人材開発マネジメントブック (福澤 英弘)

4532490464 「人材開発マネジメントブック」は、株式会社アダットの社長をされている福澤 英弘さんの書籍です。
 献本を頂いていたのですが、読書メモを書けてなかったので、書評抜き読書メモを公開させて頂きます。
 福澤さんは、私がグロービスに初めて通ったときの講師でもあるのですが、現在はAdatという研修プラットフォームを提供されていたりします。そういった企業の人材開発のプロとしてのノウハウがこの本で丁寧にまとめられているので、組織の人材開発について悩んでいる方には参考になる点が多い本だと思います。
 個人的には、終わりの方で「近代組織」を野球チームに、「場的組織」を演劇集団に例えているのが、先日書いたシルクドソレイユの話とシンクロしていて、非常に印象的でした。
 この「場的組織」という概念は、「ウィキノミクス」や、「クラウドソーシング」的な組織感や、「経営の未来」で書かれているような新しい経営の視点とも重なる点が多いような気がします。
 
【読書メモ】
■戦略的マネジメントの3要素
・ミッション・経営戦略
・組織構造
・人的資源管理(HRM)
■人材のマネジメントに関しては、日本企業が保持していたエッセンスを、アメリカ企業が合理的に解釈し体系化したものがHRMだということもできる。
■インサイダー・システムからアウトサイダー・システムへ
・インサイダー・システム:経営者と従業員という少数の内部関係者が会社を支配するシステム
・アウトサイダー・システム:多数の外部関係者が支配する
■日本企業の人材開発の5つの変化
・人材開発と経営戦略のリンク
・人材開発機能の「綜合化」
・事業ラインの人材開発機能強化
・集合研修とワークプレイス・ラーニングの強化
・ラーニング・デザインの高度化
■学習する組織の条件 (「最強組織の法則」ピーター・センゲ)
・自己マスタリー
・メンタル・モデルの克服
・共有ビジョンの構築
・チーム学習
・システム思考


■学習の成果としての能力
・知識:関連する事実を知っていること
・スキル:訓練によって実際に体現できる技能
・メタスキル:作業の状態を認識し、何らかの変化があれば修正する知識や技能
・態度:対象に対する選択に影響を及ぼす内面の状態
■態度を変容させる3つのアプローチ
・ロールモデルの存在
・学習させたい態度へ変容することへのインセンティブ
・態度を変容することを促す環境を整備し、用意すること
■研修とは何か
・組織にとっての「正しい知識」を転移する場:学習転移モデルから
・経験から学ぶことを支援する場:経験学習モデルから
・常に批判的に思考する癖を確認、修得する場:批判的学習モデルから
・現場で実践しながら学ぶ活動を支援する場:正統的周辺参加モデルから
■講師の4つのタイプ
・知識授与+構造化重視:先生タイプ
・知識授与+流れ重視:研究者タイプ
・知識・思考を引き出す+構造化重視:ファシリテータータイプ
・知識・思考を引き出す+流れ重視:コーチタイプ
■近代組織と場的組織
・近代組織:プロ野球チーム、勝つことがゴール、名誉と収入がエネルギー
・場的組織:演劇集団、満足感がゴール、共振する喜びがエネルギー
■場的組織を活性化させる条件
・対話力のある開かれた個人(想像力と感受性)
・情報の透明性が高い(自由と信頼)
・多様性を常に保つ

4532490464 人材開発マネジメントブック―学習が企業を強くする
福澤 英弘
日本経済新聞出版社 2009-02

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