は、私は近所のコンビニでEdyで支払いをしている唯一の顧客(多分)であるぐらいの電子マネー好き。
 薄い財布が好きなんですよね。
 (「そんなマニアックな」と思った方へ。電子マネーの便利さは、CNETで松村さんが詳細に解説されていますので、是非お読みください。) 

 実は財布からSuicaの分厚いカードを追い出したくてたまらず、ドコモがお財布ケータイでSuicaも対応するのを楽しみに待っていたりします。

 その熱意は、前に使っていた携帯電話のアンテナと間接部分が壊れたのに、901iCが出るまで、何とかだましだまし使っていたほど。
 SH901iCを発売初日に購入させていただきました。

 そういう意味では、モバイルSuicaの開始がお財布ケータイの本命なんですが、気になるのはEdyとの住み分け。
 現在のお財布ケータイは、しょせんプリペイドカードなので利用するためには事前にお金の入金が必要です。
 
 せっかく両方非接触ICにソニーのFelicaを利用しているのに、別々に入金と管理が必要だなんて、なんとも面倒くさい話です。
 利用者としてははやいところ統一して欲しいところですが。

 ただ、プリペイドカードビジネスは、事業者にとっても先払いでお金が得られる非常においしいビジネス。
 やっぱりお互いこのまま別路線で行くんでしょうね・・・