最近、会社でも個人でもブログ漬けの活動をしていることもあり、「どうやれば多くの人に読んでもらえるブログを作れますか?」という質問をされることが多い。
まなめさんの304 Not Modifiedなどで、ブログ文章術にからんだ話が盛り上がっているのを見つけて良い機会なので、便乗して自分の意見もまとめて書いておきたいと思う。
個人的な結論から先に書いてしまうと、私は「多くの人に読んでもらうのを目的に」ブログを始めるべきじゃないと思っている。
もちろん、多くの人に読んでもらえる価値を否定するつもりは毛頭ないが、少なくとも、普通のビジネスパーソンが仕事の片手間にブログを書くのであれば、最初から大勢の人に読んでもらう前提でブログを始めるのは勧めない。
ブログというのは、実に多様な可能性を拓いてくれるツールだ。
ある人は単純に日記として使っているし、ある人はアフィリエイトで収入を得るのに使っているし、ある人はパーソナルブランディングのツールに使っている。
鬼嫁日記や生協の白石さんのように大いに注目されて書籍化やドラマ化がされたりするブログもあるし、眞鍋かをりのように大量のコメントやトラックバックがつく有名人ブログもあるし、ブログがきっかけでメディアに露出することになったり、執筆の依頼が来たりするブログもある。
ブログを書いたことの無い人は、どうしても普段そういったブログを読む側にいるので、ブログは読まれるものだと思いがちなのかもしれないが、実はほとんどのブログはそんなに大勢の人に読まれることはない。
そもそも、総務省の発表が正しければ日本には400万とか500万のブログが開設され、さらに日々開設され続けているわけで、その中で今既に有名になっているブログに追いつき追い抜くほどの有名ブログを素人が始めるというのは並大抵の話ではない。
ブログのようなCGMが既存のメディアの事業を脅かすという話が盛り上がったりしているので、人によっては素人のコンテンツが現在のプロのコンテンツを置き換えると勘違いしている人もいるみたいだが、あくまで素人にセミプロやプロになるための効率の良い道が拓けただけで、誰もがプロ並みの扱いを得られるわけではない。
個人的には、今後も主流を占めるテキストコンテンツはプロの手によるものが中心だろうと思う。
もちろん、上手くやれば、素人でもブログを使ってアフィリエイトやGoogle Adsenseで月に数万円稼いだり、その道の専門家としてメディアに注目されるようになる可能性は十分あるし、それに挑戦するのは良いと思う。
ただ、最初からそれをゴールにブログを始めるのは、相当大変なことだと覚悟して始めた方が良い。
なにしろ、誰もが同じ事をやれるわけで、競争は相当厳しい。
別に仕事を持っている人が、ブログを本業にしているような人や主婦層に太刀打ちするのはかなり大変なことだ。
じゃあ、ビジネスパーソンはブログを書くのが無意味かというと、もちろんそんなことを言いたいわけではなく、「人に読んでもらうために」ブログを書くのはやめた方が良いと言いたいだけだ。
要は、「自分のために」ブログを書けば良い。
これは、アルファブロガー本のインタビューの過程で、多くのブロガーの人たちの話を聞いていても感じたことだが、アルファブロガーに選ばれた人の多くが、ブログを自分のメモ帳であったり、自分の興味を引いたことを書き残しておくとか、面白い話だから皆にも知ってもらいたいというぐらいの感覚で書いている。
もちろん、今は多くの読者がいるから、多かれ少なかれ読者を意識して書いているとは思うし、自分のメディアと位置づけて日々ブログを書いている人もいると思うが、想像以上に肩の力が抜けている人が多いのが印象的だった。
梅田さんはブログを「知的生産のための道具」と呼んでいたが、そういう位置づけの人が多いんだと思う。
自分のための道具として、ブログを書くのであれば読者の目を意識して文章の書き方や言葉遣いを気にする必要はないし、ページビューが多いとか少ないとか、コメントやトラックバックがあるとか無いとかで一喜一憂する必要はない。
