スマトラ沖地震であけた2005年を考える

インドネシア・スマトラ沖地震情報 by まうんとくっく日誌のブログを読んで。
 スマトラ沖地震の津波による被害の深刻さが、徐々に明らかになってきています。
 テレビの映像から受ける衝撃は、思わず言葉を失ってしまうほどです。


 今回の地震には、本当にいろいろと考えさせられています。

 所詮、津波のような巨大な災害の前では、人間の技術など何の役にも立たないこと
 でも、もっと技術が上手く活用されていれば、もっと多くの人の命が救えていただろうと言うこと
 果たして、その災害の現場に自分がいたら、いったい何ができただろうかということ
 逆に、現在、今日本にいる自分に何ができるのだろうかということ

 なんだかいろんなことを考えこんでしまいます。
 大災害の報道とともに向かえた2005年には、何ともいえない感覚を持たずにはいられません。

 個人的にも、例年は年末によく東南アジアに旅行に行っていたり
 今回の地震の際に、知人が実際に被災地に行っていたり
 インドネシアで訪れた漂海民バジャウの簡素な家の様子が思い出されたり
 昨年見た映画「デイ・アフター・トゥモロー」に影響されていたりと。 
 いろいろと個人的な経験が影響しているのもあると思います。

 でも、そんな広島の原爆による死者数を上回ろうと言う大災害のさなか、日本ではほとんど被害の深刻さが報道されないまま正月を迎え、1月4日になってようやく自衛隊の先遣隊が派遣されると言うのんびりぐあい。
 もちろん、自分も正月をのんびり迎えていたので、人のことは言えないのですが、ユニセフのウェブサイトにある支援情報などを見ると、どうしても日本政府の対応の遅さが気になってしまうのは私だけでしょうか。

 ちなみに、年末に日本で津波災害があまり詳細に報道されなかった要因の一つに、テレビメディアが報道するためには映像ソースを入手しなければならないという問題があったようです。
 
 そういう意味で興味深かったのが、ネットは新聞を殺すのかblog「津波のビデオ」という記事。
 一般市民が撮影した災害時のビデオをリスト化して配信しているサイトがあるようです。
 もし、このような映像が災害の直後に草の根で配布される仕組みがあれば、今回の災害の深刻さも、もっと早く伝わるようになるのでしょうか?

 それにしても、同じ規模の津波が、もし日本に押し寄せたら。
 ということを考えると、本当になんともいえない気分になります。

 そんな中、強い印象を受けたのは、津波が来るのを象などの動物たちは察知し事前に逃げたと言う事実。
 同じ哺乳類であるはずの私たちが、そんな本能を失ってしまったのは、進化の当然の代償なのでしょうか?

 それとも自然を積極的に破壊する側にまわった唯一の哺乳類になった人間には、自然も警告をしてくれないということなのか・・・
 果たして人間は、私たちは、今回の災害から何を学べばよいのでしょうか?

 そんなことを考えずにはいられない今日この頃です。

無敵会議から見る2004年と2005年

無敵会議: 無敵会議終了!を読んで。

 超忘年会議に参加してきました。


 昨年の忘年会議から始まった無敵会議も、今回で終了です。
 
 12月25日の土曜日のクリスマスと言う日程にも関わらず、100名を超える参加者が集まり熱気のある最終回となりました。
 今回のテーマは究極のウェブサイトということで、選ばれたサイトのトップ5は以下のとおり。

1 Mixi
2 Bloglines
3 電車男
4 Google Labs
5 Skype

 来年のインターネット周りの中心になりそうなネタがきっちりランクインしていますね。

 今年も、いろんなウェブ周りのランキングがありましたが、「今年の」という意味で言えば、こちらのランキングの方が間違いなく今年から来年に向けたサービスの盛り上がりを示しているように思います。
(イベント参加者の属性がかなり偏っているのも事実ですが・・・)

 個人的に非常に気になったのは、主催者の二人が選んでいた2005年に来るだろうキーワードの数々。

橋本さんチョイスのキーワード 
1 デスクトップ検索
2 予約と自動化
3 モバイルAV
4 信頼できる口コミ
5 未踏ソフトウェア発

田口さんチョイスのキーワード
1 Alert-driven Communication
2 Seach’n …
3 Time finally controlled
4 Micro Earning
5 White List

 1年間、1000人以上を動員して、大量のアイデアのブレストをリードしてきた二人ならではのキーワードでした。

 おそらく、これらのキーワードから、また無敵会議に参加した人たちから、そこで出会った人たちの化学反応から、新しいビジネスの種が来年生まれることになるんだろうなぁ・・・と、そんなことを感じた一日でした。

