新・プラットフォーム思考 (平野敦士カール)

4023304778 「新・プラットフォーム思考」は、以前ご紹介した「1の力を10倍にするアライアンス仕事術」などの書籍を執筆されていることで有名な平野敦士カールさんの書籍です。
 献本を頂いていたのですが、読書メモを書けてなかったので、書評抜き読書メモを公開させて頂きます。
 これまで様々なアライアンスを通じて、プラットフォーム戦略を実行してきた平野さんならではの思考のヒントがおさめられていますので、つい企業の戦略として自社以外を全て敵と考えてしまいがちな方にはヒントになる点がある本だと思います。
【読書メモ】
■プラットフォーム戦略
 複数の関係するグループを、「場」あるいは「舞台」に載せることで、外部ネットワークの効果を生み出し、一企業という枠を超えた、新しい事業のエコシステム(生態系)を作り出す経営戦略
■勝てるプラットフォームの重要な特徴
・プラットフォーム自らの存在価値を創出できるかどうか
・「場」に参加してもらう人や会社(グループ)の間の交流が活発であるかどうか
・プラットフォームのルールと規範を作り、一定の質を保つこと
■プラットフォーム創造のフレームワーク
・社会の変化、規制緩和という大きな流れをとらえて不満を探す
・ターゲットとなるグループを特定する
・プラットフォーム上のグループが活発に交流する仕組みを作る

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ソーシャルメディアマーケティング (オガワカズヒロ)

4797358351 「ソーシャルメディアマーケティング」は、小川宏さんと小川和也さんがユニットとしして活動している「オガワカズヒロ」として書かれた書籍です。
 献本を頂いていたのですが、読書メモを書けてなかったので、書評抜き読書メモを公開させて頂きます。
 ソーシャルメディアマーケティングそのものというよりは、ソーシャルメディアを活用した競争戦略が中心と言う印象の書籍ですが、ソーシャルメディアをどのように活用すべきか悩んでいる方には参考になる点がある本だと思います。
【読書メモ】
■マーケティングが戦争であるとすれば、ソーシャルメディアマーケティングは、ジャングルや市街地で行われる、比較的小規模かつ局地的な戦闘に近い。
■ソーシャルメディアの本質をうまく活用した主要な利用モデル
・販売促進用
・イベント・キャンペーン用
・CRM用
・広報・PR用
・マスメディア補完用
■ファストマーケティング
 いまを敏速に捉え、それを敏速に体現するマーケティング
・情報の鮮度
・計画・実行・評価・改善のサイクルスピード
・判断・意思決定のスピード

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デジマーケティング (ケント・ワータイム イアン・フェンウィック)

4797355573 「デジマーケティング(日本版のタイトルは「次世代メディアマーケティング」)は、mediologicでもお馴染みの高広さんが監修を担当された書籍です。
 献本を頂いていたのですが、読書メモを書けてなかったので、書評抜き読書メモを公開させて頂きます。
 この書籍は、主にネットやソーシャルメディア(本書では消費者生成コンテンツサイトと書かれています)を活用した新しいマーケティング手法の基礎から心構え、応用までネットマーケティングの手引書とでもいうべき作りになっています。
 個人的にはこの本は、次世代メディアマーケティングというありがちなタイトルでなく、原題の「デジマーケティング」で押し通すのもありだったのではないかなという印象を受けたので、あえて原題での紹介にしてみました。
 
 ネットを活用したマーケティングに携わっている方なら、参考になる点が多々ある本だと思います。
【読書メモ】
■”interactive is dialogue”(インタラクティブとは(顧客との)対話である)
 ルイ・ヴィトンのアジア・パシフィック圏のデジタル部門シニア・マネージャー
■コンシューマーは企業のコミュニケーション活動への参加者であると考えた方がよい。コンシューマー=コミュニケーションの参加者なのだから、プランニングの起点は「メディア」ではない。あくまでコンシューマーが起点となる。
■デジマーケティングの12の原則
・視聴者から参加者へ
・インプレッションから関わり(エンゲージメント)へ
・ブロードキャストからアドレサビリティへ
・時間と場所が固定されたコンテンツから時間と場所を問わないコンテンツへ
・マーケター主導型から消費者主導型へ
・プッシュ型マーケティングからオプトインを前提とした共有型マーケティングへ
・従来のメディアプランから新しいメディアプランへ
・コントロールされたPRからデジタルインフルエンスへ
・統合マーケティングから統一マーケティングへ
・データ不在からデータ主導へ
・事後の効果測定からリアルタイムの効果測定へ
・部分ROIから最適化へ
■ソーシャル検索
・Squidoo あるテーマに関する最良のページをユーザーが提案・投票し、それを編集者がときおりチェックする
・Bessed ブログと検索を組み合わせ、ユーザーが検索結果にコメントできるようにした
・ChaCha 人間の検索アシスタントとチャットすることさえ可能
・Mahalo あらかじめ人間の目で選別された検索結果を提供

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ブランド・エンジニアリング (片平秀貴)