多分、書いているうちに自分なりのブログの価値というのが見つかると思うし、ひょっとしたら他のブログを書いている人との出会いやコミュニケーションが広がるかもしれないし、多くの読者に愛されるブログになるかもしれない。
でも、仮にそうならなくても、仮に全く誰にも自分のブログを読んでもらえなかったとしても、自分のためにブログを書いている限り、少なくとも自分の考えが整理できたり、文章を書く練習にはなるはずだし。
自分には向いていないと思えば、すっぱりブログを書くのはやめて、読者に戻ればいい。
まなめさんもブログで書いているように、難しいことを考えてやめるぐらいなら、とにかくやってみることが大事なんじゃないかと思う。
(※実際、私自身が過去に2回、ブログを初めて途中で挫折した経験があったり)
スカイプインは日本の通信業界にどういう影響を与えるのか
Going My Way: いよいよSkypeInサービスが正式に開始を読んで。
日本でも、ついにスカイプに電話番号を割り振ることができる「スカイプイン」が正式に開始されましたので、早速電話番号をとってみました。
日本では、規制の関係から、スカイプインが認可されるのはもう少し先になるかと思っていましたが、予想よりは早いスタートになりました。フュージョンコミュニケーションズさんやスカイプ日本事務所の人たちの苦労がうかがい知れるというものです。
実際サービスを契約してみて、普通の電話からスカイプインの番号に電話をかけると、PCのソフトウェアが反応するというのは、何度見ても不思議な光景ですが、個人的に更に印象的だったのは、番号を取得するまでのプロセスの簡単さ。
スカイプのウェブサイトにログインしてから、クレジットカードで支払い処理をするまでわずか5分程度。あっという間に050番号を取得することができてしまいます。
おまけに取得した番号に対して実際に電話をかけることができるようになるまでも、30分もかかりませんでした。
1時間も見ておけば、スカイプをダウンロードして登録、050番号を取得していわゆる「電話回線」を取得した状態になってしまうわけで、窓口で電話回線を申し込みして、工事日を調整するという通常の電話と比較すると恐ろしいほどの変化です。
さらに、電話番号を自分で選べるというのも日本では画期的でしょう。
ウェブサイト上で空いている番号(現状は050-5532の8900番台から9900番台が対象の模様)を自分で検索して取得することができ、自分の好きな番号を選ぶことができます。
住所申請も、本人確認も全く無しに電話番号が取得できるわけで、おまけにサービス料金は12ヶ月で30ユーロ(4300円ぐらい?)。
普通の電話に電話番号を追加するダイヤルインサービスが月額800円ぐらいだったと思いますから、それよりも安いわけで、実にインターネット的なサービス。
はたして電話サービスと言うのは何なのか、というのを改めて考えさせられるサービスです。
さて、注目すべきは、果たしてこのサービスが今後の日本の通信業界にどういうインパクトを与えるかという点です。
スカイプ同士での無料通話を第1ステージ、スカイプアウトでの一般電話への通話を第2ステージ、スカイプインでの一般電話からの着信を第3ステージとすると、今までの日本のスカイプは第2ステージに長いこととどまっていました。
今回のスカイプイン開始によって、ようやく日本人はスカイプの基本サービスがすべて使えるようになったわけで、比較的欧米に比べると低いと想像される日本におけるスカイプ普及率が、これをきっかけに上がってくるのかどうかがまず注目です。
当然、現状のスカイプインは既存の電話サービスをそのまま置き換えられる性質のものではありません。
取得できる電話番号はあくまで050番号ですから、PHSで070番号が恥ずかしいという話があったような番号のイメージの問題もあり、家や会社の電話を置き換えられるかというとしばらくは微妙なところもあります。
また現状は、PCとヘッドフォンやイヤフォンをメインとした電話環境というのも、使い勝手の面でまだまだ改善の余地があります。(このあたりはスカイプ内蔵端末なんかが増えてくると大きく変わってくると思いますが)
ただ、ネットを活用して個人で事業をされている人にとっては、十分に電話の代わりになる可能性もあります。
