「マーケティング22の法則」は、マーケティングの専門家として有名なアル・ライズとジャック・トラウトが、マーケティングの基本的な法則についてまとめた書籍です。
昨年購入して読んでいたのですが、読書メモを書いてなかったので、書評抜き読書メモを公開させて頂きます。
この本が日本で発売されたのは1994年とインターネットが登場する前になるのですが、マーケティングの基本というのが実は技術の進化にはそれほど影響されない根本的なものであるというのを思い起こさせる本になっています。
マーケティングに携わる方であれば一度は読んでおいて損はない本だと思います。
【読書メモ】
■一番手の法則:一番手になることは、ベターであることに優る
最初のブランドが一般に先行的立場を維持する1つの理由は、そのブランド名がしばらしば商品の総称になることである。
■カテゴリーの法則:あるカテゴリーで一番手になれない場合には、一番手になれる新しいカテゴリーを作れ
■心の法則:市場に最初に参入するより、顧客の心の中に最初に入るほうがベターである
■知覚の法則:マーケティングとは商品の戦いではなく、知覚の戦いである
「周知の事実の法則」自分自身の知覚ではなく、だれか他の人の知覚をもとに購入決定をする。
■集中の法則:マーケティングにおける最も強力なコンセプトは、見込み客の心の中にただ1つの言葉を植えつけることである。
■独占の法則:2つの会社が顧客の心の中に同じ言葉を植えつけることはできない
■梯子の法則:採用すべき戦略は、あなたが梯子のどの段にいるかによって決まる
カテゴリー: 読書メモ
ライフサイクルイノベーション (ジェフリー・ムーア)
「ライフサイクルイノベーション」は、「キャズム」で有名なジェフリー・ムーアがイノベーション戦略について詳細に考察した書籍です。
昨年購入して読んでいたのですが、読書メモを書いてなかったので、書評抜き読書メモを公開させて頂きます。
この本で最も印象的だったのは、対消費者向けのボリューム・オペレーション型の企業と、大企業が中心のコンプレックス・システム型の企業においては、戦略が全く反対になることが多いという点。
言われてみれば確かにそうなのですが、多くの企業が陥りがちなワナのような気がします。
翻訳もITmediaオルタナティブブログでもお馴染みの栗原さんが担当されていてとても読みやすいですので、「イノベーションのジレンマ」や「キャズム」に影響を受けたという方には、お薦めの本です。
【読書メモ】
■イノベーションがもたらす結果
・差別化:「他社より上に立つ」、つまり、競合他社が追随できないレベルの差別化を行う
・中立化:「クラス最上級」を求めるのではなく、「必要にして十分」な目標を追求する必要がある
・生産性向上:既存プロセスの再構築にフォーカスしたイノベーションが必要
・浪費
・上記のいずれかを目指したが達成できなかった
・中立化を行おうとしたが、「必要にして十分」の目標を超えてしまった
・差別化を目指して資源を投入したのに、実際には中立化の効果しか得られなかった
■イノベーションが十分な効果を発揮できない理由
・リスク回避の発想
・企業戦略の整合性の欠如
■二つのモデルはビジネスのあらゆる局面において反対に位置している。
一方のビジネス・アーキテクチャで最適の戦略が他方では最悪の戦略になることも十分あり得る。
・ボリューム・オペレーション型の企業:基本は対消費者
標準化された製品と商取引により大量販売市場でビジネスを遂行することに特化している
・コンプレックス・システム型の企業:大企業を主要顧客とする
複雑な問題を解決するコンサルティング的要素が大きい個別ソリューションが提供される
■コンプレックス・システムの階層
・ターゲット顧客
・ソリューション・セールス
・コンサルティング/インテグレーション・サービス
・ソリューション・アーキテクチャ
・サードパーティーの要素
・テクノロジー・アーキテクチャ
・インテグレーション・プラットフォーム
・レガシーシステム
■ボリューム・オペレーション・モデルの同心円
・テクノロジー
・製品・サービス
・共用基盤
・流通チャネル
・プロモーション
・ブランド広告/プロモーション
・消費者
クラウド化する世界 (ニコラス・G・カー)
「クラウド化する世界」は、インターネットによって引き起こされる変化の本質について詳細な考察をしている書籍です。
昨年末に購入して読んでみたので、書評抜き読書メモを公開させて頂きます。
