インターネットはいかに知の秩序を変えるか?(デビッド・ワインバーガー)

4990334531 「インターネットはいかに知の秩序を変えるか?」は、米国で有名なマーケティングコンサルタントとして知られるデビッド・ワインバーガー氏の書籍です。
 「グーグル的思考」で言及されていた関係で、買って読んでみたので、書評抜き読書メモを公開させて頂きます。
 この本では、タイトル通り、インターネットがいかに「知」のルールを変えたかと言う話が論理的に展開されます。
 ネットにより情報の地位や扱いが大きく変わったという話は一般的によく言いますが、この本に書かれているように体系的に整理されている本は、これまでほとんど無かったように思います。
 この本の原題は「Everything Is Miscellaneous」。
 本文中の訳でいくなら「全ては種々雑多」であり、完璧な体系的な分類はありえないというところでしょうか。
 
 インターネットによって何故既存の産業はその地位を根本から揺さぶられているのか、現在おきているパラダイムシフトの本質的な部分を理解したい方には、是非お勧めしたい本です。
 
【読書メモ】
■ブラウジングにはウィンドウショッピング以上の意味がある。
 ブラウジングでは、店が念入りに検討して配列した商品構成を意図的に無視するのだ。
■何が欲しいかということを発見することは、欲しいと思っている本を見つけ出すのと同じぐらい、時としてそれ以上に重要なことである。
■整理の三段階
・第一段階:我々は物質それ自体を整理する
・第二段階:情報を対象物そのものから切り離し、カード等で分類する
・第三段階:内容はビットへとデジタル化され、内容に関する情報もまたビットで保持される
■整理の第三段階の実践は、我々が皆これに慣れるに従い、世界や世界に関する知識について我々に深く浸透している考え方のいくつかを弱体化させる

続きを読む インターネットはいかに知の秩序を変えるか?(デビッド・ワインバーガー)

神のごとく創造し、奴隷のごとく働け!(ガイ・カワサキ)

4478330832 「神のごとく創造し、奴隷のごとく働け!」は、米国で有名なマーケッターとして知られるガイ・カワサキの書籍です。
 数年前にガイ・カワサキのインタビューをポッドキャスティングで聞いてから彼のファンなのですが、古本を買って読んでいたのを読書メモを書いてなかったので、書評抜き読書メモを公開させて頂きます。
 タイトルだけ見ると、なんだか3K職場にありがちな社長の発言とかに見えてしまうかもしれませんが、原題は「Rules For Revolutionaries」つまり特にビジネスの世界で革命的な変化を引き起こしたい人のための手ほどき書です。
 米国では非常に売れた本らしいのですが、個人的にはそんな本の中で日本のPDCA的な企画のサイクルが良い例として取り上げられているのが妙に印象的でした。
 1999年に出版された古い本なのですが、起業家に対するメッセージとしては今も古びていない非常に刺激的な本ですから、起業を志している人や世の中に革命的な新しいものを生み出したいと考えている人には参考になる点が多々ある本だと思います。
【読書メモ】
■合気道マーケティング
 敵の強さを窮屈な弱点に変えた
■ルールを変えない者は、革命家になれない。
 概念を変えない者は、ルールを変えることができない。
■革命的思考に至るプロセス
1.粛正:あなたの思考を限定し、曇らせている偏見、予断、古い手続きを排除する
2.刺激:新しい解決策と新しい行動形態を模索するための挑戦的かつ攻撃的な方法
3.沈殿:異質な思考を導入したときに起こりうる、突然にどこからともなく固体が現出する
■間違った人々を避けることは、正しい人々を惹きつけるのと同じぐらい重要だ。
 間違った人々は、正しい人々をいびり出してしまう。

続きを読む 神のごとく創造し、奴隷のごとく働け!(ガイ・カワサキ)

大企業のウェブはなぜつまらないのか (本荘修二)

4478000220 「大企業のウェブはなぜつまらないのか」は、エコシステム・マーケティングの共著者でもある本荘修二さんが書かれた書籍です。
 先日AMNのソーシャルメディアマーケティング勉強会に本荘さんに参加いただいた関係で、改めて読んで読書メモを書いたので、書評抜き読書メモを公開させて頂きます。
 この本は2007年に出版された本なのですが、今改めて読むと2007年の段階で本荘さんがソーシャルメディア時代のマーケティングの視点を明確に予測されていたのに驚かされます。
 また、一方で日本においても先端的な取り組みをしていた企業が多数いたことにも勇気づけられますので、ソーシャルメディアの登場で日々戸惑を感じているマーケティングの担当者の方には是非読んでいただきたい本です。
 「グランズウェル」や「ブログスフィア」、「ビジネス・ツイッター」と合わせて読むのもお勧めです。
【読書メモ】
■大企業の経営課題
・成長:日本企業は売上の成長をおさえても利益を追求すると言う苦しい戦いをしてきた。
・人口:日本の人口の減少は消費者対象の事業を営む企業に取って深刻な問題である
・顧客ニーズ:顧客ニーズの多様化が言われて久しい。しかも顧客の要求は厳しくなる一方だ。
・チャネル:大きなパワーを持つチャネルが顧客を握っており、メーカーは苦境に立たされている
・メディア:現在のメディア戦略の延長線上に未来はない
■大企業に求められる二つの能力
・自社メディア:ネット化社会では自らのメディアの重要性が高まる
・顧客との対話:もともとは顧客との対話が得手だったはずだ。しかし今では顧客は遠くなったのではなかろうか。

