「躍進 日本オラクル 全社最適化戦略」は、タイトル通り日本オラクルの歴史について考察している本です。
Oracle OpenWorld Tokyoの関係で献本を頂いていたのですが、読書メモを書けてなかったので、書評抜き読書メモを公開させて頂きます。
日本オラクルについては、NTTにいたころに創業者の方の本を読んだ記憶があるのですが、いまやその頃とは全く違う会社になっているんですね。
最近エンタープライズシステム周辺についてはウォッチしていなかったため、オラクルが4年間で48社も買収していて製品数が500から1万に増えたというあたりには、特に衝撃を受けました。
書籍の内容自体は、歴史本的な感じも強いですが、先日のサンマイクロシステムズの件もありますし、今後のオラクルの動向が気になるという方には参考になる点がある本だと思います。
【読書メモ】
■「オペレーション・エクセレンスからマネジメント・エクセレンスへ」
■マネジメント・エクセレンスを支える製品戦略
・コンプリート
・オープン
・インテグレーテッド
■オラクルのM&Aでは、オープン、業界トップ、ベスト・ソリューションが、買収の条件である。
■ピープルソフト買収前の2004年末の時点で、オラクルの製品数は約500
48社を買収した2008年末になると、オラクルの製品数は、なんと20倍の約1万に激増していた。
■「日本オラクルは事業開始以来のサクセス・モデルとして、パートナー・モデルを構築してきたのですが、今は、そのパートナーとの関係を次のフェーズに進めなければいけないと考えています。」(三露正樹)
■「アプリケーションは、日本オラクルが自ら汗をかいて、お客様にその価値をお届けしないと、なかなか成功しないんです。」(桑原宏昭)
梅田さんのインタビューを読んで思う、日本のネットの探すべき道
何だか、Twitterとかそこら中で「残念」とかが盛り上がっていたのを、何事かなと横目で見ていたのですが、梅田さんのインタビューだったんですね。
・日本のWebは「残念」 梅田望夫さんに聞く(前編)
・Web、はてな、将棋への思い 梅田望夫さんに聞く(後編)
ITmediaの名物インタビューといえば、当然聞き手は岡田有花さん。
久しぶりに岡田有花さんらしい力作ですね。
個人的には、梅田さんも岡田さんも、自分がブログやネットコミュニティにどっぷりつかるきっかけをくれた人なので、なんだかインタビューを読みながら懐かしい気分に浸ってしまいました。
私が、梅田さんのブログに影響され、岡田さんのインタビュー記事に影響されて、ブログをはじめたり、イベントに参加したりし始めたのが、2004年の春頃ですから、もうあれから5年も経つんですよね。
2004~2005年頃は、梅田さんが問題提起したPC世代、ネット世代論とか、ブログ論とか、私自身、梅田さんの発言に日々刺激を受けながら、必死に議論について行こうとしていたことを良く覚えていますし。
岡田さんが手がけたまだGREEが会社になる前の田中さんの2004年7月のインタビュー記事や、百式の田口さんのインタビュー記事は、僕にとって未だにバイブル的な記事だったりします。
そんな二人の長文インタビュー記事ということで、この記事には自分の振り替えりのためにも言及しておいた方が良い気がするので、ブログ上の議論には周回遅れながら、個人的な感想をメモしておきたいと思います。
インタビューの詳細はITmediaの記事を読んで頂くとして。
今回、このインタビューを読んで改めて感じたのは、日米インターネットの根本的な違い。
今回のインタビューは、全体を通して梅田さんと岡田さんの対立姿勢が見て取れて面白いわけですが。
その背景には梅田さんと岡田さんの、根本的な立ち位置の違いがあるように思います。
梅田さんはもともと、「ウェブ進化論」に代表されるように、米国にいながらグーグルを中心としたシリコンバレー文化を、日本人の視点から日本に伝えていた人。
一方で岡田さんは、「ネットで人生、変わりましたか?」にまとめられているように、日本にいながら日本の代表的なネットベンチャーの経営者やキーマンの活躍や成長を伝えていた人。
私からすると、二人とも自分に大きな影響を与えてくれたネットコミュニティの大先輩であることは変わらないのですが、このスタンスの違いは読む人の期待に対して、大きな違いを生むんですよね。
「CPA至上主義で見落としがちな効果とは?」を日経NMに投稿しました。
日経ネットマーケティングで連載を行っているコラム「カンバセーショナルマーケティングの近未来」に新しいコラムを書きました。
今回も「グランズウェル」を参考に、ネットマーケティングの効果測定の考え方について紹介してみました。
不明点や不足点等ありましたら、記事の方でもこちらのブログでも遠慮無くご指摘下さい。
■CPA至上主義で見落としがちな効果とは?:日経ビジネスオンライン
「 前回のコラムでは、インターネットを活用したマーケティングの効果測定においては、単純にCPC(クリック単価)やCPA(顧客獲得単価)で効果を測定するだけでなく、複数の価値の可能性を組み合わせて考えるべきではないか、という話を紹介しました。
