次世代コミュニケーションプランニング (高広伯彦)を読めば、「広告」というものがネットやソーシャルメディアの普及もあり、どのように変化し始めているのか、その本質を整理し直すことができると思います。

4797368748 「次世代コミュニケーションプランニング」は、「フェイスブックインパクト」や「次世代メディアマーケティング」の監修もされていた高広伯彦さんの書籍です。
 献本を頂いたので、書評抜き読書メモを公開させて頂きます。
 昨日丁度、この書籍の出版記念パーティーが開催されて光栄にも締めの挨拶をさせて頂き、その際にも同様の話をしたのですが、この本には高広さんの広告やコミュニケーションプランニングに対する姿勢や考え方のすべてが入っている本だと思います。
 過去にも高広さんは、「フェイスブックインパクト」のような共著本や、「デジマーケティング(日本版のタイトルは「次世代メディアマーケティング」)」の監訳などをされていたので、てっきり単著も複数出されている印象があったのですが、実は高広さんが一冊一人で書き上げたのは今回が始めてなんですよね。
 そう思って改めてこの本を読むと、なるほど高広さんはこの本を書けるようになるまで、単著を書くのを我慢していたんだろうな、と思えてきます。
 それほど、この本には私が高広さんに初めてお会いしてから、機会がある毎に教えてもらっていた様々な要素が、ぎっしりと体系的に詰まっている本です。
 高広さんには先日AMNで主催したソーシャルメディアサミットにもパネリストとして登壇頂きましたが、ツイッター上での辻斬り説法的なキャラクターが印象に残っている方と、広告業界における実績の方が詳しい方と、人によって印象が大きく異なる人だと思っています。
 ただ、実は高広さんがツイッター上で、辻斬りをする形になってしまうのは、その広告への愛の深さと、日本語の言葉の定義に対する繊細さが背景にあるということが、この本を読むと良くわかるはずです。
 広告業界やPR業界向けの本ではありますが、マーケティングやコミュニケーションに携わるすべての方に参考になる点が多々ある本だと思います。
【読書メモ】
■広告主から良く聞く話
・従来の広告が効かなくなった気がする
・かけられる広告費が以前より少なくなった
■広告業界にいると無自覚にも「広告媒体を買う=広告主」となりがちなのだが、実際には、まったく広告媒体を使わない広告主というのも考えられるわけだ。
 とすれば、実はこの領域にはとんでもないマーケットが存在するのではないか?
■クライアントのいうことには”オーダー”と”オファー”の2つしかない
・オーダーっていうのは、広告主の方でも社内でいろいろ決まっていることだったりするので、そのまま良い形に実現してくれればいい
・オファーっていうのは、広告主のほうでもまだ明確に決まっておらず、頭の中でモヤモヤしていることで、そのモヤモヤの整理も含めて一緒に解決してくれるかどうか
■マッカーシーの「4P」とラウターボーンの「4C」
・Product → Cutomer value
・Price  → Customer cost
・Place  → Convenience
・Promotion→ Communication
■今までの「広告」とは、商品やサービスを消費者に「伝える」ための技術・作法
 「コミュニケーションプランニング」とは、商品やサービスと消費者が「会話する」ための技術・作法である

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リーダーを育てる会社・つぶす会社(ラム・チャラン) を読むと、部下として優秀な成績を上げた人が、上司になった時に壁にぶち当たる罠の仕組みが良くわかります。

4901234471 「リーダーを育てる会社・つぶす会社」は、タイトルを見て頂ければわかる通り、リーダーの育て方について考察されている書籍です。
 何か忘れましたが、どこかの本で言及されていた興味がわいたので買って読んでいたのですが、遅ればせながら書評抜き読書メモを公開させて頂きます。
 優秀な成績を上げた人が、華々しく昇進したにもかかわらず、リーダーのポジションになった時に急に壁にぶち当たる、というのは実は珍しい話ではありません。
 
