「神のごとく創造し、奴隷のごとく働け!」は、米国で有名なマーケッターとして知られるガイ・カワサキの書籍です。
数年前にガイ・カワサキのインタビューをポッドキャスティングで聞いてから彼のファンなのですが、古本を買って読んでいたのを読書メモを書いてなかったので、書評抜き読書メモを公開させて頂きます。
タイトルだけ見ると、なんだか3K職場にありがちな社長の発言とかに見えてしまうかもしれませんが、原題は「Rules For Revolutionaries」つまり特にビジネスの世界で革命的な変化を引き起こしたい人のための手ほどき書です。
米国では非常に売れた本らしいのですが、個人的にはそんな本の中で日本のPDCA的な企画のサイクルが良い例として取り上げられているのが妙に印象的でした。
1999年に出版された古い本なのですが、起業家に対するメッセージとしては今も古びていない非常に刺激的な本ですから、起業を志している人や世の中に革命的な新しいものを生み出したいと考えている人には参考になる点が多々ある本だと思います。
【読書メモ】
■合気道マーケティング
敵の強さを窮屈な弱点に変えた
■ルールを変えない者は、革命家になれない。
概念を変えない者は、ルールを変えることができない。
■革命的思考に至るプロセス
1.粛正:あなたの思考を限定し、曇らせている偏見、予断、古い手続きを排除する
2.刺激:新しい解決策と新しい行動形態を模索するための挑戦的かつ攻撃的な方法
3.沈殿:異質な思考を導入したときに起こりうる、突然にどこからともなく固体が現出する
■間違った人々を避けることは、正しい人々を惹きつけるのと同じぐらい重要だ。
間違った人々は、正しい人々をいびり出してしまう。
カテゴリー: 読書メモ
大企業のウェブはなぜつまらないのか (本荘修二)
「大企業のウェブはなぜつまらないのか」は、エコシステム・マーケティングの共著者でもある本荘修二さんが書かれた書籍です。
先日AMNのソーシャルメディアマーケティング勉強会に本荘さんに参加いただいた関係で、改めて読んで読書メモを書いたので、書評抜き読書メモを公開させて頂きます。
この本は2007年に出版された本なのですが、今改めて読むと2007年の段階で本荘さんがソーシャルメディア時代のマーケティングの視点を明確に予測されていたのに驚かされます。
また、一方で日本においても先端的な取り組みをしていた企業が多数いたことにも勇気づけられますので、ソーシャルメディアの登場で日々戸惑を感じているマーケティングの担当者の方には是非読んでいただきたい本です。
「グランズウェル」や「ブログスフィア」、「ビジネス・ツイッター」と合わせて読むのもお勧めです。
【読書メモ】
■大企業の経営課題
・成長:日本企業は売上の成長をおさえても利益を追求すると言う苦しい戦いをしてきた。
・人口:日本の人口の減少は消費者対象の事業を営む企業に取って深刻な問題である
・顧客ニーズ:顧客ニーズの多様化が言われて久しい。しかも顧客の要求は厳しくなる一方だ。
・チャネル:大きなパワーを持つチャネルが顧客を握っており、メーカーは苦境に立たされている
・メディア:現在のメディア戦略の延長線上に未来はない
■大企業に求められる二つの能力
・自社メディア:ネット化社会では自らのメディアの重要性が高まる
・顧客との対話:もともとは顧客との対話が得手だったはずだ。しかし今では顧客は遠くなったのではなかろうか。
売れるデザインのしくみ (ウジトモコ)
「売れるデザインのしくみ」は、視覚マーケティングを提唱されているウジトモコさんの書籍です。
献本を頂いたので、書評抜き読書メモを公開させて頂きます。
ウジさんの本は以前に、「視覚マーケティングのススメ」や「視覚マーケティング実践講座」を読ませていただいていますが、デザインをいかに実際のビジネスやマーケティングに生かすべきかというところを具体的にアドバイスしてくれるのが印象的です。
今回の書籍でも、「売れるデザインのしくみ」というタイトルに見られるように、企業が売上を上げていくためにどのようにデザインに取り組むべきかというアドバイスが多数の実例とともに展開されていますので、つい日頃はデザインを「デザイナー」に任せっぱなしにしてしまうという方には参考になる点が多々ある本だと思います。
【読書メモ】
■デザインを日常的に多くの人に使ってもらうための壁
・「アートディレクション」についての無関心
・「デザインの知識」のコレクション化
■視覚を積極的に使い、高スペック商品にみせる三つのポイント
・他に流通しているものと形状を変える
・異ジャンルの高品質のものと、同じトンマナを付ける
・デザインの品質(クラス)そのものを上げる
■デザインのタイプを決める二つの意味
・私はこんな人ですよ、と宣言する
・あなたに対して、私はジャストフィットしていますよ、と宣言する
プレゼンテーションzen (ガー・レイノルズ)
「プレゼンテーションzen」は、タイトル通りプレゼンテーションのあるべき姿について解説されている書籍です。
先日ある企業の社内勉強会で講演した際に、著者のガー・レイノルズさんが講演をされていたそうで、社内向けに配られた本を頂いたので、書評抜き読書メモを公開させて頂きます。
この本では冒頭で、日本のビジネスマンがパワーポイントに文字を詰め込みすぎた資料を作っていることを、悲しむくだりから始まるのが非常に印象的。
私自身、ついついパワーポイントに情報を詰め込んでしまう傾向があるのですが、著者はプレゼンのスライドと配布資料は完全に別にするべきだという持論を明確に論じています。
日本ではパワーポイントのプレゼン資料をそのまま配布資料として配るのが一般的になっていますが、これがそもそも間違っていると言うのは、正直言われてみるまで気がつかない点でした。
自分はプレゼンテーションスライドの作成に自信をもっていると言う方も、かなり刺激を受ける本だと思います。
【読書メモ】
■一体いつから、聴衆は文字を読むことと話を聞くことを同時にこなせるようになったのか?