例えば、自宅を事務所にしていて、やっぱり仕事用にネットで公開できる電話番号が一つ欲しいという人。
そんな人はスカイプインを契約してしまえば、年5000円もかけずに電話回線の費用と、留守番電話機を買うお金、ついでに電話機のコストまで不要になってしまうわけです。
メールを中心に仕事をしている人にとっては、それほど高機能な電話システムは不要ですから、スカイプで十分という人は案外いるかもしれません。
さらに、スカイプインの開始をきっかけとして、最近ベータが公開されたMicrosoftのWindows Live Messengerや、ボイスメールをつけてくるという噂のあるGoogle Talkをはじめ、競合するソフトフォンも日本で類似のサービスを出してくることでしょう。
そうすると、ソフトフォンを巡る周辺サービスや関連機器が一気に充実してくる可能性もあります。
はたして1年後、2年後の「電話サービス」というのは、どういう競争軸で展開されているのか。
既存の通信事業者は、ソフトフォンの分野でも中心の役割を担うことができるのか、インフラ提供が中心の会社になっているのか。
ますます良く分からなくなってきた今日この頃です。
(丁度、P2PTodayの横田さんがHotwiredでスカイプの競合環境に関する詳しい記事を書かれていますので参考にしてください。)
※ちなみに、ブログのプロフィール欄に早速スカイプインの電話番号を掲載してみました。
どんな感じで050番号の電話がスカイプに転送されるのか、体験してみたい方は是非どうぞ。
(ボイスメールに自動的に転送されます)
ネット企業を守るべきか通信事業者を守るべきか
メディア・パブ: インターネットの危機説,中立性が崩壊するかもを読んで。
ブロードバンドによる急激なトラフィック増加で設備投資に追われる米国のテレコム事業者が、優先接続サービスの導入を画策しているという話があるようです。
最近、自分が話をする日本の通信事業者においても同じような悩みを良く聞くので、あまり他人事の話ではありません。
そもそも、インターネットの定額料金制というのは、ADSLの普及と共に今や当たり前の料金システムになりましたが、ISPサービスを提供する通信事業者からすると結構困った制度です。
なにしろ、足回りが昔のISDNの128kbpsから8Mbpsとか45Mbpsとか100Mbpsとかに激増しているにもかかわらず、いわゆるNiftyやBiglobeのようなISP事業者に利用者が支払っている料金というのはほとんど増えていません。
もちろんバックボーンの設備コストというのも下がってはいるものの、アクセス回線の速度増加を考えると設備投資をし続けざるをえず、いつまでたっても投資の回収期に入れないという話を良く聞きます。
おまけに、Winnyのようなバックボーンに大きな負荷をかけるファイル交換サービスが出てきてしまったり、最近はGyaoを筆頭に動画配信サービスが普及のきざしを見せるなど、状況は一向に落ち着く様子がありません。
じゃあアクセス回線を提供する事業者が儲かっているかというとそういう話でもなく、既存の通信事業者はブロードバンドの普及と合わせて出てきたIP電話サービスの影響も有り、通話料金市場が徐々に無料化への道を歩みつつあり、通話料金の利益を光ファイバ投資に回すという現状のモデルをいつまで継続できるか怪しくなってきているとか。
おまけに最近はスカイプやGoogle Talkのように、通信会社からすると自分たちのネットにただ乗りする形で収益基盤を脅かすサービスが出てきているわけで。
儲かっているネット企業に応分の負担を求めるという意味でも、自らの収益基盤を守るという意味でも、優先接続サービスのような仕組みを作りたくなるのは当然でしょう。
日本でも同様の議論が出てくるのは時間の問題のように思います。
(実際、メディア・パブの記事によるとGyaoのトラフィック増加によって、類似の動きが出てきている模様です)
