アカデメディア「音楽会議」に見る音楽の未来

 先日、アカデメディアの第一回目となる「音楽会議」に参加してきました。


 アカデメディアは、昨年に百式の田口さんとPassion for thr Futureの橋本さんが開催していた「無敵会議」の後継会議として、田口さんとWinbitのヒロナカさんによって開催される新しいオンラインメディアの形を模索する異業種交流イベント。

 無敵会議の形式を引き継ぎつつ、より現場に近づいた視点から特定の企業の事業をもとにディスカッションを繰り返していくことになるようで、第一回目はYAMAHAのプレイヤーズ王国が題材となりました。

 
 プレイヤーズ王国は、自分の作品を公開することができるのが特徴の、SNS的な要素ももっている音楽コミュニティ。

 SNSといえば何と言っても30万人を突破したmixiが代表ですが、このプレイヤーズ王国も「音楽」特化にも関わらず、すでに登録ユーザーは5万4千人を超え、1400万PVという堂々の数字を叩き出しているそうです。

 さらに個人的に興味を持ったのが、登録曲数が28,000曲にも達している点。
 いわゆるアマチュア音楽家の、自分の作った曲をインターネットを通じて公開したい、みんなに自分の曲を聞いて欲しいと言うエネルギーを感じます。
 当日の詳細はueBLOGさんのメモや、プレゼンをされたYAMAHAの須田さんのブログなんかで詳しく紹介されているのでそちらを見ていただくとして。

 印象的だったのが、プレゼンをされたYAMAHAの須田さんの「音楽はもっと身近なもののはず」という趣旨の締めくくり。
 「音楽」というと、どうしても素人からするとプロの曲をCDやダウンロードを通じて楽しむと言うイメージが強いのですが、そう言われれば生活の中の鼻歌も音楽だし、カラオケもそう、小学校の音楽の授業にしても、人に聞かせるものではなく自分が楽しむはずのもの。

 考えて見れば、ブログによって大手メディアだけでなく個人が情報発信ができるようになったのと同じで、インターネットによって大手音楽レーベルだけでなく、個人レベルで音楽を製作したり発信することができるようになる可能性が大いにあるんだなぁとしみじみ思いました。

 実際に、プレイヤーズ王国を通じて、ある人が作った曲に、別の人が詩をつけて、また別の人がコーラスをつけて、また別の人がアレンジして・・・というコラボレーションも発生しているそうで。
 音楽の未来の姿の一つを垣間見た気分になりました。

 ちなみに、会場でプレイヤーズ王国発のアーティストとして紹介された飯窪早織さんの『Love Song』は、マジにイイデス。
 是非聞いてみてください、一人で。

グーグルとアマゾンが合併してグーグルゾン設立?

ビタミンX: 2014年までのネット業界を描いたフラッシュを読んで。

 ブログを含めたネットメディアが2014年にどうなっているかを大胆に予想した「Museum of Media History, EPIC 2014」というフラッシュが話題を呼んでいるようです。


 実際には、既に12月にAd Innovatorで紹介されていたのですが、ストーリーが英語のナレーションなので会社で見るのはちょっと辛いです、と思っていたら、「digi-squad*blog」でこのナレーションの日本語訳がされているのをVitaminX経由で発見しました。 

 参加型ジャーナリズムの展開の流れや、それにより現れうる問題、ニューヨーク・タイムズの抵抗など、なかなか真に迫った内容で面白いので、是非読んでみて下さい。

 個人的に特に興味深かったのは、2006年のグーグルの展開を予想している部分。

2006年 ー グーグルはサービスのすべてを統合する。同社は、TiVo、ブロガー、Gメール、グーグルニュース、そして検索関連のすべてを統合し、あらゆる種類のメディアを保存・共有するための無限大のストレージ容量と帯域幅を提供する万能プラットフォーム「グーグル・グリッド」を発表。常時つながっており、どこからでもアクセスできる。各自でプライバシー保護レベルを設定し、コンテンツを安全に保存したり、外部に公開することができる。誰にとっても、メディアを作り出すと同時に消費することがこれほど簡単にできたことはなかった。

まぁ、もちろん全てFlash作者の想像に過ぎないわけですが、Googleの最近のサービス展開を考えれば全くの大法螺とも言えないですよね。
 「TiVo、ブロガー、Gメール、グーグルニュース、そして検索関連のすべて」どころか、最近は既にダークファイバ関連人材採用によるVoIP市場進出Firefox開発者採用によるブラウザ進出に関する噂が耐えませんし。
 2004年のIPOによる資金調達で、今年のGoogleの展開が活発化することは誰もが想像しているところでしょう。 

 2008年にグーグルとアマゾンが合併してグーグルゾン設立というネーミングの安直さには笑ってしまいましたが、両者の現在のポジションを考えると案外ありえない話でも無いのかも・・・と思ってしまうのは私だけでしょうか?

