ソーシャルテレビ・アワードで改めて感じる、ソーシャルとテレビの組み合わせは、これから数年で当然もっと増えるだろうという話

 もはや、まるまる1年前の話になってしまうのですが、日経BPさんが企画した「ソーシャルテレビ・アワード」という企画に、審査員として参加させて頂きました。
130710socialtv.png
 日経MJに「TVとSNSの融合 つぶやき量、人気の指標に」という関連コラムは書いたものの、実際のイベントの感想をすっかり書いていなかったんですが、このたび今年のソーシャルテレビ・アワード2013の審査をさせて頂いた際に、上に張った昨年のアワードの写真を日経BPさんに頂いたので、記念にブログも書いておきたいと思います。
130710socialtv2.png
 私のようなブログをたまたま書いていた関係で、運良くコラムを書かせてもらったり、今のようなソーシャルメディアで企業のマーケティング支援をするようになった普通の一ネットユーザーからすると、テレビとネットの連動というのはもうこの10年以上待ち続けている近くて遠い未来、というのが正直な印象です。
 ライブドア事件の前、堀江さんが押し進めようとしていた「ネットとテレビの融合」は「ネット企業によるテレビ局の買収」という行為とすっかり重なってしまい、テレビ局の偉い方々がその後5年経っても「テレビとネットは融合なんてしない!」と話していたという逸話を知り合いから聞いたことがありますが。
 米国のネットテレビの話題や、ツイッターを初めとするテレビ番組のソーシャルビューイングの推進などのニュースを見ていると、日本におけるソーシャルテレビ的な動きというのは、本当に遅々として進まない、というのが個人的な印象でした。
 その印象が徐々に変わってきたのは、本当にここ最近の2年ぐらいでしょうか。

続きを読む ソーシャルテレビ・アワードで改めて感じる、ソーシャルとテレビの組み合わせは、これから数年で当然もっと増えるだろうという話

「消費行動変える」側にまわれ、最新技術に遅れるな を、日経MJに寄稿しました。

 先週末、日経MJ「ECの波頭」に寄稿しているコラムが掲載されましたのでお知らせします。
 今回は、先日「最新技術はそれ単体では何の意味も無く、利用者の行動や生活スタイルをどのように変えるかを考えて初めて革命になるという話。」というブログ記事でご紹介したブランドサミットのシェリー・パルマーさんのプレゼンのメッセージを紹介してみました。


 先月、沖縄で開催されたブランドサミットジャパン2013に参加した際、興味深いプレゼンテーションを聞くことができたので紹介したい。ブランドサミットは大企業の広告主を中心に350人以上が3泊4日で集う広告業界のイベント。基調講演をしたのはシェリー・パルマー氏という、米国FOXテレビで冠の番組を持っている米デジタル分野のご意見番的存在だ。テーマは「The Connected World」。「つながった世界」とでも訳すべきだろうか。
(1)最新技術が製品やサービスに反映される時間が短縮されている。
(2)背景には技術進化のスピードが指数関数的に伸びていることがある。
(3)企業は率先して最新技術で消費者の行動を変える側にまわるべきだ。
 続きは日経新聞のサイトでご覧ください。
130625nikkeimj.png

うちの会社がネット選挙系案件を全てお断りしている5つの理由

 なんだか夏の参院選が近づいてきていて、すっかり世の中がネット選挙ネット選挙と騒がしくなってきましたね。
 まぁ、かくいう私自身も何度かネット選挙解禁については日経MJのコラムとかに書いていますし、下記のようなブログを書きながらネット選挙解禁を心待ちにしていた側の一人ではあります。
ネット選挙解禁のためには、ネットで声をあげて政治家の自発的な行動に期待するだけではダメではないか、という話。
ネット選挙解禁 不慣れが生むミス・トラブルに注意
130426nikkei.png
 
 その関係で、てっきり私やAMNがネット選挙関連の支援をビジネスとしてやっているのではないかと、何件か政治家の方のネット選挙支援とかのご相談を頂いていたりはするのですが、実は私及びAMNではネット選挙関連の案件は全てお断りしています。
 なんだかんだと誤解している人も多いようですし、せっかくご連絡頂いたのを毎回お断りするのもなんだか申し訳ないので、なんでお断りしているのかを、こちらにも明確に書いておきたいと思います。
 理由は下記の5つです。
■次の選挙でネット選挙解禁されるから、ネット活用しようというのは遅すぎる
 まず大きいのは、今から候補者の人たちが慌ててネット活用を始めても、たいして選挙には役に立たないだろうという点。
 たしかに私はネット選挙解禁をこの7年ぐらいずっと心待ちにしていましたし、今回のネット選挙解禁に喜んでいる一人ではありますが、私が喜んでいるのは、選挙期間中に我々有権者も候補者について言及すると違法になるリスクがあるという、言論統制としか言いようのない時代錯誤のルールが改善されたからです。
 政治関連のネット利用が禁止されていたのはあくまで選挙期間中の2週間のみ、それ以外の期間はネットはある程度自由に使えていたわけで、何年もかけて多数のフォロワーやファンを集めている政治家の方はたくさんいます。
130613.png
 ソーシャルメディアは積立保険とサントリーのソーシャルメディアチームを率いる坂井さんが表現されていましたが、ソーシャルメディアの力は長い期間地道に続けることによって大きくなってくるわけで、それが今から夏の選挙に向けてソーシャルメディア始めて選挙に勝ちたい、というのは明らかに初動が遅すぎます。

