連日続いている重い長文エントリーシリーズ。
今日は、開示型ペイパーポストはマーケティング倫理上はアリだとは言っても、私自身はペイパーポストはナシだと思っている、という話を書こうかと思っていたのですが。
今回の長文シリーズのきっかけになったいわゆる「Google PayPerPost騒動」で、本日嬉しい展開がありましたので、そちらを軽くご紹介したいと思います。
詳細は下記のエントリーを見て頂ければと思いますが。
・Google Japan Blog: Google.co.jp のページランクを下げた件について
Google Japanの公式ブログで、再度、今回の騒動についての謝罪エントリーがアップされたのです。
個人的にも先日のエントリーに「是非、今後修正なり追記なりがされることを祈っております」なんて書かせて頂きましたが。
正直なところを言うと、既に一度謝罪を書かれてしまっているし、外資系企業としてはこのあたりが限界なのかなーと勝手に思い込んでしまっていたのもあり、今回の重ねての謝罪エントリーには驚きました。
前回の謝罪文で「プロモーション活動の一部でブログを活用したことが、Google のサーチに関するガイドラインに違反することが判明」と誤解を生みやすい表現だったのが、今回は「過去に行った iGoogle 等のプロモーション活動の一環で、このガイドラインに違反する有料リンクとみなされる行為を私たち自身が行っていたことが判明しました。」と詳細に説明されており。
さらに、Webmaster Central 日本版公式ブログにおいて「有料リンクについて」という詳細の解説記事を同時に掲載する念の入れよう。
こちらでは、「今回問題となった google.co.jp への有料リンクは、ブロガー達に対価を払うことにより紹介記事を書いてもらういわゆる Pay Per Post ネットワークからのものでした。」とか、「いわゆる Pay Per Post ネットワークに参加する場合には、その記事に対して対価が払われていることを、ユーザーに対してわかりやすく表記するべきと考えます。」とか、具体的に今後のペイパーポストネットワーク参加ユーザーに対する注意を促しています。
これで日本におけるペイパーポストサービスの野放図な状況にも、ひとつ大きなくさびが打ち込まれそうな印象もあり、2006年から非開示ペイパーポストを中心とするやらせブログ問題の解決を祈ってきた人間としては、非常に嬉しい出来事なのですが。
まぁ、その話は別途書くとして。
個人的に今回ちょっと感動したのは、前述のポストの下記の部分。
「また、ユーザーの皆様やネットコミュニティーの方々には、叱咤激励のお声をいただき、ありがとうございました。」
もちろん、何の変哲もない一文ですし、私の過大解釈かもしれませんが、単に「ユーザーの皆様」だけで済むところを、わざわざ「ネットコミュニティーの方々」と入れたのは、自分たちはネットコミュニティーの声を聞いているよ、という宣言とも受け取れますよね。
正直、今回の騒動で、Google Japanの方が、日本のネットコミュニティに対するコミュニケーションを閉ざしてしまうのではないかとちょっぴり恐れていたので、なんだかほっとする一文でした。
当然、今回の騒動については、本国の強い指導というのは大きいでしょうし、前回の謝罪文の内容や、前回の謝罪文から今回まで間が空いたことなどもありますから、まだまだ斜めに見る方も多いようですが、外資系の企業において、本国と調整しながら文章を修正していたであろう事などを考えると、今回のGoogle Japanの方々の対応は、あらためてさすがGoogleと感じさせる対応だったと言って良いのではないかと思います。
やはり大事なのは、間違っていたら間違っていたと認めて、素直に謝罪することですよね。
この教訓は、個人的にも、AMNとしても、忘れないようにしたいです。
さて、あとはこれにサイバーバズさんが続いてくれて、来週の木曜日のWOMマーケティング研究会で、皆さんと生産的な議論ができることを期待したいと思います。
(明日(というか今日)2月19日(木)12時が締切りですので、興味がある方はお早めにどうぞ)
カテゴリー: ネットコミュニケーションの視点
WOMマーケティング協議会の率直な現状について書いておきます
今日は、非常に感動する体験をさせて頂いたので、そっちの話を書きたいのはやまやまなのですが。
ちょっと、以前書いたWOMマーケティング協議会に関して、いろいろと誤解があるようなので、そちらの話を書いておきたいと思います。
まず、最大の誤解だと思うのは、WOMマーケティング協議会の今のフェーズ。
私も面倒くさいのでWOMマーケティング協議会と略してしまっているのが悪いのですが、WOMマーケティング協議会という組織はまだ存在していません。
