今月立て続けに、三本ほどニュース番組のインタビューに対応させて頂きましたが、それに対する皆さんの反応があまりに違って面白かったので、こちらにもメモしておきたいと思います。
ニュース番組に出るのは、過去にも何度か経験はあるのですが、これだけ短期間に三本も対応させて頂いたのは初めて。
出させて頂いたのは、日テレのZIP、テレビ東京のワールドビジネスサテライト、フジテレビのスーパニュースの三番組です。
まず一つ目のZIPは、Facebook上場にともなってFacebookに関してのコメントを求められたもので、テレビで見るとこんな感じ。
右端に書いてある肩書きが「Facebookに詳しい徳力基彦氏」というところが突っ込みどころ満載というのは置いといて。
(なお、一応Facebook関連の記事はこちらに書いたのでご参考まで「Facebookが、なんでトヨタやドコモと匹敵するような7兆円もの時価総額の評価を受けるのか意味不明という方に。 」)
右下に出ていた鈴木杏樹さんをモザイク処理しても、全体的に雰囲気が明るいです。
朝の情報番組というのもあるんでしょうけど、左上の虹とかお天気マークが効いてますよね。
こころなしか、自分もちょっと楽しそうです。
月別: 2012年2月
パブリック(ジェフ・ジャービス)を読むと、ソーシャルメディア時代にプライバシーというものを重視しすぎることによるデメリットについて考えさせられると思います
「パブリック」は、「グーグル的思考」などの著作でもしられ、米国でブロガーとしても有名なジェフ・ジャービス氏がソーシャルメディア時代の新しいパブリックの定義について考察した書籍です。
献本を頂いたので、書評抜き読書メモを公開させて頂きます。
この本は、小林弘人さんが監修をされているという意味で「フリー」「シェア」に続く三部作の三作目という印象もある書籍です。
パブリックという言葉は日本ではあまりなじみがありませんが、プライバシーの対極にあるものというとイメージしやすいでしょうか。
日本においては、個人情報保護法などの影響もあり、プライバシーを保護することに非常に気を使う傾向にありますが、実際にはソーシャルメディアの普及はプライバシーの境界線を次々に犯し始めており、その先にあるのがこの書籍の「パブリック」にあるような世界観です。
現在の日本においては、おそらくパブリック信奉者よりもプライバシー重視派の方が明らかに多いでしょうし、この書籍に出てくるジェフ・ジャービスの言葉や、「インターネットやフェイスブック以前の世界では、誰もが無名だったからこそ膨大なプライバシーが存在した。人は生産者か消費者のどちらかでした。そのふたつがはっきりと分かれた社会、ある意味で自然に反する社会だったんです。」というザッカーバーグの言葉に賛成できない人も多いでしょう。
ただ、日本においても米国並みにソーシャルメディアが普及したとすると、実際にはソーシャルメディア時代以前のプライバシーの維持というのは現実的には不可能になっていく可能性があります。
もし、そうなのだと仮定したら、従来と同様のプライバシーを守ることに全エネルギーを投入するよりも、パブリックであることが容易になった世界の良い面の可能性を追求すべき。
そう思えるかどうかが、この本を読んで共感できるか、恐怖を感じてしまうかの境界線のような気がします。
ソーシャルメディア時代におけるプライバシーについて一歩引いた視点で考えてみたい人はもちろん、ソーシャルメディア普及後の未来について考えてみたい方には参考になる点が多々ある本だと思います。
【読書メモ】
■僕はこの本をとおして、もしプライバシーに固執しすぎればこのリンクの時代にお互いにつながり合う機会を失うかもしれない、と言いたい。
■「インターネットやフェイスブック以前の世界では、誰もが無名だったからこそ膨大なプライバシーが存在した。人は生産者か消費者のどちらかでした。そのふたつがはっきりと分かれた社会、ある意味で自然に反する社会だったんです。」(マーク・ザッカーバーグ)
■議論のなかで、聴衆の一人が、自分の画像が含まれているみんなの写真を勝手にネットに上げないでほしいと言った。許可していない、と言うのだ。彼がそう言い張れば、参加者は誰もイベントの写真を撮ったり共有したりできなくなると僕は言った。写真の次にはみんなが言ったことや聞いたこと、共有したいことを公開するなと言い出すかもしれない。
このイベントは公共の資産だし、もしこの男性が他の参加者にそこで起きたことをシェアさせないのなら、それはみんなから何かを奪うことになる。
