あの橋下市長にすら、ツイッター上の発言を制限させてしまう公職選挙法の巧妙な罠

 橋下市長が選挙期間中のツイッター利用に関連して連日で物議を醸してますね。
 一連の流れをニュースサイトの記事で追うとこんな感じ。
11月29日 橋下氏「公示後もツイッター続ける」
12月4日 橋下氏、ツイッター禁止「バカみたいなルール」
12月5日 橋下氏、ツイッターの書き込み控える意向
12月6日 橋下氏がツイッター継続「選挙運動ではない」
 まぁ、真ん中の二つの記事だけを見ると、いかにも4日に勇ましく総務省や法律に喧嘩を売ったところ、あっさり5日に前言撤回したように見えますが。
 実際には6日の記事にあるように、多数のツイッターへの投稿が継続中。
 実際に発言を見てみると大量の投稿の一部をニュースサイトが一部だけ切り出している面も強いようで。
 4日の発言はこんな感じ。


 で、5日の発言はこんな感じ。

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LINEにユーザーを奪われるのを今心配すべきなのは、FacebookやTwitterのようなSNSではなく、携帯メールを提供する携帯電話事業者ではないか。

 すっかりご紹介が遅くなりましたが、先日日経ビジネスさんが発売されたLINEのムックで、今後のLINEの展望についての私のコメントを掲載していただきました。
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 アンケートが取られたのが結構前だったので、アンケート中で聞かれた2013年の夏のLINEの日本の利用者数3000万人以上という数値を、実はすでにLINEはあっさりと抜き去っていたりするわけですが。
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 ちょっとこれだけだと短すぎて意図が伝わってないかもしれないのと、丁度昨日から、ラインの企業向けアカウントの中小企業向け公開の記事が話題になっていますので、こちらのブログで自分の考えを補足しておきたいと思います。
LINE新戦略で「タウンページ目指す」、低価格の企業アカウントを全国へ
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 以前、下記のようなブログを書いたこともありますが、個人的には、LINEの魅力は何と言っても手軽なクローズドコミュニケーションができる点だと考えています。
mixiのプライベートグラフ戦略が正しかったということが、LINEによって証明されたという仮説
 最近になって、カカオトークのヤフーとの提携や、DeNAのcommのリリースなどにより、にわかに激戦区の感を帯びてきた感じもあるLINE周辺。
 LINEのカテゴリは、「無料通話アプリ」や「スマホ通話アプリ」と呼ばれることも多いため、使ってない人からすると一件無料音声通話が人気の秘密と思われるケースも多いようですが、個人的に感じているLINEのコア機能は何と言ってもチャット的なメッセージ機能です。
 メッセージを送りたい人を選んでメッセージを送る。
 この当たり前のことが手軽にでき、さらにそこにスタンプというテキスト入力不要のコミュニケーション手段を追加したことで、これまでのガラケーのメールやデコメの置き換えになった。というのがシンプルなLINEの魅力でしょう。
 実際には目線を一歩引いてみると、2億人のユーザーを誇る中国のWeChat、6600万人の韓国のカカオトーク、そして先日7500万人を突破したNHN JapanのLINEと、「スマホメッセンジャー」と言われるカテゴリのアプリの躍進はアジア全体で始まっています。

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政治家のソーシャルメディア活用度ランキングにみる、日本は政権の中枢にいる人ほどソーシャルメディアを使ってないという現実。

 野田総理が唐突に解散を宣言しましたね。

野田佳彦首相は善良すぎる: やまもといちろうBLOG(ブログ)
 上記のブログでも、やまもとさんが言及してましたが、まさに「解散権を持ち、覚悟を決めたトップは強い」ということを改めて感じた出来事でした。
 野田総理の決意の表情に対し、安倍さんのしどろもどろっぷりが、動画で見ると実に際立ちます。
 とはいえ、民主党の混乱ぶりを見る限り、覚悟を決めるのが遅すぎたという印象はぬぐえませんが。
 と言う政治側の話は置いといて。
 今回の解散で個人的にやはり残念なのが、結局今回の選挙も、選挙期間中のネット利用が禁止のまま、選挙に突入してしまったという現実。
 ネット選挙については、私自身はもはや10年近くウォッチし続けているのですが、この5年ぐらいは全く進展しないどころか、逆に後退している印象すら受けます。
 つい先日実施された米国の大統領選挙では、4年前の選挙に輪をかけて、完全にソーシャルメディアの活用が当然の大統領選挙となっていましたし、オバマ大統領の勝利ツイートが、ツイッターのリツイート記録を更新するというオマケ付き。このツイートは現時点で80万回以上もリツイートされています。
オバマ米大統領の勝利宣言ツイート、リツイート回数で過去最高に


