メッシュ (リサ・ガンスキー) には、現在話題になっている「シェア」と呼ばれている現象の本質を考えるヒントがあると思います。

4198631174 「メッシュ」は、副題に「すべてのビジネスは〈シェア〉になる」と入っているように、いわゆる「シェア」的な現象について考察している書籍です。
 献本を頂いたので、書評抜き読書メモを公開させて頂きます。
 小林さんが監訳に携わった「シェア」が話題になったこともあり、今年のテーマの一つは「シェア」というキーワードだと思いますが、この書籍ではそういった「シェア」という現象をメッシュという網目状のつながりという視点から考察されています。
 シェアというキーワードが一人歩きすると、単純に一人一人のシェアをイメージしてしまうかもしれませんが、トップダウンの文化に慣れている方だと意外にシェア現象の本質が理解できない気がしています。
 実際にはインターネットという網目状のネットワークの発展により現在のボトムアップでのシェアの現象が発生し、社会に大きなインパクトを与えているのでメッシュという視点は非常に本質的だと思います。
 これからインターネットやソーシャルメディアが引き続き起こしていくである変化について真剣に考えたい方には参考になる点が多々あると思います。
【読書メモ】
■メッシュ・ビジネスの特徴
・核となる提供物が、一つのコミュニティや市場、価値連鎖の中で「シェアされる」
・利用状況を追いかけ、顧客データや製品情報を集計する
・シェアできる有形のモノに重点が置かれている
・クチコミで伝えられ、SNSによってより広範囲に伝達される
■フル・メッシュ
 シェアするものに資本を投資し、情報ネットワークを利用した小規模な貸出を仲介することで利益を得る
■オウン・トゥ・メッシュ
 モノを所有している人がシェアする相手を簡単に見つけ、シェアによって利益を得るようなプラットフォームをつくる

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クラウドソーシング (ジェフ・ハウ)

4153200018 「クラウドソーシング」は、ワイアードのエディターのジェフ・ハウ氏が書かれたクラウドソーシング考察の書籍です。
 献本を頂いていたのですが書評を書けていなかったので、書評抜き読書メモを公開させて頂きます。
 昨日の日経ビジネスオンラインのコラムにも書きましたが、クラウドソーシング的な取り組みはこれまであまり日本では機能していなかった印象がありますが、今回の震災で少し雰囲気が変わってきた気がします。
 
 昔同名の「クラウドソーシング (バリー・リバートほか)」という書籍も紹介しましたが、あちらの本が事例集的な位置づけだったのに対し、こちらの書籍はクラウドソーシング現象自体の考察本という位置づけです。
 これからの日本におけるクラウドソーシングの可能性を真剣に考えたい方には参考になる点がある本だと思います。
【読書メモ】
■クラウドソーシングは、産業時代を席巻していた流れ作業方式をよしとする思想、フォーディズムの対極にあると言える。
■クラウドソーシングでは、参加者は金銭をおもな動機とせず、余った時間を提供することだ。彼らは、余剰能力、すなわち「スペアサイクル」を提供し、自分の好きなことに没頭するのである。
■クラウドソーシングが生まれる豊かな土壌を作ったのは、四つの進歩である。
・アマチュア層が増加したこと
・新しい生産方式が登場したこと
・インターネットと安価なツールが普及したこと
・オンラインコミュニティの進化

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「自分ごと」だと人は動く (博報堂DYグループエンゲージメント研究会)

4478008728 「自分ごと」だと人は動く、は、博報堂DYグループエンゲージメント研究会が出された書籍です。
 献本を頂いたので、書評抜き読書メモを公開させて頂きます。
 広告やメディア業界がインターネットによって大きな変化を受けるというのは良く言われている話ですが、この書籍では大手広告代理店である博報堂DYグループならではの視点で市場の変化について考察されていますので、現在の変化の本質について考察したい方には参考になる点がある本だと思います。
【読書メモ】
■網衆(もうしゅう)
 人間は一人一人の存在であって、それが他の人とネットワーク的につながっている状態
■メディア環境の変化
・情報量の増大
・いつでも、どこでも情報が手に入る
・誰もが情報の編集者
■レッテルからタグへ
 レッテルは一度貼られたら、なかなか剥がすことができません。
 タグは取ることもできる軽い札。また一人につき、何枚でも自由にぺたぺたと貼れる。