 一つ一つのキーワードについては別途考えて見たいと思います。

 
 各キーワードの詳細や当日の様子は、「たつをの ChangeLog」や「100SHIKE」を参照してください。

 無敵会議自体は、惜しまれつつも、予定通り今年で終了となりましたが、間違いなく2004年を代表するイベントで、無敵会議出身と呼ばれる人々が今後出てくることを予感させるイベントだったと思います。
 来年以降の主催者の二人の活躍にも注目です。

Skypeのオープンな提携戦略の強さ

CNET Japan Blog – 渡辺聡・情報化社会の航海図:プラットホーム化するSkype:アリエル・ネットワーク徳力基彦氏、Skype社Vincent Shortino氏インタビューを読んで。

 珍しくインタビューされる側になったので、自分の記念もかねて、トラックバックしたいと思います。


 Skypeが日本で話題になるようになったのは、まだここ数ヶ月のことですが、実際Skype自体がβサービスを提供し始めたのが去年の8月、本サービスを提供したのもまだ今年の7月のことというのをついつい忘れてしまいますね。

 そのスピードを支えているのが、彼らのコンセプトが非常に明確な点だと感じます。

 「良い製品を作る」「それをコストをかけずに配布する」とCEOが発言していたのが強く記憶に残っていますが、彼らが現在注力しているのは、とにかく徹底的にコミュニケーション部分だけです。

 一般的なVoIPシステムを開発している企業は、最初から非常に複雑なシステムを作ろうとする傾向があります。
 例えばテレビ会議システムにしてみたり、ホワイトボードのようなものをつけてみたり、既存のPBXを置き換えられる仕組みにしてみたり。
 
 有料でサービス提供をプランするために、既存の電話よりも付加価値を模索するため、どうしてもそういう傾向になりがちなのでしょう。
 自然と、全てのシステムを自社で囲い込むために作りこむ形になりがちです。

 
 ところが、Skypeが注力しているのは、とにかく低コストで便利な音声通信を可能にすることです。
  
 それ以外の点はオープンに広くあまねく提携する形を取っています。
 そうすることによって、スピードを落とさずに現在の展開を続けることが出来るのでしょう。

 そのことを更に加速するための手段が、今回の渡辺さんの記事のテーマになっているAPIのアプローチになるだろうと思われます。

 APIを使えば、VoIPやチャットの周辺にある関連製品は、どんな企業でもSkypeとの連携を容易に検討することが出来ます。
 おそらく今後も「コンタクトリスト」的な電話番号や人という属性を持ったソフトウェアは、グループウェアに限らずほとんどの製品がSkypeとの連携を模索していくことになるだろうと感じます。

 もちろん、それによってSkypeは様々な収益機会を自社からは逃すことになるのでしょうが、興味の無い分野はパートナー企業に任せることで、早期に多くの顧客のニーズを満たす製品にすることができます。
 キャズム理論で言うところのホールプロダクトですよね。

 ライブドアが販売を開始したサイバーフォンKのような、ハードウェアが特に今後は注目ですね。

 とにかく一芸に秀でて、それをもとにして周囲を巻き込んで伸びていくというのはGoogleと同じような遺伝子を感じてしまいました。
 
 はたして今後Skypeがどこまでこの勢いで行ってしまうのか分かりませんが、おそらく来年は更に多くの企業がAPIを使った連携を始めるんでしょうね・・・同じ(?)P2P企業としては、楽しみなような、ちょっと寂しいような・・・(笑)

有料モデルは無料モデルにいかに勝つか

 先日、GLOCOMの情報社会学(若手)研究会に参加させていただきました。


 もともとは「ネットは新聞を殺すのか」の湯川さんと切込隊長の対談の予定だったんですが、残念ながら切込隊長は参加できず他のメンバーによる濃いディスカッションとなりました。

 今回非常に印象に残ったのは、やはりメディア業界においても通信業界や音楽業界などの他の業界と同様に、ネットによるパワーシフト、パラダイムシフトが起きているんだろうということです。

 たとえば既存の新聞業界は、利用者から毎月購読料をもらうというサブスクリプションモデルを取っています。
 これは先日Skypeの記事で紹介した既存通信会社のARPUを中心としたモデルと同じような感じで、一人一人の顧客からどれだけ平均的に多くのお金をもらうか、というモデルですね。

