「あなたは、なぜ「自分に似た人」を探すのか」は、電通総研消費者研究センターでスーパーバイザーをされている宮城美幸さんが書かれた書籍です。
献本を頂いていたのですが、読書メモを書けてなかったので、書評抜き読書メモを公開させて頂きます。
いわゆるインフルエンサーマーケティングとは違うクチコミの可能性を感じている人には、参考になる点が多い書籍だと思います。
【読書メモ】
■共振現象の背景
・「自分探し」から「共通性探し」へ
・ネットや携帯が人々のつながりを加速
・感情の質変化
・社会の情動化
■モノ消費型社会からつながり消費型社会
■私こだわり型消費者:人からの影響はあまり受けずに、クチコミ発信はする
鏡衆(共振型消費者):人からの影響も受けクチコミ発信もする
■「こだわり文脈」から「文脈置換」へ
鏡衆は、こだわり層の間でプチヒットしている商品や現象を自分なりに体験してみて、それに自分の共感などいろいろな思い(情動)も上乗せして、周囲にクチコミやネットコミで伝えていく。
■少数のインフルエンサーよりも、人に影響されやすい一般大衆がいかにお互いに影響を与え合っているか、ということの方が重要だ」(ダンカン・ワッツ)
■ブログやインターネット、携帯メールの登場で”情報の再消費”がさかんになっている
楽しいと思った話題は、二度、三度と楽しむ。
■消費の活性を促す7つの手法
・消費者発の物語を吸い上げる
・時代に合わせて価値をシフト
・具体的に実感できるカタチで価値を投影
・”群れ”を形成する
・価値のコラボレーション、有機的結合
・ネタ消費に着目する
・新しい価値基準をつくる
■新しいタイプの”みんなコミュニケーション”
共同創造型のアクションが大事になってきている。
カテゴリー: 読書メモ
影響力の武器 (ロバート・B・チャルディーニ)
「影響力の武器」はタイトル通り、影響力の行使の考え方について考察されている本です。
Heartlogicの小林さんが紹介されていたのが気になって、ずいぶん前に買って読んでいたのですが、読書メモを書けてなかったので、書評抜き読書メモを公開させて頂きます。
ちょっと分厚い本なので読むのは大変ですが、交渉毎に関わるすべての人に参考になると思いますし、特に、どうも交渉毎でうまく丸め込まれている気がするという方には、参考になる点が多い本だと思います。
【読書メモ】
■人間は手っ取り早い方法に賭ける
「高価なもの=良いもの」という標準的な原理、つまりステレオタイプを用いる
■知覚のコントラストの原理
「スーツを買う目的で洋品店に来た人でも、スーツを買う前よりも、買ったあとに小物類を見た方が、必ずといっていいほど多くの金を支払う」(販売における説得と動機づけの新しい心理学)
■返報性のルール
親切や贈り物、招待などを受けると、そうした恩恵を与えてくれた人に対して将来お返しをせずにはいられない気持ちになる
■「拒否したら譲歩」法:大きな要求のあとに小さな要求を出す
■コミットメントと一貫性
ひとたび決定を下したり、ある立場を取ると、そのコミットメントと一貫した行動を取るように、個人的にも対人的にも圧力がかかります。
■「変更がありましたらご連絡ください」と言うことをやめ、「変更がありましたらご連絡いただけますか?」と相手に尋ね、答えを待つようにさせた。この結果店に現われない予約客の割合はすぐに30%から10%に減った
■承諾誘導 「ローボール・テクニック」
・喜んで買うという決定を誘い出すための有利な条件を提示
・決定がなされてから契約が完了するまでの間に、有利な購買条件を巧みに取り除く
■社会的証明の原理
それを正しいと思う人が多ければ多いほど、人はその考えを正しいと見ることになる。
■自殺記事の後に、模倣自殺により事故が増加する
一面の自殺報道の後に起こった事故の場合、死亡するまでの時間が通常の4分の1と早いものだった
■好意の悪用 「エンドレス・チェーン」
客がひとたびその品物を好きだと言えば、今度は、その品物について同じように詳しく知りたいと思っている友人の名前を教えるように言われる。
■ジグソー技法
生徒をいくつかの協力チームに分け、それぞれの生徒には試験に合格するのに必要な情報の一部分しか与えない。良い成績を取るためには、一人一人が他の全ての人を必要とする。
■詐欺の名人が活用する権威
・肩書き
・服装
・装飾品
■返報性と信頼できる権威者の組み合わせ
自分の経済的利益に反して、相手に有利な情報を提供しているように見せかける。
■希少性の原理
手に入りにくくなるとその機会がより貴重なものに思えてくる
■前から希少であったものよりも、新たに手に入りにくくなったものを望ましいと見なすようになる
子どもたちにとっては、一度も所有したことのない権利を欠くというのではなく、すでにもっている権利を失うことになるため。間食をある程度ゆるすと、間食をしてはいけないというルールを後になって強制するのは非常に困難かつ危険をはらんだものになる。
