[P2P]ハリウッドを救う三つの指針 を読んで

ハリウッドを救う三つの指針を読んで。

 渡辺さんが、映画コンテンツについて興味深い書き込みをしている。


 ハリウッドを中心とする映画業界は現在音楽業界と同じ罠にはまりつつある。
 ただ、それは音楽業界を教訓とすれば超えられるというのが趣旨だ。
 
 本文中で指摘されているポイントは3つある。
 1:DivXの標準化を推し進める
 2:全てを対象に
 3:ユーザー経験を大事に

 全く同感だ。

 実は、私は個人的に半年間ほど、ブロードバンドにおけるコンテンツ配信事業が心にひっかかって抜けなかった時期があった。
 もちろん、自分の会社がP2Pという大容量コンテンツの配布に適した技術を持っている会社だというのが最大の理由だが、実はもう一つ理由がある。

 それは音楽業界におけるiTunesの成功が、日本人として悔しくて仕方が無いという、なんとも時代錯誤な国粋主義な理由からだ。

 iTunesという音楽配信ビジネスの成功は、iPodという携帯端末とセットだったからだというのは最近よく言われる話だが、これを聞いて皆さんは何を連想されるだろうか?

 私はどうしてもSonyを連想してしまう。

 音楽+携帯端末=Sonyのはずだ。
 ウォークマンといえばSony、音楽レーベルも自前で持ち、音楽配信事業も早くから手がけてきた。それがなんでAppleに負けてしまったのか。
 その理由についてはここに書くと長くなるので今日は省くが、どうしても考えれば考えるほど悔しい。

 で、映画のような動画コンテンツはどうなるのか?

 シンプルに音楽と動画コンテンツの違いを言えばサイズしかない。 
(もちろんiPodのような魅力的な専用端末と、iTunesのような魅力的な品揃えが可能だったとしての話だが)

 1GBを平気で超えてしまうような動画コンテンツを利用者に必要なときに配信するには、どうしても高速なブロードバンド回線が必要だ。
 そうブロードバンド回線。

 IT産業の中でも日本が胸を張って米国に勝っていると言える分野だ。
 おまけに動画コンテンツを見る端末であるべきテレビも日本の十八番。
  
 そう考えると、動画コンテンツ配信こそ、音楽は先に行かれたけれども映画コンテンツ配信こそ、今度は日本の企業が先陣切って成功して欲しいと思ってしまうのだ。
 
 Sonyの皆さん、松下の皆さん、シャープの皆さん、日本の家電業界の皆さん。
 是非この渡辺さんの記事に奮起して、日本発の素晴らしい動画配信ビジネスを成功させてください。

 (ついこの前も、楽しみにしていたドラマの録画に、野球中継の延長が撮られていて、1リーグでも何でもなってしまえと怒りに震えていた男より)

[通信業界]NTTドコモ、法人向けのFOMA/無線LANデュアル端末を開発 を読んで

NTTドコモ、法人向けのFOMA/無線LANデュアル端末を開発を読んで。

 古い記事で申し訳ないが、今月は無線LAN端末に関して特長的な記事が二つ出ていたので改めて考えてみたい。


 一つは冒頭でリンクしているNTTドコモのFOMA/無線LANデュアル端末。
 もう一つはソフトバンクBBが開発している無線LAN/TD-CDMA端末

 文章を見る限り、両方とも携帯電話回線と無線LANのデュアル端末ということで同じだ。
 ただ、情報が少ない中でも、この端末が意味するものが異なるのは明白だろう。

 まずNTTドコモのデュアル端末は「法人向け」と明記されている。
 無線LAN機能は社外の公衆ホットスポットで利用するためのものではなく、あくまで社内での内線電話やイントラネットへのアクセス回線として利用される。
 記事にも書いてあるように、構内PHSの置き換えでしかない。
 
 もちろん、今後どのような展開を見せるかは分からないが、「おさいふケータイ」のフェリカ対応端末が複数機種販売されているのに比べると、NEC一機種だけだし宣伝にも力が入っていないのは明らかだ。

 それに対しソフトバンクの端末が、公衆での利用を目的にした個人向けのものであるのはほぼ間違いないだろう。(もちろん利用者が何の目的で購入するのかは微妙だが)
 現在申請中のTD-CDMA及び、マクドナルドやスターバックスなど大手チェーンを中心に展開するYahoo!BBモバイルのスポットで格安で携帯電話や高速モバイルアクセスが利用できるとしたら・・・・どれぐらいのインパクトがあるのだろうか?

 正直、現在の開発レベルがどの程度か分からないし、とても見せられるレベルのものではないとも想定できるが、NTTドコモのデュアル端末の一週間後に自分達のデュアル端末の情報をリークするあたり、やる気十分と感じてしまうのは私だけだろうか?

