「がんばれ!銚子電鉄」は、2006年に経営危機に直面した銚子電鉄のストーリーを紹介した本です。
献本をいただいていましたので、遅ればせながらメモを書いておきます。
タイトルからだと直接は想像できないのですが、この「がんばれ!銚子電鉄」は実は、インターネットを通じた顧客とのリレーション作りの生きた事例のような本といえるでしょう。
もちろん、単純にプロジェクトX的な銚子電鉄のストーリーとしても十分面白いのですが、やはり個人的に勉強になったのは、経営危機に直面した地方電鉄が、ホームページを通じた電鉄側の呼びかけをきっかけに、利用者やファン、支援者のエネルギーを目の当たりにし、それによって経営自体のアプローチを変えていき自信を回復していくプロセスです。
特に印象に残ったのが下記にもメモしましたが、テレビに取り上げられた後の反応の継続の違い。
1997年頃に同様の経営危機でテレビで取り上げたときは注目が一過性だったのに対し、2006年の時にはインターネットの効果によって話題が長続きしたという話は、企業のマーケティングにおけるテレビとネットの組み合わせを考える上でも非常に参考になる話だと思います。
カテゴリー: 読書メモ
新・データベースメディア戦略 (橋本 大也 他)
「新・データベースメディア戦略」は、データベースをコアにした事業に携わる執筆陣が共同で執筆した本です。
献本を頂いたので、読書メモを書いてみました。
データベースという文字が表紙に躍っているので、ついつい技術的なデータベースの要素の話かと思ってしまいがちな気がしますが、ココで言われているデータベースメディアとは、「Web2.0のコアはデータベース」と言っていた文脈でのデータベースということのようです。
最近のウェブサービスでは、明らかにデータベースの活用の仕方が、サービスの魅力を分ける結果になっており、そういう意味でもデータベースメディアというキーワードは一つの視点として面白そうです。
個人的に印象に残ったのは、FacebookアプリでブレイクしたiLikeの伸び数。
なにしろ2ヶ月足らずで500万人ものユーザーがインストールをしたというからすごいです。
もちろん、すでに利用者がいたサービスなので、ゼロからのスタートで2ヶ月で500万人の利用者を増やすというのとはちょっと違うとは思いますが、それにしてもこのスピードは驚異的。
それも、利用者のデータベースとアプリケーションのプラットフォームをオープンにつなぐことによって、そういう土壌を構築したFacebookのアプローチが効いていたんだろうと改めて思います。
ウェブサービスやソーシャルメディア系のビジネスをされている方は、参考になる要素がある本だと思います。
一流のキャリアメイク術 (保田 隆明)
「一流のキャリアメイク術」は、ちょーちょーちょーいい感じでおなじみの保田さんが書いたキャリア本です。
保田さんというと、SNSの起業やブログ、RTCカンファレンスの印象が強いのですが、元々リーマン・ブラザーズなど金融系の出身。
金融業界は特に外資系では、高額の年収が分かりやすい評価指標として存在しているのですが、保田さんはその世界から、やりがいを選択して起業したタイプ。
この本ではそんな二つの価値観の両方を体験した保田さんならではの「一流のキャリア」についての考え方が展開されています。
私のような年功序列系の会社の出身者だと、少しピンとこない部分もあったりするのですが、外資系企業に勤めながら転職を悩んでいる方や、これから就職活動をする学生さんには参考になる視点がある本だと思います。
みんなの「知識」をビジネスにする (兼元謙任、佐々木俊尚)
「みんなの「知識」をビジネスにする」はOK Waveの兼元謙任さんと佐々木俊尚さんの対談形式でまとめられている本です。
献本をいただきましたので、読書メモを公開しておきます。
この本で主なテーマとなっているのは、以前ブログでも取り上げた「クラウドソーシング」というキーワード。
個人的にも非常に注目しているキーワードなのですが、OK Waveはそのはしりに近いことをWeb2.0ブームの以前からやっている会社で、兼元さんの言葉のはしばしに、そういうクラウドソーシング的な事業を展開してる会社ならではの要素が出てくるのが興味深いところです。
ちなみに、個人的に印象に残ったのは、デザインにおける日本とヨーロッパの文化の違いのくだり。
日本のデザイン力はボトムアップで民衆から出てきているのに対し、ヨーロッパは、貴族がパトロンになった形のトップダウンのアートという大きな違いがあるようです。
そういわれてみると、最近注目されているお絵かき系のサービスなんかも、日本だとすぐにクオリティの高い画像が次々に生成される印象がありますし、そういったみんなの力を集めて何かをやるというのは、やはり日本ならではのアプローチというのがありそうな気がますますしてきます。
まずは、クラウドソーシングの基本的なコンセプトを押さえたいという人には役立つ本だと思います。
ウェブを変える10の破壊的トレンド(渡辺弘美)
「ウェブを変える10の破壊的トレンド」は、日経ビジネス・オンラインでもコラムを書かれているの渡辺弘美さんの書籍です。
献本をいただいていたので、読書メモをまとめてみました。
この本では、主に米国を中心に登場してきているインターネット上の新しいツール群を10のトレンドという視点でまとめられています。
とにかくいろんなサービスが出てくるので、本を一気に読むよりはPCを横に置いて実際に画面を見ながら読んでいくのが良いかもしれません。
個人的には、このあたりの分野は相当いろいろ見て回っていたつもりだったのですが、それでも知らないツールがかなり出てきました。
ちなみに、個人的に一番大きなポイントだと思っているのは、本書でも「フリー」の章で取り上げられている希少経済から潤沢経済への変化の課程でおきている価値観の逆転。
以前、ブログでありあまり経済というキーワードで紹介したことがありますが、やはりこの二つの価値観のどちら側で物事を見るかというので、まったくアプローチが変わってくるのではないかと思います。
一冊で今のインターネットをざっと総括したいという方に向いている本です。
自分探しが止まらない (速水 健朗)
「自分探しが止まらない」は犬にかぶらせろ!というブログでも有名な速水 健朗さんの本です。
光栄にも献本いただいたので、遅ればせながら読書メモを書いておきます。
この本を読んで思ったのですが、私自身、典型的な自分探しにはまるタイプの人間だと思います。
就職活動の頃から自分が何をしたいのかイメージが湧かず留学でもしようかなーと適当に考えていたタイプでしたし。
運良くNTTにいれてもらったものの、日々やっている仕事とは他の何かができるのではないかと思って、Niftyの起業フォーラムとかに出没してみたり、ビジネススクールのグロービスに行ってみたり、転職をしてみたり。
今こうやってブログを書いているのも、自分探しの一環なのかもしれないなーと思ったりします。
そういう視点でこの本を読んでいると、なんだか当てはまる点が恐ろしく多く、読んでいる間に、いろんなことを考えてしまった一冊でした。
速水さんがあとがきに書いていたように、おそらく自分探しをすること自体は必ずしも悪いことではないのでしょうが、それに対する社会の仕組みに「自分探しホイホイ」的なものがあると理解しているかどうか、というのは大きな違いになりそうです。
私と同世代の皆さんには、是非読んでおくことをお勧めしたいと思います。