サーチアーキテクチャは、ITmediaオルタナティブブログでもブログを書かれている吉川 日出行さんが書かれた、検索をテーマにした本です。
イベントの時に(確か日経BPのセミナー?)献本いただいたので、いまさらながら読書メモを書いてみました。
検索サービスというと、すぐにGoogleやYahooを想像してしまうのが、現在のネット系の人のパターンだと思いますが、この本を読むと実は検索という行為にはいろんなパターンがあることに気づかされます。
実際には、それらの行為に応じて最適な情報の提供手段があるわけですから、このあたりにいろいろとビジネスのネタになる要素もありそうな気がします。
ちなみに、個人的に気になっているのは、能動的に検索をしないでも、こちらの行為に応じて検索すべき情報を表示してくれるような、検索を先回りしてくれる仕組み。
ブログの記事を書いているときに関連記事を表示しているサービスとか最近出てきたりしていましたが、そのあたりの仕組みがいろいろ出てくると、また違った世界が見えてきそうな気がします。
今の検索の先を考えるために、まずは「検索」を俯瞰して考えてみたい人にお薦めの本です。
カテゴリー: 読書メモ
大学2年で社長になるということ (星野 希)
「大学2年で社長になるということ」は、タイトル通り大学在学中に会社を設立して社長を経験した星野 希さんの本です。イベント(たしか動画人)でお会いしたときに献本を頂きましたので、遅ればせながら読んでみました。
星野さんが設立したのは、マルシェビスという有限会社なのですが、非常に面白いのがいわゆる学生起業とは異なり、学生中のみ起業として期間限定での会社設立になっている点。
なかなか、社会人になってしまうと生活もかかっているので、最初から会社の終わりを決めて会社を設立するという発想は生まれてきませんが、期間を決めて会社を運営するという意味ではプロジェクト的な会社経営と言うことができると思います。
会社の事業自体も、あえて他の普通の企業と対等な土俵で勝負しようとするのではなく、学生ならではの事業スタイルに集中しているのが非常に興味深いところ。
このあたりのスタイルは、他の会社にも参考になる点がいろいろありそうです。
実際、星野さんは公約通り今年の4月から別の会社に就職、マルシェビスは別のチームに引き継がれているようです。
ちょっと残念なのは、就職した会社の方針か個人ブログを閉鎖されてしまったことですが、彼女のようなキャラクターがもっともっと増えてくると、日本ももっと面白くなってきそうだな、と思わせてくれる一冊です。
起業を考えている学生さんだけでなく、会社に対する固定観念をゼロから考えてみたいという方にもヒントになる本だと思います。
Webコミュニティでいちばん大切なこと (伊藤 将雄、古川 健介 他)
「Webコミュニティでいちばん大切なこと」は、コミュニティサービスの最前線で活躍するメンバーが共著で執筆されている本です。
(誰からか失念してしまったのですが(汗))献本をいただいたので、読書メモを公開しておきます。
なんといってもこの、「Webコミュニティでいちばん大切なこと」は執筆陣が豪華。
みんなの就職の伊藤 将雄さんや、ブログウォッチャーの古川 健介さん、ソーシャルネットワーキング.jpの原田 和英さんなど、その道のプロがそれぞれのパートで自らのノウハウやテクニックを公開されており、コミュニティ運営やコミュニティをベースにしたビジネスを考える上で、気づきとなることがちりばめられています。
個人的に刺激になったのは、ソーシャルコマースのパート。
ソーシャルコマース的なものは、なんとなく日本ではAmazon、価格.comあたりが突出していて、それ以外の発想があまりでてこない気もするのですが、実はまだまだやれることや可能性もいろいろあるようで。
楽天やYahoo!ショッピングに単純に並んでいるショップとかを、有機的につなぐポータル的なサイトとか、分野ごとに特化したソーシャルコマースサイトというのはまだまだいろいろ開発の余地がありそうです。
恋する天才科学者 (内田 麻理香)

内田 麻理香さんが書かれた本です。
OBIIのイベントの際に光栄にも献本頂きました。
本人のプロフィールも非常に興味深いのですが、なんでも「工学へロマンを取り戻す」というのが個人的なテーマだそうで。
この「恋する天才科学者」でも、有名な天才科学者たちの裏話や恋愛話に焦点をあてることで、なんとなく無機質になりがちな科学者を非常にコミカルに紹介されています。
特に科学者が教科書なんかで紹介される際は、晩年の写真が紹介されることが多いので、科学者=年老いた人というイメージが強いのですが、たしかに誰にでも若い時期はあるわけで。
アインシュタインが実は浮気性だったりとかいう話がわかると、彼らもなんとなく身近に感じられる気がします。
キーストーン戦略 (マルコ・イアンシティ/ロイ・レビーン)
キーストーン戦略は、ビジネスの産業構造を企業のエコシステムと捉え、実際の生物の生態系と比較することで、「キーストーン」と呼ばれるリーダー企業の重要性や戦略について分析した本です。
翻訳に携わったOutlogicの杉本さんに献本していただいたので、遅ればせながら読書メモを公開しておきます。
ある分野において、非常に影響力の強い企業がいると、その企業が業界の利益を独占しているというように表現されるのは良くある話です。
この本においては、マイクロソフトやイーベイ、最近ではGoogleなんかが典型例でしょうか。
ただ、この本ではこれらの企業は必ずしも一社で業界の利益を独占しているわけでなく、他の企業と共存するエコシステムを構築しているからこそ、強い影響力をもっているという面が明らかにされています。
実際、マイクロソフトやイーベイが多額の利益を上げている横で、それに関連したビジネスで収益を上げている企業は星の数ほどいるわけで、彼らの利益まで独占しようとするかどうかが、単なる支配者なのか、キーストーン企業となれるのかというポイントになるということのようです。
そういう意味でも非常に印象深かったのは、「成功への鍵は、自分たちの組織よりも大きな人々のコミュニティに対して訴えかけるということ」というくだり。
そんなんじゃクチコミしないよ。 (河野 武)
「そんなんじゃクチコミしないよ。」は、smashmediaというブログを書いている河野 武さんがクチコミマーケティングまわりについて冷静に持論を展開している本です。
セミナーに参加したときに頂いたので読書メモを書いておきます。
広告トゥナイトの小笠原さんも「この本は読む人を選ぶ本だなと思いました」と書いてましたが、この本はクチコミマーケティングとかネットマーケティングの可能性に気がついた後に、そのままその可能性を過大評価するような方向に行ってしまった人に向いている本と言えそうです。
河野さんがブログで普段から展開されているスタンスそのままに、誇張されすぎたクチコミやインターネットの力について、冷静に実際の力がどの程度かという分析をされているので、興奮しすぎて熱くなっているのを冷やすのにちょうど良いという感じでしょうか。