インターネットはベストエフォートとはいえ、一応みんなで使う公衆道路のようなものですから、Winnyのような社会的に暴走族扱いしやすいものは非合法として道路封鎖するのも可能でしょうが、それが企業が利用している暴走トラックとなると話が難しいところです。本来なら高速道路を走ってもらいたいところですが、暴走トラック側も生活がかかってますから、排ガス規制よろしく公衆道路でもお金を取ろうとできるのかがポイントというところでしょうか。
もちろん、この手の話は通信業界全体が足並みを揃えて共同戦線を張らないとならないので、米国と日本の通信業界の競合環境の違いを考えると、日本で同じ動きが出てくるかというと何とも言えないところです。
おまけに、通信事業者自体が、動画配信のようなネット事業もやっているのがややこしいところでしょう。
ちなみに、個人的に気になるのは、日本のインターネットで儲けているのはどこの企業なのかという点。
米国の場合、通信業界とネット企業、どちらが有利な仕組みになろうが結局儲けている会社は米国本社の企業ですから、最終的には米国のためになりそうな気がしますが。
日本の場合、ネット企業に有利な仕組みに落ち着いた場合、はたして誰が得をするのかというのを考えると、悩ましい感じがします。
例えばソフトフォン的なサービスのプレイヤーを考えると、スカイプを筆頭にMicrosoft、Googleとほとんど米国企業ですで、唯一ヤフーが日本企業的な企業(?)というぐらい。
動画配信はGyaoやソフトバンクなど日本企業の健闘も注目されていますが、ここもApple、Googleあたりが中心になる可能性があります。
そういう意味で考えると、ネット企業有利な仕組みだと最終的に日本に落ちるお金が少なくなるかもしれないわけで、かといって通信事業者有利な仕組みにするとネット企業は海外に比べて不利になってしまう可能性があり、日本にとってどちらが良いのかというのは難しいところです。
(まぁ、今の時代にこういう話を国単位で考えるべきかどうかという話もありますが)
以前、御手洗さんが書いていた「競争のフェーズは完全にシフトした」という話を改めて考えさせられるところです。
ネットの進化の速度は速い方が良いか、遅い方が良いか
Tech Mom from Silicon Valley – Web2.0と対立する2つの世界(その1) Web2.0の世界は広がりうるのか?を読んで。
先日の梅田さんの出版記念イベント以来、「進化の速度」というキーワードが、ずっと引っ掛かっているのですが、関連して興味深い連載が海部さんのブログで綴られていました。
梅田さんのイベントで印象に残っているのが、メディア産業の進化の速度が遅いだろうという予測の例として上げていた音楽産業との比較。
「レコードからCDへの推移が比較的短期間にスムーズに進んだのは、音楽産業に携わっていたミュージシャン、レコード会社など、全員にインセンティブがあったから」で、「今のメディア産業の中心がお金が儲からないネットに移ることは、メディア産業関係者は誰も望んでいない」という指摘は、個人的にも非常に良く分かります。
冒頭で紹介した、海部さんのブログでもパート2の「Web2.0と対立する2つの世界(2)なぜネット企業がいつまでたっても異端視されるのか?」でも、ネット企業がてひどい扱いを受けやすいのは雇用への波及効果が低いために味方が少ないという分かりやすい指摘がされており、考えさせられる部分です。
これまでは、新物好きな自分としても、進化の速度は何でも速い方が良いと思っていた節があるのですが、実は、昨年ぐらいからちょっと違うことを感じていました。
ネット周りの出来事について改めて考えてみると、ブログを中心としたCGM的な話にしても、スカイプやGoogle Talkによる電話サービスの話にしても、Web2.0周りのソフトウェアのサービス化の話にしても、P2Pファイル交換ソフトによる音楽ファイル共有的な話にしても、たいがいのネット上のサービスというのは既存産業と類似のサービスを、格安とか無料とかで提供してしまうような代物なので、既存産業の視点で見ると良いことなんてほとんど無いわけで。
仮に技術的には可能な話であっても、既存企業がこれ以上自ら進化の速度を速めようとしようとするとは思えないのが正直なところです。
