プロフェッショナルマネージャー (ハロルド・ジェニーン)

483345002X 「プロフェッショナルマネージャー」は、経営者のあるべき姿について考察している書籍です。
 以前から気になっていたので買ってあったのですが、ゴールデンウィークに読んでみたので、書評抜き読書メモを公開させて頂きます。
 書籍のタイトルが「マネージャー」なので、つい日本だと中間管理職ぐらいをイメージしてしまいますが、この本はどちらかというとトップマネジメントそのもののあるべき姿を考察している書籍です。
 
 必ずしも突飛な手法や特殊な考え方が出てくるわけではなく、基本的なポイントを指摘されている本ですが、その自信に満ちた語り口からは多くの刺激を受ける方が多いと思います。
 経営者のあるべき姿について一歩引いた視点から考えてみたい方には、参考になる点がある本だと思います。
【読書メモ】
■本を読む時は、初めから終わりへと読む。
 ビジネスの経営はそれとは逆だ。
 終わりから始めて、そこへ到達するためにできる限りのことをするのだ。
■最初の四半期に目標を達成できなかったら、けっして年間の目標を達成することはできない
■製品系列マネージャー 競争を眼目にして競争力を監視
 現業のセールスマンやマネージャーや技術者やオペレーション・チームのメンバーは、いずれも自分たちの製品をひいき目に見ることに慣らされていて、競争者を見る場合、ともすればその欠点にばかり目がいくものだ。

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儲かるフラッシュマーケティング クーポンサイト完全活用ガイド

4048703137 「儲かるフラッシュマーケティング クーポンサイト完全活用ガイド」は、その名の通りグルーポンに代表されるクーポン共同購入サービスについて総括している書籍です。
 献本を頂いたので、書評抜き読書メモを公開させて頂きます。
 クーポン共同購入サービスについては、グルーポンおせち騒動等のトラブルが早期に注目されてしまった関係で、一部の方にはただの怪しい割引きクーポンサービスと受け止められている向きもありますが、この本を読むと、そういった表で注目されている部分以外の本質的なクーポン共同購入サービスの価値を考えることができます。
 具体的な数値やデータも多数含まれていますし、クーポン共同購入サービスやフラッシュマーケティングの可能性について冷静に考えてみたい方には参考になる点が多々ある本だと思います。
【読書メモ】
■クーポン共同購入サービスとは、その多くは破格の割引クーポンを期間限定、数量限定で販売することで、消費者の購入意欲をかき立て、店舗への集客に結びつけるサービスのこと
■フラッシュマーケティングのフラッシュは「閃光、瞬間」の意味。
 つまり、フラッシュの光のように短期間で販売すること、平たく言えばタイムセールのこと。
■米国のグルーポンは、本職のコピーライターを雇い、消費者に期待感を抱かせるコピーで店舗への集客を促すような充実したサービスを提供できています。
 でも日本はまだそこまではできていません。

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メッシュ (リサ・ガンスキー) には、現在話題になっている「シェア」と呼ばれている現象の本質を考えるヒントがあると思います。

4198631174 「メッシュ」は、副題に「すべてのビジネスは〈シェア〉になる」と入っているように、いわゆる「シェア」的な現象について考察している書籍です。
 献本を頂いたので、書評抜き読書メモを公開させて頂きます。
 小林さんが監訳に携わった「シェア」が話題になったこともあり、今年のテーマの一つは「シェア」というキーワードだと思いますが、この書籍ではそういった「シェア」という現象をメッシュという網目状のつながりという視点から考察されています。
 シェアというキーワードが一人歩きすると、単純に一人一人のシェアをイメージしてしまうかもしれませんが、トップダウンの文化に慣れている方だと意外にシェア現象の本質が理解できない気がしています。
 実際にはインターネットという網目状のネットワークの発展により現在のボトムアップでのシェアの現象が発生し、社会に大きなインパクトを与えているのでメッシュという視点は非常に本質的だと思います。
 これからインターネットやソーシャルメディアが引き続き起こしていくである変化について真剣に考えたい方には参考になる点が多々あると思います。
【読書メモ】
■メッシュ・ビジネスの特徴
・核となる提供物が、一つのコミュニティや市場、価値連鎖の中で「シェアされる」
・利用状況を追いかけ、顧客データや製品情報を集計する
・シェアできる有形のモノに重点が置かれている
・クチコミで伝えられ、SNSによってより広範囲に伝達される
■フル・メッシュ
 シェアするものに資本を投資し、情報ネットワークを利用した小規模な貸出を仲介することで利益を得る
■オウン・トゥ・メッシュ
 モノを所有している人がシェアする相手を簡単に見つけ、シェアによって利益を得るようなプラットフォームをつくる

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クラウドソーシング (ジェフ・ハウ)

