韓国生まれのSNS、サイワールドとCURURUは日本でどうなのか

 先週やたらとサイワールドとかCyworldとかで検索してくる人が多かったのですが、週末にHDDレコーダーに録画していたワールドビジネスサテライトを見て理由が分かりました。
 結構長いサイワールド特集が組まれてたんですね。

 サイワールドを知らない人は昔書いたこの記事とか、PCWEBのこの記事とかを参考にしていただくとして。
 まぁ、ブログとSNSが一緒になった韓国の国民的サービスと表現すれば良いんでしょうか。

 そういえば記事には今年の3月にも日本参入と書いてありましたが遅れていたんですね。
 今回、7月にも参入時期が決まったとかで、満を持してWBSでも取り上げられたということなのでしょうか。

 個人的には、日本でそのままサイワールドが韓国と同じブームを迎えることは無いだろうと思っていましたが。
 全く流行らないだろうかというとそうでもないかも、と思わせるのが先日始まったNHN Japanの「CURURU」という類似サービスの健闘ぶり。

 このCURURUも韓国の会社のサービスだけあって、サイワールドそっくりなサービスなんですが、何でもサービス開始からたったの11日で10万人もの会員登録を実現したそうです。

 もちろん、実際には既存サービスのNAVERブログからの移行者も多いと思いますから、あまりこの数字自体には意味はないとも思います。
 ただ、いわゆるSNSという意味では、利用者70万人も突破したといわれるmixiが独走態勢にある印象がありましたが、この手のアバター系のサービスに10万人利用者がいるというのは、それはそれでまた違う利用者層にアピールしているのかもしれないなぁ、と最近思ったりもします。
 SNSのユーザー層の分析とかしている人がいたら是非教えてほしいです。

 ちなみに、利用者を集められるのかどうかという話とは別に、興味深いのがSNSとしてのビジネスモデル。
 ITmediaの記事にもあるように、CURURUやサイワールドは、広告収入を中心とするmixiやGREEと異なり、アバターの関連オプションを優良にすることで収入を得るというビジネスモデルを取るようです。

 韓国のサイワールドでは実際にこのビジネスが非常に上手くまわっているように聞いていますが、はたして日本でもバーチャルなオプションに対してお金を払うというビジネスが上手くいくのかどうか。
(そういえば、日本にも他にもアバターサービスっていろいろありますけど、それぞれ盛り上がってるんでしょうか・・・・?どうもその辺の知識は弱いです)

 ITmediaの記事によると、CURURUは、Naverブログが「成功して」利用者が集められたのに収入が思ったように得られなかったので、SNSモデルに移行したのだとか。
 固定インターネットのデジタルコンテンツにはなかなかお金が落ちないといわれる日本で、新しい事例を作れるのか。やっぱり日本ではだめだったと振り返られてしまうのか。 
 両者の今後に注目したいと思います。

ネットに書かれるよりマスメディアに取り上げられる方が怖い?

 先日、友人と話していて「良くネット上であんなにいろいろ書いてるよね。怖くないの?」といわれました。

 なんでもネット上に文章書いてしまうと、一生残るかもしれないしとか、実名で書いているとプライバシーがとか、そういうことを気にしていたようです。

 まぁ、確かにそういわれてみればそうなんですが、自分の場合は仕事柄もあるし、どっちにしろネット上に実名で文章を書かざるを得ない立場なので、あまり意識していなかったりもします。
かえってネット上で書くほうが、間違いがあれば修正できるし、自分でコントロールできる安心感のようなものがあったり。

逆に、最近痛感しているのは、新聞という媒体の影響力の大きさというか怖さのようなものです。

 話は先週の東京新聞のスカイプの記事にさかのぼります。
 P2Pに携わっている会社が日本ではうちの会社ぐらいしか無いこともあり、スカイプに関してコメントを求められるのは、今に始まったことではないのですが、今回ちょっとした行き違いがあったのが会社の業務内容について。

 記事の中ではうちの会社が「スカイプ用のソフト開発会社」となってしまってるんですよね。(知らない方に補足しておくと、うちの会社はPIMとかグループウェアのようなソフトを開発している会社です)
 実は、記者の方に確認されて「スカイプと同じようなP2Pという技術を使ってソフトを開発している会社です」と説明したんですが、どうも分かりづらかったらしく、まとめられてしまった模様。

