ハイ・フライヤー 次世代リーダーの育成法 (モーガン・マッコール)

4833417197 「ハイ・フライヤー 次世代リーダーの育成法」は、サブタイトル通りリーダーの育成法について考察された書籍です。
 かなり前に読んでいたのですが、遅ればせながら書評抜き読書メモを公開させて頂きます。
 一般的に組織のリーダーというのは、最適な人が自然と出世競争に生き残っていく者だと考えられがちですが、この書籍ではリーダーを開発していく必要があるという視点で、リーダーの育成について考察されています。
 リーダーの育成方法に悩んでいる方には参考になる点がある本だと思います。
【読書メモ】
■経営者は、リーダーシップ開発に関して二つの不合理な仮定をもっている
・リーダーシップ・スキルは人に本来備わっているという仮定
・企業内における試練は組織内での競争者の情熱を試すものであり、その適者は競争を生き残るだけでなく、たいていはトップに上り詰めるという仮定
■リーダーシップ開発の第一ステップ
 「適者生存」という概念から「適者開発」という概念へ移行する
 ・短期的に「着任させて、やっていけるかどうかを見極める
 ・プログラムを与える
■脱線してしまう経営幹部は脱線する前、実は脱線する理由と同じような理由で成功していた事例が多いように見受けられた

続きを読む ハイ・フライヤー 次世代リーダーの育成法 (モーガン・マッコール)

中の人などいない @NHK広報のツイートはなぜユルい? ( @NHK_PR 1号)

4103329513 「中の人などいない @NHK広報のツイートはなぜユルい?」は、NHKのツイッターアカウントを運営されているNHK_PR1号さんが書かれた書籍です。
 献本を頂いていたので、遅ればせながら書評抜き読書メモを公開させて頂きます。
 NHK_PRは、間違いなく日本を代表するツイッターアカウントの一つと言えます。
 3年前のツイッターブームの頃には、軟式アカウントの代表の一つとして捉えられることが多かったように思いますが、震災の際のNHKのUstream中継公認に代表されるような、さまざまな話題を巻き起こしつつも、ブームの後もそのスタンスを愚直に貫き続け今日も日々つぶやき続けられています。
121118nhkpr.png
 この本では、そんなNHK_PRの誕生の裏話や現在のスタンスが確定されるまでの様々な試行錯誤が、実に赤裸々に描かれています。
 実はこうした紆余曲折というのは、企業のツイッター担当者の方々も多かれ少なかれ抱えられていると思いますが、現在50万フォロワーを擁するNHK_PRにも、実は本当に右も左も分からず試行錯誤されていたという事実はかなり勇気づけられる事なのではないでしょうか
 「NHKだからどうせプロが運営してるんだよね。」とスルーせず、この本を手に取ってみると、ちょっと自分のやり方に自身が持ててくるのでは無いかと思います。
 そういう意味でこの本は、企業のツイッター担当者はもちろん、ソーシャルメディア活用の方向性に悩んでいる方々には、刺激になる点が多々ある本だと思います。
 「ツイッター部長のおそれいりこだし」や「ビジネス・ツイッター」を合わせて読むのもお勧めです。
【読書メモ】
■NHK+白石さん+のだめ+バカリズム+お前
「設定した性格なんて、しょせんは作り物。お前は、作り物と友達になりたいか?映画やドラマのキャラクターとはちがうんだよ。やっぱり最後にキーバードをたたくお前自身が、アカウントそのものなんだ。」
 ゲーム会社で開発の仕事をしているGさん
■「これからNHKにはたくさんのアカウントが出来ます。それらのアカウントは宣伝をします。番組の宣伝です。でも、あなたのアカウントは宣伝をしません。」
 「そして、あなたはそのアカウントでたくさん会話をしなさい。それはソーシャルメディアの一つの正しい使い方です。それが、あなたの役目です。」
 NHKのインターネットを管理するKさん

続きを読む 中の人などいない @NHK広報のツイートはなぜユルい? ( @NHK_PR 1号)

勝利の本質 アメリカ超成長企業に学ぶ新マーケティング戦略 (レジス・マッケンナ)

483795426X 「勝利の本質」は、ハイテクマーケティングの権威として有名なレジス・マッケンナ氏が1980年代に書かれた書籍です。
 かなり前に読んでいたのですが、遅ればせながら書評抜き読書メモを公開させて頂きます。
 レジス・マッケンナ氏については、Marketing Voiceというポッドキャストで初めてインタビューを聞いて感動したことがあるのですが、意外に彼の本は日本語訳が出版されていないため、この本を買ったという経緯があります。
 なにしろ、80年代の本ですから、インターネットとかが形も見えない時代の書籍なわけですが、今読んでも実は「グランズウェル」や「マーケティング3.0」などの最近の書籍と根底で通じているように読めるので不思議です。
 ドラッカーやコトラーの本を読んでも同じような感覚を覚えることが多いですが、マーケティングにおける本質というのはネットやソーシャルメディアによってそれほど変わってないんだなと言うのが改めて分かります。
 最近のトレンドではなく、一歩引いてマーケティングを考えてみたい方には参考になる点がある本だと思います。
【読書メモ】
■この社会では、情報はもはや使い捨てになってしまっている。
 情報を与える代わりに、私は市場を把握し、市場とともに動き、良好な人間関係を確立させるという手段をとる。情報はあっという間に消えてしまうが、人間関係には永続性があり、この変わり身の速い社会では非常に強力な武器となる。
■「マーケティングを教育のプロセスとみなす」よう企業に直言している。
■新しいビジネス環境で成功するには、全部門の社員がマーケティングを念頭に置いておかねばならない。
■ダイナミックな地位確保戦略
・第一段階 製品の位置づけ
・第二段階 市場での製品イメージの定着
・第三段階 企業の評価確立
■売りつける商法と買わせる商法の決定的な差
・売りつける商法の基盤は、広告とプロモーションである
・買わせる商法では、優秀な製品を開発し、市場の構造を理解し、市場の主要人物や企業と手を組むことに焦点が合わせられる。