 いろんな人に話を聞く限り、TD-CDMAは期待はずれに終わるというのが大方の見方なのだが、ソフトバンクのお手並み拝見といきたい。

[Blog]Amazonアフィリエイトの5%は超有料書店? を読んで

Amazonアフィリエイトの5%は超有料書店? リアルとネット書店の収益構造の分析を読んで。

 Goodpicの金子さんが、非常に内容の濃い記事を書かれています。


 青山ブックセンターの営業中止は、様々な方面で物議をかもしていました。
リアルの世界に生きる人だけでなく、ネットのヘビーユーザーであろうブログをかかれている人たちも、多くの人が「残念だ」とブログでコメントをしています(例えばOutlogicのOkuizumiさんも書いているし、切込隊長のブログでも取り上げられている)。

 なぜこれだけファンがいるのに営業中止になってしまうのか、と正直ニュースが整理できずにいました。

 金子さんは、このニュースを冷静に初期投資リスクと利益率の観点から分析されています。
 正直、Amazonのアフィリエイトが3%~5%の収益というのを始めてみたときには、「販売代理店としてみると3%ってのは安いなぁ」というのが第一印象でした。
 一般的な代理店の世界と比較していたのが、間違いだったのでしょう。

 確かに、実際のビジネスで利益率3%~5%というのは悪くない数字です。しかも、人件費を排除すれば、ほとんどノーリスクで得られる。
 

 さらに日本でのリアルの書籍販売というビジネスは、
・多品種の在庫が必要
・値引きができない
 という他の物販ビジネスとは異なる、大きな特徴をもっています。
 
 そのため、小規模書店においては地の利以外の差別化は非常に難しく、利益のほとんどは回転率の良い雑誌だっとといわれています。
 それが、現在コンビニに持っていかれているのはよく言われる話です。

 逆に、青山ブックセンターのような品揃えを武器にした専門書ビジネスも、今度は回転の悪い在庫を大量に抱えるという意味で、在庫リスクの低いオンライン書店に押されているということなのでしょうか。

 金子さんの最後の締めくくりが印象的です。

AmazonのXML Webサービスとアフィリエイト制度の普及によって、WEB上に無数の個人書店が登場し始めたように、リアル書店にも、在庫管理をサポートして、初期投資、運用コストが低くてオープンなシステムを提供するサービス・プロバイダー企業の登場が不可欠なのかもしれません。
そのようなオープンなインフラがあれば、カフェやセレクト・ショップの1コーナーで、数は少ないながらもマニアックな書籍が購入できたり、新しいタイプの書店が生まれてくる可能性もあるのではないでしょうか。

 確かに、オンライン書店では、見つけた瞬間に即購入というニーズは永遠に満たされないはずです。
 意外にコロンブスの卵なリアル書店ビジネスというのが・・・あるでしょうか?

[P2P]P2Pソフト「Skype」で新しいタイプの通信事業者を目指す を読んで

P2Pソフト「Skype」で新しいタイプの通信事業者を目指す──Skype CEO Niklas Zennstrom氏に聞く : IT Pro ニュースを読んで。 

 Skypeを開発した会社が、ファイル共有ソフトのKaZaAを開発した会社であることは良く知られている。


 てっきりKaZaAが好調なので、あまった資産でSkypeに手をつけたのかと思っていたが違ったらしい。

KaZaAと呼ぶファイル共有のP2Pソフトを開発したが著作権侵害行為で訴えられ,KaZaAに代わるビジネスを模索していた。もともとスウェーデンの電話会社に勤めていたことがあり音声通信に目をつけた。

とのことだ。

 もちろん、KaZaAは無料で配布しているのだから収益が上がりづらい仕組みなのは理解していたつもりだが、もう少し何とかなっているものだと思っていた。

 KaZaAでは、ファイルを検索すると無料のファイルだけでなく有料のものも表示される。その手数料で収益をあげているものだと思っていたのだが、結局不正ファイル交換目的の人はお金を払わないということだろうか。
 結局、まだファイル共有によって収益をあげるというモデルはどこも描けていないということだろう。

 
 それにしても、その結果Skypeのような良質のインターネット電話ソフトが生まれたのだから、通信業界にとっては皮肉な結果だ。
 Skypeのようなインターネット回線で高品質な音声を提供するソフトが出てくると、当然音声通話のインターネット回線料金への統合が進むことになる。
 要は音声通話の無料化だ。
 
 ただ、だからといってSkypeが収益をあげられるとは限らないのが難しいところ。
 Skype同士は無料で、Skype利用者が他の電話番号に電話する際の手数料で収益を上げるモデルを目指すようだが、Skypeが普及すればするほど収益が上がる余地が下がるという皮肉なモデルになっている。

 もちろんYahoo!BBと同じといえば同じだが、Yahoo!BBではADSLの基本料金が入っている点が根本的に違う。

 最終的にはボイスメールのような付加価値サービスがどれだけ魅力的なものにできるかにかかっているのだろう。
 何にしても日本のISPともパートナーシップを模索しているようだから、日本でもサービスが提供されるのだろう。
 今後どうなるのか楽しみだ。