 この本では実はそういった問題の多くは、昇進した人が新しいポジションの役割を従来の延長線上で考えているからだという非常にシンプルな構造にあることに気づかされます。
 実は係長、課長、部長とポジションが一つ上がるということは、やるべき仕事が毎回90度~180度ぐらい大きく変わるため、根本的に仕事のやり方や時間の使い方、意識を根本的に変えなければいけない、というのがこの本に書かれている問題提起なんですが、一般的には昇進というのは直線的に考えている人の方が多いのではないでしょうか。
 そういう意味で個人的にはこの本は非常に目からウロコな本でした。
 組織構造をどうすれば良いか悩んでいる経営者の方はもちろん、リーダーになって壁にぶちあたっている方は、この本を読むと肩の荷が少し軽くなるのではないかと思います。
 
【読書メモ】
■「ベスト・アンド・ブライテスト」戦略は戦略的に破綻する
 スター人材は法外な給料をとる一方で、決してそれに見合うだけの能力を発揮することはない。
 失敗から学んだり、正しいスキルを身につけたり、安定的に成果を出すために必要な経験を積むには、ある程度の時間が必要。
■管理職が習得すべき三つの職務用件
・スキル--新しい責務を全うするために必要な新しい能力
・業務時間配分--どのように働くかを規定する新しい時間枠
・職務意識--重要性を認め、注力すべきだと信じる事柄
■係長に求められる三つの変化
 管理職は自分のことだけを考えるのをやめて、他人について考えはじめなければならない
・仕事の定義とアサインメント
・部下に対するサポート
・関係構築

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スタートアップのプレゼン大会で気をつけるべき5つのポイント

startupdating_logo.png今月から、スタートアップのニュースサイトである「Startup Dating」に不定期で記事を投稿させて頂くことになりました。
こちらのブログとStartup Datingに同じ記事をダブルポストする形になりますので、お好きな方でご覧下さい。
昨日投稿したStartup Datingの記事はこちらです
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最近のスタートアップ企業を巡る盛り上がりもあり、ウェブサービスやアプリのプレゼン大会というのは年々増える傾向にあります。
私自身もWISHというウェブサービスのプレゼン大会を2009年から主催し、多くの企業の方々のプレゼンを見てきましたが、日本ではプレゼンの教育を受ける機会が少ないせいか、せっかくの良いサービスなのにもったいないと感じるプレゼンを見ることも少なくありません。
DSC05236Photo by koyhoge
私自身がサービス側でのプレゼンの経験があるわけではありませんが、プレゼン大会の主催者側の視点から、ここは気をつけた方が良いんじゃないかなと思うところをあげてみたいと思います。
(ちなみに、このポイントはあくまで日本の「プレゼン大会」向けであって、「投資家」向けのポイントではありません。念のため。)

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コトラーのイノベーション・マーケティング (フィリップ・コトラー)

4798122343 「コトラーのイノベーション・マーケティング」は、「コトラーのマーケティング思考法」や「マーケティング3.0」などの書籍でも知られるフィリップ・コトラーが、イノベーションについて考察している書籍です。
 献本を頂いていたのですが、読書メモを公開していなかったので、遅ればせながら書評抜き読書メモを公開させて頂きます。
 この本では、マーケティングの大家として知られるフィリップ・コトラーが正面からイノベーションのあり方について考察をしています。
  
 書籍のテーマとして冒頭に出てくるのがラディカル・イノベーション。
 いわゆるイノベーションのジレンマに出てくる破壊的イノベーションに対するフィリップ・コトラーなりの答えという本であると感じます。
 「マーケティング」と「イノベーション」は、ピーター・ドラッカーも企業が持つべき機能としての二本柱にあげている、企業の経営において非常に中心的な役割を果たす概念。
 そういう意味では、片方の柱の大家であるコトラーが、イノベーションについて言及する書籍を出すというのはある意味当然と言えるのかもしれませんが、イノベーション側の大家である「イノベーションのジレンマ」のクレイトン・クリステンセンや「キャズム」で有名なジェフリー・ムーアの主張と似ているようで違う視点が多くあるのがなかなか興味深いところです。
 先日ご紹介したクレイトン・クリステンセンの「イノベーションのDNA」やジェフリー・ムーアの「エスケープ・ベロシティ」あたりと読み比べてみるのもお勧めです。
 