ブログがNHKで紹介されるということ

 先日、村山らむねさんが運営するワーキングマザースタイルがなんとNHKに取り上げられました。

 ワーキングマザースタイルと言うのは、複数のワーキングマザーによって綴られているワーキングマザーのための総合情報サイト。
 ブログを利用して、グループブログ的に運営されているサイトで、通販のカリスマである村山らむねさんを中心に個性的なメンバーが揃っています。


 取り上げられる番組は、NHK総合特報首都圏「“ブログ”ブームでネットが変わる」ということで、いよいよブログも大手メディアに取り上げられるほどの扱いになってきたようです。

 と知り合いの一人として喜んでいたら、どうも放送の仕方ですれ違いがあった模様。

 
 詳細は、ワーキングマザースタイルに「特報首都圏についての意見と反省点」として掲載されています。

 このやり取りを見ていて非常に難しいなぁと思ったのは、ブログとアフィリエイトという概念の説明の難しさと、テレビというメディアの影響度の大きさ。

 NHKの方からすれば、ブログもアフィリエイトも初めてに近い言葉でしょうから、それを喜んでやっている人の気持ちを理解するのも不可能に近いでしょう。
 「ボランティアで主婦達が映画の感想を書くなんてバカみたいじゃないですか」という発言が出てくるのも、まぁ予想できなくもありません。
(実際、私も「良く仕事忙しいのに、毎日ブログ(なんて)書いてられるよね」という趣旨のことを言われることが良くありますし。)

 
 で、限られた放送時間の中で素人の視聴者に伝えるために、話をはしょったのも想像に難くありません。
 ただ、担当の方々が意識しているかどうかは別にして、テレビと言うメディアの影響力は非常に大きいわけで、今回の件だけでなく、多くの人がテレビに発言の一部を「切り取られて」苦い経験をしているんだろうなぁと感じてしまいました。(イラク人質報道なんかが良い例でしょうか)

 しかし、明らかに変わってきているのは、今回のようにある意味被害者になった側の人間にも、ブログを通じた訂正告知のチャンスがあることでしょう。
 実際、今回の件に関しては、ワーキングマザースタイルだけでなく、アフィリエイトの女王の和田さんやカレンの山内さんや四家さんなど、多くの支援表明記事やコメントがついています。

 アメリカでは選挙の際に、大手メディアが報道した間違いをブログが指摘したことが話題になっていたと記憶していますが、そういった草の根ブログのパワーが増してくることで、今回のような行き違い報道が少なくなることを期待したいですね。

 個人的にも、村山らむねさんとは、お互いにストーカー扱い(?)されている間柄なので、全面的に応援しております。

西京銀行とライブドアで「西京ライブドア銀行」設立

ライブドア、西京銀行とインターネット専業銀行「西京ライブドア銀行」設立構想で合意 – livedoor コンピュータを読んで。

 先日のヤフーとあおぞら銀行の提携のニュースの後に、社長日記で「発表では先を越されたが、まさに予想通りの展開。発表で先を越されても、スタートはこちらが早くできるよう、がんばりたい。」と決意表明していたライブドアですが、昨日発表をしたようですね。


 しかも、なんと提携先は山口県の西京銀行。
 私は山口県出身なんで知っていますが、普通の人は知っているのかどうか・・・?
 まぁ、オンライン銀行なんだからどこの銀行がやっても良いわけで、そういう意味では面白い組み合わせなのかもしれませんが。

 設立される銀行も「西京ライブドア銀行」と、一瞬「最強ライブドア銀行」を連想させる響きのよさ(?)、なんとも笑い話のようなホントの話です。

 まぁ、ライブドアからすれば、ネット銀行事業参入は2003年にイーバンク銀行に出資したときからの念願の事業。イーバンクと刑事告訴にまで至った不毛な歴史を帳消しにするべく、今回の再参入には並々ならぬ決意があるのでしょうね。

 ただ、現状ではメディアの反応は、前回の件もあるせいか、ヤフーとあおぞら銀行提携のニュースに比べると比較的冷ややかのようにも見えます。

 たしかに単純に比較すれば、ヤフーのヤフオク手数料や楽天のショッピングのようなドル箱決裁事業を持たないライブドアのネット銀行事業の不利は明白にも思えます。
 今の段階で考えると、livedoorブログの利用者が西京ライブドア銀行を使うと広告収入が優遇して振り込まれるとか、ライブドア証券との連携とかでしょうか?

