ベロシティ思考を読むと、AKQAのようなクリエイティブエージェンシーと、従来型の広告代理店との根本的な違いを理解できるかもしれません。

4756242898 「ベロシティ思考」は、世界最高峰のクリエイティブエージェンシーであるAKQAを率いるアジャズ氏とNIKEのデジタルスポーツ担当副社長であるステファン氏の掛け合いという形で書かれている書籍です。
 さとなおオープンラボで課題図書になっていたので買って読んでいたのですが、遅ればせながら書評抜き読書メモを公開させて頂きます。
 この書籍のタイトルになっている「ベロシティ」は早さとかスピードという単語みたいなので、ベロシティ思考というのはスピード思考的なタイトルなわけですが。
 早く考えろと言うよりも、インターネットやソーシャルメディアの普及によって全く別次元のスピード感覚になったマーケティングやコミュニケーションの世界において、いかに考えるべきかという問題提起をしている本だと言えます。
 AKQAといえば、時代を代表するクリエイティブエージェンシーとして日本の広告業界でも非常に有名で、レイ・イナモトさんの「広告の未来は広告ではない」というプレゼンテーションが非常に話題になりましたが、このベロシティ思考には日本版特別寄稿としてレイ・イナモトさんのこの「広告の未来は広告ではない」も収録されています。
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 実際問題、AKQAの人とNIKEの人の対談なわけで、マーケティングや広告領域が中心の本ではあるんですが、意外なほど広告のテクニック論の話ではなく、思考法を根本から変える話が中心になっているのが印象的です。
 AKQAのようなクリエイティブエージェンシーが、従来型の広告代理店と何が根本的に違うのかを理解したい方には参考になる点が多い本だと思います。
 
 「明日のコミュニケーション」や「コミュニケーションをデザインするための本」、「マーケティング3.0」を合わせて読むのもお薦めです。
【読書メモ】
■「新しいことはチャンスであり、脅威ではない」
■ベロシティを味方につけるための7つの原則
・銃の前では、最強の手札も無力になる
・行うは易し、言うは難し
・最高の広告は、広告ではない
・手軽さは、正しさの敵である
・そこに「人」がいることを忘れずに
・最高のジョークも、会議にかけるとダメになる
・自分自身よりも大きな目標を持て

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「ソーシャル五輪」ソチ 20年の東京、学ぶ点多く を日経MJに寄稿しました。

 ご紹介が遅くなりましたが、先週末、日経MJ「ECの波頭」に寄稿しているコラムが掲載されましたのでお知らせします。
 今回は、ソチ五輪の振り返り記事を書いてみました。
 記事にも書きましたが、2020年の東京五輪では、日本からもソーシャルメディアを上手に使いこなしてスポーツの感動を伝えることができる選手が多数出てきてくれていると良いなぁと、つくづく思います。
「ソーシャル五輪」ソチ 20年の東京、学ぶ点多く


長野五輪に次ぐ10個のメダルを獲得し、日本でも大いに盛り上がったソチ五輪。閉幕から1カ月近くがたつが、ソーシャルメディアをどう活用したかの視点からソチ五輪を振り返ってみたい。結論から言うと、2020年の東京五輪に生かしたい点が多くある。
《ポイント》
(1)ソチ五輪で選手のツイートがマスコミのネタ元となる流れが定着。
(2)浅田真央選手を応援しようとの他選手の投稿は世界中に拡散した。
(3)東京五輪でもSNSの効果的な活用が多くの共感を得るカギを握る。
 12年に開催されたロンドン五輪では、国際オリンピック委員会(IOC)が選手たちに積極的なソーシャルメディア活用を推奨。期間中のツイート数は前の大会である北京五輪の125倍に膨れあがり、初のソーシャル五輪として注目を集めた。ただ、選手による暴言が出場停止につながるネガティブな事例も耳目を集めるなど、選手や関係者、メディアも模索していた大会だったと言える。
続きは日経新聞のサイトでご覧ください。
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ソーシャルメディア活用の最重要キーワードは「傾聴」 を「小さな組織の未来学」に寄稿しました。

 正確には、既に昨日「小さな組織の未来学」でのコラム連載開始をご紹介した時点で、一本目と二本目のコラムが同時に掲載されてはいたのですが。
 せっかくなので、「タダで使い倒すソーシャルメディア」の二本目のコラムを簡単にご紹介します。
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 まぁ、とにかく写真のインパクトが凄いんで、それとセットで覚えて頂けるとありがたいんですが。
 個人的にはグランズウェルの5つの戦略でも出てくる「傾聴」というキーワードが、ソーシャルメディア活用の際に最も重要なキーワードだと思っています。
ソーシャルメディア活用の最重要キーワードは「傾聴」
タダで企業にとって意味のあるソーシャルメディア活用を始める際に、最も重要と言えるキーワードは「傾聴」だ。
元々の意味は漢字の通り、相手の話に耳を傾けて真摯に聞くことにあるが、ここでは海外で「ソーシャルリスニング」と呼ばれているソーシャルメディア上の声の「傾聴」に注目して欲しい。
インターネット以前、消費者の生の声を企業が聞くのは非常に難しいことだと言われていた。当然、アンケートを取ったり、グループインタビューをしたり、対面で直接聞いたりという手法は様々あるが、どれも企業側の質問に対する反応という形で得られるデータで、自然な会話の中の発言ではない。
続きは「小さな組織の未来学」でお読み下さい。