 ただ、日本では上記の開票後のツイートはOKですが、候補者による選挙期間中のツイッターの利用は公職選挙法違反です。
日本の公職選挙法は、やっぱりTwitterのつぶやきも禁止だった。
 下記のように、投票締め切り直前にネットで投票呼びかけの行為を公開しようものなら公職選挙法違反の現行犯です。
オバマ米大統領、投票締め切り直前に「Reddit」で投票を呼びかけ
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 当然、今回の選挙期間中も、日本の政治家の皆さんは綺麗にソーシャルメディアやネットの活用を停止されることでしょう。
 
 さらに個人的に問題だと思うのは、この法律があるために、政治家の支援者がソーシャルメディア上で候補者を応援する発言をできなくなることです。
 もちろん、実際には発言は自由のはずなんですが、もしある候補者の支援者がソーシャルメディア上で候補者を応援した場合、候補者によるソーシャルメディア活用とみなされて候補者の当選が取り下げられるリスクがあるわけで。
 日本の政治について真剣な人なら真剣な人ほど、選挙の仕組みについて詳しい人なら詳しい人ほど、選挙期間中にはネット上での発言を自ら制止せざるを得なくなるんですよね。
 これを箝口令といわずに何と呼ぶんでしょうか。
 正直、一票の格差と同様、これも言論の自由をうたっている憲法の原則に違反してるんじゃないかと思えちゃったりするわけです。

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11月22日(木)に久しぶりにオープンなセミナーで、ソーシャルメディア活用事例のプレゼンをしますので、ご興味のある方はぜひお越し下さい。

 11月22日(木)にWeb マーケティング・リレーセミナーというセミナーで久しぶりにプレゼンしますので、ご紹介です。
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 昨年はお陰様でたくさんの講演依頼を頂き、講演とかモデレーターとかイベントの司会も含めて年間で100回以上いろいろと登壇させて頂いたんですが、あまりに外部講演ばかりやっていて本業がおろそかになってしまったので、今年は年始に「講演は基本的に断るという抱負をたてて、ほとんどの講演をCOOの上田さんにお願いしたり、失礼ながらお断りしたりしてきました。
 といいつつ、実は企業内のクローズドな勉強会等で講演させて頂くことは今年も結構あったんですが。
 今回、久しぶりに完全にオープンなセミナーでプレゼンさせて頂くことになりました。
 Web マーケティング・リレーセミナーは、アクセス解析で有名な小川さんがキャッチボール21さんと一緒に企画されているセミナーだそうで。
 プレゼン後に、テレフォンショッキング形式で次回のスピーカーとディスカッションするという珍しい形式になってます。
 小川さんからのお誘いというのと、前回のスピーカーが翔泳社の押久保さんで面白そうだったのと、最近オープンな場でプレゼンしてなくて久しぶりにやってみたくなったのもあり、今回プレゼンをお受けすることにした次第です。
(次回のゲストはまだ教えてもらってなくて不安になってきたので、我こそはという人は是非小川さん宛に連絡して下さい。)
 
 当日は、過去に公開した下記のソーシャルメディア活用パターンの事例編のプレゼンの事例を、最近の事例にアップデートした資料でプレゼンする予定です。
 

 こっちのプレゼンは外部ではあまりやってなかったので、まだ、私のこのプレゼンを聞いたことないので聞いてみたいという方は、是非ご参加頂ければ幸いです。
 終了後に軽い懇親会もあるみたいなので、是非雑談しましょう。
(ちなみにこの資料は事例編で、基本編の続編になるので、良ければこちらの基本編のプレゼンに目を通してきてから参加して頂けると幸いです。当日は基本編の話はかなり飛ばします。)
セミナーのお申し込みはこちらのページからどうぞ
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■追伸
 ちなみに、いつも地方の講演依頼を毎回お断りしてしまっているので、今回のプレゼンの様子を動画に録画して公開してしまおうかと思っているんですが、誰か格安で講演動画の撮影をしてくれたりする人・・・いませんかね・・・?
 最後の手段としてはAMNの新人スタッフにお願いするんですが、ビデオカメラを使ったことがないらしく・・・ 
 仕方ないからやっても良いよ、と言う方は是非徳力までご連絡下さい。