■希少性と競合性が組み合わさった呪わしい状況
希少な資源をめぐって競争するという状況に特に用心する必要がある
コミュニケーションをデザインするための本 (岸 勇希)
「コミュニケーションをデザインするための本」は、電通でコミュニケーションデザイナーをされている岸 勇希さんが書かれた書籍です。
29manさんに勧められたので買って読んでいたのですが、読書メモを書けてなかったので、書評抜き読書メモを公開させて頂きます。
広告代理店の今後の役割を考える上でも、ネットとマスメディアの組み合わせを考える上でも、参考になる点が多い本だと思います。
【読書メモ】
■電通では数年前から、自らの事業領域を「広告代理業」ではなく「トータル・コミュニケーション・サービス」と定義していることをご存じでしょうか。
■コミュニケーション・デザイナー
プロモーションやブランディングなどの広告キャンペーンから商品開発、事業企画に至るまで、企業と生活者の間に存在する、ありとあらゆるコミュニケーションを設計していく仕事
■メディア・ニュートラルな視点からみる3つの価値
・能動の価値:「検索(SEM)」と「WEB(サイト)」だけが能動的に接触するメディア
・信憑性の価値:広告に対してそもそも懐疑的である現代の生活者は、同じ生活者の立場でShareされる情報に強い信憑性を感じます。
・話題創出の価値:より多くの人に同時に”気になる(Interest)”をつくれるのはマスメディアであり、これは逆にネットメディアの弱い点といえます。
■商品ターゲット=コミュニケーション・ターゲットと決めつけず、ある特定のターゲットにコミュニケーションを集中させ、話題の火種を作る方法もある。ただしその場合には、必ずその火種を本来の商品ターゲットにまで燃え広がらせていく施策が不可欠。
■マスコミへの取り上げられ方を意識してコンテキスト・デザインする
■普段、誰もが感じていることを可視化しPRに使う。
■漢検DSで機能した考え方
・広告コミュニケーションを展開する前に”広告が効きやすくなる環境づくり”を戦略PRによって行った
・「売る」を強く意識して全ての施策を設計した
■通常「インサイト」というとターゲットを分析するという意味の「ターゲット・インサイト」を指すことが一般的ですが、それだけでは不十分です。コミュニケーション・デザインの初動は、社会の動向を分析する「ソーシャル・インサイト」、クライアントの動向を分析する「クライアント・インサイト」から始まります。
■コミュニケーション・デザイン3つの意識
・Neutral 固定概念や思い込みを捨て、問題解決の方法をニュートラルに考えられているか?
・Simple キャンペーンの構造がどんなに複雑だったとしても、生活者が広告に接触した瞬間のコミュニケーションはシンプルでわかりやすいものか?
・Faithful 課題解決に対して、誠実に臨んでいるか?単に”新しいから””面白いから”など、企画側のエゴだけになっていないか?
■コミュニケーション・デザイン5原則
・思い込まずにインサイト
・課題解決のためにありとあらゆる手法、選択肢を考える
・メディアと表現を分離しない
・仕組みではなく、気持ちをデザインする
・結果に固執する
「課題先進国」日本 (小宮山 宏)
「課題先進国」日本は、タイトル通り、日本が抱えている様々な課題についてのあるべき姿勢を考察している書籍です。
梅田さんがブログで紹介されていたので買って読んでみていたのですが、読書メモを書けてなかったので、書評抜き読書メモを公開させて頂きます。
日本の将来についてついつい悲観的になってしまう方には、刺激になる点が多い本だと思います。
【読書メモ】
■先進国は自らの課題を解決して世界を先導した
1989年の名誉革命:イギリスは政治的大混乱という国の大課題に直面して、それを議会制民主主義というこれまでなかった制度を作り上げることで解決し、その後の世界の範となったのである。
■寺子屋という庶民教育の発展
幕末期には、江戸に約1500、全国ではおよそ1万5000の寺子屋があったといわれ、江戸における嘉永年間(1850年ころ)の就学率は70~85%と、先進諸外国に比較して圧倒的な高さを誇っていたといわれている。
■アジアの国々はほとんどすべてが列強の植民地にされてしまった。
日本人には国を守る強い意志と文化があり、その結果、植民地化されないですんだのだ。
そして、生産力と生産技術に、大きな彼我の差があることに気がつくと、日本は対外姿勢を全面的に変えて、欧米のすべてを導入することに決めてしまった。
■「課題先進国」から「課題解決先進国」に
日本の課題は、将来の世界の課題であるから、その課題を解決するということは、人類のこれからのモデルを提供することになるのだ。
