マキコミの技術 (コグレマサト、いしたにまさき)

4844329588 「マキコミの技術」は、「クチコミの技術」や「ツイッター 140文字が世界を変える」の共著でお馴染みのコグレさん、いしたにさんが書かれた書籍です。
 献本を頂いたので、書評抜き読書メモを公開させて頂きます。
  
 この本は出版社こそ違いますが、二人が共著として初めて手がけた「クチコミの技術」の続編という位置づけの本。
 5年以上ブログを書き続けているブロガーである二人ならではの視点から、いわゆるソーシャルメディア時代のマーケティングのポイントを「マキコミ」という視点から描いています。
 「クチコミの技術」は、私自身、AMNに完全に活動の軸足を移すかどうか悩んでいるときに非常に刺激になった本であり、活動でした。「マキコミの技術」は、そんな二人からの続編ということで個人的にも楽しみにしていたのですが、あらためて自分がAMNで表現したかった、企業に取ってのソーシャルメディアの価値や可能性を再確認することができました。
 ある意味、ブログやツイッターを通じて周りの方々を巻き込みつつも、結果的に自分たちの想像をこえる大きなうねりに巻き込まれることを楽しんできた二人ならではの本だなぁと感じます。
 ソーシャルメディアを活用したマーケティングに携わる方に取っては、参考になる点が多々ある本だと思います。
 「クチコミの技術」や「グランズウェル」、「ビジネス・ツイッター」と合わせてお読みください。
【読書メモ】
■ここ1~2年の間に、ネット上での会話から直接リアルの行動につながることが増えています。少し前までと違い、最近はパソコンのモニターやアイフォーンの画面のすぐ先に、ダイレクトに人とつながっているような感覚があります。
■ツイッターによって日常生活に変化を感じている人は、ぼく以外にも多いはずです。身近なところでいえば、突発的な飲み会の回数が増えました。
■ツイッターでは、全員が読者であると同時に発信者でもあり、「多対多」の複雑な関係を避けることのほうが難しくなります。
■周囲を「巻き込む技術」の重要性を感じている人は多いでしょう。
 一方で、周囲にうまく「巻き込まれる技術」も無視できません。


■本書の執筆にあたり、いくつかの企業に取材を行っていますが、どこの企業でも口々に語られるのは「お客さんやブロガーに巻き込まれた」ということです。
■成果へつなげるためのコツ
・コツコツ「継続」によって土台を作る
・コミュニケーションは「ギブ&ギブ」の精神で
・敏感に「変化のきざし」を見つけ、対応する
■ソーシャルメディアでの活動の成果は「自分が作成したコンテンツ×自分を紹介するコンテンツ(評判)」という形で大きくなっていきます。
■日産自動車のTIIDAブログについてのインタビュー
「(TIIDAブログの)販売への直接の効果は、正直に言うとわかりません。でも、これは他の広告も同様で、販売店からの声などから推定するしかないです」
「ただ、ティーダについては、ウェブをきっかけにして、多くの人が販売店に行ってくださったことはわかっています」
「また、もともとはブログでネタになっていた「日産でいちばん売れている車」という言葉が、テレビCMのコピーになり、さらに販売店での口説き文句にして良く使われるようになった、ということもありました」
■日産自動車のモーターショーでのツイッター活用について
「当時、国内のマーケティングと広報は、ウェブの分野ではそれほど連携していませんでした。しかし、これがきっかけとなって広報の勉強会でマーケティングの担当者がソーシャルメディアについて話したりして、ソーシャルメディアでは会社全体の総合力が試されるなと、改めて認識することになりました」
■ブログなどを「継続」してネットで自分の存在を確立できたら、次は「つながり」を作り、育てていく番です。
■ツイッターは、世界中のユーザーと知り合える一方で、小さなエリアでのコミュニケーションを盛り上げることもできるサービスだと言えます。
■サントリーのハイボールへの取り組みについてのインタビュー
「白州蒸溜所見学で実施したシングルモルトセミナーのブロガーイベント(2008年3月)のときに、ちょっとしたおまけとして「すごいハイボールの作り方」のレクチャーをさせていただきました。
 それが皆さんの琴線に触れたようで、参加頂いた方々の多くのブログで「すごいハイボール」について言及していただき、非常に盛り上がりました。これは全く予想もしていなかったことでしたが、チャンスを頂いたと思って、盛り上がりについていったという感覚です。」
「(ハイボールナイトについては)社内でもどのような効果があるのかと議論がありました。ただ、「なんとかウイスキーを復権したい」という思いもあって、最終的には「やってみましょう」となりました。ハイボールナイトの開催にあたっては、広報だけでなく社内の各部門を巻き込んだ、社内挙げてのイベントとなりました。」
「「こういう活動の積み重ねが大事なんだろうな」という声を、参加した社員の何人かから聞きました。ブログを読むだけでなく、イベントの現場に行くことで、ネットの向こうに生にも人間がいることを実感できたと感じています。」
■「マスメディアでのコミュニケーションは、一言のキーメッセージを決めるのが基本となります。一方で、ブロガーの皆さんはどこに反応されるのか予想がつかないので、いろいろな訴求ポイントを提供するようにしています。そして、一方的に訴求するのではなく、ポイントをお知らせして、反応を伺う、会話していくというスタンスが大切ではないかと考えています。」
■よく知られるのは豚組はツイッターでの予約ができることですが、そもそもは「ツイッターで予約できればいいのに」というユーザーの要望に応えてのことでした。
■日産もサントリーも、それ以外も、ソーシャルメディアにおける活動だけで成果を出している企業は、ほとんどありません。
 ソーシャルメディアはマスメディアやリアルに替わるものというよりも、それらをつなげていくパイプのようなものだと考えるべきです。
■成功した企業に話を伺うと「予想外にも」「意外なところで」といった言葉がよく聞かれます。しかし、こうしたコメントをする企業が、単なる偶然で成功したわけではありません。「予想外のこと」に敏感に気づき、それに適切に対応する力があったからこそ成功できたのです。

4844329588 マキコミの技術
コグレマサト いしたにまさき
インプレスジャパン 2010-12-17

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