現在存在するのは、WOMマーケティング協議会設立準備会という言い訳のような長い名前の組織で、この組織は「日本にもWOMマーケティング協議会が必要だよね」という人たちに集まってもらうために立ち上げた、いわばあえて悪い言い方をすると宣伝バルーンみたいなものです。
現在発起賛同人に応募頂いた方は、時差はあるものの基本的には全員リストに追加させていただく方向で対応していますし、何らかの詳細な審査をしているわけでもありません。
(当然、正式に団体化する際に、会員登録や審査等の手続きが発生することになると想像しています)
そう言う意味では、現在のWOMマーケティング協議会のサイトの参加一覧は、純粋に「日本にもクチコミマーケティングを考える組織が必要だと思う」ということに賛同頂いた皆さんのリストになっています。
で、現在の世話人というのも、残念ながら発起賛同人の方々に選んで頂いた存在ではなく、たまたま「日本にもWOMマーケティング協議会が必要だよね」という議論をしていた際に、事務を手伝っても良いと手を挙げた人たちでしかありません。
つまり、現在のWOMマーケティング協議会設立準備会というのは、日本にどのようなWOMマーケティング協議会が必要なのか、実際にどういうことをやるべき組織なのかというのを議論するための組織であり、まだ実体は何もないのです。
ペイパーポストかどうかが問題ではなく、読者にどう受け止められるかが問題だと思う
先日、GoogleのPayPerPost騒動の長文のエントリーで、言いたいことを全部書いて肩の荷がおりた気でいたのですが。
前の記事にトラックバックを頂いて知ったのですが、残念ながらサイバーバズさんのところで別の騒動に飛び火しているようですね。
そもそものきっかけは、サイバーバズさんがプレスリリースで、自社のサービスがペイパーポストではないと否定したところから始まっているようです。
私自身、先日の記事で、「サイバーバズさんのサービスは同じPayPerPost(記事単位で謝礼を支払う)サービスでも、記事にサイバーバズの企画であることを明示させているという点で、PayPerPostサービスの中では比較的倫理的な意識の高いサービスというのが個人的な認識」と書いていることも、騒動の一翼を担ってしまっているようですので、ここの整理からしたいと思います。
(またもや長文注意です・・・すいません)
個人的にはペイパーポスト(Pay Per Post)は、単純にペイパークリック(Pay Per Click)やペイパービュー(Pay Per View)と同じ英単語として捉えており。
ペイパークリック=クリックに応じて料金を支払うこと
ペイパービュー=視聴に応じて料金を支払うこと
と同じく
ペイパーポスト=記事に応じて料金を支払うこと
と理解しています。
まぁ、個人的には「ブログ記事広告サービス」と呼びたいのですが、いわゆるGizmodoとか田口さんがやっているブログメディア系の記事広告とごっちゃになってしまうので、ペイパーポストと言い続けている次第。
そう言う意味では、サイバーバズさん自身は「記事掲載に対する対価として金銭の支払いは推奨しない」とリリースで否定されていますが、トラックバックで頂いた記事にも書かれているように、FAQで記事を書くことに謝礼を支払うと明記されていたなど、広い意味ではペイパーポストに分類されるのが自然なのではないかと思っています。
細かい話を言うと、おそらくサイバーバズさんからすると、今回のGoogleさんの案件はブログパーツ広告だったということなのでしょうが、例えば、単純にブログパーツを広告として掲載する場合には、当然クライアントは表示位置や表示回数、表示期間を設定するはずですが、サイバーバズさんの案件は掲載位置は自由のようですし、記事内(ブログの全体よりも明らかに表示数が少なくなる)だけでも良い印象があり、掲載期間等も指定が無いようで、いわゆるバナー広告的なブログパーツ「広告」とは種類が違うように思います。
その代わりに、参加者の皆さんの記事を見ている限りではブログでの記事紹介とセットになっている印象が強いですから、ブログパーツ掲載+記事執筆で謝礼が支払われるという意味で、これも広い意味でのペイパーポストと言えると思います。
ざっくり言ってしまうと、記事執筆にブログパーツ掲載が追加されているだけに見えるわけです。
この点については、AMNでブログパーツシーディングを開始する際に、パートナーブロガーの方々とかなり密な議論を行い厳しいご指摘もいただいた結果、上記のような結論に至っていますが、あくまで私の個人的な認識ですので、一般認識や事実と間違っているようであれば、修正をさせていただきたいと思います。