 まぁ、知らない人にはどうでも良い話なんで、自分もたいして気にしていなかったんですが、どうやら一部では結構話題になっていたらしく。
 知り合いに聞いた話だと、前の会社でお世話になってた部長さんとかが、その記事を見て「いつのまに、あいつはうちの会社の敵になったのか?」と発言してたとかしてなかったとか。
(これだけ境界線がはっきりしないインターネット業界で、いまどき敵も味方も無いだろうという話もあるんですが。)

 やはり新聞に名前が出るということは、ネットとは全然違う層にリーチするんだなぁと言うのを改めて実感し、さらにその記事の書き方次第で読者に与えるイメージが大きく違うというインパクトの大きさを、改めて感じた出来事でした。

 そう思って振り返ってみると、同じような話は良く聞きます。
 ワーキングマザースタイルがNHKに取り上げられてかなりもめたのは記憶に新しいところですし、最近も板倉さんが日経ビジネスの特集にクレームをつけていたり小林さんが日経産業新聞の記事で被害を受けたりということがあったようです。

 おそらくメディア側としても、締め切りまでの限られた時間で取材をして記事をまとめなければいけなかったり、放送時間や文章量の制限があったりで、何かと細かい作業を省かなければならないという事情があるんだろうと思いますが。
 やっぱりメディアパワーを持っていない側からすると、マスメディアが生じさせる誤解のインパクトは、非常に怖いものがありますね。
 一般的には一度出てしまったら修正しようがないですし、仮に訂正記事を出してもらったところで、最初のものを見た人に届くという保障はありませんし。

 今でこそ、誤解された側はブログを通じて少しは反論できるものの、これまでは全く反論できずに誤解されたまま泣き寝入りケースというのも、きっと多かったんだろうなぁと思ったりもします。

 まぁ、とりあえず今回の自分のはたいした話でなくて良かったと、胸を撫で下ろしている今日この頃です。

ライブドアの無線LANサービスD-cubicはソフトバンクと同じ夢を見れるのか

ライブドア、月額525円で全国使い放題の公衆無線LANサービス–海外も視野に – CNET Japanを読んで。

 いよいよライブドアの公衆無線LANサービスの概要が明らかになりましたね。

 4月に無線LANサービスを開始すること自体は発表していたので、それほど目新しいニュースではないのですが、思ったよりも充実した内容だったので、正直ちょっと驚きました。

 現在の公衆無線LANサービスの最大の問題点は何と言ってもサービスエリアが「点」でしかなく、どこで使えるか良く分からないという点。
 それを今回のライブドアのD-Cubicでは、電柱を活用した2200のアクセスポイントで山の手線内80%カバーを実現し、「面」的な展開を実現するようです。

 実はちょうど一昨日、東京新聞の記者の方にスカイプがらみでインタビューを受けたときに、「電力系の通信会社などと組んで、コストと時間をかければ、スカイプ普及につながる無線LAN整備も可能になるが…(なかなか難しいのではないか)」と発言してしまってましたが、自分の読みの甘さを反省中です。
 

 裏編集後記でも書かれていますが、何と言っても「今回の事業はライブドア単独ではなく、最初からパワードコムやフジテレビ、日本IBMがバックについている。」というのが注目でしょう。

 電力系の通信会社であるパワードコムは、長らくNTTグループのライバルの大本命と言われながらも目立たなかった存在で、今回のサービスに期待するものも大きそうですし、日本IBMは数年前の第一次公衆無線LANサービスブームの一翼を担っていた記憶がありますから、今回は復讐戦としてかけるものがありそうです。

 他にもアセロス・コミュニケーションズの無線LAN長距離化技術を活用していたり、アイコムが専用のアクセスポイントをすでに開発していたり、トレンドマイクロがセキュリティの面倒を見たりと、役者は揃っているように見えますね。

 こうなると注目されるのは、INTERNET Watchの記事のタイトルになっているように、はたして「D-cubicは孫さんの低価格ADSLのモバイル版」になれるのか?という点でしょう。
 
 Yahoo!BBの際には、既存の競合サービスが「速度が遅い」「料金が高い」「従量課金」という状態に対して、「高速回線」「低料金」「定額制」という特徴が上手くはまりました。
 D-Cubicも、既存の携帯電話が「速度が遅い」「料金が高い」「従量課金」という状況は似ており、「高速回線」「低料金」「定額制」という特徴で、一見確かに同じに見えなくもありません。

 ただ、利用場所が一箇所で済む固定回線と異なり、携帯電話はやはり利用エリアのカバー率が大事、またPCでまったく同じコンテンツを利用したPCと異なり、携帯電話はすでにただの電話端末では無いインテリジェント端末に育っており、一筋縄では置き換えられるとも思えません。
 すでにウィルコムという低料金を売りにするライバルが旋風を巻き起こしていますし、同じような移動通信事業参入の絵を描いていたソフトバンクも黙ってはいないでしょう。