 「結果がすべて。結果を出すには実行力が必要。アイディアや先見性がいくらあろうが、まったく意味を成さない。そういう意味では非常にムズムズする話である。」と社長日記では綴られていますが、はたして秘策があるのか注目したいと思います。

サイワールドの日本上陸とSo-netの盗作疑惑

【レポート】サイワールド、日本上陸 – 韓国コミュニティ事情を紐解く (1) 韓国を席巻中の「サイワールド」日本上陸 (MYCOM PC WEB)を読んで。

 先日紹介したサイワールド(Cyworld)ですが、今春3~4月には日本でもオープンを目指して準備を進めているそうです。


 MYCOMの記事では非常に細かく解説されているので、サイワールドについて知らない方は、この機会に勉強するのが良いと思いますが。
 はたして韓国で成功したモデルを日本に持ってきて、上手く機能するものなのでしょうか?

 そう思って調べていたら、VitaminX経由で、So-netがサイワールドにそっくりなミニホームページというサービスを既に12月に開始しているのを見つけました。
 なんでもあまりに似ていて盗作疑惑までかけられているそうです。

 ちょっと覗いてみましたが、確かに、ユーザビリティも見た目も、正直なところかなり似ています。
 サイワールドが日本進出しなければ訴えられずに済んだのかもしれませんが、悪いタイミングに重なったものです。

 まぁ、ブログにしても、SNSにしても類似のサービスが出てくるのは宿命のようなところがありますから、今回の問題がどれだけ深刻に捉えられるのは微妙なところがあります。
 (ちなみに、このサイワールドの訴えについての記事は、どうも朝鮮日報にしか掲載されていないようです)
 

 さらに、今のところSo-netのミニホームページサービス自体は、見たところ利用者もまだ1000~2000人前後と言ったところのようで、サイワールドが日本参入してブームを呼ぶのかどうかも微妙なところ。

 ソーシャルネットワーキング.jpの原田さんも「やはり他のSNSが有る程度、トレンドや需要を満たしてしまっているので、本国ほどの爆発は期待できないかと思われます」と書かれているように、せっかく韓国で利用者が1200万人いても言語の壁で相乗効果は発揮されないのがつらいところでしょう。
 同質の可能性を持っているサービスであるmixiが30万人突破と着実に利用者を増やして基盤を構築する中、はたしてサイワールドが日本にどのように入ってくるのか、注目したいと思います。

ヤフーとあおぞら銀行提携に見るポータルと金融の相性

ヤフー、あおぞら信託を傘下に収めてネット銀行業参入へ – CNET Japanを読んで。

 楽天やライブドアが金融業のバリエーションを広げる中、ヤフーはどうするんだろうという話になっていましたが、いよいよヤフーも金融業進出ということなのでしょうか。


 正直、金融業については素人ですし、今回の提携の裏にどういう背景があるのかは良く分かりませんがそもそもあおぞら銀行は一時ソフトバンクが出資していましたから、今回の提携先はヤフーなものの、いろんなことを想像してしまいますね。 

 R30::マーケティング社会時評では「あおぞら信託買収で1700億円の財布を手に入れる(はずの)ソフトバンク」と表現されていて、なかなか興味深いです。

 ちなみに、なんでもヤフー上ではコンテンツやオークションによって月間660億円の金額が動いているそうで、「手数料0.5%としたって年間30億円以上の売り上げがすぐに稼げる」んだそうです。
 
 それを聞いて、個人的に思い出したのは、以前Masa33さんがFPNで書いていた「アイデンティティ管理に関するクリステンセン的考察」と言う記事です。

ポータルサイトに対するISPの優位性はユーザの本人性確認能力にありました。 無料でオンラインでユーザ登録を受け付けるポータルサイトは、多くのユーザIDを獲得できますが、獲得されるユーザIDの信憑性は高くありません。 一方で、ISPのユーザIDは住所と課金手段が確認されています。 このアイデンティティの認証能力こそが、ISPのポータルサイトに対する優位性であると信じられてきました。
 (中略)
 将来的には、知の流通のためのID管理が破壊的イノベーションとなり、従来の財の流通のためのID管理を巻き取っていくのかもしれません。

 最近のポータル事業者の金融業参入はこの流れを証明しているような気がしてしまいます。

 金融業と言っても、別にいわゆる預金のための銀行ではなく、あくまで利用者のショッピングや株取引の円滑化のための決裁処理やローン事業ですから、一般的な「金融業」の定義とは違う捉え方をした方が良いのかもしれません。
 ただ、確実に昔イメージしていた「ポータル」と、現在の「ポータル」が違う次元に到達しようとしているのを感じます。