4153200018 「クラウドソーシング」は、ワイアードのエディターのジェフ・ハウ氏が書かれたクラウドソーシング考察の書籍です。
 献本を頂いていたのですが書評を書けていなかったので、書評抜き読書メモを公開させて頂きます。
 昨日の日経ビジネスオンラインのコラムにも書きましたが、クラウドソーシング的な取り組みはこれまであまり日本では機能していなかった印象がありますが、今回の震災で少し雰囲気が変わってきた気がします。
 
 昔同名の「クラウドソーシング (バリー・リバートほか)」という書籍も紹介しましたが、あちらの本が事例集的な位置づけだったのに対し、こちらの書籍はクラウドソーシング現象自体の考察本という位置づけです。
 これからの日本におけるクラウドソーシングの可能性を真剣に考えたい方には参考になる点がある本だと思います。
【読書メモ】
■クラウドソーシングは、産業時代を席巻していた流れ作業方式をよしとする思想、フォーディズムの対極にあると言える。
■クラウドソーシングでは、参加者は金銭をおもな動機とせず、余った時間を提供することだ。彼らは、余剰能力、すなわち「スペアサイクル」を提供し、自分の好きなことに没頭するのである。
■クラウドソーシングが生まれる豊かな土壌を作ったのは、四つの進歩である。
・アマチュア層が増加したこと
・新しい生産方式が登場したこと
・インターネットと安価なツールが普及したこと
・オンラインコミュニティの進化

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「自分ごと」だと人は動く (博報堂DYグループエンゲージメント研究会)

4478008728 「自分ごと」だと人は動く、は、博報堂DYグループエンゲージメント研究会が出された書籍です。
 献本を頂いたので、書評抜き読書メモを公開させて頂きます。
 広告やメディア業界がインターネットによって大きな変化を受けるというのは良く言われている話ですが、この書籍では大手広告代理店である博報堂DYグループならではの視点で市場の変化について考察されていますので、現在の変化の本質について考察したい方には参考になる点がある本だと思います。
【読書メモ】
■網衆(もうしゅう)
 人間は一人一人の存在であって、それが他の人とネットワーク的につながっている状態
■メディア環境の変化
・情報量の増大
・いつでも、どこでも情報が手に入る
・誰もが情報の編集者
■レッテルからタグへ
 レッテルは一度貼られたら、なかなか剥がすことができません。
 タグは取ることもできる軽い札。また一人につき、何枚でも自由にぺたぺたと貼れる。

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トルネード (ジェフリー・ムーア) は、「キャズム理論」や「イノベーションのジレンマ」を本気で理解したい方には必読書だと思います。

4903212238 「トルネード」は、キャズム理論の「キャズム」でも有名なジェフリー・ムーアの書籍です。
 献本を頂いたので、書評抜き読書メモを公開させて頂きます。
 日本でも「キャズム」は非常に有名ですが、実はジェフリー・ムーアの書籍は続き物で、キャズムに続く二冊目がこの「トルネード」です。
 原題は、一冊目が「Crossing The Chasm(キャズムを超える)」で二冊目が「Inside The Tornado(トルネードの中へ)」で三冊目が「Gorilla Game(ゴリラゲーム)」という完全なシリーズもの。
 私も初めて原著を読んだのがもう10年以上前なんですが、日本では一冊目を翔泳社がヒットさせたものの、二冊目・三冊目は別の出版社が翻訳を担当し、あまり注目されずに終わった過去があります。
(その後、「ライフサイクルイノベーション」は久しぶりに翔泳社が翻訳を担当し、ある程度ヒットしたようですが。)
 その二冊目の「トルネード」を今回新たに明確にキャズムの続編として打ち出して再出版されたのが今回の書籍になります。
 私も久しぶりに改めて読んだのですが、やはりジェフリー・ムーアならではの分りやすい比喩の元に表現される理論は分かりやすく参考になる点が多々あります。
 特にいわゆるキャズムを超えようとする技術の普及が足踏みしているタイミングと、この本でトルネードと呼ばれる急速な技術の普及期において、企業側に求められるコア要素ががらりと変わるというのは意外に知られていない重要な視点だと思います。
 テクノロジーの登場時には中心にいたはずの企業が、そのサービスが一気に普及するタイミングになると、一件質の悪そうな他事業者に市場を一気に持って行かれてしまうというシーンは日本のIT業界でも良くある光景のような気もします。
 ハイテク業界での新規事業に取り組む人にとっては「キャズム」「イノベーションのジレンマ」と並んで、今でも必読書の一つと言える本だと思います。
【読書メモ】
■ライフサイクルが次の段階へ進んだときには、戦略を多少変更する程度では足りない。勝つためには、むしろ以前とは正反対の戦略をとる必要がある。
■ビジョナリーは「将来的に有用になる」ことを予想して賭に出るが、実利主義者は「すでに稼働中」という実績を求める。
■マーケットの六段階
・初期市場
・キャズム
・ボウリング・レーン
・トルネード
・メイン・ストリート
・終焉

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