凡才の集団は孤高の天才に勝る「グループ・ジーニアス」(キース・ソーヤー)

4478004099 「凡才の集団は孤高の天才に勝る」は、いわゆる集合知について考察されている書籍です。
 気になったので買って読んでいたのですが、読書メモを書けてなかったので、書評抜き読書メモを公開させて頂きます。
 この本で考察されているのは「グループ・ジーニアス」というグループゆえに生まれる天才的発想というコンセプト。
 個人的にも「クラウドソーシング」や「ウィキノミクス」のようなコンセプトが非常に好きなのですが、この本ではそういったツールの視点ではなく、集団によるコラボレーションの可能性を軸に、具体的なポイントを考察されています。
 「みんなの意見は案外正しい」や、「「多様な意見」はなぜ正しいのか」、「ヒトデはクモよりなぜ強い」といった書籍が好きな方には断然おすすめです。
【読書メモ】
■孤高の天才などというのは神話にすぎない。画期的なイノベーションを生み出すのは、グループゆえに生まれる天才的発想「グループ・ジーニアス」なのである
■創造性を発揮するチームの7つの特徴
1.時間をかけてイノベーションを生み出す
2.「ディープ・リスニング」を実践する
3.コラボレーションから生まれるアイデアを積み上げる
4.個々のアイデアの重要性は、閃いた時点ではわからない
5.問題を発見する
6.効率を追わない
7.現場を重視する
■台本思考
 現実に起こっていることを直視せず、自分の予想の範囲内で考えてしまう傾向

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情報選択の時代 (リチャード・ワーマン)

4534016212 「情報選択の時代」は、「情報を理解する」ことを人生のテーマとした情報建築家(インフォメーション・アーキテクト)として知られるリチャード・S・ワーマンが書かれた書籍です。
 ADTech Tokyoの前夜祭の際に、高広さんに読むように勧められたので買って読んでいたのですが、読書メモを書いていなかったので、書評抜き読書メモを公開させて頂きます。
 私たちが情報社会に生きていることは間違いなく、私たちも日々「情報」というキーワードを気軽に使っていますが、そもそも「情報」とは何かということについて考えることはあまり無いように思います。
 この本では、その「情報とは何か」ということについて、様々な視点から考察がされていますので、自分が情報を扱う職業についているという認識がある方は、是非読んでおくべき本だと思います。
【読書メモ】
■情報と私たちが考えるものの大半は、現実には単なるデータ、あるいはそれ以下のものでしかない。
 この偉大な情報化時代とは、本当は「情報に非ざるもの」の爆発、すなわち、データの爆発の時代なのである。
■5つの輪
・内部情報:人間の内部をかけめぐり、身体を機能させているメッセージの集まり
・会話情報:情報の送り手としても受け手としても、もっとも制御可能な情報源
・参照情報:量子物理学の教科書から、電話帳や辞書にいたるまでいろいろ
・ニュース情報:現在の出来事が含まれる
・文化情報:もっとも数量化しにくい社会全体の質を決める総体的情報
■情報の学習全般に適用する原則
・自分の無知を受容すること
・答えよりも問いにずっと多くの注意を向けること
・解決にたどりつくために、反対方向に進むのも厭わないこと

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ネット検索革命 (アレキサンダー・ハラヴェ)

4791765192 「ネット検索革命」は、検索のこれからや未来について考察されている書籍です。
 年末の忘年会の際に橋本大也さんに推薦されたので早速買って読んでいたのですが、読書メモを書いていなかったので、書評抜き読書メモを公開させて頂きます。
 Googleの影響もあり、検索といえばコンピュータによるキーワード検索という印象が強くなっていますが、一歩引いて検索の可能性について考えてみたい方には参考になる点がある本だと思います。
【読書メモ】
■検索エンジンを使ったことのある人にとって、その必要性は自明であろうが、ウェブの初期段階においては、一般的な検索エンジンの必要性は自明ではなく、また、すぐに開発もされなかった。 
 ネットの情報があまりにも増え、全情報を表示することが不可能になって初めて、検索のインターフェイスが不可欠なことが気付かれたのである。
■既存の放送メディアと比較すれば、インターネットは、より平等なアクセスの可能性を提供していることは疑いない。しかし、「注目の稀少性」からすると、全ての人が全ての人にアクセスすると言うのは、不可能なのだ。
■検索エンジンの問題の二層構造
・人々の注目と言う点で、「勝ち組」と「負け組」とを峻別する検索テクノロジーの問題
・この「勝ち組」が、いったいどの程度伝統的な権威と釣り合っているのか、という問題

