ソフトバンクBB、800MHz帯利用の夢はかなうか?

ソフトバンクBB、800MHz帯利用を求め免許申請 – CNET Japanを読んで

 10月に、はなばなしく行政訴訟をぶち上げた孫社長ですが、やはり現実路線を捨てたわけではないようです。


「同社が現在総務省に対して行っている行政訴訟の法廷において、同社が免許申請することは可能という説明を総務省から受けたため、今回の申請に至った」とのことで、一部行政訴訟を取り下げて800MHz帯への免許申請を行いました。

 ただ、完全に行政訴訟を辞めるわけではないとの事。
 おそらくは、行政訴訟という武器を使いながら総務省を牽制しつつ、交渉をできるだけ有利に進めたいということなのだろうと想像しています。 

 
 ソフトバンクBBの携帯電話事業参入の勝算について、関連業界の人にいろいろ話を聞くと、大抵の人がネガティブな発言をされる印象が強いです。

 割り当てられる電波帯域や、設備投資の金額とカバーできるエリアを考えると、NTTの回線に相乗りして実現できたADSL事業とは訳が違うというのがポイントのようですが。

 それらの方々に言わせると、今回の行政訴訟は追い詰められて仕方なくの手段だとのこと。

 私のような業界の事情を良く知らない人が「ソフトバンクBBが携帯電話事業に参入すれば、携帯電話も安くなるのでは?」と期待するのとは、意外なほど温度差があります。

 さて、本当のところはどうなんでしょうね?

参加型ジャーナリズムと個人的な経験

ネットは新聞を殺すのかblog 年末進行中の「どうでもいい議論」
を読んで。

 先日「ネット上の議論が半永久的に残ることの価値」で紹介した、切込隊長と湯川さんの議論は、実はまだ続いています。


 今回は、湯川さんの「参加型ジャーナリズムは技術革新待ちの状態」という記事に、切込隊長が「参加型ジャーナリズムが発展しないのは機能の未整備が理由ではないと思う」とコメントし、湯川さんが「年末進行中の「どうでもいい議論」」と返しています。

 
 相変わらず、素人の私が割り込める隙はないんですが。
 やっぱり今回も、二人とも正しいんだろうなぁと思ってしまい、サイドを選べないので更に議論に参加できずにいたりします。
 特に自分の体験を振り返ると。

 まず賛同するのは切込隊長が書いているように、技術革新が根本的なものをほとんど変えていないという点。
  
 私が始めてインターネットやニフティのフォーラムに触れた時、個人的には場所や企業を超えたメンバーと議論したり情報交換できることに、ネットの大いなる可能性を感じたものです。

 しかし、その頃からはや10年。
 たしかに2ちゃんねるやブログのようなものを通じて、ネット上の議論への参加者は大いに増えましたが、本質的なメディアや社会の仕組みは未だにほとんど変わったような気はしません。

 でも、湯川さんが書いているように、技術の進化が参加型ジャーナリズム的なものの素地になる可能性も否定できません。

 例えば、今回の二人の濃い議論が成立するのはおそらくブログのトラックバックという仕組み(技術)のおかげです。
 もし、この議論が2ちゃんねるのような掲示板形式のもので行われていたら、二人の議論は、他の多数の参加者の書き込みや雑音に埋もれてしまって、おそらく成立しなくなっていたでしょう。

 さらにブログという個人サイトの仕組みが、その書き手にミニメディアと呼んでいいほどの影響力を与えることがあることを、切込隊長自身が体現しています。

 実は切込隊長は、7年ぐらい前、私がニフティのフォーラムの初心者だった頃に、優しく(厳しく?)いろいろとアドバイスをしてくれた、私にとってはいわば師匠的存在の人の一人で。
 仕事で行き詰まってたこともあり、名古屋からわざわざ東京のオフ会に顔を出したりしていた私に、私が井の中の蛙であることを思い知らせてくれた人たちの一人でした。

 その後、私は会社で職種が変わったこともあり、企業内部を向いた活動に力を入れるようになって異業種交流会的な活動からしばらく離れてしまうのですが、最近になって切込隊長のブログを見つけ、先日の議論に懐かしさを覚えてついトラックバックした次第でした。

 なんだか昔話が長くなりましたが何を言いたいかというと。

 特に私が印象的だったのは、先日の私の書き込みに対して切込隊長が返事を書いてくれたところ。
 翌日・翌々日の飲み会で「徳力さん、切込隊長からコメントもらってましたよね」と何名もの方に(驚きも含めて)言われたことです。

 個人的には、あの切込隊長のコメントは、私がニフティのフォーラム初心者だった頃と全く同じような感じで、懐かしいやら嬉しいやら一人で感慨に浸っていたんですが。

 周囲の反応はその当時とは全く異なっていたわけで(当たり前ですね)。
 フォーラム時代との、確実な時代の変化、ネットの影響力の増加の片鱗のようなものを感じてしまったわけです。

 そう考えると。
 切込隊長が書いているように、まだまだネットメディアや参加型ジャーナリズムが主流になるには欠けているものがあるのも感じますが、
 湯川さんの主張のように何かの技術がきっかけになって、どこかニッチな分野においてネットメディアがいい線いく可能性って、案外あるんじゃないかなぁと思ったりするわけです。

