「トルネード」は、キャズム理論の「キャズム」でも有名なジェフリー・ムーアの書籍です。
献本を頂いたので、書評抜き読書メモを公開させて頂きます。
日本でも「キャズム」は非常に有名ですが、実はジェフリー・ムーアの書籍は続き物で、キャズムに続く二冊目がこの「トルネード」です。
原題は、一冊目が「Crossing The Chasm(キャズムを超える)」で二冊目が「Inside The Tornado(トルネードの中へ)」で三冊目が「Gorilla Game(ゴリラゲーム)」という完全なシリーズもの。
私も初めて原著を読んだのがもう10年以上前なんですが、日本では一冊目を翔泳社がヒットさせたものの、二冊目・三冊目は別の出版社が翻訳を担当し、あまり注目されずに終わった過去があります。
(その後、「ライフサイクルイノベーション」は久しぶりに翔泳社が翻訳を担当し、ある程度ヒットしたようですが。)
その二冊目の「トルネード」を今回新たに明確にキャズムの続編として打ち出して再出版されたのが今回の書籍になります。
私も久しぶりに改めて読んだのですが、やはりジェフリー・ムーアならではの分りやすい比喩の元に表現される理論は分かりやすく参考になる点が多々あります。
特にいわゆるキャズムを超えようとする技術の普及が足踏みしているタイミングと、この本でトルネードと呼ばれる急速な技術の普及期において、企業側に求められるコア要素ががらりと変わるというのは意外に知られていない重要な視点だと思います。
テクノロジーの登場時には中心にいたはずの企業が、そのサービスが一気に普及するタイミングになると、一件質の悪そうな他事業者に市場を一気に持って行かれてしまうというシーンは日本のIT業界でも良くある光景のような気もします。
ハイテク業界での新規事業に取り組む人にとっては「キャズム」「イノベーションのジレンマ」と並んで、今でも必読書の一つと言える本だと思います。
【読書メモ】
■ライフサイクルが次の段階へ進んだときには、戦略を多少変更する程度では足りない。勝つためには、むしろ以前とは正反対の戦略をとる必要がある。
■ビジョナリーは「将来的に有用になる」ことを予想して賭に出るが、実利主義者は「すでに稼働中」という実績を求める。
■マーケットの六段階
・初期市場
・キャズム
・ボウリング・レーン
・トルネード
・メイン・ストリート
・終焉
続きを読む トルネード (ジェフリー・ムーア) は、「キャズム理論」や「イノベーションのジレンマ」を本気で理解したい方には必読書だと思います。