オーバーチュア、「All About」にコンテンツ連動型広告を表示開始 – CNET Japanを読んで。
All Aboutのコンテンツマッチ広告が、GoogleからOvertureに切り替えを行ったようです。
広告出稿先の陣取り合戦という意味では、以前にもAmazonの検索広告をOvertureが取ったりという話もあったりしますから、その手のニュースは別に新しくも無いのですが。
何と言ってもAll Aboutは、Impress Watchと並んでGoogle Adsenseが2003年12月に日本にテスト導入を行った際に提携した最初のパートナーサイト。
象徴的な存在という意味では、Overtureとしても一本取ったというところでしょうか。
まぁ、そうはいってもAll AboutはそもそもYahooグループですから、YahooグループのOvertureが取って当たり前。
今後の焦点は、果たして今回のOvertureのAll Aboutへのコンテンツマッチ広告提供が、Google Adsenseの時と同様、個人向けコンテンツマッチ広告サービス提供につながるかどうかという点でしょう。
日本では個人向けコンテンツマッチ広告サービスが無いために、どうしてもOvertureは影が薄くなってしまいがちですが、メディア・パブの記事なんかを見る限りでは、既にYPNという名称でサービスが開始されている米国ではYahooはGoogle Adsebseに対して互角の熾烈な戦いを繰り広げているようです。
(メディア・パブで紹介されていたGoogle AdsenseとYPNの比較記事はこちら)
特に最近徐々に問題が表面化しているのが、国内のGoogle Adsense独占による弊害。
昨年末に、404 Blog Not Foundの「AdSense破棄キター」とか、たつをの ChangeLogの「アドセンス狩りの被害が減らないわけ」という記事なんかで話題を呼びましたが、どうやら現在のGoogle Adsenseは不正行為があるとそれでアカウントが破棄され、理由も教えてもらえないまま復旧不可能になるようです。
十分お金持ちのDanさんは別としても、最近は、Google Adsenseの収入を頼りにしている人も増えていますから、そういう人にとっては結構、死活問題ですよね。
話を聞いている限りはまるでクレジットカードの審査のようですが、たつをさんが書いているように代替サービスが無いというのが問題に拍車をかけているようです。
なんでも先日、通販系サイトの方に聞いた話だと、その方は毎日Adsenseのアカウントをチェックして、怪しいクリックがあったら自らGoogleに自己申告することで、難を逃れているそうです。
まぁ、言わずにいて破棄されたら復帰不可能になるんですから、現状はそうするしかないということでしょうか。
もちろん、国内にもRSS広告やBlog Clickなど、類似のコンテンツマッチ広告はあるものの、広告の絶対数が少なかったり個人で申し込めなかったりするようですから、やはり個人ブログ側としてはOvertureにも早く参入してもらって健全な競争が始まってほしいと思ってしまいますね。
まぁ、Yahooグループ内のビジネス的なバッティングとかもあるでしょうから、まだ時間はかかるかもしれませんし、始まったら始まったで今度はマッチングの精度とか実収入比較とかややこしい話は増えてくるのかもしれませんから、何も考えずにGoogle Adsenseを貼ってる方が楽かもしれませんが・・・
カテゴリー: ネットコミュニケーションの視点
アテンション・エコノミーというキーワードで見る2006年。
CNETで「オピニオンリーダーによる2006年展望」という企画が組まれてます。
どの記事も興味深いのですが、個人的に注目したのはインフォテリアの江島さんの「 アテンション・エコノミーの本格化 」という記事。
アテンションエコノミーという言葉は、昨年の中ごろにアットマーク・アイティの樋口さんのブログ経由で知ってからずっと気になっている言葉です。
(この記事については、昨年末にPDFファイルバージョンが公開されています。必見です。)
言葉の定義や詳細は江島さんや樋口さんの記事を見ていただければと思いますが、ポイントは、情報の発信はインターネット経由で低コストで無限に近くできるようになったのだけど、受信側のアテンションは結局有限なので、このアテンションをいかに獲得するかに価値が移ってきているという点でしょう。
ぱっと読むと、当たり前のように見えるかもしれませんが、実はこれまでの経済というのは情報の発信側に重きがあった経済。
情報は貴重で、入手するのは大抵有料。
他の人が知らないことを知ったり考えついたりした場合、大抵の人はじっと黙ってその知識を知っていることを価値としようとしていたはずです。
それがインターネットによって、多くの情報が無料に近いコストで入手できるようになり、知っていることを隠すことに意味がなくなりつつあります。
もちろん真にネットに出てこない情報という分野はまだまだあるのですが。
ちょっとしたビジネスモデルや新サービスは考え付いたことを黙っていたところで、どこかで誰かが思いついてブログなりなんなりに書いてしまうので、自然とその情報自体は価値を急速に失っていきます。