前回の記事で「グランズウェル」から引用して紹介した事例は、米国の成功事例ということもあり指標が複雑でした。今回はもう少し日本の実情に合わせてシンプルな例を紹介したいと思います。 」
※このコラムでは、先日公開したカンバセーショナルマーケティングの講演資料でまとめた話の掘り下げだとか、実際にソーシャルメディアを活用したマーケティングを実践する際のステップなどを書いていければと思っています。
買い物する脳 (マーティン・リンストローム)
「買い物する脳」は、ニューロマーケティングという脳を意識したマーケティングについて考察している本です。
Amazonで本を買ったときにお勧めに出てきて、気になったので、購入してみました。
書評抜き読書メモを公開させて頂きます。
この本ではさまざまなマーケティングの要素について脳がどのように反応したかという事例がいろいろと出てくるのですが。
タバコの警告ラベルがかえって売上を上げる効果を持っていたりとか、コロナにライムを入れる習慣がバーテンダーの賭からはじまったらしいとか、性的内容を含んだ広告は実はブランド記憶の面では逆効果だとか、自分が常識と思っていることに実は脳は逆に反応していたり、、ということが分かって驚きます。
Amazonでの評価は低いみたいですが、マーケティングの視点をちょっと広げてみたいという方には、参考になる点がある本だと思います。
【読者メモ】
■日本を調査することで、未来の世界を垣間見るきっかけとなると信じている
■タバコの警告ラベルは喫煙の抑止に効果がないばかりでなく、逆に側坐核を活性化して喫煙を促していたということが、fMRIの結果から分かったのである
■市場調査やフォーカス・グループといった従来の調査方法が、消費者の本当の考えを知るのに効果がないことは分かりきったことだった。
■「無駄なものにエネルギーを注ぐことができるのは、動物として地位や権力を持っている証拠ですからね」(ヘンリック・ウォルター)
■私たちの大半は、六十六歳までに約200万回ものテレビ・コマーシャルを目にする。時間に換算すると、毎日八時間の広告を六年間見たことになる。
■私たちは番組のストーリーにとって重要な役割を果たしていないブランドは覚えていない
クラウド (小池 良次)
「クラウド グーグルの次世代戦略で読み解く2015年のIT産業地図」は、タイトル通りグーグルを中心としてクラウドコンピューティングの未来について考察している本です。
NTTの次世代サービス共創フォーラムで小池さんのディスカッションを聞いて、興味を持ったので本を買ってみました。
読書メモを書けてなかったので、書評抜き読書メモを公開させて頂きます。
クラウドコンピューティングブームもあり、クラウド本はいろいろありますが、日本人による日本企業に対する示唆もありますので、クラウド化がすすむ産業において自社がどういう展開をすべきか悩んでいる方には参考になる点がある本だと思います。
【読書メモ】
■グーグルの賢いところは、ツールとインターフェースを重視するところにある
グーグルは、ホームページをツール(=アプリケーション)として利用した。ホームページを情報を表示するメディアとして考えているヤフーやアメリカ・オンラインとは違っていた。
■ときどきだが、最近のシリコンバレーではグーグルが嫌われ役扱いされるようになった。
■米国でいちばん便利な場所は「パソコンの前」
日本でいちばん便利なのは「手のひらの携帯」
■クラウドコンピューティング=中身がわからなくてよいコンピュータ
雲は「中身がわからないもの」の象徴として使われている
■グーグルは通信事業者になろうとはしていない。グーグルはインターネット時代のソフトウェア最大手を目指しているだけだ。
クラウドコンピューティングの幻想(エリック・松永)
「クラウドコンピューティングの幻想」は、タイトル通り最近のクラウドコンピューティングブームの課題について考察している本です。
献本を頂いていたのですが、読書メモを書けてなかったので、書評抜き読書メモを公開させて頂きます。
個人的には、どちらかというとクラウドコンピューティングの解説本と言うよりは、エンタープライズシステムの歴史本という印象もある本ですが、エンタープライズにとってのクラウドコンピューティングの意義に疑問がある方には参考になる点がある本だと思います。
【読書メモ】
■クラウドコンピューティング提供企業
・システムインテグレータ
・ソフトウェア/ハードウェアベンダー
・通信キャリア
・端末メーカー
・サービスプロバイダー
■クラウドコンピューティングの押し売りの見分け方
・プレゼンする人の肩書きがコンサルタント
・プレゼンの資料がキレイすぎ
・Google、Amazonの成功要因を技術的な優位性でしかとらえていない
・自社製品が既存製品の組み合わせ(再利用)
・こちらの課題や今抱えている問題を聞かない
・自社一社でサービスが完結するような話をする
■クラウドコンピューティングの3大構成要素
・ブラックボックス化されたコンピュータシステム
・コンピュータシステムにアクセスする多種多様なネットワーク
・ユーザーに提供されるサービスとユーザーのインターフェースとなる端末