もし、進化の速度が非常に早ければ、単純には多くの人が雇用を失うことになってしまいますから。
実際、自らもソフトウェア産業の片隅に身をおいているわけですが、この産業がこれからネットの無料サービスの洗礼を本格的に受けることになることを考えると、メディア産業や音楽産業が抱えている問題と本質は変わらないわけで、R30さんが書いているような右脳的、感情的な側面が少ない分、むしろ悪い可能性がある気もしたり。
そう考えると、進化の速度はちょっと遅い方が良いなぁと思ってしまう自分がいたりします。
もちろん、現在の既存産業のトップであったり、あと5年10年で引退する人たちは、この進化の大波が来るのを見ない振りをしてやり過ごせる可能性は十分あるでしょう。
そういう意味では進化の速度は遅いに限るという話かもしれません。
ただ、残念ながら、私たちの世代はほぼ間違いなく逃げ切れないのが難しいところ。
今後、遅かれ早かれ変化の波はやってくるわけですから、この変化が何なのかウェブの進化が何をひきおこすのかを真剣に見極めるしかないわけです。
そう思って、再度既存産業を見つめなおすと、改めて気になるのが既存産業の市場規模の意味。
これまでの産業は、流通なり設備なりに膨大なコストが発生したために、そこがボトルネックとなってある程度の組織化が必要になり、それが結果的に巨大企業を生み巨大企業に大きな売上高や利益をもたらしていたわけです。
それがインターネットやチープ革命によって、同様のことが超低コストで実現できるようになった今、果たして現在の市場規模というのはどれほどの意味を持つのでしょうか。
音楽がCDという物理媒体でしか入手できなかった時代は、CDは流通コストを考えれば1枚3000円というのはある意味妥当だったでしょう。
それが1曲100円でiTunesMusicStoreで入手できる時代になったら、音楽産業のサイズはどうなるのでしょうか。私たちはこれまでのCDにかけていたのと同じだけのお金を払い、より多くの音楽を入手するようになるのでしょうか?
日々のニュースが新聞という紙媒体経由でしか入手できなかった時代は、新聞の流通コストを考えれば月3000円という価格はある意味妥当。
それがネット経由で無料で入手できる時代になったら、ニュース産業のサイズはどうなるのでしょうか?
ソフトウェアがパッケージ経由でしか入手できなかった時代は、一つのソフトウェアが9800円しようが妥当。
それがネット経由で無料で入手できる時代になったら、ソフトウェア産業のサイズはどうなるのでしょうか?
そもそも、今の産業規模なんてたいした意味はないんじゃないか?
デジタル化できるすべての産業に関して、同じような疑問が頭をもたげます。
当然、消費者側の視点で見れば、同じようなものの価格がどんどん下がっていくわけで喜ばしい話。
ただ、供給者側、しかもその産業に雇用されている人間の視点から考えると、単純にその産業における総雇用人員が減る可能性があるわけで、正直恐ろしくなる所もあります。
梅田さんも、イベントで「Googleの次は企業ではなくただのソフトウェアかもしれない」という話をしていましたが、案外笑い話ではないかもしれないと思ったりします。
プログラムの利用者がお互いにお互いに便利になるツールを作成して、お互いに無料で公開して便利になるのであれば、それはそれで便利な世界かもしれないわけで。
梅田さんが言うところのオープンソースやP2P、渡辺さんがいうところのリードユーザーイノベーションの集合みたいなものが、最終的にネットの中心になっている未来も考えられなくはありません。
もちろん、今の資本主義の常識や価値観からしたら相当ありえない世界ですが。
そんなことを考えると、進化の速度が速い方が良いのか遅い方が良いのか自分でも良く分からなくなってきます。
ただ、イベントの2次会で山口さんとそんな話をしていたら、山口さんはまじめな顔で年収300万時代の可能性を指摘して、「でも、どっちが幸せかは分かりませんよね」と一言。
そう、改めて考えれば確かにそうです。
別に給料が少なくなっても、無料に近いコストで必要なものがほとんど手に入る世の中であれば、それはそれで幸せなわけで。