[コラボ]ビジネス環境の分散化が社会を変える を読んで

CNET Japan Blog – 梅田望夫・英語で読むITトレンド:ビジネス環境の分散化が社会を変えるを読んで。

 議論のタイミングを逃してトラックバックを打つのが、すっかり私のスタイルになってしまったが。


 このビジネス環境の分散化は、個人的にも今の会社的にも非常に興味のあるテーマだ。
 
 手前味噌ながら、今私が手がけているソフトウェアは、このビジネス環境の分散化の支援をうたっている。
 会社や組織の壁を越えて、本当に必要な相手と情報共有をでき、会社でも家でも出先でも必要な情報を活用できる。
 個人やSOHOでも大企業並みに情報共有システムの恩恵を得られるようになるはずだ。
 もちろん、類似のソフトはGrooveを始め、サーバー型の仕組みでもできるものがいくつかでてきている。
 

 ただ、だからこそ、この梅田さんの見ている「ビジネスにおける人々の自由の増大」というトレンドが日本に来るのは、米国の数週遅れになるんじゃないだろうかと・・・悲観的にも見てしまう。

 やはり、日本は米国に比べ、ビジネスマンの自立度や自由度が圧倒的に低いと思うからだ。

 そもそも日本の大企業に所属しているビジネスマンは、どちらかというと自由や自立と対極にいる。
 例えば机にしても、個別のブース形式が多い米国に比べ、日本はチームで働くため、机は島になっている。隣の人がいないときにかかってきた電話は米国ではボイスメールに行くが、日本では隣の人が取る。極端な例でいえば、日本では成果をあげている人でも、朝の遅刻が多いとダメなやつとされたりする。

 もちろん、真にビジネス環境が分散して個人やSOHOが中心の社会が来れば、上記のような組織内の話は関係なくなる。
 しかし、ここにも大きな壁がある気がする。
 日本はやはり大企業名がモノをいうので、小さい組織に降りてしまうと小さい仕事しかできなかったりする。

 もちろん例外はあるのだが、どうも最近悲観的だ。
 ライブドアや楽天の規模までいった会社も、結局大企業からするとうさんくさい若者にしかすぎないようだし(まぁあれは特別か)、ソフトバンクの規模までいってもまだメディア的には大企業対ベンチャーの構図が崩れないというのもおかしな社会だと思ってしまう。

 米国なら成功した人は尊敬されるのが、日本だとねたまれたり非難されたりする。日本はそういう文化なんだと誰かに言われたのを思い出してしまった。

 いや、でもビジネス環境の分散化で私たちが「ビジネスにおける自由の増大」を獲得できれば、もっと面白くなるのは間違いない。
 それに向けて自分達ができることもあるはずだ。
 それはいったい何なんだろう・・・?

[通信業界]有線・無線ネットワークの架け橋に–NTT ComやBTなど6社が提携 を読んで

有線・無線ネットワークの架け橋に–NTT ComやBTなど6社が提携 – CNET Japanを読んで。 

 いよいよというべきか、ようやくというべきか。


 もうすぐ、有線と無線を意識せずに使える時代が来るのだろうか。
 もちろん水面下では既に様々な動きがあるから、このニュース一つが何かの分岐点になるわけではないが、固定通信事業者側の焦りが見える象徴的なニュースと感じてしまう。

 現在いわゆる「おしゃべり」という電話行為自体は、無線である携帯電話に確実に移行が進みつつある。
 固定通信事業者にとっての頼みの綱は、ADSLや光ファイバに代表されるブロードバンドのデータ通信だ。だが、実はそれも家庭内のミクロで見ると無線LANの使用率が急速にあがっている。家の電話がコードレス電話になっていた頃の流れと一緒だ。

 まぁ要は、人間はケーブルなんて言う面倒なものに縛られていたくということなんだろう。
 そうなるとワイヤレスブロードバンドのサービスが提供されるようになると、私たちは通信サービスにおいて部屋に固定回線を必要としなくなる可能性もある。

 もちろん、無線技術次第のところもあるからあくまで仮説の世界にしか過ぎないが、そうなったら規制に縛られているNTTコムのような固定通信事業者は大変だ。
 そういった危機意識はやはり強いのだろう。

 前にも書いたと思うが、PHSサービスはそもそも家のコードレス電話を外でそのまま使えるコンセプトのはずだった。それが政府の競争政策などのあおりを受けて、結局無線通信サービスになった。
 今回のこのFMC(Fixed-Mobile Convergence)はどうなるのだろう?

「NTTの幹部は、将来、複数の国で有線と無線を組み合わせたサービスを展開したいと述べている。」と書いてあるが、ひょっとして国内をあきらめて海外を先にやるという話なのだろうか?

 むむ、良く見るとNTTコムのサイトにまだリリースが掲載されて無い。
 どういうことだ???