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「習慣で買う」のつくり方 (ニール・マーティン)
「「習慣で買う」のつくり方」は、タイトル通り習慣で買うというリピーターの作り方について考察された書籍です。
献本を頂いたので、書評抜き読書メモを公開させて頂きます。
この本では、人間がいかに論理的に日々判断して行動している生き物ではなく、習慣に頼っているかという点を中心に、習慣を作るためのマーケティングのあり方について考察されています。
ソーシャルメディアのツール選択においても、実は重要なのは論理的な機能差ではなく、日々の習慣の中心になるかというのが大きいのは実感値としてはありますが、いざ、具体的にここまで習慣の力を説明されると、なかなか考えさせられるところがあります。
最新のマーケティング手法を勉強しすぎて頭でっかちになりがちな方には、原点に立ち返るという意味で参考になる点がある本だと思います。
【読書メモ】
■本来携帯電話業界は、既存顧客を長く維持すればするほど収益性が高まる。
それなのに携帯電話業界は、既存の客よりも新規の客の方を第一に扱いがちだ。
■「満足」しても、リピーターになる率はたったの8パーセント
■無意識と顕在意識
無意識=習慣脳は、生き抜くために必要なものとして生まれつき備わった武器だ。何かを日常的に繰り返し行ううちに、それは「習慣」となり、わざわざ意識しないでも自然にできるようになる。この仕組みのおかげで、進化の過程で後から備わった顕在意識=判断脳は、ほかの作業に集中することができる
統合知 (山田まさる)
「統合知」は「脱広告・超PR」などの著作を書かれている山田まさるさんが書かれた書籍です。
献本を頂いたので、書評抜き読書メモを公開させて頂きます。
この本では、社会的難題を解決するためのコミュニケーションという視点で、いわゆるPRのアプローチを広げて考えられていますので、新しいPRのアプローチを考えたい方には参考になる点がある本だと思います。
【読書メモ】
■競争タカシと難題トクオ
・競争タカシ
ゴール:競争相手に勝つ
ルール:自社の強みを活かす、相手の弱点をつく
ロール:自分と競争相手と審判
・難題トクオ
ゴール:問題を解決する
ルール:問題の原因を探り、解決のための手段を講じる
ロール:主体者と協力者、その他、利害関係者
AMN5周年を迎え、あらためて創業時の原点に立ち返って皆さんに宣言をしておきたい5つのこと。
本日、2012年2月13日は、アジャイルメディア・ネットワーク(以下、AMN)が創立されてちょうど5周年になります。
2007年2月13日に会社が設立されてからのこの5年間は、文字通り試行錯誤の日々であり、現在もその試行錯誤の途上というのがAMNの現状です。
そういう意味では、5周年というのはAMNにとっても、私自身にとっても、あくまで一つの通過点でしかないのですが、重要な節目の年であるのも間違いありませんので、過去の振り返りと今後のAMNの方針について、ここにまとめておきたいと思います。
■ネットをやらせだらけの世界にしないために。
AMNはもともと、ブロガーを中心としたメンバーにより立ち上がったプロジェクトです。
AMNの設立が検討された2006年当時、100円程度の謝礼で数千人のブロガーに一気に記事広告を書かせるペイパーポスト手法が大流行していました。多くのペイパーポスト事業者がブロガーに広告であることを明示する義務を課していなかったため、結果的に多くのペイパーポストへの参加ブログがステルスマーケティング化してしまっていたのです。
実際、私自身が当時久しぶりに会ったNTTの同期に「ブログってほとんど「やらせ」でしょ」といわれてしまった記憶がありますが、彼自身が何かのサービスを検索した際に大量のペイパーポストの参加ブログ記事に遭遇した結果、そういう印象を持ってしまったそうです。
私自身が、ブログで人生救われた人間だと自負していたこともあり、当時のペイパーポストの普及による「ブログはやらせ」や「ブロガーは100円払えばやらせ記事を書く」というイメージの増加にひどく傷ついたことを良く覚えています。
当時のペイパーポスト手法は、企業から支払われるお金という謝礼に、結果的にブロガーが魂を売ってしまい、読者であるユーザーを騙す結果になるという、一方通行のマスマーケティング時代には当たり前だった手法がソーシャルメディア上では悪い方向に出てしまう象徴のようなサービスでした。
そこで、一方通行のマスメディアではない、双方向のブログやソーシャルメディアならではの広告手法を考える会社が必要だろう、という議論から始まったのがAMNです。
