[通信業界]FTTHサービス「Yahoo! BB 光」開始を正式発表 を読んで

ソフトバンクがFTTHサービス「Yahoo! BB 光」開始を正式発表を読んで。

 孫さんは、光ファイバでもADSLと同様のサプライズを見せられるのだろうか。


 ようやっとソフトバンクのFTTHサービスの概要が明らかになったが、今回の目玉は1Gbpsという速度のようだ。

 先日、ADSLの成功について友人と議論をしたが、やはりISDNのような従量課金から定額課金に変わる過程での積極的な低価格政策が、大きかったのではないかという話になった。
 この「従量課金から定額課金に変わる過程」というのがポイントだ。

 たしかにYahoo!BBが登場したときの低価格のインパクトは非常に大きかったが、従量課金のプロバイダから定額課金に切り替えたいというニーズがあったからこそ「プロバイダの大移動」があった。
 だからこそYahoo!BBは、初のプロバイダ事業参入にもかかわらず大きなシェアを取ることができたのだろう、という考えだ。

 はたして、利用者はADSLを光ファイバに積極的に置き換えるか?というのが最近の通信事業における大きな疑問だ。
 今回は従量課金から定額課金というサービス軸の大きな変化は無い。
 
 ADSLも光ファイバも所詮土管にすぎない。
 1Gbpsという接続速度で利用者は飛びつくのだろうか?

 CNETの記事によるとFTTHサービスのシェアについて孫さんは「ADSLで確保している程度のシェアはねらいたい」と発言しているらしい。
 まぁ、逆にいえば現在のADSLの利用者が他社のFTTHに逃げずにYahoo!BB光に移行してくれれば十分だという意味にも取れる。

 そういう意味では孫さんの本音はやはり記事の最後にある部分にあるのだろう。

なおソフトバンクグループでは、FTTHサービスに向けたコンテンツとして、会員専用のウェブサイト上で、テレビ地上波をはじめ、BB TV、ビデオ、DVD、CS、BSなどの放送がすべて視聴可能となる「無線TVパック(仮称)」を提供する予定としている。これにより、「ADSLではIP電話を標準サービスとして電話の世界を変えたが、FTTHではテレビの世界を変えることになる」と孫氏は述べた。

さてさて、思惑通りいくのかどうか・・・

 ちなみに、私は実は数少ない(?)BBケーブルTVの利用者だったりもします。
 ちょっと楽しみだったりして・・・

[通信業界]NTT東西、基本料金値下げへ を読んで

NTT東西、プッシュ回線使用料など廃止、基本料金値下げへ – CNET Japanを読んで。

 やっぱり値下げ競争をやってしまうんですね。


 前回「KDDIのIP固定電話サービスを読んで」の時にも書いたが、おそらくこの基本料金値下げ合戦はお互いの利益低下の引金になるだけで、通信業界には何の利益ももたらさないと思う。

 実際、数年前のマイライン獲得競争のときも、通信業界はシェアを拡大しようと野心に燃える「ある通信事業者」によって、円ではなく「銭」単位の通信料金競争に突入して血みどろの顧客獲得競争を繰り広げた。
 でも、結局勢力地図はほとんど書き換わらず、ほとんど誰も儲からなかった。

 その後、BBフォンの登場や携帯電話の台頭によってマイライン登録自体の意味が無くなる時代が来てしまったんだから、なんとも悲しい話だと思う。

 今回も同じような話になってしまいそうだが、やっぱり値下げに対して値下げで対抗するしかないというのが現在の通信業界の現実なのでしょうか。

 
 ちなみに、ちょっと話は違うが、先日CNETの御手洗さんと飲んだときに「結局儲かるのは業界内で価格競争が起こらないようにした業界だ」というような話になったのを思い出しました。

 そういえば通信業界もNTTよりDDIと日本テレコムが10円だけ安いという「業界秩序」が守られていた時代があったなぁ・・・懐かしい。

ベンチャービジネスとスモールビジネスの大きな違い を読んで

CNET Japan Blog – 梅田望夫・英語で読むITトレンド:ベンチャービジネスとスモールビジネスの大きな違いを読んで。

 ずっと「ベンチャー」という単語に一種の違和感を感じていたのだが、この記事を読んでようやく整理ができた。


 この記事は、ネタフルの「淡々と更新する「Craigslist」」というトラックバックをきっかけとして、ベンチャービジネスとスモールビジネスの違いについて、梅田さんの人生観を併記しながら書かれていて非常に分かりやすい。

 日本ではベンチャー=スモール(中小企業)的な使われ方をすることが多いような気がするが、ベンチャービジネスとスモールビジネスは本質的に全く違うということのようだ。

 もちろんどちらが正しい、間違いという話ではなく、どちらのスタンスを取るのかというのは、自分自身の価値観と相談してしっかり考えなければいけない問題なのだろう。

 KoWBのサトウさんPlain living, High thinkingのissuiさんzerobaseの石橋さん等、この記事をきっかけとして自分の人生観を振り返っている人がたくさんいるのを見て、影響を受けたのが自分だけでないのを感じてしまった。