 まぁ、なんにしても利用者としては選択肢が増えるのは大歓迎。
 はたして、ライブドアは通信業界にも旋風を引起すことが出来るのか。注目したいと思います。

ブログによる情報氾濫の波をどのように乗りこなしていくべきか

 どうも、自分の情報処理能力があっさり限界を迎えてしまったようです。
 
 先週の週末にかけて短い海外旅行に行っていたのですが、帰ってきてみてRSSリーダーを開いてみると・・・当たり前とはいえ未読の山。
 私はRSSリーダーにはBloglinesを使って、カテゴリごとにフォルダわけしているのですが、各フォルダごとに未読が数十単位。
 多いところは数百たまっていて、想定はしていたもののこの未読の数には正直げんなりです。

 ほとんど読まずに既読処理にしたどころか、思わず最近あまりまじめに読んでいなかったブログの登録をかなり削除してしまいました。
 

 一昔前には、何か気になるサービスが始まると、決まってそれに関連した情報は無いものかと複数のネットニュースサイトをめぐり、会社の図書室でビジネス系の雑誌をむさぼるように読み、検索で引っかかったちょっとしたページを端から端まで探し、それでも足りない気分でいたものですが。

 それも今は昔。
 今ならブログをちょっとめぐれば、いろんな人のいろんな意見を読むことが出来ます。
 
 まぁ、実に便利な世の中になったものだ、と喜んでいましたが・・・

 どうも最近は調子が狂ってきています。
 昨年の今頃なら、主なブログの記事は一通り読みこなすことが出来ていました。それどころかトラックバックである程度議論に加われたものです。

 が、ここ数ヶ月は高速というか一部で光速で進んでいく議論を眺めるのがやっと。
 その間にも面白そうなブログがどんどん開設されて・・・まぁ、自分なりのペースで消化はしていたものの、ことここ最近の忙しさと小旅行をきっかけにして、完全にオーバーフローしてしまったようです。

 そんなもの、最初からついていくのが無理だと言われればその通りなのですが。
 ブログ上で何かが盛り上がっているのが傍目に感じられてしまうと、ついていきたくなってしまうのが自分の悲しい性。
 一部の人のはてなブックマークとか、はてなブックマークの人気エントリ欄に頼ったりしながら、何とかやりすごそうとしてはみたものの、それすら光速で過ぎ去ってしまう今日この頃です。

 おまけに、なんだか気がついたらCNETやZDnetでは新しい連載が始まっているし、ITmediaに至ってはオルタナティブ・ブログという名称で20人以上の新連載ブログが開始。
 面白そうなブログもあるんですが、もはやこれ以上の情報摂取は栄養過多。ここは黙って気づかなかったフリです。

 
 情報がほとんど無かった時代の悩みは多かったものですが、情報がありすぎる時代もなんだかんだ悩みはつきないなぁと、思ってしまったりする今日この頃です。

 今後もネット上の情報量は、有用なものもノイズも含めておそらくもっと多くの情報が増えてくるはずです。
 この情報氾濫時代を生き抜くためには、どのような術が必要になってくるのでしょうか?

 案外、情報を検索する技術よりも、無視する技術の方が重要になってきたりして・・・

どうやらスカイプは日本ではまだ電話として認められないらしい

スカイプ、日本の通信市場に本格参入–フュージョンと提携 – CNET Japanを読んで。

 フュージョンとスカイプが提携して、050番号での一般電話からの着信サービスを実現するようですね。

 いよいよ日本でもスカイプインがサービス開始か?と、かなり話題になりましたが、Broadband Watch編集部ブログの甲斐さんのコメントを見る限り、どうも転送サービスとみるのが正しいようです。

 つまり「スカイプで050番号が使えるわけではないので、スカイプで発信する場合はスカイプアウトなどのサービスを使わなければいけません。」ということで、あくまでスカイプインが認可されないからこそ生まれた、ある意味妥協の組み合わせといえそうです。
 

 もちろん、スカイプ利用者の視点から言えば、まったく一般電話着信ができないよりも、フュージョンのサービスを使えば一般電話からの着信サービスが実現できるので、一歩前進とは言えるわけですが。
 発信者番号と着信用番号は異なるし、契約はスカイプとフュージョンの両方としなければいけないしで、どうもすっきりしない印象もあります。
 Hanover Cafeでは「あまり影響の無いSkype+Fusion連携」というタイトルで、今回のニュースはあまりインパクトがないだろうとばっさりです。

