「オバマ」のつくり方は、実際にオバマの大統領選挙チームに携わったラハフ・ハーシュさんの書籍です。
献本を頂いていたのですが、読書メモを書けてなかったので、書評抜き読書メモを公開させて頂きます。
オバマの大統領選挙は、「オバマ現象のカラクリ」や、「YouTube時代の大統領選挙」にも描かれているように、ネットやソーシャルメディアを効果的に活用した選挙だったといわれています。
が、実際に日本に住んでいる立場からでは、具体的にどのようにソーシャルメディアが活用されていたのかと言う点については、細かいところはよく分からないというのが正直なところでした。
それがこの本では、ここまで書いてもいいんですか?というぐらい詳細に、オバマの選挙チームがいかにソーシャルメディアを活用して有権者を巻き込み、うねりを作っていったのかと言う背景や仕組みが説明されています。
メールの送りかたから、インセンティブの付与の仕組みまで、一つ一つが実に良く考えられた仕組みになっており、なるほどこれはあれだけの大きな波になったわけだ。と、今まで雰囲気でしかつかめていなかったものの詳細が見えてくる感じです。
タイトルがタイトルだけに、マーケティングに関係ないと思う人が多いかもしれませんが。
実はこの書籍は「グランズウェル」やブログスフィア」同様、ソーシャルメディアの可能性を教えてくれる書籍です。
ソーシャルメディアを活用したマーケティングに携わる方であれば、読んで損のない本だと思います。おすすめです。
【読書メモ】
■オンライン・コミュニティのつくり方
1・既存のグループを活用する
2・メッセージを行動に移す
3・「正しい」インセンティブを与える
4・体験のパーソナル化
■マッチング・ドナー
誰かが献金するときに、その人の献金と同額の寄付を行うサポート役の献金者のこと。それによって献金額を2倍に増やし、献金したいという人々の意欲を高める効果がある。
■資金調達のための新しい形式の夕食会
特定の週に25ドル以下の献金をしてくれた人の中から4人を選び、オバマとディナーを共にしながら地域の問題を話しあうチャンスを提供する
■もっとパーソナルなアプローチ
オバマ本人がベストアンサーの投稿者に電話をかけ、彼女の回答について数分間1対1で話した。
■より強固なコミュニティのつくり方
1・イベントを仕掛ける
2・自分たちのペースに引き込む
3・オンラインからオフラインへ
4・正直かつ率直に語る
■親愛なるアイオワへ
全米中の支持者がBarackObama.comにアクセスして、戦いの最前線で汗を流すアイオワの選挙区リーダーやボランティアに励ましと感謝の言葉を書き込む運動
■論争をリードするためのコミュニティの活用方法
1・小さな努力のパワー
2・ピンチをチャンスに変える
3・ユーザに手本を示す
4・やる気のある人に仕事を任せる
■フォンバンク・ツール
公式SNSのMyBOにログインしてから、特定の州を対象にした電話勧誘キャンペーンに参加を表明するだけ
■「より完璧な連邦」演説
動画に演説の全文テキストを添付して公式ブログや様々なSNSに投稿。さらに公式ブログの担当者は演説に対するマスコミや一般の反応を紹介し、コメントや反論を募集した。
■クリントン支持者に和解の手
登録ユーザーにクリントンへのメッセージの投稿を呼びかけ、予備選への立候補とオバマへの支持表明に感謝の言葉を書き込むよう促した
■オバマ・フェローシップ・プログラム
希望者を全員向け入れるのではなく、フェローを選抜制にして「選ばれるのは名誉なこと」という位置づけにした。
■ソーシャルメディア戦略成功のポイント
・カスタマイズしたメッセージ
・ネット上の選挙運動
・新しいテクノロジーの出現
・イノベーションの前提条件
■支持グループ別のロゴを作成
・それぞれの支持グループが大きな全体の一部だと言うことを明確に表現できる
■サイト制作のポイント
1・ユーザー・テストは必須
2・素早く何度もリリースする
3・文書に記録して「組織の記憶」を保つ
■MyBOを魅力的にするための戦略
1・ユーザーに目標を意識させる
2・ユーザーを「その気」にさせる
3・クリエーティブな活動を促す
■個人の資金集め用ページ
集金目標の達成度が温度計型のメーターで表示される
ユーザーが「自分の言葉で」オバマを支持すべき理由を訴えられるようになっていた
■アクティビティー・インデックス
ユーザーが参加した活動の種類を明確にし、ユーザーの活動レベルを10段階に格付けした。ただし、最近の活動だけが格付の計算に反映されるようにしたのだ。
■オバマ・ファミリー・クックブック
MyBO登録ユーザーに協力を呼びかけ、1ヶ月かけて160のエピソードとレシピを集めると、オンライン・クックブックにまとめてブログで公開した。
このレシピ集は誰でも無料で閲覧できるが、マリアはできる範囲での献金を呼びかけた。
■N2N(ネイバートゥネイバー)が成功した理由
支持者による電話勧誘や戸別訪問をオバマ選対がネット経由でサポートするフォンバンクシステム。
1・ユーザーが気楽に参加できる環境を整える
2・小規模な活動を頻繁に実施する
■メール・チームが力を入れたポイント
1・目的を明確にして行動を呼びかける
2・メッセージ性を持たせる
3・モチベーションを与える
4・身近な話題を含める
■エスカレート作成
地域イベントに参加申し込みをした人には、そのイベントのボランティをしないか聞いてみる。ボランティを引き受けた人には、自宅で電話勧誘をしたり資金集めのイベントをしないか聞いてみる。
■携帯メール戦略のポイント
1・いつでもユーザーに選択肢を与える
2・対話を生み出す
3・移動先でも参加してもらう
■MyBOの認知度を高めたポイント
1・人間味のあるエピソードを紹介する
2・古い機能を新しい方法として使う
3・ネットワークの入口を作る
4・主役はユーザー
「オバマ」のつくり方 怪物・ソーシャルメディアが世界を変える 杉浦茂樹 阪急コミュニケーションズ 2009-12-16 by G-Tools |