 なんだか相変わらず考えがまとまりません。

 とりあえず、自分がFPNをやっているのもあの頃のニフティのフォーラムに出会ったときの感動が忘れられないからかもしれないなぁ・・・と、そんなことを感じてしまった今日この頃です。

ココログ一周年に見るブログ事業者コラボレーション

いい感じ: ココログと私を読んで。

 kwmrさんのブログ経由で知ったのですが、ココログが一周年を迎えたそうです。


 その単体の出来事で言えば、別に取り立てて騒ぐ話ではないのですが、非常に興味深いのがココログの一周年記念キャンペーンに寄せられた激励のエールのメンツ。

 ココログでブログを書いている有名人が書いているのは当然ですが。
 なんとkwmrさんだけでなく、ライバルであるはずの主だったブログサービスの責任者のほとんどが名前を連ねています。
 

 Movable TypeつながりであるSix ApartとOCNの名前があるのは、まぁ、まだ分かるとして。
 その他にもBIGLOBEのウェブリブログ、はてな、ヤプログ、BLOCKBLOG、チャンネル北国tv、NAVERブログ、JUGEM、ドリコムブログといった面々が名前を連ねています。

 kwmrさんも書いていますが、「一つのサービスに閉じることなくコラボレーションする、ブログというプラットフォームをお互い切磋琢磨しながら拡大する、そんなことを仕掛けたい」という、まさにブログならではのイベントだったのかなぁと思いました。

 もちろん、ちょっと穿った見方もできます。

 kwmrさんは「サービス提供者が単独でマーケットを拡大することは難しいと感じていて、相互に競争しながら市場を拡大する...まさにブログ的な世界」とも書かれていますが、そういう視点で見るとココログのページには業界で主要なシェアを占めているはずの楽天、ライブドア、gooブログなどの名前がありません。
(ブログのシェアに関しては、BlogFan.ORGが11月のアクティブユーザー数を出しているほか、Bulkfeedでシェアのグラフなどがあり、ある程度想像することができます。)
 
 単純にNiftyとの付き合いの有無を表しているだけなのか、単独でも市場を十分拡大できると踏んでいるので、他社とのコラボレーションに興味が無いということなのか、どういうことなんでしょうね?

 
 なんにしてもkwmrさんが書いているように「黎明期を終えたブログは、次のステージへの移行過程にある。」と私も感じます。

 現在のブログブームは、はたして本物に変わるのか、プチバブルなのか。
 ブログサービスを提供している各事業者は今後どういった独自性を模索するのか。

 はたしてどうなるんでしょうか・・・?

New Industry Leaders Summit が生み出す新しい出会い

IT業界の経営者やVCが集結:「New Industry Leaders Summit 2004」が開幕 – CNET Japanを読んで。

 11月22日に、宮崎シーガイアで「New Industry Leaders Summit 2004」が開催されましたね。


 開催前にも色んな方からうわさが漏れ聞こえてきましたが、実に豪華なまさに「Summit」という名にふさわしいイベントだったようです。
 詳細については後日CNETでレポートされるということなので、楽しみに待っているのですが、ネットを検索したら結構当日の様子だとか経緯がわかりますので紹介したいとます。

VCはベンチャー経営にどう役立つか (CNET Japan)

宮崎のNew Industry Leaders Summit(西川さんの情熱起業列島)

New Industry Leader’s Summit (Log The Endless World)

New Industry Leaders Summit 2004 その1(minako’s blog)

 一般の人にはあまり知られていないイベントかもしれませんが、私の周囲では結構、このSummitについては呼ばれた呼ばれなかったで、一喜一憂している人がいたりとか、注目度の高さを伺わせます。
 何か新しい流れが始まりそうな予感と言えばいいでしょうか。
 
 
 昨日書いた76,77世代の中心人物である山岸さんがこのイベントの中心にいたり、やはり議論のモデレートの中心は西川さんだったりと、気になる点はつきないのですが。

 個人的にもっとも興味深いのは、このSummitの主催がCNETであることです。
 CNET社長の御手洗さんのブログでは下記のように書かれています。

最近公開市場ではネット企業のIPOが目白押しですが、ここ2~3年、個人的には新規ビジネスへの投資が先細っていた感を持っていました。今回はネット関連事業で大きな成功をおさめた経営者の方々や、ネット関連事業に興味をお持ちの投資家の方々が一堂に会して、最近のネット事業動向について意見を交わし、よりネット事業の興隆を促進しようということで開催したものです。

 御手洗さんとは良く今後のメディアはどうなるのか、みたいな話をすることがありますが、今回のSummitはその一つの方向性として実に楽しみです。

 なんだか参加メンバーとか内容を聞いていると、New Industry Leaders Summit は、今後のネット企業の中心というか重心になりそうな予感もしないでもありません。

 今後のビジネスって、こういう組織を超えた人々の出会いやつながりがますます重要になるんだろうなぁと言う思いを強くした出来事でした。
 参加された方々の今後の化学反応に注目したいですね。

76,77生まれはインターネット時代のエリート世代?