■なぜ日本の駅で売られているシンプルな駅弁の精神を、ビジネスに関するプレゼンテーションに取り入れることができないのだろうか?
■ハイコンセプトの6つの感性
・デザイン(機能だけでなく)
・物語(議論よりも)
・調和(焦点よりも)
・共感(論理ではなく)
・遊び心(真面目だけでなく)
・生きがい(蓄積よりも)
グーグル的思考 (ジェフ・ジャービス)
「グーグル的思考」は、米国でブロガーとしても有名なジェフ・ジャービス氏がグーグル的経営手法の可能性について考察した書籍です。
かなり以前に買って読んでいたのですが、読書メモを書いてなかったので遅ればせながら書評抜き読書メモを公開させて頂きます。
タイトルだけ見ると、「ザ・サーチ」のようにグーグル自体の分析をしている本のように見えてしまうかもしれません。
ただ実は、この本で考察されているのはもともとの英語での書籍のタイトル「What Would Google Do? (グーグルならどうする?)」にあるように、インターネット時代の経営やマーケティングをグーグルのように全く新しい視点で考えようと言うメッセージです。
ジェフ・ジャービス自身が、米国で有名な炎上事例であるDELL HELLというネガティブキャンペーンのきっかけとなった人でもあり、自らの体験も踏まえての「客との関係をひっくり返してみよう」というメッセージを企業に提示しているわけです。
インターネットやソーシャルメディアの進化によって企業がつきつけられている本質的な課題や可能性について考えさせられる本ですので、ソーシャルメディアを活用したマーケティングに携わる方だけでなく、経営企画や顧客サービスを担当している方々にも是非読んで欲しい本です。
「グランズウェル」や「ブログスフィア」、「ビジネス・ツイッター」と合わせて読むのもお勧めです。
【読書メモ】
■デルヘル(デル地獄)2005年6月
ジェフ・ジャービスのデルに対する批判記事が、グーグルで「デル」を検索した際に、1ページ目に表示されるように
→2005年8月 ビジネスウィーク誌がこの一件を記事に
■ジェフ・ジャービスからのデルに対する助言(2005年8月)
・ブログを読むこと
彼らを単なる「ブロガー」と侮ってはいけない。彼らこそ、消費者であり、市場であり、運が良ければあなたの顧客となる人々なのだ。
・消費者と対話する。
ブログに対する御社の方針は「見るには見るが、介入しない」だそうだが、それは消費者に対する侮辱だ。
・ブログを開設する。
ブログを書くことで、御社が消費者との対話を恐れていないことの証になるからだ。
・マスコミやブログ上の悪い評判に耳を傾け、自らに問題があることを認める。
その上で、今後どのように向上していくかを示してくれれば、こちらも力になれる。
■その後のデルの対応
→2006年4月 不満や解決策を提示しているブロガーたち一人一人と接触するように。
→2006年7月 デルのブログ「ダイレクト・トゥ・デル」が開始
ライオネル・メンチャカが登場してから事態は一変悪名高き炎上パソコンについても、真っ向から話しあった。
→2007年2月 マイケル・デルはアイデア・ストームの立ち上げを命じた
→2007年 1億5000万ドルを投じて、悪名高い顧客サポートセンターのテコ入れを図った。(処理時間を計測する代わりに、問題一つの解決にかかる時価を計測するようにし、電話たらい回しの問題を45%から18%にまで削減)
→デルに対する不満をブログに書いたら、デルから連絡が来て問題が解決したという記事が、様々なブログ上で見られるようになった。
ザッポスの奇跡 (石塚しのぶ)
「ザッポスの奇跡」は、非常に特徴的な経営手法で注目されているザッポスについて考察されている書籍です。
河野さんが推薦されてたので、気になって買って読んでいたのですが、読書メモを公開できてなかったので書評抜き読書メモを公開させて頂きます。
浅い理解でのMBA的な世界で一般的に言われている顧客サービスの常識や、経営の常識というのは、実は所詮ここ数十年で形成されたものにしか過ぎません。
特にインターネットによって価値観や、コミュニケーションのコストが大幅に変化している中、一般的な正解というのを元に教科書的な経営手法を行うことが、いかに視野が狭いアプローチかと言うのを、この本を読むと思い知らされます。
もちろん、ザッポスが実践しているような顧客第一主義を本当に実践した経営手法は、実はインターネット以前からも実践している企業はあり、個人的にはザッポスはネット時代版ノードストロームやフォーシーズンズホテルという印象も強いのですが。本荘さんのコラムによるとすでにザッポスはノードストロームも超えているという印象もあったりするようです。
当然、だからといってザッポスの経営手法をコピーすれば、どんな会社でも成功すると言うわけではない、というのがまた難しいところなのですが。
インターネットによる構造的な変化が、経営手法や顧客サービスにも新しい選択肢を提示してくれているわけで、そんな新しい可能性を真剣に考えてみたい方には、是非オススメしたい本だと思います。
【読書メモ】
■「幸せのデリバリー」
人や状況によって、サービスの「行動」は違うが、結果として生まれるのは、社員にとっても、顧客にとっても、「忘れがたい体験」である。
■「サプライズ・アップグレード」
リピート顧客に対しては、無条件で翌日配達サービスにアップグレードする
■「普通の会社ならTV広告などマス・メディア広告に大枚をはたくところを、ザッポスではそれを選ばず、代わりに、顧客サービスに投資しているのです」