「小さな組織の未来学」に「タダで使い倒すソーシャルメディア」という連載を寄稿させて頂くことになりました。

 このたび3月13日にオープンしたばかりの日経BPさんの新サイト「小さな組織の未来学」に「タダで使い倒すソーシャルメデイア」という連載を寄稿させて頂くことになりました。
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 「小さな組織の未来学」は、日経BPが発行している中小企業の経営者向けの雑誌である日経トップリーダーのウェブサイト的な位置づけになるサイトのようです。
 日経トップリーダーは、もともと日経ベンチャーというタイトルだったと言った方が分かる人が多いかもしれません。
 日経トップリーダーは、どちらかというと一般的な中小企業というキーワード向けの雑誌という印象がありますが、「小さな組織の未来学」は、ヘッダーにどでかい画像が挿入されるのが非常に印象的な新サイトになっていて、スマホやタブレットでの閲覧にかなり特化したサイトになっている印象です。
 なにしろ私の一本目の記事からしてこんな感じ。
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 画面のキャプチャとっても記事の本文まで到達しないですからね。
 とにかくトップの写真がでかいです。

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USERS 顧客主義の終演と企業の命運を左右する7つの戦略 (アーロン・シャピロ)

4798130923 「USERS 顧客主義の終演と企業の命運を左右する7つの戦略」は、ユーザーという存在について考察された書籍です。
 献本を頂いていたのですが、遅ればせながら書評抜き読書メモを公開させて頂きます。
 この本でテーマになっている「USERS(ユーザー)」は「デジタルメディアとテクノロジーを通じて企業と交流する人々」のこと。
 表紙に書かれているCUSTOMERよりもUSERの方が大きな円というのが象徴ですが、従来、重要だと言われていた「CUSTOMER(顧客や購入者)」よりも、ユーザーの方が広い存在であり、購入者ばかりを見ていると大きなチャンスを逃すという警鐘をならしている本です。
 実際問題、ソーシャルメディア以前に企業は自社の購入者以外の声を聞くことと言うのは非常に難しいのが実情でした。
 商品を買ってくれさえすれば、顧客登録等を通じて何で買ってくれたのかを聞くことはできたかもしれませんが。
、買ってくれなかった人に何で買わないのかを聞くことが非常に難しかったわけで。
 それがソーシャルメディアやビッグデータのような技術の進化により、購入者以外の人々、つまりユーザーの声を聞くことができるようになっているんだから、そちらに目を向けるべきだ、というわけです。
 既存顧客を重視しすぎると破壊的イノベーションのジレンマにはまるというのが、イノベーションのジレンマで強調されていたポイントでしたが、この本で主張されて主張されているような購入者重視ではなくユーザー重視で広い目線から考えるというのが、イノベーションのジレンマにはまらないための一つの解になるのかなと思ったりします。
 
 現在インターネットやソーシャルメディアによって引き起こされている企業と顧客、生活者の関係の変化を俯瞰的に考えてみたい方には参考になる点が多々ある本だと思います。
 「グランズウェル」や「エフェクト」、「インテンション・エコノミー」などとあわせて読むのもお薦めです。
 
【読書メモ】
■新しい経済秩序の中で最も成功している企業は、デジタルなチャンネルを通じて関わる人々のニーズや関心を、常に最優先すると言うことだ。その人々とは「ユーザー」だ。
■この本におけるユーザーとは顧客、従業員、求職者、見込み客、パートナー、ブランドのファン、メディアのメンバー、インフルエンサーのことである。
 要するに、デジタルメディアとテクノロジーを通じて企業と交流する人々を指す。
■ユーザーは、購入者よりも企業と密な関係を結び、影響をおよぼす場合がある。
 購入者を喜ばせることばかり考えていると、思いがけない大儲けのチャンスを逃すことになるだろう。

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脱社畜の働き方 会社に人生を支配されない34の思考法(日野瑛太郎)

477415976X 「脱社畜の働き方」は、脱社畜ブログで有名な日野瑛太郎さんが書かれた書籍です。
 献本を頂いていたのですが、遅ればせながら書評抜き読書メモを公開させて頂きます。
 脱社畜ブログというと、ツイッター上で記事が話題になっていることも多いので、ご存じの方も多いんじゃないかと思いますし。
 すでに2冊目の本も出て話題になっているようなので、ご紹介が遅くて恐縮なのですが(汗)
 個人的には開設して5ヶ月で月間50万PVを突破したという逸話にちょっと驚きました。
 有名ブログのほとんどは昔から書いている人が中心で、後発ブログはなかなか知名度が上がらないなんて愚痴を聞くことも良くありますが、実は脱社畜ブログみたいに後発でも有名ブログになっているケースって実は結構あるんですよね。
 脱社畜ブログを始めたきっかけが「ニートの歩き方」を読んだからというのも、なかなか感慨深い逸話です。
 
 脱社畜というタイトルから、いわゆるノマド礼賛とか転職奨励本と勘違いする方も多いかもしれませんが、実は「会社で働くのが嫌でつらいという人に対して、直ちに辞めて起業するなりフリーになるなりして生きていくのがいい、とアドバイスをすることは差し控えたいと僕は思っている。」と語っているなど、バランスの取れた本ですので、会社の壁にぶつかって悩んでいる方には参考になる点がある本だと思います。
 「ハイ・コンセプト」や「仕事するのにオフィスはいらない」と合わせて読むのもお薦めです。
 
【読書メモ】
■脱社畜ブログ
 開設して5ヶ月後にはアクセス数が月間50万PVぐらいのちょっとした有名ブログになってしまった。
■脱社畜の二段階
・精神的脱社畜:会社を絶対視しない考え方が身についた状態のこと
・経済的脱社畜:会社に頼らなくてもよいだけの経済的基盤を確立

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