瞬間説得 (ケヴィン・ダットン)

瞬間説得―その気にさせる究極の方法 「瞬間説得」は、説得のメカニズムについて考察している書籍です。
 献本を頂いたので、書評抜き読書メモを公開させて頂きます。
 この本では、いわゆる説得というものは論理的なものではなく、瞬間的な印象によって影響されている点が多いのではないかという考察をされていますので、普段ついつい相手を説得するために長々と話してしまう人には参考になる点がある本だと思います。
【読書メモ】
■赤ちゃんに備わった社会的影響力を持つ鍵刺激
・すぐれた音響効果の泣き声を出す能力
・悪魔的な愛らしさ
・視線を合わせたときに催眠術をかける能力
■説得が上手くいくかどうかを予測する一番のポイントは、視線を合わせること
■情報を与える順序次第で、人の考え方は変化する

続きを読む 瞬間説得 (ケヴィン・ダットン)

震災後の今だからこそ、日本人が新しいチャレンジをするかどうかが問われているという話。

 先週、日経BPさんから出版された「スティーブ・ジョブズ 驚異のイノベーション」の著者であるカーマイン・ガロさんの来日記念イベントが開催されました。
 私も夜の部の司会として参加させて頂いたのですが、非常に印象に残ったことがあるので、ブログにメモしておきたいと思います。
stevejobs_garo.png
 ガロさんのプレゼンやお話しについては、さすがスティーブ・ジョブズのプレゼンの著者の方らしく非常に引き込まれる内容だったのですが、個人的にとても印象に残ったのは最後に外村さんからも提示された「震災後の今だからこそ、日本はイノベーションを起こせるチャンスがある」というメッセージ。
 何でも、これまで外村さんがさんざんSVJENなどの活動を通じて、日本のエンジニアをシリコンバレーに触れさせようとしてきたのが全く反応が薄かったのに、今回の震災後、急にシリコンバレーに来る日本人エンジニアが増え、それを受け入れるイベントも大きく盛り上がっているんだそうです。
svjen.png

続きを読む 震災後の今だからこそ、日本人が新しいチャレンジをするかどうかが問われているという話。

スターバックス再生物語(ハワード・シュルツ) に学ぶ、道を見失った一流企業が輝きを取り戻すために必要なこと

4198631506 「スターバックス再生物語」は、スターバックスのCEOであるハワード・シュルツが書いた経営改革本です。
 献本を頂いたので、書評抜き読書メモを公開させて頂きます。
 この本は、スターバックスの創業期の成功話を描いたものではなく、スターバックスが経営危機に陥り、その後いかに再生していったか、を描いている本です。
 正直、恥ずかしながらこの本を読むまで、スターバックスがリーマンショックの前後に経営的な危機にさらされていたなんてことは、全く知りませんでした。
 おそらく日本人の多くが知らない出来事なのではないでしょうか?
 ただ、この本を読むと、実はスターバックスが2007年~2008年にかけて、大きな経営危機に直面し、かなり大規模なリストラや改革を行い、現在の「スターバックス」になったことが良くわかります。
 
starbucks_fb.png
 スターバックスと言えば、Facebookページのファンが2300万人を超えるなど、ソーシャルメディアを積極的に活用していることでも知られていますが、実はそういったスタイルに至ったのは、この経営危機が背景にあった、というのは私もこの本を読んで始めて知りました。
 その経営危機の最大の原因と考えられるのが、行きすぎた株主重視による短期的経営です。
 この本では、そんなスターバックスが、創業者であるハワード・シュルツのもと、どのようにもともとのスターバックスの理念を取り戻し、新しいスターバックスとして飛躍していくかを描いています。
 丁度この本を読んでいる際に、丸の内ブランドフォーラムで、日本企業が株主重視やグローバル会計の表面だけを真似してしまい、もともとの日本企業の強みを見失ってしまっているのではないかという議論をしたのですが、このスターバックスの話は、まさにそんな考えを裏付けてくれるケースと言えるような気がします。
 この本はスターバックスに興味がある人だけでなく、企業の理念やビジョンがどうあるべきか、成功していた企業が直面する成長の壁をどう乗り越えていくべきか、を悩んでいる方に非常に参考になる点が多々ある本だと思います。
【読書メモ】
■2007年、スターバックスは道を見失った。成長に固執するあまり業務から目をそらし、中核となるものから離れてしまったのだ。
■2008年2月のある火曜日の午後、米国スターバックスは、国内にある7100店舗全部を一時的に閉鎖した。
■スターバックスは第三の場(サードプレイス) 
 自宅が人と人がふれあう第一の場で、職場を第二の場とするならば、カフェなどいわば公共の場所を、わたしは第三の場と呼んでいる。

続きを読む スターバックス再生物語(ハワード・シュルツ) に学ぶ、道を見失った一流企業が輝きを取り戻すために必要なこと

スティーブ・ジョブズ驚異のイノベーション (カーマイン・ガロ) は、ジョブズやアップルがあまり好きじゃないという方こそ読むべき本だと思います。

4822248569 「スティーブ・ジョブズ驚異のイノベーション」は、「スティーブ・ジョブズ 驚異のプレゼン」の続編となる書籍です。
 来週著者のカーマイン・ガロ氏の来日記念イベントのお手伝いをする関係で献本を頂いたので、書評抜き読書メモを公開させて頂きます。
 前作は主にスティーブ・ジョブズのプレゼン技術やスタイルにフォーカスがあてられていましたが、今回そのテーマとなるのは「イノベーション」そのものです。
 日本では、「イノベーション」という言葉に馴染みがうすいこともあり、とかく新しいイノベーションは特許や新発明などの技術に依存すると思われる節も多くありますが、この本を読むとそうではなく、イノベーションが生み出される背景にあるのはビジョンや信念であると改めて感じます。
 特にこの10年間のジョブズしか知らない人からすると、彼の人生には挫折なんてないんだろうな、と思う人も多いかも知れませんが、彼が1985年にアップルを追放された経験がある、というのは忘れてはいけないポイントでしょう。
 その挫折や追放後の苦悩こそが、ジョブズの人生に新たな経験をもたらし、現在のジョブズとアップルのエネルギーになっている。そう考えると、私たち自身の挫折にもエネルギーをくれそうな気がしてきます。