この本では、いわゆる最近日本でも注目のクラウドコンピューティングの「クラウド」がタイトルに使われていますが、現代は『The Big Switch』。
最近よく報道されるようなクラウドコンピューティングのバラ色の未来を語っているのではなく、第三者の視点からIT産業を電力産業の歴史と並べて、冷静にこれから起こる変化について分析している点が印象的です。
「ウィキノミクス」や、「ヒトデはクモよりなぜ強い」を読んで、未来の可能性に興奮している人が、一旦冷静になるという意味で読んでおくべき本だと思います。
【読書メモ】
■電力とコンピューティングの類似点
電力の供給が開始されたとき、電力は制御しにくい予測不可能な力だった。
今日のコンピュータシステムと同様、企業はどのように電力を事業に利用すべきかを考えなければならず、組織や製造工程をすべて変更することもしばしばだった。
■「ランプが光り、発電機が電流を作り出すことだけが必要なのではない」(エジソン)
凡百の発明者と違って、エジソンは個別的に創造することはなかった。彼が造ったのは、システム全体だった。最初に全体を想像し、次に必要な部分を造り、それらの部分を継ぎ目無く適合させた。
■コンピュータのパーソナル化が複雑で無駄な現象を伴う理由
コンピュータの処理能力は通信ネットワークの容量が拡大する以上に急速に進歩してきた。
・ムーアの法則「マイクロプロセッサの能力は1,2年毎に2倍になる」
・グローヴの法則「電気通信の帯域幅は世紀が変わるごとに2倍になる」
■「労力節約用の機器のおかげで労働を軽減できたのは主婦ではなく、それまで主婦を手助けしてた人々だった」(ルース・S・コーワン)
経営の未来 (ゲイリー・ハメル)
「経営の未来」は、インターネット時代の新しいマネジメントについて詳細な考察をしている書籍です。
アンカテのessaさんの書評に影響されて昨年購入して読んでいたのですが、読書メモを書けてなかったので、書評抜き読書メモを公開させて頂きます。
一般的にマネジメントというと、経営「管理」と訳されることが多く、「管理者」という言葉に代表されるように管理の重要性が強調されてきた印象があります。
ただ、この本に書かれているのはいわゆるそう言った今までの管理的マネジメントではなく、イノベーションを生み出し続ける組織になるための新しいマネジメントです。
特にグーグルの経営管理方式についても、かなり突っ込んで紹介されていますので、いわゆる大企業の人たちだけでなく、インターネット企業につとめている人にも参考になる点が多々あると思います。
「ウィキノミクス」や、「ヒトデはクモよりなぜ強い」に刺激された人が、「ではどうすればよいか」を考えるのに非常に役に立つ、これからの経営者にとっては必須の本だと思います。
【読書メモ】
■近代経営管理の仕組みは、気ままで独断的で、自由な精神を持つ人間を標準やルールに従わせはするが、それによって膨大な量の想像力と自主性を無駄にする。
■経営管理イノベーション
経営管理の仕事を遂行する手法や従来の組織の形を大幅に変え、なおかつ、そうすることによって組織の目的を推進するあらゆるものをいう。
■経営管理の仕事は計画策定、組織づくり、指揮、調整、および管理である(アンリ・ファヨール)
■経営管理イノベーションが競争優位を生み出す条件
・長年信じられてきた正当理論を否定する、まったく新しいマネジメント原理に基づいている
・体系的で、一連のプロセスやメソッドを含んでいる
・前進のペースが時とともに増していく、進行中の加速度的な発明プログラムの一環である
■イノベーションの階層
・経営管理イノベーション
・戦略イノベーション
・製品/サービス・イノベーション
・業務イノベーション
■「凡庸な問題やつまらない問題は、凡庸な答えやつまらない答えを生み出す。だから大きく考えることが必要なのだ。」(ピーター・メダワー郷)
■本質的で賞賛に値する問題に取り組むための問い
・あなたの会社がこの先直面することになる新しい課題は何か。
・あなたの会社がうまくやれそうにない難しい両立課題は何か
・あなたの会社の理論と現実のギャップのうち、最大のものは何か
・あなたは何に憤りを感じているか。
ヒトデはクモよりなぜ強い (オリ・ブラフマン)
「ヒトデはクモよりなぜ強い」は、分散型組織の特徴や要素について具体的な事例を元に考察している本です。