続きを読む 勝利の本質 アメリカ超成長企業に学ぶ新マーケティング戦略 (レジス・マッケンナ)

ほんもの 何が企業の「一流」と「二流」を決定的に分けるのか (B・J パイン、J・H・ギルモア)

4492556591 「ほんもの」は、「経験経済」などの書籍で知られるパイン氏とギルモア氏が書かれた書籍です。
 かなり前に読んでいたのですが、遅ればせながら書評抜き読書メモを公開させて頂きます。
 この二人の書いた前著の「経験経済」には個人的にもかなり影響を受けているのですが、その二人の新しい書籍が出ていたと言うことで、周回遅れながら読んでみました。
 この本でテーマとして取り上げられているのは、「Authenticity」。
 直訳すると、信頼できること、とか、確実性、ですが邦題ではあえて、ひらがなの「ほんもの」を当ててきています。
 先日ad:tech Tokyoで来日したFacebookのマークさんも、「Authentic」というフレーズを強調していましたが、日本語に翻訳しづらいこの「Authenticity」というのが、これからの時代のマーケティングを考える上で一つ重要なキーワードであることは間違いなさそうです。
 これからの時代のマーケティングを一歩引いた視点で考えてみたい方に、お勧めしたい本です。
 「グランズウェル」や「マーケティング3.0」。また、当然のことながら「経験経済」とあわせて読むのがお勧めです。
【読書メモ】
■消費者にコントロールされた生産、すなわち最終製品の提供ではなく、プロシューマーに生産の基盤を与えることにより、企業は、購入者が自ら決定するものを提供することに目を向けなければならなくなっている。
 これによって購入者は、巧みに買わされたとあまり感じなくなるからである。
■「これから人々は、自らを演技をしながら組み立てていくことになる。決して現在のままの自分ではあり続けることはない」(トーマス・ゼンゴディータ「メディエーティド」)
■ほんものについての公理
・自分がほんものなら、ほんものであると言う必要はない
・自分をほんものであると言うなら、ほんものであるべきである
・自分をほんものであると言わないなら、ほんものであることはよりやさしい

続きを読む ほんもの 何が企業の「一流」と「二流」を決定的に分けるのか (B・J パイン、J・H・ギルモア)

アカウント・プランニングが広告を変える―消費者をめぐる嘘と真実 (ジョン・スティール)

4478501831 「アカウント・プランニングが広告を変える―消費者をめぐる嘘と真実」は、アカウント・プランニングについて考察されている書籍です。
 高広さんに薦められてかなり前に読んでいたのですが、遅ればせながら書評抜き読書メモを公開させて頂きます。
 アカウント・プランナーという言葉は、これまであまり深く考えずに使っていたのですが、この本を読むと実はアカウント・プランナーと言う言葉は広告業界の変化において非常に重要なキーワードであることが分かります。
 この本が出版されたのは2000年と、少し前の本にはなるのですが、インターネットの普及による広告業界のビジネスモデルの変化を考えるよりも前に、もっと根本的な広告業界が求められている変化の姿について考えてみたい方には参考になる点が多い本だと思います。
【読書メモ】
■最高の、と同時に最も効果的な広告は、コミュニケーションと広告メッセージ開発プロセスの両面に消費者を参加させようとする
■広告には、取り込まなくてはならない重要な観点が三つある
・クライアントのビジネスという観点
・広告代理店のクリエイティブという観点
・広告のターゲット、つまり消費者の意見と偏見
■「私の作るものは広告そのものではない。広告を見たり聞いたり、読んだりした人の頭の中で起きるちょっとした反応こそが私の作品なのだ」(ジェフ・グッピー)
■「アカウント・プランニングは、消費者を広告制作のプロセスに巻き込む手法だ。本当に効くためには、広告は独特かつ適切でなければならない。プランニングは、そのどちらにも寄与するのだ」(クリス・カウプ)

続きを読む アカウント・プランニングが広告を変える―消費者をめぐる嘘と真実 (ジョン・スティール)

フロー体験とグッドビジネス(M.チクセントミハイ)

4790713512 「フロー体験とグッドビジネス」は、「フロー」という概念とビジネスの関係についてチクセントミハイ氏が書いた書籍です。
 かなり前に読んでいたのですが、遅ればせながら書評抜き読書メモを公開させて頂きます。
 フロー体験という概念が、様々なビジネス書に出てくるので読んでみました。
 ビジネスの議論をすると、ついつい表層的な仕組みやビジネスモデルを議論してしまいがちですが、実はこのフロー体験にあるような根源的なチャレンジがあるかどうかが最も重要だということが、再確認できます。
 組織作りやチームの雰囲気作りを悩んでいるリーダーの方々にも参考になる点がある本だと思います。
【読書メモ】
■これまで私たちは、五分間マネージャーを、そればかりか一分間マネージャーをも育成する方法を学んできた。
 何よりも、企業の頂点に立つ100年間マネージャーが必要なのである
■フローの状態
・目標が明確
・迅速なフィードバック
・機会と能力のバランス
・集中の深化
・重要なのは現在
・コントロールには問題が無い
・時間感覚の変化
・自我の喪失

続きを読む フロー体験とグッドビジネス(M.チクセントミハイ)