そのため、AMNは設立当時から「読者、企業、ブロガー、全員に意味のあるサービスを目指す」というのがミッションになっていたわけです。
※2007年のAMN設立時の記者発表会で利用したスライド
ただ、ミッション先行で始まったAMNのスタートは決して楽なものではありませんでした。
当初は日本の個人ブログがメディア化するのを支援するために、ブログの広告枠の販売代理店というビジネスモデルを中心としていましたが、ネット広告の単価下落の影響も受け苦戦を強いられることになります。
その後、ブロガーイベントやブログモニターなどのブロガーリレーションを中心としたサービスが立ち上がることで、なんとか会社としての体をなすことができましたが、ここに至るまでの道のりは試行錯誤の連続でした。
その後、事業の領域をブログだけではなくツイッターやFacebook、mixiなども含めたソーシャルメディアと再定義し直し、自らをソーシャルメディア上の会話を最適化するカンバセーショナルマーケティング企業と位置づけたことにより、企業が求めるマーケティングのニーズに対応できる体制を整えることができました。
その後、リーマンショックなどの影響を受けながらも、おりからのソーシャルメディアブームの追い風もあり、何とか今日の5周年を迎えることができた、というのが正直な現状です。
■企業、メディア、ユーザーの三者ともに価値ある仕組みを目指す
ただ5周年を迎えることができたとは言え、実は、現時点では創業当時の理想は、ほとんど達成できていません。
シェア 共有からビジネスを生み出す新戦略(レイチェル・ボッツマン)には、震災を経験した日本人だからこそ、チャレンジすべき世界だと改めて感じます
「シェア 共有からビジネスを生み出す新戦略」は、「フリー〈無料〉からお金を生みだす新戦略」を監修された小林さんが監修されたことでも話題になった書籍です。
こちらも発売時に献本を頂いていたのですが、書評抜き読書メモを公開するのをすっかり忘れていたので、今更ながら公開させて頂きます。
シェア、というコンセプトは、古くて新しいコンセプトというのが、この本を読んで改めて感じた印象です。
部屋をシェアするサービスの下りで「1950年代以前には、友人や友人を頼って旅行する事はめずらしくなかった。」というくだりが出てきますが、確かに近代化以前は、そもそも近所でものを貸し借りしたりするのは当たり前の現象で、恥ずかしい行為ではなかったはず。
それがマス消費の浸透もあり、年に一回しか使わないようなものでも、他人に借りるのは面倒だし恥ずかしいから、すべて自分の家にそろえてしまうようになったわけで。
震災後の価値観の変化の影響もあり、さまざまな無駄が見えてくるようになった気がします。
昨年末に、ネスレさんの「ネスレゆずりば」という、ソーシャルシェアサービスのグループインタビューをお手伝いさせて頂きましたが、このサービスもネスレの揖斐さんが震災を通じて感じた価値観の変化が大きく影響しているとのことでした。
それもあって、改めてこの本を読み返してみたのですが。
冷静に考えてみると、日本人ってそういう近所のものの貸し借りや、古いものを「もったいない」と簡単に捨てない文化をもっている国だったはず。
そういう意味では、アメリカで「シェア」がはやっているから日本でも、とシェアを意識したサービスを始めるよりも、日本ならではの「共有」のサービスを生み出して、世界に日本の共有の文化を広めていくという心意気のサービスがもっと出てきても良いのではないかな、と感じたりします。
既存の「消費」を当たり前としたビジネスモデルに対して疑問を感じている方には、ヒントになる点が多々ある本だと思います。
以前ご紹介した「メッシュ」と合わせて読むのもオススメです。
【読書メモ】
■世界中で起きつつある何千というコラボ消費の事例を、三種類のモデルに分類
・プロダクト=サービス・システム
・再分配市場
・コラボ的ライフスタイル
■成功事例に共通する四つの原則
・クリティカル・マス
・余剰キャパシティ
・共有資源の尊重
・他社への信頼
■「エアビーアンドビーは近代的な発想じゃないんだ。」(チェスキー)
1950年代以前には、友人や友人を頼って旅行する事はめずらしくなかった。
エアビーアンドビーは昔の発送を借りてきて、P2Pネットワークと新しいテクノロジーを使って現代的にアレンジしたものだ。
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