 ちなみに、この記事を読んでちょっと前にネットエイジの西川さんが書いていた「米国ベンチャーの創業者シェア」という投稿を思い出した。
 何でも米国のベンチャーは、IPOまでいく場合には創業者シェアが5%くらいになっているのが当たり前で、現実路線としてM&Aをイグジットとして狙う人が多いということだ。

 これは、梅田さんが言う成長を訴求する「ベンチャービジネス」だからこその当然の特徴のようにも思えてくる。 
 短期の成長を訴求するためには早期にVCの資金も必要だろうし、IPOが難しいのであれば現実的なところでM&Aでイグジットというのも論理的だ。
 従業員や投資家への成長の約束が果たせないと分かったら、早期に諦めることも必要ということだろう。

 それに対し、日本の「ベンチャー」は経営者が51%以上持ったままでIPOするケースが多いという。
 もちろんこれは会社の支配権を持ちつづけているという意味で凄いことだ。

 でも、日本に有能な経営者が多いから、支配権を維持できているという話ではないと思う。
 
 最初は「スモールビジネス」的アプローチだった企業が、結果的に成功してIPOまで辿り着いていることだろうか?
 「自分の会社」という意識が強い日本人気質によるものだろうか?
 それともVCによる投資やM&Aによるイグジットの少なさなどの環境の違いがこの数字を作っているのだろうか?
 
 どうなんでしょう・・・?

[SNS]データの重要性を指摘するO'Reilly を読んで

CNET Japan Blog – 梅田望夫・英語で読むITトレンド:データの重要性を指摘するO’Reillyを読んで。

 タイトルだけを見たときは良く分からなかったが、この記事の中心テーマは、まさに私の最近の個人的興味の中心と完全に重なっていた。


 テーマになっているのはSNS(この記事ではソーシャルソフトウェアと定義されている)とGoogle、Microsoft、及びP2Pだ。

 最近GREEを使えば使うほど感じていたのだが、メールのアドレス帳とSNSが連動していれば確かにそんな便利なことは無い。
 前回「MSNがソーシャルネットワーキング「GREE」に学んだこと を読んで」でもメールとの親和性についてtakeshimさんがコメントしてくれている。
 
 それから良くGoogleのGmailとOrkutの統合についての話を知人としていたのだが、MicrosoftもOutlookで同様の取り組みがあるとは知らなかった。
 まぁ、冷静に考えれば当たり前のことなのかもしれないが。

 梅田さんが書いている「データ・ロックイン」というのがキーワードだろう。

 GREEにしてもmixiにしても、利用者がSNS上で友達リストを完成させようとする行為をベースに利用者数を増やしている。確かにその過程は楽しい。
 だが、大抵の人は友達リストを増やすのに疲れた段階でSNSに「飽きて」しまうようだ。
(私は別に飽きても良くて、ゆるくつながっていること自体がSNSの良さだと思っているが)

 結局人間は怠惰な生き物なので、友達リストをいくつも作るのは無理なのだ。
 メールアドレス帳に、IMのコンタクトリスト、SNSのリンクリスト、年賀状の送付リストに名刺データベース。本質的には同じモノのはずで、そのデータをあっちにもこっちにも入力するのは正直相当手間だ。
 そう考えると、「必須のツール」であるコミュニケーションツールとSNSのような仕組みの連動は必須で、それらのデータを握った企業がネットの中心を維持できるという理論は非常に良く分かる。

 実際、コミュニケーションツールとSNSが連動すると、現在とは全く違うソーシャルソフトの世界が出てくるはずだ。

 例えば、GREEで友達リストが100を越えると正直もう管理不能に陥る。
 仲の良い友達も面識の無い人もゴチャマゼだし、どういう知り合いだったか、疎遠なのかどうかも識別不能だ。

 他のメンバーから見ても、例えばキーマンとのリンクが多い人がそのキーマンと本当に「濃いつながり」なのかどうかは良く分からない。
 そのためにリンクの数だけが勝ちになってしまい、むやみに知らない人にリンクを張って数を増やした人が、なんだかキーマンのように見えてしまったりもする。(私も人のことは言えないが)

 Orkutがリンクの際に相手を5段階評価する仕組みを取り入れているのも、このあたりの問題意識からきているのかもしれないが、これがメールやIMのやり取りの多さが自動的にリンクの濃さに反映されるとどうだろう?