2012年のネット流行語大賞は、間違いなくヤフーの「爆速」であることを、ad:tech Tokyo 2012でまざまざと見せつけられた件について

 先日、「もはや、ソーシャルメディアとマスメディアを分けてマーケティングを考えること自体が間違っている、ということをad:tech Tokyoで考える。」という記事で、ad:tech Tokyo 2012で自分が担当したセッションについての感想を書いておきましたが、今日はad:tech Tokyo 2012最終日のクロージング・キーノートについてメモしておきたいと思います。
 今年のad:tech Tokyoの基調講演の締めを飾るのは、この方。
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 そうヤフーの宮坂社長です。
 海外のスピーカーが務めるのが当然と思われていたad:tech Tokyoのクロージングキーノートを、日本人がするという点だけでも注目度の高さがうかがえると思います。
 私自身も初回のad:tech Tokyoでこんなエントリーを書いて、ad:techにおける日本のネット企業の存在感の無さを嘆いていたので感慨もひとしおです。
ad:tech Tokyoで思う広告とか技術とか、いろんなものの境界線の無意味さ
 現在のヤフーの経営陣の刷新が発表されたのは今年の3月1日。
 それからまだ半年も経っていないわけですが、一年前と現在のヤフーは、もはや全くの別会社と言って良いほど雰囲気が変わった印象があります。
 私自身半年前にこんなブログを書いていましたが。
新生ヤフー経営陣には、とにかく何でも良いから日本のネットのドデカイ未来像を描いてもらいたいところ
 私なんかが偉そうに想像していた姿よりも、はるかに爆速でヤフーはそのイメージを変えてしまいました。
 そのあまりに速すぎる爆速な活動内容は、こちらにまとまっていますので見て頂ければと思います。
ヤフーの爆速が速すぎて見えなかったので調べてみた
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 まぁ、一つの会社の半年間の活動内容とは思えないほどまさに爆速です。

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東北セミボラ企画に参加して考える、被災地の復興は終わるどころか始まってさえいない場所もあるという現実。

 先月、Web広告研究会で開催された第三回東北セミボラ企画に参加させて頂きました。
Higashi-Matsushima
 東北セミボラとは東北のいまの復興(ボラ)とこれからの復興(セミ)のため、セミナーとボランティア活動を行うというWeb研が作った造語。
 ボランティアだけでは何となく行きづらいという私のような優柔不断な人間に用意された企画と言っても過言ではない、ということで、今回タイミングが合ったので思い切って申し込みました。
 何しろWeb広告研究会が主催名だけあってセミナーの講師も超豪華。
 ad:tech Tokyoで締めの基調講演をしていたヤフーの宮坂社長が基調講演を行い、HTML5のパネルディスカッションに、プロデューサーの藤井 雅俊さんの町おこし講演まで、普通に東京でやっている通常のセミナーより豪華と言っても失礼ではない構成になっています。
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 で、私自身は実は打ち合わせの関係でセミナーには全く参加できず、懇親会から参加のセミボラならぬノミボラになってしまったわけですが。
 セミナーの翌日に実施されたボランティアで感じた感想を、こちらにメモしておきたいと思います。
 今更ながらの告白になりますが、私自身は東日本大震災の後、一回も被災地に足を運んでいませんでした。
 周りのボランティアに参加した人に勧められたこともあり、行こうかどうか何度か悩んだのですが、結局なんとなく流されるままに行かずに済ましてしまい、気がついたら1年半以上たってしまっていたというのが正直なところです。
 震災の直後こそ、下記のようなブログを書き、震災関連の情報サイトの集約に努めたりもしましたし。
震災で大変なこんな時だからこそ、自分は自分のできること、継続できることに注力しようと思います。
 
 今年の3月には「震災復興支援サービス大賞」なる企画の運営事務局もさせて頂きました。
震災からの復興に、ソーシャルメディアやネットを通じて個人で貢献できることはまだまだあるはず
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 ただ、何となく自分のできることというのはソーシャルメディア周辺による支援だから、現地に行かなくてもソーシャルメディア経由で支援すれば良いんだ、と自分に言い聞かせていたところがあるのも正直なところ。
 そんなこんなで気がついたら1年半も経ってしまうんですから人間の意識というのは恐ろしいものです。
 震災復興支援サービス大賞の時にも、さんざん様々な人から復興は終わっていない、震災は終わっていないという発言を耳にしたにもかかわらず、自分の中ではそうは言ってもある程度目処はついているんだろうと、勝手に思っていました。
 いや、自分のために、そう思い込もうとしていただけかもしれません。

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