あたらしい書斎(いしたにまさき)は、自分は書斎なんて持つのは無理、と思う人こそ読んだ方が良い気がします。

4844332783 「あたらしい書斎」は、「ツイッター 140文字が世界を変える」や「クチコミの技術」等の著書で有名な、いしたにまさきさんが書かれた書籍です。
 献本を頂いたので、書評抜き読書メモを公開させて頂きます。
 この本は、タイトルに「書斎」の文字が躍っているため、いわゆる大きな家に住んでいるお金持ちな人向けの書斎作りの本に見えてしまうかもしれませんが、副題に「忙しい人のための”自分空間”の作り方」と書かれているように、実はインターネット時代ならではの新しいワークスタイルや仕事術を考察している本です。
 そもそも書斎と聞いた瞬間にお金持ちを想像してしまう私が古い世代の人間なのかもしれませんが、この本にも一畳敷という1畳で書斎を作るケースが出てくるように、あくまで書斎とは「本を読んで学んだり、書き物をしたりするための場所」で、PCの普及により自宅でも勉強や仕事がしやすくなっている今だからこそ、自宅においてどのように自分の場所を作るかというのは、実は多くのビジネスマンにとって非常に重要なテーマだと思います。
 私自身は、リビングのテーブルや、食卓で土日は仕事をすることが多いのですが、そういうときにスイッチを入れられるように心構えや空間作りをするのは非常に大事だな、と改めてこの本を読んで思いました。
 特にブログを自宅で書いている人は書斎的空間は必須ですよね。
 書斎を持っている人はもちろんですが、「書斎」と聞いた瞬間に、自分はそんな部屋持てませんよ・・・と反応してしまう人こそ、参考になる点がある本だと思います。
 ブログを自宅で書くことが多い人は、「ストレスフリーの整理術」や、「必ず結果が出るブログ運営テクニック100」などもあわせて読むのがお勧めです。
【読書メモ】
■「書斎」とは「本を読んで学んだり、書き物をしたりするための部屋」
■時間が細切れになることの本当の大きな問題は、こうした時間が考える時間が失われ、考える力が伸ばせないことです。
■一畳敷
 1畳という限られたスペースでも書斎としての機能を持った空間を作ることは可能。
■集中して学びや施策をするために、まず「こもる」ための空間と、その中で集中の「スイッチを入れる」ための仕掛けが必要で、これが書斎の基本的な機能


■「海外の本は大きくて重く、日本人の感覚からすると、信じられないほどです。海外にも文庫本や新書があれば、電子書籍にする必要がありませんよ。」(中牟田氏)
■本の分類
・現在:今読んでいる本、これから読む本は机の周りに
・処分:処分する本はダンボール箱に
・仮置:あとで読み返す本。「保存」に回る候補として本棚に
・保存:ずっと保存しておく重要な本も、もちろん本棚に
■編集者の松岡正剛さんの書籍整理術
 著者別でもわかりやすいジャンル別でもなく、自分の感覚では近いジャンルだと思っている本を、数冊から10冊ぐらいのグループにして並べていく
■コグレさんは持ち運びしやすいMacBook Airを使っていますが、ふだんは仕事場に置きっぱなしで、自宅にはiPadしか持ち込まず、自宅でブログを書くこともありません。つまり、仕事場そのものも大きなスイッチになっている
■書類を手に入れてからスキャンするまでの2段階のチェックポイント
・書類を手にしたとき
 必要な書類、保存しておくことにした書類は机の上のレターと例の「仮置」棚に入れて、他は捨てます。このとき、適当な引き出しなどの、書類が見えなくなってしまう場所に入れるのはダメです。
・「仮置」棚の書類を週に1回程度の周期で見直します。
 このときの選別の基準は、あとで見返したいかどうかに加えて、デジタルでも情報が手に入るかどうかです。
 ・これから使う予定がある書類
 ・使い終わって保存する書類
 ・捨てる書類
■「書斎を開く」ことの具体的な形
・クラウドのサービスが持つ共有機能を利用して、自分が保管している情報を共有する
・対話のためのサービスを利用して、フロー情報をやりとりする
・ブログでストック情報を不特定多数に公開し続け、記事を積み上げていく
■もちろん、思いつきを書いても何も起きないことの方が多いものです。
 それでも、何も書かなければ、何かが起こる確率は0%のままなのです。
■外にある書斎
・書斎と同じく、こもって集中できる空間
・クラウドに接続し、安定し使える環境
・他の人と出会い、対話ができる仕掛け
■小飼さんのお宅のすべての本棚を合わせると新書が2万5千冊入るということですが、2.5テラバイトあれば収まるわけです。小飼さんは今となっては、紙の本は自分が生きているあいだに前世紀の遺物になるだろう、とすら考えています。
■司馬遼太郎のL字の机
 L字の机を愛した昭和の偉大な作家が編集者に宛てた手紙の量は、生涯で生み出した作品の量を上回るのだそうです。
 また、作品の評価が定まって以降の司馬遼太郎は対談・対話を好み、旅にも数多く出かけています。
■司馬遼太郎の作品とは「コミュニケーション」というフロー情報と、「蓄えた知識」というストック情報の結晶なのです。
■本は時間を超え、書斎は時間をつなぎ止めます。
 どうか皆さん、いつも心に自分の書斎を。

4844332783 あたらしい書斎
いしたにまさき
インプレスジャパン 2012-09-21

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