【読書メモ】
■ラディカル・イノベーションはすべてをかき消すほどの衝撃を与えるが、それだけがイノベーションなのではない
■いますぐラディカル・イノベーションを創出しようなどとは考えないことだ。むしろイノベーションに対する認識を改め、長い間に渡って積み重ねたイノベーティブな一歩一歩が、うまくすればやがて大きなイノベーションになると考えることが、この問題を解決する
■時代はクローズド・イノベーションから、協働的イノベーションを経て、いまやオープン・イノベーション時代なのだ
・クローズド・イノベーション:研究室や研究部門だけに限定される
・協働的イノベーション:組織の全員がアイデアの提供を奨励される
・オープン・イノベーション:組織外の人材もイノベーション・プロセスに関わる

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朝日新聞記者のネット情報活用術 (平 和博)

4022734418 「朝日新聞記者のネット情報活用術」は、朝日新聞の平さんが新聞記者ならではのネット活用術について紹介されている書籍です。
 献本を頂いたので、書評抜き読書メモを公開させて頂きます。
 新聞記者の方々が実際にどのように情報収集をして日々のアウトプットをこなしているのかというのは、単純に新聞やニュースサイトを見ているだけではなかなか見えてこない情報だと思います。
 この本では、朝日新聞の中でもネット関連に非常に強いと有名な平さんのノウハウがかなり赤裸々に描かれていますので、プロの情報活用術を学びたい方には参考になる点がある本だと思います。
【読書メモ】
■本書の構成
・収集:ネットで情報を集める
・保存:情報をためる
・確認:情報を見極める
・編集:情報のまとめ方
・発信・共有:ソーシャルが変えるメディア空間
・発信・共有:ソーシャルの実践
・安全:ルールを考える
■情報は整理すべきではない
 いまは、急速にデジタル情報が主流になりつつあります。そして、デジタル化された情報のあつかい方は、紙の情報とは根本から違うようなのです。その勘所は「整理をしない」ということに尽きます。

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ハーバードビジネススクールが教えてくれたこと、教えてくれなかったこと (ビル・マーフィー・ジュニア)

4484111179 「ハーバードビジネススクールが教えてくれたこと、教えてくれなかったこと」は、ハーバードビジネススクール出身の起業家の実話をもとに企業のポイントについて考察している書籍です。
 献本を頂いたので、書評抜き読書メモを公開させて頂きます。
 この本では、ハーバードビジネススクールの3名の卒業生の実際の経験談をもとに、起業におけるポイントを俯瞰的に解説されていますので、いわゆる有名な成功事例だけでなく、少し身近なケースをもとに起業の心構えを勉強したい方には参考になる点がある本だと思います。
 ハーバードとスタンフォードの両方の空気を感じてみるという意味では「20歳のときに知っておきたかったこと」とあわせて読むのも面白いかもしれません。
【読書メモ】
■ほとんどのベンチャー企業は、地味で変動の乏しい業界で誕生する
 7年続くベンチャー企業は3割しかない
 典型的なベンチャー企業の資本金は2万5千ドルに満たず、創業者が自腹で捻出している
■起業家として成功するための10のルール
・成功を固く決意する
・まず問題を見つけ、それから解決策を考える
・大きく考える、新しく考える、もう一度考える
・1人ではできない
・1人でやらなくてはいけない
・リスクを管理する
・リーダーシップを学ぶ
・売り込み方を学ぶ
・粘って、辛抱して、勝つ
・一生つづける

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