iPhoneショック (林 信行)

iPhoneショック ケータイビジネスまで変える驚異のアップル流ものづくり 「iPhoneショック」は、Apple関連に非常に強いITジャーナリストとして知られる林 信行さんがiPhoneが業界に与える影響についてまとめた本です。
 献本をいただいていたので、遅ればせながら読書メモを書いてみました。
 iPhoneについては、日本ではまだサービスが開始されていないこともあり、その端末側の機能やデザインに主な注目が集まっていますが、やはりこの本で語られているように通信業界や携帯電話メーカーに対して与えるインパクトの大きさも忘れてはいけない重要な要素だと思います。
 特に個人的に注目しているのは「上納金」と呼ばれる回線収入のレベニューシェアモデル。
 ソニーの出井さんが昔、ソニーがどれだけインターネット向けの端末を一生懸命作っても、結局最後はNTTが毎月の利用料という形で儲かることになる、という趣旨の発言をされていたことがあったと思いますが、インターネットの登場により、ソフトウェアがサービス化したのと同様、今後はハードウェアもサービス化することは十分あり得ると思っています。
 その課程で当然問題になるのがビジネスモデル。
 現在の売り切り型のビジネスモデルだと、メーカーは端末を頻繁に買い換えてもらう必要があり売った後の端末のサービスは全てコストになってしまいます。
 これが、回線収入のように毎月のサブスクリプションモデルであれば、顧客は長期的につきあう利用者となり、端末内のソフトウェアのアップデートや利便性の向上などもすべて利用を継続してもらうための積極的なサービス追加となり、これはメーカーと利用者の関係を大きく変える可能性があると思っています。

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毎年、5冊以上の本をコンスタントに出版する方法

power_logo.png あいかわらず、インタビューされる方の迷惑も顧みずに続けているパワーインタビューですが、第六弾となるインタビューをブログラボに公開しました。 
 今回は、書籍「グーグル」や「フラット革命」などで有名なITジャーナリストの佐々木俊尚さんに、お時間をいただいたのですが、あまりに話の内容が濃かったので、一本に短くするのがもったいなくなり、前編、後編に分けてみました。
IT ジャーナリスト 佐々木 俊尚さん インタビュー Part1
 前編となるPart1では、主に佐々木さんが、なぜこんなに続けて本を出すことができるのか?というあたりを中心に聞いています。
 
 以前、みたいもん!のいしたにさんが「『ネット未来地図』佐々木俊尚さんのスピードについていけてません!:[mi]みたいもん!」という記事を書いていたことがあるのですが。
 それぐらい佐々木さんの最近の執筆ペースは異常に速い印象があります。
 なにしろ、単著だけで年間5冊は書いていて、それ以外にも共著本とかネットのコラムとかブログとかも複数書いているんですから、いしたにさんが「佐々木さんの執筆スピードにぼくの読書スピードがおいついていかないんですけど」というのも納得。
 私自身、本を何度か書いたことはありますが、それぞれ書くのに数ヶ月から1年かかり、心身ともに疲弊しきった記憶がありますので、正直佐々木さんのペースは超人的に写ります。
 ただ、インタビューの中でも出てきますが、佐々木さんからすると実は年5冊程度の執筆ペースというのは、もう数年間続けてきた習慣のようなもののようです。

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ウェブ時代をゆく (梅田望夫)

ウェブ時代をゆく ─いかに働き、いかに学ぶか (ちくま新書 687) 「ウェブ時代をゆく」は、昨年11月に出版された梅田さんの本です。
 完全に周回遅れどころか、三周回遅れぐらいなのですが、読書メモを書いていたので公開しておきます。
 Amazonの本の紹介に『ウェブ進化論』完結篇と書かれているように、この本はウェブ進化論から始まった梅田さんのウェブ時代論において、では、私たちはどのようにこれからの日々を生きていくべきなのかという点にフォーカスした内容になっています。
 個人的に特に共感したのは、「もうひとつの地球の創造者はグーグルだけではない」というくだり。
 最近、仕事の関係でいろんな業界の人と話をすることが増えましたが、インターネットを作り上げていく自分に、自分も参加していると感じているかどうか、というのが価値観の一つの大きな分岐点になっていると感じています。
 
 個人的には、ブログとかmixiとかを使ってみることから初めて見てもらえば、新しい価値観の人が増えていくのではないかと期待していたりするのですが、大企業においてはそれらのツールがアクセスが禁止になっていたりするところも多く、なかなか難しいなーと感じるところもあります。
 
 ちなみに、最後の方に「皆が「この人から学びたい」と思う尊敬する知人を一人選び、「皆で学ぶ」ためにその人にブログの開設を促せば、それだけでも日本語のネット空間は知的な豊穣さが増してくるだろう。」という提言もありましたが、これは自分でも是非促進されるように何かで挑戦してみたいところです。
 
 梅田さんのブログを普段から読んでいた人であれば、復習本的な位置づけの本になると思いますが、ウェブ時代における行動スタイルを考える上で良いまとめになると思いますので、まだ読んでないという方は是非どうぞ。

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次世代広告コミュニケーション (横山 隆治 他)