CNET Japan Blog – 梅田望夫・英語で読むITトレンド:インターネット時代のエンジニアの価値を読んで

 7月に、梅田さんの世代論がらみで76年前後生まれに世代の壁を感じると書いたことがありますが。


 その一員の伊藤直也さんが同じ趣旨のことを書いていたので、ますますその思いを強くしました。

改めて振り返ってみると、高林さんや宮川さんや私は年齢がほとんど離れていません。(中略)そして、彼らとよく話題にのぼるのが、ちょうど大学に入学したときにインターネットの波が押し寄せてきたのだということ。

 実は7月以降、私はすっかり76,77世代の研究家になってしまい、ストーカーのように追いまわしていたりしますが、一つ分かってきたことがあります。
 それは、この世代は、別に突然最近目を覚ましたわけではなく、ちゃんと生み出されたんだろうなぁ、ということです。

 この世代の中心と言われている人たちの中には、あのビットバレーの真っ只中を経験している人が多くいます。
 大学時代からネットやアルバイトを通じて、ネットエイジの西川さんやネオテニーのJoiさんなど、時代を切り開こうとしていた経営者を間近に見ていた世代です。
 
 彼らは大学の頃にITバブルを経験し、それを乗り越えた人々を身近に師匠なり反面教師なりとして見ていて。
 更に、それに刺激された同世代の人間が、次々に頭角をあらわすのに更に回りの人間が刺激され、激しい化学反応が繰り広げられていたんじゃないか。

 いわばインターネットの超エリート教育が、自然と発生する場だったんじゃないかなぁと思うわけです。
(って昨日書いていたら、今日伊藤直也さんが「人との出会い、不連続な成長が作るキャリアパス」で、同じ趣旨の話(もっと内容が濃いこと)を書いていました。いや、ほんとかないません。)
 
 
 エリートという言葉は好きではないので、あまり使いたくないのですが、例えばGREEの社長になった田中さんのインタビュー記事で、「GREEをどうするかの意思決定は、僕がする。そういう意味では、株式会社化しようがしまいが、まったく変わらない」という発言からは、親会社や他の投資家に主導権は握らせないという強い決意が伝わってきます。

 そういうところから、ネットバブルにのってアイデアに数億円が投資された時代とは違う経営者の気質を感じてしまうわけです。
 考えすぎですかね。

 ちなみに以前、グロービスの講演で、グロービスの堀さん、ハイパーネットの板倉さん、光通信の重田さんが、実は同世代の起業家仲間で、お互いの成功を励みにがんばっていたという話を聞いたことがあります。

 そういう意味では世代論自体はあまり意味が無いかもしれませんが、同世代の人間に、自分が身近だと感じられる仲間に、チャレンジしている尖った人間がどれだけ多くいるかというのが、非常に重要なことなんじゃないかなぁと思いますね。
 
 
 自分も自分の世代が谷間の世代なんて呼ばれないようにがんばらなければ・・・と思う今日この頃です。

好きこそブログの上手なれ

有名ブログ運営者が秘訣を語る「アフィリエイト・カンファレンス」を読んで。

 土曜日にアフィリエイト・カンファレンスに参加してきました。

 はてなの伊藤直也さんの講演に始まり、インターネットマガジンの西田編集長モデレートのパネルディスカッションも、メンバーが個性的な面々で非常に面白かったです。
 なんと言っても200人もの会場で熱気にあふれていて、実に個性的な面々が集まっていましたし、お会いしたかった色んな方にお会いできました。

 まぁ、当日の概要については記事を見ていただくとして、個人的に非常に印象に残ったのは、パネラーの皆さんの話す表情が活き活きと楽しそうなこと。

 
 「ブログ」と「アフィリエイト」というのがテーマだったので、もう少し金儲けのノウハウの話になるのかなぁと思ったら、やっぱり金儲けありきではなく、好きだから続くんだなぁというのが感想でした。

 なにしろ、ネタフルのコグレさんは朝6時に起きて更新に毎日3時間もかけてるそうですし、ことのはの松永さんは、なんとことのは以外にも7つもサイトを運営されているようです。はてなのnaoyaさんもブログを通じて本も書くことになり、転職することになり、今回の講演もすることになったと、金銭以外のメリットを強調されてました。
 まぁ冷静に考えれば当然ですよね、好きでなければあれだけの内容の濃いブログは書けないでしょうから。
 
 
 ちなみに、もう一つ強く印象に残っているのが「見たいもん」のいしたにさんが懇親会で言っていた言葉。

 「ブログとかで最近目立っている人っていきなり出てきたわけじゃなくて、歴史を振り返ると、実は過去にも同じようなことやってたりするんですよね」

 そう言われればそうなんですよね。

 ブログブームもあって、急にいろんな人が出てきたように言われますが、実はそういう人たちって昔からメルマガを書いてたり、ウェブサイトを作ってたり、フォーラムで活躍してたりしてるんですよねぇ。

 そういう意味では、アフィリエイトの普及によって、ようやく好きなことを極めると、ついでに少しお金がもらえるような時代がやってきた、と言った方が良いのかもしれませんね。