 このモデルは、やはりどうしても、質の高い無料モデルが出てくると苦境に立たされるようです。これをイノベーションのジレンマと言って良いのかどうかは良く分かりませんが。
 利用者からお金をもらうのか、無料で利用者の数を集めて企業からお金をもらうのかというモデルの違いですね。

 例えば電話会社の基本料金に対する無料電話、有料雑誌に対するフリーペーパーと、既存メディアに対するネットメディアの議論、も同じような位置づけで捉えられることできるのかなぁと思いました。

 ただ、どうも個人的には、だからといって全てのサービスが利用者に対して無料で提供されるとは思えません。
 おそらく既存の事業者は無料のサービスに対して優位が維持できるように質を高めていくか、自分たちも新しいパラダイムで戦えるようにビジネスモデルのシフトを行わないといけないのでしょう。

 参考になるのは同じメディア産業であるテレビだと思います。
 実は私は日本のテレビの民放が、最大の無料サブスクリプションモデルの体現者だったと思っています。
 (利用者はNHKに基本料を払っていますが、民放に対してお金を払っている感覚は無いはずです)

 もちろん、いまだにメディア産業における民放の地位なり占める割合というのは、非常に大きいものがあるのですが、ケーブルテレビやスカパーなどの有料サービスも健闘しています。
 攻められている既存事業者が、そういったサービスのシフトで現在の規模を維持できるかというと、そうではないと思いますが、必ず有料モデルも生き残る道があるはずです。

 なんて書いては見ましたが、どうも自信はありません・・・
 その道のプロの方々がブログで感想をまとめていますので、詳細はそちらを参考にどうぞ。

 ・R30::マーケティング社会時評
 ・おおやにきから
 ・本家みかままの覚書
 ・diary.yuco.net

日本のアルファーブロガーを探せ2004

FPN – ニュースコミュニティ- 日本のアルファーブロガーを探せ2004

【私が選ぶ日本のアルファーブロガー2004】

(1)「会社のオフィスでは『3つだけ』しかブログを読んではいけない」と言われたら、どれを読みますか
(1)
 ・CNET梅田さんのブログ 最先端のテクノロジートレンドがわかるから
 ・百式 新しいビジネスの視点を毎日提供してくれるから
 ・ネタフル 幅広いニュースをカバーして教えてくれるから

(2)上記の3つのブログを除いて、2004年にあなたが最も影響されたブロガーの記事を教えてください。
 ・ネットは新聞を殺すのかブログ
 http://kusanone.exblog.jp/i9
 ・ブログとメディアの関係や参加型ジャーナリズムという考え方について、プロのジャーナリストの方が本音で語っていて、私がブログに本気で取り組むきっかけになった記事でした。

mixiとコミュニティビジネスのジレンマ

ITmediaニュース:ソーシャルネットのビジネスモデルが見えてきた?――「mixi」の今を読んで。

 mixiの勢いが止まりませんね。


 つい先日10万人突破したと言っていたと思ったら、もう20万人を突破していますし、さらに利用者は1日2000人ペースで増えているそうです。

 広告のクリック率も「ユニークユーザーの10%もがクリックした」という驚異的な効果を上げたものもあるようで、広告ビジネスの目処はきっちりとたってきているようですね。

 ただ個人的に気になるのは、それでもまだ「広告などから収入が増えたとはいえ、単月ベースの赤字からは脱していない。」と書かれていることです。

 先日の「ココログ×はてな」の記事でもGREEの田中さんのコメントを紹介しましたが、コミュニティ的なビジネスは利用者が急増しても収入が設備投資と連携しないと言うジレンマがあります。

 mixiの場合には黒字化と設備ピークと、どちらが先になるのかなぁ、というのが気になるところです。
(その関係で、業界では一体mixiと提携するのはどこのIT大手なのかという憶測が、結構飛び交うようになってきましたね。)

 コミュニティの性質を考えると、提携先次第では利用者が拒否反応を示すこともありますから難しいところもあるでしょうが・・・

 現在のところはイーマキュリーの笠原さんは、自力で上手いこと問題を乗り越えてきているようですし、是非今後も上手く乗り越えていって欲しいものですね。

 ちなみに、記事の中でも笠原さんの発言で「ユーザーニーズに応えたいいサービスを作れば、収益は後からついてくる」という言葉が紹介されていて、そういえば、SkypeのセンストロムCEOも、ライブドアの堀江さんも同じようなことを言っていたなぁと思い出しました。

 イーマキュリーも、そういう時代を代表する会社になりそうな雰囲気ですね。