 個人的にも特に残念なのは、今回の発表はあくまで技術提携だけで、実際のサービス開始は今年の秋になりそうな点。
 うがった見方をすると、秋に始めるサービスをわざわざ今プレスリリースするということは、どうやらスカイプイン自体の認可は日本では難しそうなので今回の提携に至ったのでは?と思えてしまいますね。
 やっぱり当分総務省が、スカイプを電話として認めることはないのでしょうか。

 
 先日のスカイプイン開始によって、私たちは日本にいながら米国の電話番号を利用することができるようになっているわけですが、日本の電話番号、しかもIP電話の番号を手に入れるのに別の通信事業者の転送電話サービスを契約しなければいけないというのは、何とも規制の矛盾を感じてしまいます。

 ただ、まぁIP電話における規制を強化しようという流れは、日本に限った話ではなく。5月23日には米国FCCがVoIP業者による緊急電話サービスの提供を義務付ける指令を出したというニュースがありましたし、それを受けてCNETにはスカイプのNiklasCEOに厳しい突込みをしているインタビュー記事が掲載されています。
 
 結局のところ、どこの国でも技術の進歩による新サービスと、規制の整備のおっかけっこになっているということなのかもしれませんね。

 まぁ、やはり利用者としては、規制が無意味になるぐらい便利な新サービスがどんどん出てきてほしいものです。
 フュージョンといえば、あの電力系パワードコムの子会社ですから、ひょっとしたらこの先の展開もあるかもしれませんし・・・

テレビCMは広告手法の王道の座を奪われることになるのか?

テレビCMの価値が奈落の底–ネットとHDDレコーダーで加速 – CNET Japanを読んで。

 先週野村総研が公表した「企業の広告・宣伝手法は、マスメディアから個別対応のITメディアへ」という調査レポートが話題を呼んでいるようですね。

 何しろ、HDDレコーダーの利用者のほとんどがCMスキップをしていることから「2005年のテレビCM市場の約2.6%、金額にして約540億円の価値が失われると試算した」そうで、すでに540億円の損失という部分が一人歩きし始めた感もあります。

 さらに野村総研は、つづいて「デジタル機器と家庭内LANの普及がコンテンツ流通産業の業態を変える」というレポートを立て続けに発表する力の入れようで、何かのキャンペーンが始まったかのような印象もあります。

 
 ただ、個人的には、はたしてCNETの記事のタイトルにあるような、テレビCMの価値が「奈落の底」に下がってくるのかという点については、どうも実感がありません。

 もちろん、これだけネットの利用時間が増えてくれば、ネットの広告媒体に利用者が触れる機会も増えるわけですから、相対的にネット広告の価値が上がるのは分かります。
 媒体としての接触時間が減っているラジオ広告市場がネット広告に抜かれたように、現在最強を誇っているテレビCMの割合が相対的に下がってくるという事態は当然あるでしょう。 

 自分も実際にHDDレコーダーを購入してから、録画した番組についてはほとんどCMをスキップするようになりました。
 おそらくHDDレコーダーが更に普及すれば、スポットCMの効果が下がってくるのは間違いありません。
 現在のスポットCMの料金水準がそれによって是正されるぐらいのことは今後起こってくると思います。
 

 ただ、テレビ番組の視聴行動には、録画してまで見たいというものだけでなく、その放送にたまたまめぐり合ったから見た、というのも継続的に存続するはずです。
 効率は悪くなったとはいうものの、広告代理店のかたがたは相変わらずテレビCMに対してかなり強気のようですし、ネット企業の中からもテレビCMは使い方によっては非常に効果が高いという声が聞かれます。

 HDDレコーダーでCMを飛ばせるとはいえ、これまでもそういう視聴者はCM中にチャンネルザッピングを繰り返していたような気もしますし、消費者金融のように大量のスポットCMを投下し続ける企業がいる限り、それほどスポットCMの価値が下がってくるような感じもしないのは私だけでしょうか。
 まぁ、こういう風に思ってしまう時点で、すでに感覚が古い時代の人間なのかもしれませんが・・・・

※ ちなみに、現在のスポットCMに依存しているマス広告手法が、さまざまな手法に分散するだろうという点については、個人的にも議論の余地は無いだろうと思ってます。
 その点についてはAd Innovatorの織田さん広告主協会のセミナーでプレゼンされた資料が非常に参考になります。(PDFへの直リンクはこちら