ただ、今回Googleが自ら、サイバーバズのサービスを活用してキャンペーンを行ったGoogle Japanのページランクを下げるという形で罰したように、サイバーバズさんのサービスがGoogleの定義の中でも広義のペイパーポストとして認識されてしまったのは、否定できないと考えています。
この点については、サイバーバズさんとGoogle Japanさんとの間の話し合いがどのようにされたのか分かりませんので、結果から類推しているだけです。
ブログを活用したマーケティング事業者としては、今後の境界線のためにもそのあたりの議論が何らかの形で開示されることを期待しています。
さて、ここからようやく本題に入るのですが。
個人的には先日の記事にも書いたように、ペイパーポストであること=マーケティング手段として悪い、という話ではないと考えています。
GoogleのPayPerPost騒動の議論に思うこと
毎度、ちょっと周回遅れの感は否めませんが、個人的にもAMNとしても切っても切れない問題なので、今話題になっているGoogle JapanのPayPerPostキャンペーン活用騒動について自分の意見をメモしておきたいと思います。
(毎度のことですが長文注意です)
今回の顛末の詳細や経緯については下記の一連の記事に詳しいので、詳細はそちらをご覧いただければと思いますが。
・Yahooからの市場奪取に向けて手段を選ばぬGoogle、PayPerPostキャンペーンを採用
・グーグル、プロモーションで謝罪 – CNET Japan
・Google、ペイパーポストのブログマーケティングで謝罪:渡辺隆広のサーチエンジン情報館
・[を] Google がブロガーにお金を払って広告記事を書かかせていたが実はそれは Google のポリシーに反する
・チミンモラスイ? : ブロガーズネットワーク再考 その9
概要を知らない方にざっくり内容を紹介すると、Google Japanが「急上昇ワードランキング」のプロモーションでCyberBuzzのPayPerPostサービスを利用していたことが、ネタフル、Asiajin経由で米国のTechCrunchにまで取り上げられ、それに対してGoogleが公式ブログで謝罪することになった。というのが基本的な流れです。
・Google のマーケティング活動について
その後、AsiajinやTechCrunchの影響で英語圏でも議論が広がる一方、上記の謝罪記事やTechCrunchの記事が日本語にも翻訳されたこともあり、日本のブログ界隈でも議論が盛り上がり、CNETを初めとしたメディアもカバーして今日に至るという感じですね。
ちなみに、この議論に対する私自身の立ち位置をあらかじめ開示しておくと。
個人的には過去に「これからは、やらせブログは規制の対象に?」という記事で言及しているように、いわゆるPayPerPost系サービスについて良い印象を持っていないのは事実です。
ただ、AMNでもブログマーケティングポリシーを公開したり、PayPerPost系サービスの懸念点を啓蒙したりと、いろいろと試行錯誤はしてきましたが、一方で日本においては米国に比べるとPayPerPost系のサービスが種類も数も大幅に進化していて、日本のネットマーケティングにおいて一定のポジション占めている存在になっていることも、これまた事実。
そう言う意味では、PayPerPost系サービス自体は、個人的な好き嫌いは別として、業界としては使い方によっては有効なサービスと考えられていると理解しています。
(もちろん、だからといってAMNでいわゆるPayPerPost系サービスを実施することはありませんが)
そんな中、個人的にPayPerPostサービスについて、まず超えてはいけないポイントと考えているのは、報酬があることを開示しているPayPerPostか非開示のPayPerPostかという点。
Grand Theft Auto IVにみる、ゲームの教育効果と負の効果の境界線
先日、「最近のゲームに改めて感じるエデュテイメントの可能性 : tokuriki.com」という記事を書きましたが、この記事と必ずセットで書かなければと思っていたのが、昨年末にプレイしたGrand Theft Auto IVというゲームの存在です。
Grand Theft Autoとはいわゆる自動車強盗とか車両窃盗とかいう意味。
そのタイトルから想像できるように、Grand Theft Autoはギャング組織の下っ端が、任務をこなしながら成り上がっていくというタイプのゲームです。
何と言っても凄いのは世界的な人気。
なにしろGrand Theft Auto IVの売り上げは「ハリー・ポッターと死の秘宝」が保有していたギネス世界記録を塗り替えたほどで、「今後2~3年間にこれらのゲーム(の初期の販売実績)に匹敵するゲームが登場するとはなかなか言い切れない」とアナリストに言わせてしまうほどのシリーズです。
