世界でひとつだけの幸せ (マーティン・セリグマン)

4757210442 「世界でひとつだけの幸せ」は、ポジティブ心理学の研究をされているマーティン・セリグマン教授がポジティブな生き方の可能性について考察した書籍です。
 先日紹介した「ハイ・コンセプト」で紹介されていたので買って読んでみました。
 書評抜き読書メモを公開させて頂きます。
 邦題だけ見ると、スマップの歌の名前みたいですが、原題は「AUTHENTIC HAPPINESS」、本物の幸せとでも訳せば良いのでしょうか。
 さすがポジティブ心理学なる分野を開拓してしまった教授だけあって、いろんなデータや事例に基づいた分析はいろいろと考えさせられます。
 冒頭のポジティブな人は長生きしているみたいなデータとか、結構ショッキングですし、ゼロサム・ゲームではなくウィン・ウィン・ゲームを目指すべきと言う視点も得られると思います。
 ちょっとタイトルだけ見るととっつきにくいかもしれませんが、実は管理職の人とか経営者の人にお薦めの本ではないかと思います。
【読書メモ】
■修道女たちのポジティブな感情量を調査したところ、最も快活なグループではその90%が85歳になっても生存していたのに対し、最も快活でないグループでは34%しか生存していなかった。
■10歳の子どもたちに楽観的な思考や行動をするように教えると、思春期に入ったときにうつ病の症状が起こる割合が半分に減らせることを発見した。
■幸福の公式:H=S+C+V
H=永続する幸福のレベル
S=その人にあらかじめ設定されている幸福の範囲
C=生活環境
V=自発的にコントロールする要因
■怒りを表に出すのは正直で正当な、むしろ健全な態度だと考えられてきた。
 しかし、この理論は誤りであることが分かってきた。むしろその正反対だった。
 怒りを表すことが、新たな心臓病や新たな怒りを生むのである。

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99.9%成功するしかけ (藤田 康人)

4761263970 「99.9%成功するしかけ」は、日経ビジネスオンラインでもコラムを連載されている藤田 康人さんの単著です。
 先日スタッフをさせていただくことになったACフォーラムのプレイベントで、藤田さんに初めてお会いした際に、藤田さんの生い立ちに興味を持ったので買ってみました。
 書評抜き読書メモを公開させて頂きます。
 ちょうど藤田さんにお会いしたときに、先日紹介した戦略PRの本田さんも同じ場所におられたということもあるのですが、現在個人的にAMNでPRと広告とクチコミを組み合わせたマーケティングを模索するにあたり、最も参考にさせて頂いているのがこの二人のアプローチです。
 この本自体は、キシリトールブームの話が中心のため、事例としてスケールが大きすぎて参考にならないと思ってしまう人もいるかもしれませんが、「多くのステークホルダー全てが立体的、有機的に組み合わさる」マルチWinマーケティングや、日本のPRの課題など、PRや広告に関わる人にとっては、ヒントになる話がきっと見つかる本だと思います。
 ちょうど、日経ビジネスオンラインで面白い対談企画も始まっていますので、こちらも合わせてどうぞ。
【読書メモ】
■ビジネスモデルの第1世代 「相手任せのビジネス」
 相手の担当部署にどう食い込んでいくかだけを考えていればいい従来型のB2Bビジネススタイル
■ビジネスモデルの第2世代
 相手とWin-Winの関係を築き、素材を販売する者も”川下”の消費者を意識してマーケティング・コンセプトを立案し、販売メーカーと交渉して、双方向のコミュニケーションを通じて情報の共有を実現する
■ビジネスモデルの第3世代
 ”川下”の消費者の視点を持ち込んで、活用できる限りの周辺要素とコラボレーションする「B2B2C」のビジネスモデルを発展させたもの
■キシリトールがここまで広まって重要になってきたのが、「キシリトール反対派への対策」でした。
■コミュニケーション・ミックス
・広告:認知促進に効果的に利用
・PR:多様なニュースソースから深い理解を促す
・専門家からのクチコミ:信頼性の高い情報で継続購買を確信