 誰が誰と本当に濃い中なのか一目瞭然になるし、自分が誰と最近コミュニケーションが疎遠になっているのかも一目瞭然だ。
 そんな便利なソーシャルソフトなら手放せなくなることは間違いない。
 

 ただ、ここで私もTim O’Reillyと同じ疑問を感じてしまう。

 「はたして、そんな重要な情報の管理を一企業に頼らないといけないのか?」

 そのソーシャルソフトに頼れば頼るほど、自分がビジネスで、プライベートで、どういう人とどのように付き合っているのかサービス提供企業には一目瞭然だ。 
 もちろんそこは倫理や信頼の問題だから、技術の問題とは別問題なのだが。

 これだけテクノロジーが進化しているのに、私たちはまだ自分のコミュニケーションやデータの管理を企業に頼らないといけないのだろうか?

 自分がP2Pに携わっているから言うわけではないが、もっと利用者自身のツールとして存在する手帳やカレンダーのようなツールが出てきてしかるべきではないのだろうか?

 私がP2Pに魅力を感じているのも、そういう視点からなんだなぁと改めて感じてしまいました。
(なんだか一人でちょっと勝手に感動してしまったので、長くなってしまってすいません)

[ポータル]ライブドアが新球団の本拠地を仙台でNPBに申請 を読んで

ライブドアが新球団の本拠地を仙台でNPBに申請

 正直、本気で参入するつもりだとは思っていなかったので驚いた。


 一般誌なんかでは、ライブドアの野球事業参入は売名行為だというのが定説だったが、宮城県と仙台市まで担ぎ出したからには本気なのだろう。
 もしくは本気にならざるをえない環境になってしまったのか。

 おまけに楽天の三木谷さんまで参入を表明してきたのだから、これは傍観者としては非常に面白いことになってきたと思う。
 ワールドビジネスサテライトで、UFJ銀行を巡る東京三菱と三井住友の戦いに似てると放送されていたが、裏で全てが決まってしまった銀行買収劇に比べると、ほとんどのプレイヤーがメディアに出てくるという意味で、正直こっちの方が面白い。

 個人的には、昼飯のときに「ついでに楽天とソフトバンクも球団を四国とか長野に作れば良いのに」とか言って笑っていたが、もうこうなると何が何だか良くわからない。

 注目したいのは選択肢の変化だ。

 人間、一つの選択肢だと簡単に否定しやすいが、二つ選択肢があるとどちらかを選ばなければいけない錯覚に陥る。

 オーナー集団も、ライブドア一社なら黙殺できたかもしれないが、楽天が出てきたことにより選択肢が二つになってしまった。
 自然と「どちらを選ぶのか?」という議論が派生するはずだ。
  
 三木谷さんもライブドアにブロックをかけたつもりが、とんだアシストになってしまうのではないだろうか?
 とはいえ、オーナー集団も一筋縄では倒れないだろうが。

 ちなみに興味があるのは、果たして今回の騒動で、ライブドアの本業にどれだけの広告効果があったのだろうかという点だ。
 PRコンサルタントの高端さんも、以前ブログで「ともかく衆目を集めるには、トピックに関わる人(組織、企業)が大勢出てきて、それぞれがニュースになり、利害関係が輻そうし、まるでドタバタ活劇のような様相を呈するのが一番だ。」と書いていたが、まさにそのとおり。

 ライブドアがこれを見込んで近鉄買収に名乗りをあげていたとしたら、相当の策士だということになるが・・・
 

[通信業界]KDDI、IP固定電話サービスを提供 を読んで

KDDI、IP固定電話サービスを2005年2月より提供 – CNET Japanを読んで。

 事前にリークもあったので、新鮮味はないが正式に発表されたようだ。


 ソフトバンクの電撃的な固定電話参入発表が8月末だったのに、KDDIも今回2週間で正式発表というのはまぁ優等生というべきだろうか。
 それとも事前に準備がなされていたのだろうか。

 ただ、本質的にはKDDIはすでにFTTHでNTTとの契約が不要な通信サービスを提供しているので、実はこのサービス自体はやるかやらないかの世界だったはずだ。
 まぁ普通に考えればソフトバンクがカードを切ったので、あわててKDDIも切ったという風に見える。(実際のところは分からないが)

 さて、これで通信業界に何か起きるのだろうか?
 確かに、利用者からすれば若干の通信料金のコスト削減はできるだろう。 
 また、支払いに処理しなければいけない請求書の数も減らせるだろう。

 でも何だか気分が盛り上がらないのは何でだろう?
 
 
 そう、少なくともコンシューマーの世界で言えば固定電話なんてもうどうでもいいような気がしてしまうのだ。

 もうかれこれ家の電話は、電話をかける目的には3ヶ月は使っていない気がするし。
 着信もセールスの電話以外ほとんどない。

 そんな時代になったというのに、今回の値下げでどれだけの顧客が回線移行を検討するのだろう?

 はたして固定通信業界はまた数年前のマイライン獲得競争と同じ無駄な値下げによる顧客獲得競争を繰り返すのだろうか?
 たしかあの時に儲かったのはマイライン特需に沸いた広告代理店だけだったように記憶しているのだが・・・