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きっと、私たちは日本を良い方に変えられる。実感できるようになってきた日本のソーシャルメディア を日経ビジネスオンラインに投稿しました。

nbo_logo_leaf.gif 日経ビジネスオンラインで連載を行っているコラム「企業と顧客を結ぶソーシャルメディア」に新しいコラムを書きました。
 今回は、前回のコラムで取り上げたポイントの中から「利用者によるコラボレーション
についての部分を中心にまとめてみました。
 今回で一旦震災関連コラムは終わりにしたいと思い、あえて批判を覚悟でポジティブにまとめてみました。
 不明点や不足点等ありましたら、記事の方でもこちらのブログでも遠慮無くご指摘下さい。
きっと、私たちは日本を良い方に変えられる! 実感できるようになってきた日本のソーシャルメディア
「以前、このコラムでは「大震災で明確になった~ ソーシャルメディア3つの「限界」と4つの「可能性」」という回でソーシャルメディアの持つ力を「限界」、「可能性」の両面から分析しました。その中で、前回は「限界」の中でも特に「デマ」に注目しました。
 今回は、ソーシャルメディアの「可能性」の中から「利用者によるコラボレーション」に焦点を当ててみたいと思います。」
※このコラムでは、カンバセーショナルマーケティングの講演資料でまとめている話の掘り下げだとか、実際にソーシャルメディアを活用したマーケティングの事例を分析する形で書いていければと思っています。
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Facebook転職の呪文で、手軽に5000人のファンがいるFacebookページを量産しようと思っても、多分無駄な件について

 先日、Facebook転職の呪文で、友達が5000人のリミットに近づいたFacebookアカウントをFacebookページに変更したわけですが、一部の方にはもう2度とFacebookアカウントを徳力は作れなくなったんではないかとご心配をおかけしてしまったようですいませんでした。
 もちろんFacebookはメールアドレスさえあればアカウントは作れるので、その後新しいメールアドレスでFacebookアカウントを作り直してみてます。
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 ただ、前回のアカウントは2007年に作ったというのもあり、Facebookは日本で流行らないと思って、東南アジアの全く面識の無い方々からの友人申請を承認しまくってしまったので、今回のアカウントは昔のGREEやmixiの時と同様、面識のある方とだけつながろうということに決めました。
 面識の無い方からの友達申請は保留してますので、ご理解下さい。
 で、一般的なFacebookユーザーの友達数が150人ぐらいという噂を聞いていたので、今回の新アカウントはそれぐらいに押さえてみようと思ったのですが。
 自分でも先日気がついてビックリしたんですが、もう既に二週間でフレンド数が600人超えちゃってるんですよね。

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トルネード (ジェフリー・ムーア) は、「キャズム理論」や「イノベーションのジレンマ」を本気で理解したい方には必読書だと思います。

4903212238 「トルネード」は、キャズム理論の「キャズム」でも有名なジェフリー・ムーアの書籍です。
 献本を頂いたので、書評抜き読書メモを公開させて頂きます。
 日本でも「キャズム」は非常に有名ですが、実はジェフリー・ムーアの書籍は続き物で、キャズムに続く二冊目がこの「トルネード」です。
 原題は、一冊目が「Crossing The Chasm(キャズムを超える)」で二冊目が「Inside The Tornado(トルネードの中へ)」で三冊目が「Gorilla Game(ゴリラゲーム)」という完全なシリーズもの。
 私も初めて原著を読んだのがもう10年以上前なんですが、日本では一冊目を翔泳社がヒットさせたものの、二冊目・三冊目は別の出版社が翻訳を担当し、あまり注目されずに終わった過去があります。
(その後、「ライフサイクルイノベーション」は久しぶりに翔泳社が翻訳を担当し、ある程度ヒットしたようですが。)
 その二冊目の「トルネード」を今回新たに明確にキャズムの続編として打ち出して再出版されたのが今回の書籍になります。
 私も久しぶりに改めて読んだのですが、やはりジェフリー・ムーアならではの分りやすい比喩の元に表現される理論は分かりやすく参考になる点が多々あります。
 特にいわゆるキャズムを超えようとする技術の普及が足踏みしているタイミングと、この本でトルネードと呼ばれる急速な技術の普及期において、企業側に求められるコア要素ががらりと変わるというのは意外に知られていない重要な視点だと思います。
 テクノロジーの登場時には中心にいたはずの企業が、そのサービスが一気に普及するタイミングになると、一件質の悪そうな他事業者に市場を一気に持って行かれてしまうというシーンは日本のIT業界でも良くある光景のような気もします。
 ハイテク業界での新規事業に取り組む人にとっては「キャズム」「イノベーションのジレンマ」と並んで、今でも必読書の一つと言える本だと思います。
【読書メモ】
■ライフサイクルが次の段階へ進んだときには、戦略を多少変更する程度では足りない。勝つためには、むしろ以前とは正反対の戦略をとる必要がある。
■ビジョナリーは「将来的に有用になる」ことを予想して賭に出るが、実利主義者は「すでに稼働中」という実績を求める。
■マーケットの六段階
・初期市場
・キャズム
・ボウリング・レーン
・トルネード
・メイン・ストリート
・終焉

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