 前回もちらっと書きましたが、この本もスティーブ・ジョブズやアップルをあまり好きじゃないからウォッチしていないという人こそ、学ぶべきところが多い本だと言えると思います。
 もし現在のアップル帝国の方針に疑問を感じていたり、対抗したり、追いつきたいのであれば、表面的な技術面だけコピーしてもダメだというのが、この本を読むと良くわかるはずです。
 
 
※ちなみに、来週の7月7日(木)に著者のカーマイン・ガロ氏の来日記念イベントのお手伝いをすることになりました。滅多に無い機会ですので、本を読んだことがないという方も是非お申し込み下さい。
『スティーブ・ジョブズ 驚異のイノベーション』刊行記念 著者来日イベント
【読書メモ】
■「イノベーションと起業家精神に対するあこがれを、天才だけでなく、何百万ものアメリカの子どもたちに取り戻してもらう必要がある」(トーマス・フリードマン)
■スティーブ・ジョブズが基本とする7つの法則
・大好きなことをする(キャリア)
・宇宙に衝撃を与える(ビジョン)
・頭に活を入れる(考え方)
・製品を売るな。夢を売れ(顧客)
・1000ものことにノーと言う(デザイン)
・めちゃくちゃすごい体験をつくる(体験)
・メッセージの名人になる(ストーリー)

続きを読む スティーブ・ジョブズ驚異のイノベーション (カーマイン・ガロ) は、ジョブズやアップルがあまり好きじゃないという方こそ読むべき本だと思います。

LinkedInに学ぶ、Facebook時代のウェブサービスの生きる道。

 先日、デジタルガレージさんにご招待いただきLinkedInの日本担当の方との意見交換会に参加してきました。
 
LinkedIn Presentation
※LinkedInのユーザー数は1億人を突破。
 ターゲットは全世界の6.4億人のプロフェッショナルだとか。
 当日の詳細については、ネタフルに「LinkedIn日本展開に関するブロガーミーティング」という詳細のレポートが上がっていますので、そちらをご覧いただければと思いますが、個人的な感想をこちらにもメモしておきたいと思います。
 今回の会に参加する際の個人的な興味を正直に書くと、これだけFacebookがインフラ化してしまったインターネット上で、LinkedInははたしてどうやって生き残っていくのだろうか。という点にありました。
 特に、日本においてはFacebookがある意味ビジネスSNS的に大企業のビジネスマンにも広がり始めている印象があるというのもあり、正直な印象としてはLinkedInが攻めるべき層は既にFacebookに取られてしまっているのではないかと感じるところもあります。
 デジタルガレージさんがLinkedInとの提携を発表して話題になったのは先月の25日のことですが。
 多くの方は忘れておられる、もしくは全く知らないのかもしれませんが、デジタルガレージさんがLinkedInの日本展開支援をすると最初に発表したのは実は「2007年9月」。
 なんともう4年近く前の話になるわけです。
デジタルガレージ、米LinkedIn社の日本展開支援で基本合意
dg_linkedin.png
 個人的には、当時LinkedInが日本語化されるのを興味深く待っていた利用者の一人だったので、この日本展開がいつまでたっても実行されず、がっかりした記憶があります。
 そう言う意味で、実は今回のミーティングではLinkedInの人とJoiさんこと伊藤穣一さんに、「今更日本語化って遅くないですか?」と、ひとくさり文句でも伝えようかな、ぐらいの気持ちがあったのは否定できません。
 ただ、今回のミーティングで、JoiさんのLinkedInに対する思いを聞いて、ちょっとその印象は変わりつつあります。

続きを読む LinkedInに学ぶ、Facebook時代のウェブサービスの生きる道。

分散型リーダーシップの実践 Xチーム (デボラ・アンコナほか)

4904336089 「分散型リーダーシップの実践 Xチーム」は、これからの時代の分散型組織の可能性について考察している書籍です。
 年末に花王の本間さんに勧められたので読んでいたのですが、書評抜き読書メモを書いたので公開させて頂きます。
 この本では、Xチームという、ネット時代ならではの外部と連携した組織のあり方が考察されていますので、従来の組織構造を新しく分散型に変える必要を感じている方には参考になる点がある本だと思います。
【読書メモ】
■ネット世代チームこそ、Xチーム
■Xチームの特徴
・外部活動:チーム外の活動にかなりの精力を注がなければならない
 ・偵察
 ・外交
 ・タスク調整
・超効率的執行:チーム内で高度に効率化した超効率的執行体制で一体化する
・柔軟なフェーズ転換:さまざまな局面を柔軟に取り込みながら、時間の経過とともにチーム活動を転換していく
 ・探索:周囲の世界を調べて、多数の選択可能性を吟味する
 ・開拓:1つの方向を決め、効率的な活動と実戦に向け組織的に活動する
 ・搬出:自分たちの業務が大きな組織の中で牽引力となるための努力に集中する

続きを読む 分散型リーダーシップの実践 Xチーム (デボラ・アンコナほか)