産業規模が大きいほうが良いとか、会社の従業員数が多いほうが良いとか、そんなもの一つの価値観でしかないんですよね。
結局、自分がやたらと未来とか変化の速度が心配で仕方がないのは、自分の中で自分の価値観がしっかりできていないからではないか、そんな風に痛感した言葉でした。
相変わらず、考えがまとまらない日々ですが。
海部さんが連載の最後で書いているように、時代の先端は常に変化を続けていくわけで、それと自分個人の立ち位置はまた別問題。
時代の進化の速度が速いとか遅いとかを心配するよりも、ウェブの進化と共に変化を続ける二つの価値観の世界の間で、自分の価値観やポジションをどうするのか、それを自分でしっかりと考え続けないといけないということなのでしょうか。
RSSマーケティングガイド 動き始めたWeb2.0ビジネス
RSSに関連して広告やモバイルからWeb2.0まで多面的にカバーしているお得な本です。
各章を分野別の専門企業の方が書かれているので、一冊でRSSについて知りたいという人にはとても良い本だと思います。
個人的に興味深かったのはブログトラフィックのバリューチェーン。
RSS購読者を増やすことが結果的に、それ以上のトラフィックを呼び込む余地を生むというのが改めて系統だって理解することができ興味深いです。
これまでのウェブサイトに比べて、ブログの口コミ効果がより大きいような印象を受けるのは、やはりこのRSSの仕組みが外せないと改めて感じます。
RSSというキーワードが、何となく分かっているようで良く分からないという方にお勧めの本です。
ドリコムが初値をつけ、ライブドアが起訴された日
ドリコムが3営業日目に初値347万円–公開価格比5倍の高値引け – CNET Japanを読んで。
先週末に上場したドリコムですが、ようやく初値がつきましたね。
引け値はなんと公開価格の5倍の397万円というから凄いです。
CNETで超眼さんが「新興市場の回復を背負うドリコムのIPO」という記事を書かれていましたが、想像以上の人気ぶりというところでしょうか。
それにしても、個人的には、ドリコムが初値をつけたのが、ライブドアが起訴された日というのが、いかにも象徴的な印象を受けてしまいます
先日テレビの何かのニュースで、ソフトバンクに代表される第一世代、楽天やライブドアに代表される第二世代に続いて、ドリコムやmixiのような若手企業のことを第三世代のIT企業と呼んでいたように記憶していますが、たしかにそう言われるとそうかもしれません。
実際、歴史を振り返ってみると、不思議なほど共通するサイクルを感じてしまいます。
まず、第一世代のIT企業であるソフトバンクが1994年に、光通信が1996年に上場。
彼ら第一世代のIT企業が1999年のネットバブルの立役者となります。
その後、2000年3月の光通信の寝かせ疑惑発覚がきっかけとなり、ネットバブルが崩壊。その後、一気にネット企業への風当たりが強くなりますが、そんな中2000年3月から4月にかけて次々に上場していたのがサイバーエージェント(2000年3月24日上場)、ライブドア(2000年4月6日上場)、楽天(2000年4月19日上場)という第二世代のIT企業でした。
そんな第二世代のネット企業が2005年、球団買収をはじめ様々な話題を振りまいたわけですが。
今年、そのライブドアが様々な疑惑をかけられ失速し、ネット企業への風当たりが強くなる中、ドリコムのような新しい世代の企業が上場を果たし、上場間近と噂されるmixiのような新しいサービスが脚光をあびているわけで。
なんだか、こうやって並べてみると、5年サイクルで業界が新陳代謝を繰り返しているような印象を受けます。
「歴史は繰り返す」 とは良く言ったものです。
5年後には、今年ネットで注目を浴びた企業がマスコミを騒がしているのでしょうか。
そう考えると、あいかわらずテレビや新聞では、ライブドアの過去を掘り返すニュースが溢れている今日この頃ですが。
個人的には、今から5年後に、いったいどの企業が時代の中心にいるのだろうかという、未来のことを真剣に考えたい今日この頃です。
(もちろん、5年後に光通信騒動やライブドアショックの二の舞は勘弁ですが)