■物質としての問題
エネルギー資源の問題、温暖化の問題、水の問題、食糧の問題、環境の問題
■ビジョン2050
・徹底したリサイクルによる物質循環システムの構築
・エネルギー効率を現在の3倍に引き上げる
・自然エネルギーの利用を現在の2倍に引き上げる
■過去は分析で足りるが、未来の洞察には基礎が不可欠だ。
現実をよく把握して、基礎的にものを考えるという姿勢が非常に大切である。
■アメリカ「では」こうやっているという「出羽の守」ではダメ
■グーグルは、ジグソーパズルの無数のピースを持ち、100でも1万でも1億でもピースを集めてくるが、できあがり図を描くことはできない。
ピースを想像しながらできあがり図を描くのが人の頭である。
■優れたビジョンの構築に成功しやすい方法
・可能な限り問題を具体化する
・問題が1億枚の全体像を含むことを、納得して議論を進める
・シャーロック・ホームズのような思考方法を試みることだ。ひらめきである。
ホームズのような才能に恵まれない私たちにもそれを可能にしてくれるのが、人と人との議論だ。(正反合の合を求める)
■上意下達から「議論とスピード」へ
日本人の心に、お上が何とかするという上意下達の意識が脈々と流れている。
私たちは議論の仕方を身につけなければいかねい。醸成すべきは議論の風土である。
■失敗の総括
社会がいろいろな実験を許して、うまくいったものを広める、というカルチャーを育てなければならない。
きちんと失敗を分析して、それを次に活かすのは当たり前のことだ。しかし、それが日本で行われていない。
■フロントランナーは常に孤独
新しいことを提案すると、人は必ず「それは誤りだ」という。
少し進み出すと、「誤りではないが、できるはずがない」となる。
できそうになってくると「できるかもしれないが、できても意味がない」となる。
そしていよいよできると「やっぱり、私の言ったとおりだ」と言う。
言われた仕事はやるな!(石黒 不二代)
「言われた仕事はやるな!」は、先日上場したネットイヤーの社長をされている石黒 不二代さんが書かれた書籍です。
献本を頂いていたのですが、読書メモを書けてなかったので、書評抜き読書メモを公開させて頂きます。
シリコンバレー的な仕事のスタイルを日本でどう参考にするべきかというのを考えている人には、参考になる点のある本だと思います。
【読書メモ】
■自分の力でコントロールできないこと=リスクである。
■シリコンバレーにおいてさえ、1980年まで、起業家はロールモデルとは見なされていなかった。
■ターマン氏は、他の教授や学生たちと産業界との結びつきを強くするために、学生には企業へのフィールドトリップをさせ、産業界へのミーティングにも自ら頻繁に出席をした。リサーチセンターを作り、学校周りの企業に教室を開放し、大学での聴講を勧めた。
■スタンフォード大学が促進したいのは、競争ではなく、その力や知識を共有すれば、1+1が3になるという方程式だ。
■ハイテククラブの主要な活動というのは、シリコンバレーにある有名ハイテク企業、もしくは、いけてるスタートアップの創業者を呼び、彼らのスピーチをきくとか、こぢんまりした部屋で話し込むというものだ。
■私たちはシリコンバレーが失敗を許してくれることを学んでいた。ジョブスだって失敗する。しかし、ジョブスにさえ、失敗を受け止めることは、簡単なことではなかった。
■本当のリスクとは・・・会社が大きくなることだ。
自分が背負いきれないほどの従業員とその家族。株主を抱えること。それが本当のリスクだ(スコット・マクネリ)
志マーケティングのすすめ (藤巻 幸夫)
「志マーケティングのすすめ」は、福助株式会社の社長をされている藤巻 幸夫さんが書かれた書籍です。
東急エージェンシーさん経由で献本を頂いていたのですが、読書メモを書けてなかったので、書評抜き読書メモを公開させて頂きます。
小手先だけでないマーケティングについて考えてみたいという方には、参考になる点がある本だと思います。
【読書メモ】
■売るための3つの要素
・MD(マーチャンダイジング)
・VMD(ビジュアルマーチャンダイジング)
・広告・宣伝・PR
■マーチャンダイジング、すなわち戦略的な品揃え。その大きな幹の一つがデザインだ
■VMD(ビジュアルマーチャンダイジング)マトリックス
縦軸にあるのは「モダン」と「クラシック」
横軸にあるのは「エレガンス」と「カジュアル」
■ブランドにはフィロソフィー、ヒストリー、そしてストーリーの3つが必要だ
■消費者の心を打つ広告・宣伝を実現したいのなら、商品開発の段階から参画するしかない。
■ワンマイル族
いま、「クルマはいらない」「酒は飲まない」「海外旅行?めんどくさい」、そんな若者が増えているという。行動半径は自分の周辺1マイル。趣味は貯金。