続きを読む 大企業のウェブはなぜつまらないのか (本荘修二)

売れるデザインのしくみ (ウジトモコ)

4861006325 「売れるデザインのしくみ」は、視覚マーケティングを提唱されているウジトモコさんの書籍です。
 献本を頂いたので、書評抜き読書メモを公開させて頂きます。
 ウジさんの本は以前に、「視覚マーケティングのススメ」や「視覚マーケティング実践講座」を読ませていただいていますが、デザインをいかに実際のビジネスやマーケティングに生かすべきかというところを具体的にアドバイスしてくれるのが印象的です。
 今回の書籍でも、「売れるデザインのしくみ」というタイトルに見られるように、企業が売上を上げていくためにどのようにデザインに取り組むべきかというアドバイスが多数の実例とともに展開されていますので、つい日頃はデザインを「デザイナー」に任せっぱなしにしてしまうという方には参考になる点が多々ある本だと思います。
【読書メモ】
■デザインを日常的に多くの人に使ってもらうための壁
・「アートディレクション」についての無関心
・「デザインの知識」のコレクション化
■視覚を積極的に使い、高スペック商品にみせる三つのポイント
・他に流通しているものと形状を変える
・異ジャンルの高品質のものと、同じトンマナを付ける
・デザインの品質(クラス)そのものを上げる
■デザインのタイプを決める二つの意味
・私はこんな人ですよ、と宣言する
・あなたに対して、私はジャストフィットしていますよ、と宣言する

続きを読む 売れるデザインのしくみ (ウジトモコ)

プレゼンテーションzen (ガー・レイノルズ)

4894713284 「プレゼンテーションzen」は、タイトル通りプレゼンテーションのあるべき姿について解説されている書籍です。
 先日ある企業の社内勉強会で講演した際に、著者のガー・レイノルズさんが講演をされていたそうで、社内向けに配られた本を頂いたので、書評抜き読書メモを公開させて頂きます。
 この本では冒頭で、日本のビジネスマンがパワーポイントに文字を詰め込みすぎた資料を作っていることを、悲しむくだりから始まるのが非常に印象的。
 私自身、ついついパワーポイントに情報を詰め込んでしまう傾向があるのですが、著者はプレゼンのスライドと配布資料は完全に別にするべきだという持論を明確に論じています。
 日本ではパワーポイントのプレゼン資料をそのまま配布資料として配るのが一般的になっていますが、これがそもそも間違っていると言うのは、正直言われてみるまで気がつかない点でした。
 自分はプレゼンテーションスライドの作成に自信をもっていると言う方も、かなり刺激を受ける本だと思います。
【読書メモ】
■一体いつから、聴衆は文字を読むことと話を聞くことを同時にこなせるようになったのか?
■なぜ日本の駅で売られているシンプルな駅弁の精神を、ビジネスに関するプレゼンテーションに取り入れることができないのだろうか?
■ハイコンセプトの6つの感性
・デザイン(機能だけでなく)
・物語(議論よりも)
・調和(焦点よりも)
・共感(論理ではなく)
・遊び心(真面目だけでなく)
・生きがい(蓄積よりも)

続きを読む プレゼンテーションzen (ガー・レイノルズ)

企業のTwitter運営ポリシーを9つの視点から考える(その3) を日経NMに投稿しました。

nikkeinetmarketing_logo.png 日経ネットマーケティングで連載を行っているコラム「カンバセーショナルマーケティングの近未来」に新しいコラムを書きました。
 今回も、前回に引き続き、Twitterの具体的なマーケティング活用について考えてみています。
 不明点や不足点等ありましたら、記事の方でもこちらのブログでも遠慮無くご指摘下さい。
企業のTwitter運営ポリシーを9つの視点から考える(その3)
「前回のコラムでは、企業のTwitter運営ポリシーを9つの視点に分け、その中からほかのTwitterユーザーとコミュニケーションを取るタイプの運営ポリシーとして「パッシブサポート型」と「パッシブ雑談型」についご紹介しました。
 今回は、ほかのTwitterーユーザーとより積極的にコミュニケーションを取るタイプの運営ポリシーとして「アクティブサポート型」と「アクティブ雑談型」について考えてみたいと思います。」
※このコラムでは、先日公開したカンバセーショナルマーケティングの講演資料でまとめた話の掘り下げだとか、実際にソーシャルメディアを活用したマーケティングを実践する際のステップなどを書いていければと思っています。
nikkeinetmarketing_banner.png