伝説の教授に学べ! 本当の経済学がわかる本 (浜田宏一、若田部昌澄、勝間和代)

4492395334 「伝説の教授に学べ! 本当の経済学がわかる本」は、勝間和代さんが浜田宏一さんの特別授業を受けた様子を収録した書籍です。
 献本を頂いたので、書評抜き読書メモを公開させて頂きます。
 浜田宏一さんは、東京大学在学中に司法試験に合格し、現日本銀行総裁の白川方明氏に経済学を教え、いまでもアメリカの名門イェール大学経済学部で教鞭をとり続けている、という伝説の教授だそうです。
 
 正直、私にはちょっと難しい話が多かったのですが、そんな伝説の教授が経済をどう見ているのか気になる方には、参考になる点がある本だと思います。
【読書メモ】
■一国の中央銀行のエコノミストが、デフレは良いことか悪いことか、などという議論をするのは世界の常識では考えられない
■公務員のような人たちにとっては、デフレの悪影響は比較的小さいと言えます。
■なぜ日本銀行が、「日銀流理論」にしがみつき続けるのかは、本当によくわかりませんが、おそらく、失敗をしないようにという意識が年々、積み重なって出来上がった一種の伝統ではないか、と思います。
■日本銀行のコンファレンスで発表された海外の経済学者の論文も、日本銀行の主張と違っていれば、徹底的に無視されます。

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トリプルメディアマーケティング (横山隆治)

4844328832 「トリプルメディアマーケティング」は、ADKインタラクティブの横山さんが書かれた書籍です。
 献本を頂いたので、書評抜き読書メモを公開させて頂きます。
 トリプルメディアというフレーズは、最近様々なマーケティングのセミナーやイベントでもお馴染みになってきましたが、この本ではそのトリプルメディアの視点からマーケティング手法についての総括がされています。
 ツイッターの急速な普及もあり、ソーシャルメディアや自社メディア、マスメディアなどのそれぞれの役割や、課題や可能性が混乱しているという方も少なくないと思いますが、そう言う方は、この本を読んで一度一歩引いた視点から俯瞰してみるのが良いのではないかと思います。
 ソーシャルメディアを活用したマーケティングが気になっている方にも、参考になる点が多々ある本だと思います。
【読書メモ】
■いい広告とはなんですか?
「この広告は私のことを言っているなと感じる広告が最高の広告だ」(ピーター・ドラッカー)
■マーケティングメディアには3つのメディアがある(マルチメディア2.0)
・「買うメディア」Paid Media
・「所有するメディア」Owned Media
・「得るメディア」Earned Media
■自社メディアの特徴
・コスト効率が良い
・長期的かつ連続的である
・多目的である

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AR-拡張現実 (小林啓倫)

4839935645 「AR-拡張現実」は、タイトル通りARの基本や可能性について考察されている書籍です。
 献本を頂いたので、書評抜き読書メモを公開させて頂きます。
 セカイカメラが大きな注目を集めたこともあり、AR=セカイカメラと思っている人も結構いるかも知れませんが、この本を読むとARには他にも様々な可能性があり、すでに様々な取り組みが行われているのに気がつかされます。
 特に日本ならではのARへの取り組みの提言については、個人的にもうなずくところが多々ありました。
 ARというものが、分かったようでどうもよく分からないという方には、参考になる点がある本だと思います。
【読書メモ】
■ARとは
情報技術を使って、現実空間に何らかの情報を追加すること、あるいはそれによって情報が追加された(すなわち「拡張」された)現実空間
■ARの実現形式による分類
・マーカー型
 ARを実現するために特殊なマーカーを使用する形式
・マーカーレス型
 現実空間にある特定の図形や写真を認識して計算を行う
・位置情報型
 さまざまなセンサー類を用いることで端末の位置や傾きを確認できれば、それに応じたコンテンツを提供することが出来る
■欧米に比べウェブカメラの普及率が低く、ビデオチャットの文化も根付いていない日本では、海外のように爆発的にAR広告/プロモーションが流行するという状況にはなりにくいかもしれない

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「日銀貴族」が国を滅ぼす (上念司)