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戦略PR (本田 哲也)

4048675745 「戦略PR」は、先日紹介した「影響力」を共著で出されていたブルーカレントの本田さんの単著です。
 献本を頂いていたのですが、読書メモを書けてなかったので、書評抜き読書メモを公開させて頂きます。
 「戦略PR」は、同じくアスキー新書から出て話題を呼んだ「明日の広告」の続編とでもいうべき位置づけ。
 広告が効きにくくなっているといわれる現在において、PRをどのようなコンセプトで実施していくべきかという、戦略PRの全体像について解説している本です。
 個人的にも本書にあるように「PRと広告の違いなんて消えていく」と考えている人間なので、今後のPRと広告の関係を考える上で、非常に参考になる本でした。
 新書ですから比較的気軽に読めるので、PRや広報に携わる方はもちろん、広告に携わる方も読んでおいて損はない本だと思います。
【読書メモ】
■消費者に伝わりにくくなっていることの本質的な原因
・量のハードル:消費者に襲いかかる大量の情報とどう戦うのか
・質のハードル:「中身」を見る目が厳しくなっている
■ビリーがヒットした背景
・「空気」に遅れまいとする心理
・「空気」をリードしたいと思う心理
■カジュアル世論
 あなたの商品を売るためにつくり出したい「空気」
 (イシューマーケティング、ソーシャルコーズ)
■広告と戦略PR
・焼畑農業 大量に広告を投入し、商品の認知度を高めてヒット商品を生み出そうとする
・有機農法 「空気」を生み出すことでヒットを導く
■カジュアル世論の3要素
・おおやけ 「公共性」の要素
・ばったり 「偶然性」の要素
・おすみつき 「信頼性」の要素

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ハイ・コンセプト (ダニエル・ピンク)

4837956661 「ハイ・コンセプト」は、急速に変化する現在の時代を生き抜くためにどういう人材が求められるのか、という点を考察した書籍です。
 かなり以前に購入して読んでいたのですが、読書メモを書いてなかったので、書評抜き読書メモを公開させて頂きます。
 ハイ・コンセプトというキーワードは「フラット化する世界」にも出てきますが、グローバル化、IT化が急速に進展する現在において、ひとつ示唆となるキーワードのように思います。
(ちなみに最近のエデュテイメントとかGrand Theft Auto IVがらみの記事は、この本のメモを書くために久しぶりに振返ったことも影響しています。)
 ビジョナリー・ピープルとあわせて読むと良いかもしれません。
 これからの時代の自分のキャリアの方向性について悩んでいる方にはお薦めの本です。
 
【読書メモ】
■多くの人にとって、この大変革は苦痛を伴うものかもしれないが、実はこれは私たちがかつて経験した変化とさほど変わりはない。
 これは20世紀後半に大量生産を行う定型的な仕事が海を越えて移転していったのと、まさに同じことなのだ。
■過去150年間は三幕仕立てのドラマ
・農業の時代 18世紀 
・工業の時代 19世紀 強靱な肉体と不屈の精神力
・情報の時代 20世紀 情報や知識、左脳主導思考
・コンセプトの時代 21世紀 右脳主導思考
■今の仕事をこのまま続けて良いか---3つのチェックポイント
・他の国なら、これをもっと安くやれるだろうか
・コンピュータなら、これをもっとうまく、早くやれるだろうか
・自分が提供している物は、この豊かな時代の中でも需要があるだろうか
■これから求められる「6つの感性(センス)」
・機能だけでなく「デザイン」
・議論よりは「物語」
・個別よりも「全体の調和」
・論理ではなく「共感」
・まじめだけでなく「遊び心」
・モノよりも「生きがい」
■物を語る能力
 事実というのは、誰にでも瞬時にアクセスできるようになると、1つ1つの事実の価値は低くなってしまうものなのだ。そこで、それらの事実を「文脈」に取り入れ、「感情的インパクト」を相手に伝える能力が、ますます重要になってくるのだ。
■これから成功する可能性大の3タイプ
・「境界」を自分で超えていく人
・何か「発明」できる人
・巧みな「比喩」が作れる人