次世代広告コミュニケーション 「次世代広告コミュニケーション」は、CNETでコラムを書かれている横山 隆治さんや、インターネット広告のひみつの太駄 健司さんなどADKのメンバーが中心に執筆されている広告の未来を考察した本です。
 献本を頂いたにもかかわらず読書メモを公開し忘れていたので、遅ればせながら公開しておきます。
 個人的にもAMNで広告業界に関わるようになってようやく1年が経過したわけですが、これまでのマスマーケティング的な広告手法とインターネットを使った広告手法の間に大きなギャップを感じています。
 そのギャップを、大手広告代理店であるADKの視点から総合的に解説している本という意味で、この本は非常に勉強になります。
 特に、「広告コミュニケーション」と広告単体でなくコミュニケーションという双方向のキーワードで表現しているのは、興味深く、「プッシュ型からプル型のコミュニケーション開発へ」とこれまでのテレビCMとWebサイトではコミュニケーションの方向が反対であるというのは、あらためて考えさせられるポイントでした。
 
 ちなみに、面白かったのが、ブロガーに商品を送るときの5原則として紹介されていた要素の5番目の「書いてくれなかったとしたら何か事情があるはず。そっとしておこう」。
 ブロガー向けサンプル配布で、ブロガーが記事を書いてくれないと、何で書いてくれないのか?という話になるというのはありがちですが、ここをそっとしておくことができるかどうか、というのは一つ難しいポイントになりそうです。
 
 インターネットマーケティングに関わる方は、是非読むことをお勧めします。

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白州で教わった、日本には日本ならではのやり方があると言うこと。

 土曜日に、AMNの関連でサントリー白州蒸溜所「シングルモルトウイスキーセミナー」体験イベントに参加させて頂きました。
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 通常は、AMN主催イベントだと司会や裏方でレポートどころではないのですが、今回は普段からサントリーさんが開催されているセミナーにAMN経由でブロガーの方々をご紹介という形だったので、私も一参加者としての参加です。
 なお、白州蒸留所では、普段から直接蒸留所に来られた方に無料で工場見学のツアーを実施されているそうなのですが、今回はAMN連携企画で特別に、はとバスをセッティングいただきました。
 白州蒸留所に黄色のはとバスが泊まっているのが何とも不思議な絵だったりします。
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 ちなみに、個人的には、昔製造機械系のメーカーの営業をしていたこともあって、工場というとどちらかというとオイルやペンキで汚れているイメージがあったりするのですが、白州蒸留所はそういったものとは無縁。
 飲料を扱う工場だけに、それぞれの設備は清潔そのもの。
 どちらかというと工場と言うよりは、ディズニーランドのような雰囲気の場所でした。
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【社会見学中らしき子供達】
 シングルモルトウイスキーセミナーでも、白州と山崎の10年12年18年という6種類の飲み比べに挑戦。
 18年のような熟成年数の長いウイスキーは、素人でも分かるぐらい別物だというのを体験することができました。
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(もちろん、18年ものなんてなかなか気軽に買うことはできないわけですが、何かのお祝いに何とか買ってみたいものだと強く思ったり・・・)
 自分にとって、ウイスキーに対する印象が大きく変わった一日になったのは間違いありません。
 まぁ、実際のイベントの様子や雰囲気は、是非他の方々のレポートを見ていただくとして。

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NHKの語学講座にも、もっと横のつながりがあって良いのかも

『学習会議@NHK』ではどんな準備をしていたのか? | IDEA*IDEAを読んで。
 先週、NHKさんで実施された学習会議に参加してきました。
 当日は、大幅に遅刻してしまった上に、春からの中国語講座で司会を務めるリーさんとローラ・チャンさんがサプライズで登場してきたことに全ての印象がすっ飛んでしまい、二人の記憶しか残っていないというのが正直なところなのですが。
 
 後半のグループワークで感じたのが、語学学習における仲間の必要性。
 実は、私は一時期海外旅行に目覚めた頃、NHKの深夜の語学講座でイタリア語とか中国語とかをワンシーズン見てしまっていたことがあります。
 まぁ、もちろんワンシーズン番組を見たぐらいで、その言語を話せたりするようになったりはしないわけですが、その頃に強く感じていたのが孤独さ、です。
 ある講座の回を見て、何かのフレーズを覚えたとしても、当然そのフレーズを使う機会というのは海外旅行にでも行かないと無いですし、覚えた喜びを共有する相手もいません。
 でも、本来語学ってコミュニケーションのためにある手段な訳ですから、今回のイベントのように対面のコミュニケーションとして学んだ方が、楽しいし実際に身についたりするんだと思うわけです。
(もちろん、今回のイベントではタレントさんだから、というか、ローラ・チャンさんだったから楽しかったという説もありますが。)
nhk_gogaku.jpg(反射的に動画撮影をしたのですが、あえなく公開NG。数少ない写真の一枚がこちら)
 そういう意味で、今後のNHKさんに是非期待したいなーと思ったのが、テレビ番組で刺激された人たちの受け皿としてのネットの活用。
 現在もゴガクルというサイトが存在するようで、ネット上のコンテンツもかなり充実しているのですが、せっかくならここでもっと横のつながりが出てくると面白いような気がします。
 特にこの分野には昨年末から一気に注目度を増したiKnowという存在がありますから、彼らのアプローチはかなり参考になるのではないかと思います。
 日々の学習行動を点数化することで達成感を増したり。
 友達同士の点数を可視化することで、競争心をあおったり。
 言語ブログ的な仕組みで、利用者同士の助け合いを支援したり。
 もちろん、これまでNHKさんがやってきた「語学講座の番組作り」という立ち位置からは相当離れた分野の事業にはなってしまいますが、NHKの語学講座を単なる番組ではなく、それぞれの語学を学習するための活動を支援する事業という位置づけとして考えれば、案外相性は良いのではないかなーと思ったりします。
 それにしても、久しぶりに中国語に触れて、また北京桂林への旅行したい熱が再燃してしまっている今日この頃です。