この経済圏でアテンションを誘導できるGoogleが力を持っているのは多くの人が書いているところですし、APIやフィードでデータをオープンにすることにより、周辺の顧客や開発者のアテンションを巻き込んでいくというスタイルが増えてくるのも、この流れと合致するように思います。
今後は、del.icio.usやはてなブックマーク、diggのようにインターネット上の情報を集合知の形で抽出することでアテンションを集めるサービスというのがますます注目されていくことでしょう。
ちなみに、ここで、個人的に気になってくるのが、この流れが果たしてクローズな情報にどういった形で反映されてくるのか。
情報技術におけるイノベーションの歴史は、常に個人にパワーを与える技術がブレイクスルーとなって始まり、次第に小規模グループ、そしてエンタープライズで使えるものへと発展していく道のりを繰り返してきた。あらゆる技術はオープンに始まり、クローズへと向かう。ブログの次にソーシャルネットワークや Wikiが流行したのは単なる偶然ではない
上記のように江島さんも書いていますが、個人的にも今後重要なのはある程度情報をクローズにできる技術だと考えています。
(まぁ、オープンなインターネットはGoogle、Microsoft、Yahooの3強の陣取り合戦の様相を呈しているから、もうあんまり面白くないというのもあるんですが。)
アテンション・エコノミーにおいてアテンションを得るのが重要だというのは理解できるものの、ではインターネット上にオープンできない情報は、どのように共有すべき相手と、共有していくべきなのか。
個人におけるクローズ情報は、当面mixiのような利用者が多いサービスの独壇場となるのか、それとも状況別に複数のサービスを使い分けるようになるのか。
企業内や組織内においても、現在のインターネットと同様のアテンション・エコノミー的な文化を作るべきなのか。
それともそういうクローズな情報については相変わらず情報量が少ないから、これまでの情報を知っている人が有利という状況は基本的に変わらないのか。
なんだか頭が混乱して仕方が無い今日この頃ですが、今年はこの「アテンション・エコノミー」というキーワードで、もう一度いろいろと考えてみたいと思っています。
日本市場だけは、ロングテールもヘッドコンテンツもヤフーのものに?
Web 2.0とYahoo!検索APIの関係~井上俊一・検索企画室長が語るを読んで。
今月頭に日本語が公開されたYahoo!検索のAPIですが、なんでも1週間でIDの登録数が1000を超えたとかで、順調に登録数を増やしているようです。
ディベロッパーコミュニティを取り込んで、自社だけでは難しい様々なアプリケーションが生み出される土壌を作るという手法は、米国においてはGoogleの印象が圧倒的に強いですが、日本においてはやはりヤフーの影響力の大きさを感じます。
もちろん、それはAPIに関するドキュメントを日本語で公開したり、ヤフーの人たちが検索会議のようなイベントを通じて開発者のコミュニティと直接交流する機会を持ったりという努力の成果と言っていいでしょう。
早速、便利なサービスが数々生み出されていて、利用者としては心強い限りです。
ちなみに記事を読んでいて個人的に非常に気になったのは井上さんの下記の発言。
「大きなCPからヘッドコンテンツをバーンと買ってドーンと見せる会社だから、テールという発想が今まではなかった」と井上氏。ただし、ロングテールな検索の世界ではヘッドばかりというわけにもいかない。小さなコンテンツであっても必要なコンテンツにヒットするのが検索エンジンの理想だ。「ユーザーが作成したテールコンテンツに主流が移っていく。これは自然な流れだ。テールコンテンツにリンクをどんどん張ったり、見せてあげるようにしたい」
ヤフーのようないわゆるポータルサイトが対称にしていたヘッドコンテンツに対し、Googleがロングテールをベースに自社の市場を拡大したというのが、ネット事業においては良く比較論で出ます。
確かに米国においては、Googleが大きく先行にしたことによりロングテールはGoogleの独壇場の感は強くあるのも事実です。
ただ、日本市場においてはまだ実はそういった差はついていません。
ヤフーがヘッドコンテンツにおける圧倒的な存在感も基に、ロングテール市場もまとめて押さえてしまうということは、十分ありえるシナリオのような気もしてきます。
(現在のところはAPIの利用条件など、課題もいろいろあるようですが)
現在のところは、日本におけるコンテンツマッチ広告は、Google Adsenseの独壇場ではありますが、先日VectorにOvertureのコンテンツマッチ広告らしきものが出ているのも見ましたから、この分野の競争も時間の問題のような気もします。
なんだか相変わらず上手く考えがまとまりませんが。
ロングテールとヘッドコンテンツ。
この二つの手法の間にあるビジネス的な葛藤のようなものを、もしヤフーが上手く乗り越えることができると、日本市場だけはヤフーの寡占状態がまだ当分続きそうな感じもするのは、私だけでしょうか・・・
mixiは平日、たまごっちは休日に検索されているという事実