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ビジョナリー・ピープル (ジェリー・ポラス他)

4862761003 「ビジョナリー・ピープル」は、「ビジョナリー・カンパニー」の著者陣が、世界中の200人以上の人々にインタビューを実施してまとめられた本です。
 昨年購入して読んでいたのですが、読書メモを書いてなかったので、書評抜き読書メモを公開させて頂きます。
 原題の「Success Built to Last」にも現われているように、この本のテーマは「経営の未来」のような経営学ではなく、永続する成功をどのように作るべきかというもの。どちらかというと自己啓発本に近いトーンになっています。
 現在の自分の信念であるとか、長期的な自分の方向性に不安を感じているような方には、特にお勧めの本と言えると思います。
 
【読書メモ】
■永続的な成功をものにできるのは、自分が完璧な人間であったり幸運に恵まれた人間だからではなく、自分自身の生きがいだと信じることに取り組む勇気を忘れないからなのだ。
■並外れた人たちやチームそして組織というのは、たいていの場合、ごく普通の人たちが自分自身にとって大切だと思っていることが、結果的に並外れているにすぎない
■今日の成功の定義こそ、生活や仕事にとって潜在的に有害な処方箋だ
■ビジョナリー・ピープルの本質的な三要素
・意義:取り組もうとする対象は、個人として意義を定義するという意味で、自分自身に深く関わってくる
・思考スタイル:人一倍の責任感、大胆さ、情熱、そして責任を伴った楽観主義
・行動スタイル:行動を起こすための効果的な方法を知っている
■「達成しなければならないことや生きがいのあることについて、頭の中にその完璧な絵が描けている人なら誰でも、そうした考えにももとづいて起こした行動の結果が、決して頭に描いたイメージのような完璧なものにならないことを理解している」(アリス・ウォーターズ)
■「自分のしていることに愛情を注いで初めて、隣に座っている人よりも実際によい仕事を多くこなせるのだ。もし愛情がないなら、そのときは、愛情のある別の人を探すことになる。」(ラリー・ボシディ)

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ブランディング22の法則 (アル・ライズ/ローラ・ライズ)

488497073X 「ブランディング22の法則」は、先日ご紹介したマーケティング22の法則のアル・ライズとローラ・ライズが、ブランディングの基本的な法則についてまとめた書籍です。
 昨年購入して読んでいたのですが、読書メモを書いてなかったので、書評抜き読書メモを公開させて頂きます。
 ブランディングというと人によってイメージするものが違うというのが、なかなか難しい点だと思いますが、ブランディングの基礎をもう一度ちゃんと整理したいという人にはお薦めの本だと思います。
【読書メモ】
■拡張の法則:ブランドの力はその広がりに反比例する
 顧客はブランドの範囲が狭く、ただ一語で識別できるブランドを望む。
■収縮の法則:フォーカスする時、ブランドは強力になる
■パブリシティの法則:ブランドが誕生するのは広告ではなく、パブリシティによってである
■広告の法則:いったん誕生したブランドは、その健康を維持するために広告を必要とする
1・新しいカテゴリーの導入
2・新しいカテゴリーを開発した企業の急成長
3・語るべきニュースがなくなった時こそ広告の出番
■言葉の法則:ブランドは消費者の頭の中に自分の言葉を所有する努力をすべきである
 「市場のサイズはどのくらいだろうか」という発送が誤りの始まりである。「ブランドの焦点を絞り消費者の頭の中にひとつの言葉を所有することによってどれだけの市場を創造することができるだろうか」と問いかけるのが正解になる

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