一回のお客を一生の顧客にする法 (カール スウェル)

一回のお客を一生の顧客にする法―顧客満足度No.1ディーラーのノウハウ 3年ぐらい前に、社外取締役の人に薦められて購入した本です。
 (その後デザイン等を一新して再度販売されているようです)
 当時に読んで、何となく分かったような気分になっていましたが、あらためて読み返してみて、自分がいかに基本的な顧客サービスの姿勢がなっていないか考えさせられてしまいました。
 まぁ、日本では「お客様は神様」という表現があるように、アメリカに比べると無料の過剰サービスが基本のような国ではあるので、多くの人はこの本を読んでも当たり前のことだと感じるのかもしれませんが。
 顧客サービスについて悩んでいる方にはお勧めの本です。

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The Wisdom of Crowds (みんなの意見は案外正しい)

「みんなの意見」は案外正しい 邦題の「みんなの意見は案外正しい」というタイトルだとぴんと来ない人も多いかもしれませんが。
 原題はThe Wisdom of Crowds(ウィズダム オブ クラウド)。ウェブ進化論でも話題になった群衆の英知というキーワードのもととなった書籍です。
(実は2004年に出版されていて、直後にHYamaguchiさんがレビューして話題になっていたりするんですが、翻訳されるのに2年近くかかっているんですね。)
 本書でも書かれているように、これまでの一般的な常識というのは「群衆」「大衆」というのは比較的あまり良いイメージでは使われません。極端に言うと、烏合の衆とか愚民とかいったキーワードにみられるように、大衆は能力のある個人には劣ると考えられがちです。
 ところがこの本では、多様な集団や群集が到達する結論は、「一人の個人よりつねに知的に優る」という一見これまでの常識に逆行する説を提示しています。
 ウェブ進化論においても、最後に梅田さんがあちら側とこちら側という考え方と組み合わせるもう一つの軸として提示していたのが不特定多数無限大を信じるかどうかというポイント。
 この部分をどちらとして物事を考えるかというのは、結構大きな違いを生んでくるような感じがします。
 本書では、群衆が個人よりも賢くなるケース、賢くならないケースについて具体的な事例を並べて解説してくれており、Wisdom of Crowdsがいまいち分からないという人にお勧めです。
 ちなみに、個人的に気になったのは中盤に出てくる「マタイ効果」の話。
 「有名な科学者の研究はさほど有名でない科学者の研究に比べて、膨大な数の引用がなされる。」という科学者の論文における「名声のパワー」の事例を紹介しているのですが、最近のブログ界も同じことが起こっている気がして、この認知と質のアンバランスの問題を技術によって解消することができるのかどうかが気になるところです。

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明日は誰のものか (クレイトン・クリステンセン)

明日は誰のものか イノベーションの最終解 イノベーションのジレンマで有名なクレイトン・クリステンセン氏の最新刊です。(とはいえ、もう発売されてからかなり経っているのですが)
 会社の人に借りた時の読書メモを投稿するのを忘れてましたので、今更ながら投稿です。
 今回の「明日は誰のものか」は、イノベーションのジレンマやイノベーションへの解に比べると、比較的引いた視点のように感じます。
 最初にイノベーションのジレンマを読んだときのような衝撃は当然望むべくも無いのですが、何となく1冊目2冊目を読んでもしっくり来なかった方に逆にお勧めかもしれません。
 いろんな産業の事例が並んでいて、どれかはきっとヒットするはずです。
 個人的には通信産業の事例がたくさんあったので、あらためて分かりやすく理解することが出来ました。
 最近、インターネットの普及を背景に、超低価格なイノベーションが次々に出てきている感覚がありますが、はたしてこれらは、破壊的なイノベーションとなって既存産業の市場をひっくり返していくのかどうか、そのときの産業のあり方とは、国はどうするべきなのか、と改めていろいろ考えさせられる一冊です。

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ウェブ進化論 (梅田 望夫)

ウェブ進化論 本当の大変化はこれから始まる ウェブ進化論については、出版記念イベントに参加させてもらったりしたのもあり、全体への感想はブログに書いたりしているのですが、読書メモ自体をまとめていないのに気がつきました。
 すでにそこら中で書評は書かれていますし、驚きの部数になっているようなので、こういったネットに関する本がこれだけ多くの人に読まれるのに改めて驚いている日々です。
 読書メモをまとめるために改めて本を読み直してみたので、ついでに改めて感想をメモしておくと。
 私たちは本というものを買うときに何かしらそこに答えとか、指針のようなものを期待しがちですが、このウェブ進化論で梅田さんが問いかけているのは、こういう流れに対して「あなたはどうするつもりなのか?」ということなのかもしれないなーと改めて思います。
 その辺、今週のRTC勉強会でもどういった議論になるのか、楽しみです。

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はじめの一歩を踏み出そう (マイケル・E. ガーバー)

はじめの一歩を踏み出そう―成功する人たちの起業術 この本を始めて読んだのは、2年以上昔だったと思います。
 (Outlogicの杉本さんが薦めていたので買ってみたと記憶してます。)
 起業系の本としては意外に薄く、読みやすいのが特徴ですが、重要なポイントをしっかりと抑えられているのが印象的な本です。
 特にいろいろ考えさせられたのは「起業家」と「職人」と「マネージャー」の3つの視点。
 自分ひとりの時には上手くいったのに人が増えると急に上手くいかなくなるというビジネスの初期の立ち上げの難しさの原因を、分かりやすく教えてくれます。
 起業を志す人にはお勧めの本です。
 ちなみに、最近逆に気になっているのは、独立という選択肢を取る人が増えていること。
 個人規模での独立であれば、あくまで自分の「職人」としての価値に自信があれば良いわけで、インターネットを使えば上手く個人でもスケールできるWeb2.0時代には、あえて起業家的な拡大ベンチャー志向ではなく、職人としてのマイクロビジネスという選択肢も増えてくるような気がします。

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「へんな会社」のつくり方 (近藤 淳也)

「へんな会社」のつくり方 次世代の経営者として注目されるはてなの近藤さんの本。
 翔泳社さんから献本を頂きましたので、遅ればせながらメモを書いておきます。
 書籍の内容自体は、CNETに連載されていたブログをベースとしているので、一度読んだ内容も多いのですが、あらためてまとめて読むと考えさせられるところが多々あります。
 特に参考になるのは、すべてのことに対して「それは本当か?」と常識を疑って考えているところ。
 最後の方にアインシュタインの「常識とは18歳までに身につけた偏見のコレクションのことをいう」という言葉が紹介されていますが、そう言われてみれば結局企業経営論なんてここ100年程度の歴史しかないわけで。
 過去の歴史の中で常識となってきたことに対して常に疑問を持ち、自らの会社にあった仕組みを模索し続ける姿には頭が下がります。
 「へんな会社の作り方」というタイトルにはなっていますが、実際にこの本の中で近藤さんがメッセージとして発しているのは、実はインターネット時代においては既存の会社の方が「へんな会社」なんじゃないの?ということかもしれません。

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