【忘年会議2005 Sponsored by Yahoo!検索】Yahoo! JAPANの検索データから浮かび上がるトレンドとヒットの法則を読んで。
一週間以上前の話になりますが、17日の土曜日に忘年会議に参加してきました。
ちなみに、毎年恒例の「究極 Web サイト BEST5」はこんな感じ。
第5位 アキバ Blog
第4位 コトノハ
第3位 sidefeed
第2位 最速インターフェース研究会
第1位 はてなブックマーク
今回は発掘が目的ということですから、知らないサービスも多いかもしれませんが、はてなブックマークの1位については、ほとんどの人が文句ないところでしょう。
昨年受賞したmixiは、今年大ブレイクしましたから、来年のはてなが注目されるところです。
(ちなみに、無敵会議のサイトで、優勝記念品贈呈とあわせてはてなブックマーク誕生の裏話が掲載されてます。)
その他の当日の詳細については、たつをさんを中心に参加された皆さんが書いてるレポートを見ていただければと思いますが。
個人的に、非常に印象に残ったのはYahooの関さんのプレゼン。
何でも、Yahooの検索データを解析するといろんなことが見えて来るそうで、よく検索されている有名人ブログや、話題と検索の関係性などを細かく紹介してくれました。
詳細は記事にも書いてありますが、個人的に、特に興味深かったのは、「たまごっち」の検索行動について。
なんでもmixiの検索は、平日に多く休日に少ないという特徴が見られて、逆に「たまごっち」では平日よりも休日が多いそうです。
てっきり、インターネット検索なんてmixiに限らず何でも平日の方が多いもんだと思っていたのですが、そういうわけじゃないんですね。
休日の方が検索行動が多くなるキーワードがあるというだけでもなかなか興味深いものがありました。
これまでは、テレビ番組の反応だとか、CMの効果とか人間の行動の把握みたいなものは何となくリサーチに頼るしかありませんでしたが、インターネットによっていろいろと可視化する余地が出てきている感じもします。
考えてみたら、ヤフーの人たちはこういった検索データを、あんなことやこんなことにも使えるわけですよね。
うらやましすぎます。
まぁ、そうは言っても半端じゃないデータ量でしょうから、素人が解析しても何も役にはたたないんでしょうけど・・・
音楽配信mF247は、ぼったくらないのが本質らしい
音楽配信サービスのmF247が、「儲かる仕組み」を外す理由 – nikkeibp.jp – インタビューを読んで。
8月に「コピー自由の無料音楽配信サービス」と発表されて話題を呼んだ「music forecast 247(mF247)」が、20日にいよいよサービスを開始しましたね。
個人的には、mF247は無料音楽配信ということだけでなく、ソニー・ミュージックエンタテインメントの元代表取締役社長だった、丸山茂雄氏が仕掛けているという点に注目していました。
それが先日、ランチで遭遇したという不思議なきっかけで、冒頭の日経BPの山中さんが社長の丸山さんにインタビューする場に、同席することができました。
ちょっと舞い上がっていたこともあり、インタビューの邪魔をして失礼な質問に走ってしまったのですが、個人的にmF247に対してひっかかっていたのがビジネスモデル。
音楽は無料で配信、売れたときのレベニューシェアもせず、収入として上がるのはアーティストが音楽を登録する際に発生する1万円だけ。
なんだかアーティストからお金を取るモデルって言うのは、どうなんだろうと思ってしまっていたのが事実です。
それが、どうも話を聞いていて、自分が完全に勘違いをしていたことに気がつきました。
mF247の現在のモデルは、「どんどん儲かりそうな仕組みを外した」ためにできた仕組みだったんですね。
最低限の「コストが発生する部分」については、お金をもらうけど、それ以外については基本的に無料という仕組み。
上前をはねる仕組みも、審査料を取る仕組みも、とにかくぼったくる仕組みは排除。
そう言われて改めてmF247の仕組みを見てみると、その姿勢は実にインターネット的。
詳細はインタビューを読んでもらえれば伝わってくると思いますが。
音楽が好きで好きで、儲からなくてもいいから皆に聞いてほしくて仕方が無いアーティストと、音楽が好きで好きで新しい音楽を探し続けている視聴者のために、音楽が好きで好きで仕方が無い人が作ったメディアというところでしょうか。
個人的には、テキストコンテンツにおいてブログが実現したことと同じような、アマチュアがインターネットを通じてセミプロとして認定されるという新しいステップアップの流れが、音楽においてもこれから出てくる可能性が十分あると思っています。
ただ、音楽産業の構造は私の想像をはるかに超えて、レコード会社中心に作られていて、相当難しいらしいという現実があったのも事実。
現に、これまでレコミュニやYAMAHAのプレイヤーズ王国など、類似のコンセプトを持ったサービスからは、意外にヒットが生まれていないという現実があります。
でも、レコード会社側の立場で長年音楽産業を見つめてきた丸山さんが、180度立場を変えて、インターネット的な取り組みを始めているという点には、大きな変化への期待を持ってしまいますね。
今後のmF247の展開に注目です。
ラーメンとヤフーとブログで真骨頂?