また一方で、「18歳の少年が『Grand Theft Auto IV』を真似てタクシージャック」とか、「『GTA IV』 “飲酒運転”に対しMADDが非難声明 レーティングの変更を求める」とか、様々な暴力的な表現でも物議をかもし、良い意味でも悪い意味でも注目されているゲームソフトです。
まぁ、なぜそんなゲームが売れるのかはやってみないと分かるまいということで、思いきって昨年購入し、プレイしてしまいました。
正直な話、ゲームを始めた最初は、なんだか主人公もさえない感じの汚らしいおっさんだし、こんなゲームがなんで売れるのか?と思ったりもしてしまったのですが。
本当にこのゲーム、やばいぐらい良くできています。
最近のゲームに改めて感じるエデュテイメントの可能性
皆さん、先日の記事には様々な応援コメントやメールを頂きありがとうございました。
なんだか、改めて肩書きの重さをずっしりと感じてしまっている今日この頃です。
いただいた質問に対する回答や御礼のエントリーも書きたいのですが、重いエントリーが続いてしまうので今日は閑話休題。
かなり昔に書いた「Wii Musicにみる音楽の本当の楽しみ方と、逆転の発想」という記事にもらった、カイさんの「自由だけど自由じゃないWii Musicインプレッション」という記事に返答しようしようと思っていてできてなかったのを、今更ながらエントリーしたいと思います。
カイさんの記事は、ようは僕の記事だけ見るとWii Musicが「子供がリモコンを振って音を楽しむ」だけの自由なゲームに見えちゃうけど、実は「レッスンを受けて自分でセッションを作り出せる」奥が深いゲームですよ。という指摘で至極納得です。
というか、実は、この当時、前述の記事を書いた後にそういう話を書こうと思っていたのに、カイさんに先に書かれちゃったので、なんか書きそびれてしまったと言い訳しておきます。
で、そのとき書きたかったのが、「ゲームで学ぶ」と言うプロセスの可能性。
個人的には「ゲームを「勉強のため」と胸を張ってやれるようになる?」という記事を大昔に書いたことがあるように、シリアスゲームとかエデュテイメントといった分野に非常に興味がある人間です。
まぁ、要は根っからのゲーマーなので、ゲームをやる理由を探しているだけではないかという気もしないでもないのですが。
最近のゲームは、ゲーム機の性能が上がってリアルさが増しているために、実際の趣味や娯楽自体を仮想体験できるものが着実に増えてきている印象があります。
例えば、昨年「AFRIKAにみるセカンドライフと違う仮想世界の可能性」という記事で紹介したAFRIKAでは、思いっきりデジタル一眼レフのソニーのαがゲームの中に組み込まれていて、実際のカメラさながらの操作を体験することができます。
もちろん、ただボタンを押すだけでゲームはクリアできるんですが、本当に綺麗な写真を撮りたければ、レンズを変えるのはもちろん、いわゆる絞りとかシャッタースピードとかいろいろいじることが可能。
高価な一眼レフカメラやレンズを購入しなくても、その違いや使い方を疑似体験できるわけです。
で、前述のWii Musicもゲームとしては同じで、ただ単純にコントローラーを振っているだけで、それはそれでまぁストレス発散になるわけですが、一方でセッションとかアレンジの基礎をゲーム感覚で楽しみながら覚えていくこともできるようになっています。
これってある意味、極端に言ってしまえば音楽の授業だったりするわけですが。
音楽の「授業」だと、なんだかいちいち音符を間違えたのを弾き直させられたりと、完璧を求められる印象がありますが、Wii Musicだと試行錯誤もいろいろできるし、なんだか楽しく1つ1つのステップを覚えていける感覚があります。
いわゆる「授業」とか「学習」というと、どうも過去の経験からか、私たちは脊髄反射的に面倒と思ってしまう気がするのですが。
実は人間にとって何かを学んでいるプロセスって凄い楽しい経験のはずで。
ゲーム会社が持っているそういう楽しくさせるプロセスって、実は現状のつまらないとか面倒と思われている学習プロセスとかにもっと活かせるんじゃ無かろうかと。
そんなことを最近改めて強く思うようになっています。
特に、仕事のやり方を学んだりとか、ビジネスの知識を身につけるということ自体も、同じようにいわゆる「根性」とか「忍耐」とかの精神論から入るのではなく、楽しみながら身につけていくというやり方がもっとあってもいいんじゃないかなーと。
そんなことを妄想する今日この頃です。
ということで、○○の勉強をしていると言い訳できる、そんなお得なゲームをご存じの方は、是非教えてください。