4822243133 「ブランド・エンジニアリング」は、日本のブランド論における中心人物の一人と言える片平秀貴さんの書籍です。
 モバイルインターネットキャピタルの西岡さんに紹介頂いて、本を買って読んでいたのですが、読書メモを書けてなかったので、書評抜き読書メモを公開させて頂きます。
 実はこのブランド・エンジニアリングという本は2003年に出版された本なのですが、まだソーシャルメディアという言葉の定義もなかった頃に、これだけ企業のサイトを活用したコミュニケーションの重要性を問いていた本があったというのは正直驚きでした。
 この本に事例として出てくる方々が、現在AdTech等の広告系イベントでパネリストとして活躍されているのも、なるほど納得という印象です。
 日本ならではのサイトを活用したコミュニケーションの事例や分析がされていますので、グランズウェルのような米国事例ではいまいちピンとこないという方は合わせて読んでみると、いろいろヒントが見つかる本だと思います。
【読書メモ】
■BMWとminiのサイト上での扱い
・BMWとMiniはそれぞれ独立したブランドである
・両社ともBMWが所有するブランドである
・それぞれのブランド・サイトには両社の関連を示唆する手がかりはほとんどない
■全日空のウェブサイト対応
・1日約200件の問い合わせが来る
・1件きちんと回答するのに平均30分ほどの調査を要する
・正社員がひとり関わるとすると、低めに見積もって時給4000円として1件2000円で1日40万円かかり、これを年にすると1億2000万円強かかることになる。
■ブランドをつくる三つの力
・夢を育む能力
・おもてなしをする能力
・顧客から学ぶ能力

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漂流する広告・メディア (藤田康人)

4861304334 「漂流する広告・メディア」は、インテグレートのCEOをされている藤田康人さんが書かれた書籍です。
 献本を頂いていたのですが、読書メモを書けてなかったので、書評抜き読書メモを公開させて頂きます。
 以前藤田さんの「99.9%成功するしかけ」を紹介したことがありますが、前回の書籍は藤田さんの経験やロジックをまとめた本だったのに対し、今回の書籍は藤田さんが一目置くマーケティング界隈の著名人にインタビューを実施した日経BPの企画を書籍化したものです。
 それぞれの業界の著名人の視点が紹介されていますので、複数の視点からこの広告・メディア業界を考えてみたいという方には参考になる点がある本だと思います。
 
【読書メモ】
■ユーザーは大きく、検索キーワードを入れて自分に必要な情報を入手する人と、検索できないからとりあえずYahoo! Japanに来てトピックスを読んだり、そこに掲載している記事を見てみようという2つに分けられます。(ヤフー川邊氏)
■テレビ界は今クリエイティブのデフレスパイラルが起きている感じがするんです。低予算をカバーするには、企画力とかアイデアが必要だと思うんですが、視聴率という数字に目を奪われすぎている。(おちまさと氏)
■私は「ネットかマスか」という議論には意味が無いと思っています。(山本直人氏)

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エコシステム・マーケティング (江端浩人、本荘修二)

4904336399 「エコシステム・マーケティング」は、コカ・コーラの江端さんと、「大企業のウェブはなぜつまらないのか」などの著書でも知られる本荘さんが共著で書かれた書籍です。
 献本を頂いていたのですが、読書メモを書けてなかったので、書評抜き読書メモを公開させて頂きます。
 以前からコカコーラが運営しているコカ・コーラパークには注目していたのですが、この本に書かれている事例は正直、想像を大幅に超えているものでした。
 個人的には、企業が運営する自社メディアの重要性が今後ますます増して来ると考えていましたが、そのイメージを遥かに超えた事例をこの本では知ることができました。
 メディアに携わる方は、この本に出てくる「強力な自社メディアを持った企業がいくつか現れて、スターアライアンスのような連合をつくったら、我々既存のメディアの位置づけは大きく変わるだろう」というメディア企業幹部の言葉を重く受け止める必要があるかもしれません。
 インターネットを活用したマーケティングに携わる方であれば、是非読んでおくべき本ではないかと思います。
 
【読書メモ】
■日本コカコーラは740万人(2009年9月現在)の会員を持つウェブサイト「コカ・コーラ パーク」を中心に、さまざまなメディアやアクセスポイントを組み合わせて活用するIMCを展開している
■「マーケティング・キャンペーンはもう終わった。これからはエコシステムだ」(リシャド・トバコワラ氏 ディヌオ社CEO)
■エコシステム・マーケティングを実践するための6つのポイント
・互いを理解してパートナーシップ・モデルをつくる
・自社自信の強みと弱みを見極める
・バランスのよいパートナーを選ぶ
・消費者との新たなコミュニケーション軸を構築する
・消費者の視点からメッセージを出す
・相互のブランドを活用し、潜在的ファンを増やす
■従来のマーケティングでは、広告枠を買う、キャンペーンを行うというように、単発で一過性の施策を行うことが多かったので、短史眼的になりやすかった。
 一方、エコシステム・マーケティングでは、長い時間軸で物事を捉えていく。

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