Yahoo! JAPAN – ラーメン特集2005 – 誕生! 「濃厚豚骨醤油ラーメン 真骨頂」を読んで。
先日、ヤフーの企画から誕生したラーメン「真骨頂」をブロガーで集まって食べるという不思議な集まりに呼んでもらいました。
なんでもこのラーメン「真骨頂」、タレやスープ、名前などを
ヤフーのサイト上で投票を行って決定し、ラーメン花月の実際のメニューを作ってしまっおうという視聴者参加型の企画から生まれたそうで。
その投票総数たるや、のべ138万票。
さすがヤフーというべきか、さすがラーメンというべきか。
実にスゴイ数字です。
視聴者投票で選ばれたユニットという意味では、ラーメン界のモーニング娘とでも、言ったところでしょうか。(ちがうかな)
当日の様子は、すでに参加した皆さんのブログにアップされていますので、そちらをご覧いただければと思いますが。
・ネタフル Yahoo! から生まれたラーメン「真骨頂」を試食したよ
・モテゼミ Yahoo!とラーメン花月の「真骨頂」
・webdog ラーメン花月の濃厚豚骨醤油ラーメン 真骨頂
・Modern Syntax Yahoo! JAPAN-ラーメン特集2005
・日本全国・見たいもんはみたいぞの会 荻窪の花月でラーメン食ってます。
・Milano::Monolog 真骨頂の試食会にお呼ばれして来ました
個人的に、この企画スゴイなーとつくづく思ってしまったのは、投票の結果からラーメン花月の実際のメニューを作ってしまっただけでなく、カップラーメン(東洋水産)とスナック菓子(ジャパンフリトレー)まで同時に作ってしまい、全国のコンビニに展開してしまっているところ。
なにしろ投票の結果が出たのは9月末。
それから1ヶ月で11月上旬にはラーメン花月の試食会が開催され、12月12日にはカップラーメンとスナック菓子が発売されてしまっているわけですから、商品開発期間はなんと2ヶ月ちょっと。
花月やメーカーの担当者の方々が直面したであろう苦労たるや、想像するだけで涙が出ます。
しかも、今回の企画は、そういった製品発売だけで満足することなく、試食会の様子をウェブに掲載してみたり、Yahoo!ブログの書き手から「真骨頂」ラーメンについての記事を募集して一覧で載せてみたりと、ネット連動企画ならではの仕掛けが盛りだくさん。
さらには、私たちが呼ばれたブロガーラーメン試食会(?)の模様も、テレビ東京の「ガイアの夜明け」の取材チームのテレビカメラつきというおまけまでついていて・・・・(ネットを使った口コミマーケティングの取材だそうです)
ヤフーさんの王道からお遊びまで押さえた完璧な企画展開に、感心して口がふさがらない一日でした。
それにしても、ネットの企画でここまで出来るようになったということに改めて新しい可能性を感じてしまいます。
今後も、きっといろんな企画が出てくるんでしょうね。
楽しみです。
ちなみに、ラーメン自体のお味は個人的には非常に満足。
写真の見た目からはカナリ濃そうな印象だったんですが、意外にあっさりと食べられて、思わずスープまで完食してしまいました。
(おかげで翌日は嫁さんから、強烈ににんにく臭いと大クレームをもらってしまいましたが(笑))
ヤフーさん、花月さん、ごちそうさまでした。
それにしても、参加された皆さんの即効のモブログ投稿や、カラフルな写真(webdogにはビデオまで!)に彩られたブログ記事に、すっかり自分のセンスの無さを痛感してしまったり。
なにより、アップが遅くてすいません(汗)