4334035698 「日銀貴族」が国を滅ぼすは、タイトル通り日銀の在り方について考察されている書籍です。
 献本を頂いたので、書評抜き読書メモを公開させて頂きます。
 正直、私は日銀の役割や中央銀行の存在意義についてよく理解しているわけではありませんが、この本を読むと、異様に長く続く日本のデフレと現状の日銀について、いろいろと考えさせられます。
 日銀について、メディアと違った視点から考えてみたい方には参考になる点がある本だと思います。
【読書メモ】
■中央銀行の主な役割
・通貨の供給や金利をコントロールすることで物価を安定させる
・金融システムの安定を維持する
・経済パフォーマンスを最大化させること
■日銀の根拠法には「経済パフォーマンスを最大化させること」は明示されていない
■デフレ脱却の手順案
・日本政府が額面で30兆円の硬貨を鋳造する
・30兆円玉を日銀に持ち込んで、1万円札30億枚に両替する
・30兆円を財源に、一人当たり20万円の定額給付金を毎年支給する
・デフレが終わり、マイルドなインフレが定着したら支給を停止する。デフレが終わらなければ最初に戻る

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スティーブ・ジョブズ 驚異のプレゼン (カーマイン・ガロ)

482224816X 「スティーブ・ジョブズ 驚異のプレゼン」は、タイトル通りスティーブ・ジョブズのプレゼン術について考察されている書籍です。
 献本を頂いたので、書評抜き読書メモを公開させて頂きます。
 すでにこの本はツイッター上を含め各所でも話題になっているようで、Amazonのランキングで総合2位まで上り詰めたそうですが。
 スティーブ・ジョブズのプレゼンテーションが非常に特徴的であることは、これまでも様々なシーンで指摘されていましたが、ここまで体系的に彼のプレゼン術を解剖した本はなかったように思います。
 特に、この本では以前紹介した「プレゼンテーション ZEN」への言及も出てくるのですが、個人的には逆にプレゼンテーション zenを読んだ人は、プレゼンのテクニックだけでなく、伝えたい本質が重要ということを再確認する意味で、こっちも読んでおいた方が良い気がしています。
 自分のプレゼン術を根本から考え直したいという方には参考になる点が多々ある本です。
 
 ツイッターでも書きましたが、この本は、スティーブ・ジョブズやアップルがあまり好きじゃないから彼のプレゼンをほとんど見ていないという方こそ、読んでおいたほうが良い本かもしれません。
【読書メモ】
■プレゼンテーションの基礎を固める方法
・計画はアナログでまとめる
・一番大事な問いに答える
・救世主的な目的意識を持つ
・ツイッターのようなヘッドラインを作る
・ロードマップを描く
・敵役を導入する
・正義の味方を登場させる
■プレゼンテーションで体験を提供する
・禅の心で伝える
・数字をドレスアップする
・「びっくりするほどキレがいい」言葉を使う
・ステージを共有する
・小道具を上手に使う
・「うっそー!」な疑問を演出する
■プレゼンテーションを仕上げ、練習する
・存在感の出し方を身につける
・簡単そうに見せる
・目的にあった服装をする
・台本を捨てる
・楽しむ

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マーケティングはつまらない?(関橋英作)

4822227170 「マーケティングはつまらない?」は、日経ネットマーケティングの「マーケティング・ゼロ」の連載もされている関橋英作さんが書かれた書籍です。
 出版記念パーティーで本を頂いたので、書評抜き読書メモを公開させて頂きます。
 この本は、冒頭に書いたマーケティング・ゼロのコラムの記事を再編集、加筆したものですが、関橋さんならではの視点から、日本ならではのマーケティングということについて考察されていますので、普段米国を中心としたマーケティング事例に物足りなさを感じている人には刺激になる点がある本だと思います。
【読書メモ】
■もともと、日本人はアダプテーションが得意はなず。
 外来のものを取り入れて、あたかも自分たちの文化のように形を変えてしまう術。文字や宗教がそうですし、能・狂言などの芸能や建築も。日本独自の文化と思い込んでいるものはほとんど大陸から渡ってきたものです。
■欧米型のマーケティングでは、勝ち組負け組に二分割。
 日本人には対称性のある二元論が身に付いているのです。
 勝ちの中にも負けはあり、負けの中にも勝ちはある。
■カンヌ国際広告祭の変化
・フィルム部門が何と言っても注目の的。
・2007年にユニリーバの「ダブ」がフィルム部門のグランプリを受賞
 (ダヴのフィルムはWebサイトで流されましたが、テレビCMとして最低限オンエア)
・2008年は、フィルム部門で2つの作品がグランプリを受賞。テレビCMとWeb、それぞれから選ばれる
・2009年は「フィルムは広告の最高峰ではなくなった。いろいろある手法の1つでしかない」
■ブランディングを一言で言うと「好きになってもらうこと」。それ以上のことはありません。

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