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100年予測 (ジョージ・フリードマン)

415209074X 「100年予測」は、「影のCIA」と呼ばれるストラトフォーという会社のCEOジョージ・フリードマンが書いた未来予測の書籍です。
 橋本さんのブログの書評で気になったので、買って読んでみました。書評抜き読書メモを公開させて頂きます。
 この本では、地政学の視点からこれから100年間の予測をされています。
 日本に関する予測も多数含まれ正直今の時点では想像しづらい予測も多いのですが、非常に論理的で説得力がある主張が多く、刺激になる指摘が多々あります。
 ちょっと視点をひいてこの世界の未来を考えてみたい方には、参考になる点が多々ある本だと思います。
【読書メモ】
■アメリカへの次なる挑戦者は、ロシアではなく中国だという予測も多い。この見解には、三つの理由から同意しかねる。
・中国が実は物理的に著しく孤立した国であること
・中国は何世紀も前から主要な海軍国ではない
・中国は本質的に不安定
■地政学は二つの前提の上に成り立っている
・人間は家族よりも大きな単位を組織するが、その過程で必ず政治に携わる。また人間は自分の生まれついた環境、つまり周囲の人々や土地に対して、自然な忠誠心を持っている。
・地政学は国家の性格や国家間の関係が、地理に大きく左右されると想定する。
■アメリカ海軍が世界中のすべての海洋を支配しているということ
 これは人類史上初めての出来事である。
■アメリカの支配はまだ始まったばかりであり、21世紀はアメリカの世紀になる

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電子書籍の衝撃 (佐々木俊尚)

4887598084 「電子書籍の衝撃」は、「グーグル – Google 既存のビジネスを破壊する」や「フラット革命」で有名な佐々木俊尚さんの書籍です。
 献本を頂いていたのですが、読書メモを書けてなかったので、書評抜き読書メモを公開させて頂きます。
 この本では、これから出版業界が迎えるであろうビジネスモデルの変化について、音楽業界の変化を元に佐々木俊尚さんならではの視点で考察がされています。
 当然、メインの読者ターゲットは既存の出版業界の方々だと思いますが、その方々には必読書としてもネットを活用したメディア事業に携わる方々にも参考になる点が多々ある本だと思います。
【読書メモ】
■音楽に学べ
・電子ブックを読むのに適した機器が普及してくること
・本を購入し、読むための最適化されたプラットフォームが出現してくること
・有名作家かアマチュアかという属性が剥ぎ取られ、本がフラット化していくこと
・電子ブックと読者が素晴らしい出会いの機会をもたらす新しいマッチングモデルが構築されてくること
■プラットフォームとして市場を支配するための要件
・多様なコンテンツが安く豊富に揃っていること
・使い勝手が良いこと
・アンビエントであること
■日本の本の流通システムが硬直化してしまっている
 日本では、多くの場合、本は出版社から取次に卸され、取次が全国の書店に配本しています。取次が流通のプラットフォームとして確立しているわけです。
■アマゾンDTPの特徴
・費用を請求されないこと
 売れた分から手数料を差し引かれるだけ
・プロの書き手のプラットフォームにもなる
 他のブックとフラットに表示される

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ヤフートピックスを狙え (菅野夕霧)

4106103621 「ヤフートピックスを狙え」は、ヤフートピックスを意識したPRの方法について紹介されている書籍です。
 献本を頂いたので、書評抜き読書メモを公開させて頂きます。
 この本では、基本的なPRの考え方だけでなく、ヤフートピックスの運営方法や方針についてもインタビューを元に考察されていますので、PR担当者の方だけでなく、メディア関係者の方にも参考になる点がある本だと思います。
【読書メモ】
■ヤフートピックスの特徴
 ニュース内容を要約した見出しを、原則「13文字以内」で伝えている
■ヤフートップページのトピックスコーナーに有る写真ピックアップに掲載された例
 当店のウェブサイトには1日約5000~6000ページビューなのですが、この日は80倍の46万ページビューを超えました。(中略)前日、前々日と七個ずつだった販売数が、トピックス掲載日には、なんと1726個売れました。」(ラリアンス広報)
■トピックス編集部員の仕事は、約3500もの膨大なニュースの中から、世の中の関心を引くと思われるニュース記事を1日50~60本選び出すこと。
■人が一度に近くできる範囲は9-13文字(京都大学大学院)

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