koyhogeの小山さんに勧められて、昨年購入して読んでいたのですが、読書メモを書けてなかったので、書評抜き読書メモを公開させて頂きます。
先日紹介した「ウィキノミクス」同様、この本で考察されているのも「フラット化する世界」ならではの新しい組織の可能性なのですが、個人的には分散型組織と集権型組織の対峙の事例としてアパッチ族とスペイン軍であったり、アルカイダとアメリカ合衆国であったりと、新旧まじえた考察がされているのが非常に興味深かったです。
当然、ナップスターやイーベイ、ウィキペディアなど、ネット企業の事例も多数出てきますので、インターネットを活用した分散的なアプローチで、巨大企業がひしめく市場にチャレンジしている企業にとっては、参考になる点が非常に多い本だと思います。
【読書メモ】
■分権についての重要な8つの法則
・分権型の組織が攻撃を受けると、それまで以上に開かれた状態になり、権限をそれまで以上に分散させる。
・ヒトデを見てもクモだと勘違いしやすい
・開かれた組織では情報が一カ所に集中せず、組織内のあらゆる場所に散らばっている
・開かれた組織は簡単に変化させることができる
・ヒトデたちには、誰も気づかないうちに、そっと背後から忍び寄る性質がある
・業界内で権力が分散すると、全体の利益が減少する
・開かれた組織に招かれた人たちは、自動的に、その組織の役に立つことをしたがる
・攻撃されると、集権型組織は権限をさらに集中させる傾向がある
■ヒトデとクモを見分ける方法
・誰かひとり、トップに責任者がいるか?
・本部があるか?
・頭を殴ったら死ぬか?
・明確な役割分担があるか?
・組織の一部を破壊したら、その組織が傷つくか?
・知識と権限が集中しているか?、分散しているか?
・組織には柔軟性があるか、それとも硬直しているか?
■信頼感とコミュニティ
クレイグズリストを使ってタダで箱を手に入れるということは、クレイグズリストというコミュニティにちょっとした借りができるようなものだ。
■開かれた組織では、最も重要なのはCEOではなく、組織のリーダーが、組織を構成するメンバーをどれだけ信頼し、その自主性に任せるかなのだ。
ウィキノミクス (ドン・タプスコット)
「ウィキノミクス」は、いわゆるウェブ2.0的な世界における特徴的な現象や、その原理について考察した本です。
昨年購入して読んでいたのですが、読書メモを書けてなかったので、書評抜き読書メモを公開させて頂きます。
すでに多数のブログで書評が書かれているように、この本は「フラット化する世界」や「ウェブ進化論」などで描かれている変化によって、具体的にどのような新しい仕組みが生まれつつあるのかということを豊富な事例と共に解説した本です。
今年は、個人的にもクラウドソーシング的なアプローチにチャレンジしたいと思っているのですが、そういったネットならではの新しいアプローチに興味がある方はこの本は必読書だと思います。
【読書メモ】
■ウィキノミクス
・ピアプロデューサー:ビットでできた製品の構築にはオープンソース型のやり方が利用できる
・アイデアゴラ:アイデアと革新の備えある人材のグローバル市場にアクセスすれば、問題解決能力を拡大することができる
・プロシューマー:価値創造に参加できるだけのツールをユーザーに与えれば、とてつもない革新の源となる
・新アレクサンドリア人:コラボレーションによる科学という新しいやり方により、技術革新の加速とコストの削減ができる
・参加のプラットフォーム:パートナーによる大規模コミュニティが協力関係で結ばれたエコシステムとなって価値を生む。
・世界工場:企業の境界も国境も越えて人的資本を活用し、物理的な物の設計や組み立てを行うことができる
・ウィキワークプレイス:さまざまな形で組織階層を打ち破り、意欲を高め、イノベーションを増やすことができる
■可能性と危険性
小さくてオープン、もちつもたれつの世界はダイナミックで高い活力をもつ可能性があると同時に、テロや犯罪が増えるおそれもある。
■「集産主義には強制と中央集権が伴う。集合活動は自由意志による選択と分散型協調が特徴である」(ハワード・レインゴールド)
共産主義が個人の独立的思考を抑圧するのに対し、マスコラボレーションとは、個人や企業が広く分散されたコンピュータと通信技術を活用し、ゆるやかで自発的な協力関係を通じて共有する成果を得ることなのだ。
■ウィキノミクスの4本の柱
・オープン性
・ピアリング
・共有
・グローバルな行動