続きを読む うちの会社がネット選挙系案件を全てお断りしている5つの理由

ムーブメント・マーケティング(スコット・グッドソン)を読んで考える「神の声型マーケティング」から「ムーブメントマーケティング」への根本的な変化

4484131021 「ムーブメント・マーケティング」は、タイトルから想像されるとおりムーブメントの起こし方について考察されている書籍です。
 献本を頂いていたのですが、遅ればせながら書評抜き読書メモを公開させて頂きます。
 ソーシャルメディアの普及により、ボトムアップで大きなムーブメントが起こせるという話は、「ドラゴンフライエフェクト」や「逆パノプティコン社会の到来」など、様々な書籍で取り上げられていますが。
 この本ではタイトル通り、そのムーブメントをマーケティングとして仕掛ける場合にはどうするべきかというテーマを正面から取り上げた本になります。
 フィリップ・コトラーの「マーケティング3.0」においても、コーズマーケティング的なアプローチにかなりの紙面がさかれていましたが、ソーシャルメディア時代だからこそ、本書で定義されているような「神の声型マーケティング」で企業から一方的に宣伝をするのではなく、「製品やサービスをなぜ提供するのか」という原点に立ち返り、顧客が何を求めているのかに耳を傾ける必要があるという、マーケティングの根本的な変化が起こっていると言えるのかもしれません。 
 この変化は、「パーミッションマーケティング」と「インタラプションマーケティング」。「インバウンドマーケティング」と「アウトバウンドマーケティング」など、様々な形で表現されているわけですが、少なくとも米国においては着実にその規模感が大きくなってきているのを感じます。
 もちろん、日本で同様の規模の変化が起こるのかどうかは別問題ですが、アラブの春やオバマの大統領選挙のような、ソーシャルメディアが生み出した革命を自らもマーケティングで再現してみたいという方には参考になる点がある本だと思います。
 「エフェクト」や「インテンションエコノミー」を合わせて読むのもお勧めです。
【読書メモ】
■ムーブメント
「あるアイデアや信念が、情熱によりコミュニティ全体に広がる現象」(セス・ゴーディン)
■ムーブメント・マーケティングのポイント
・共有が新たな合い言葉となる
・謙虚さと透明性が重要
・芽生えつつあるトレンドを見つける
・自社ブランドと巷の話題との接点を見つける
・ターゲットを絞り、悪役を決める
・誰が主役かを理解する
・ムーブメントの火をつける

続きを読む ムーブメント・マーケティング(スコット・グッドソン)を読んで考える「神の声型マーケティング」から「ムーブメントマーケティング」への根本的な変化

人として正しいことを(ダヴ・シードマン)を読むと、結果さえ出せば良い社会が一時的なものだったかもしれないと思えてくるかもしれません。

4903212416 「人として正しいことを」は、「企業倫理に関するもっとも人気の高いアドバイザー」と呼ばれるダヴ・シードマンが書いた書籍です。
 献本を頂いていたのですが、遅ればせながら書評抜き読書メモを公開させて頂きます。
 「人として正しいことを」という書籍のタイトルだけ見ると、自己啓発本の一種みたいに見えるかもしれませんが、これは経営者向けのビジネス本です。
 この書籍の原題は「HOW」
 現在の世の中は「WHAT」つまり何をしたかという結果が重要視される時代だったが、本質的に重要なのは「HOW]それをどのように成し遂げようとしているかだ、というのがこの書籍のテーマです。
130530how.png 
 先日ご紹介したブライアン・ソリスの「エフェクト」でも「日本企業がもう一度、”未来の企業”になるためには、商品をデザインする時代から、顧客の体験をデザインする時代に適応していかなければならない。」というフレーズがありましたが、この本でも、企業が製品やサービスで競う時代は終わり、これからは「行動の正しさ」で競う時代だという問題提起がされており、実はネットやソーシャルメディアにより情報の可視化やユーザー側の情報力向上により、企業とユーザーの関係が根本的に変わり始めている、というのが米国の有識者の共通認識なのかもしれません。
 序文を、不倫という悪印象を大いに残して、どのようにやるかという意味では失敗していたビル・クリントンが書いているというのは、個人的には反省文のように見えてつい笑ってしまったりしましたが。
 
 私個人もAMNの立ちあげに携わるにあたり、やらせやステマは絶対やらないというのを会社の倫理として決めたものの、ステマ的なサービスが流行するのを間にあたりにしたり、そういう手法を要求されることも少なくなかったため、倫理とか忘れてビジネスの結果に集中した方が会社として成功しやすいのでは無いかと悩むことも多かったのですが、この本のメッセージには勇気づけられました。
 企業の経営だけで無く、個人の生き方にも参考になる点がある本だと思いますので、倫理と結果の狭間で悩んでいることがある方には参考になる本だと思います。 
 なお、「エフェクト」や「インテンションエコノミー」を合わせて読むのもお勧めです。
【読書メモ】
■私が政府にいたころ、誰もが論じていたのは「これから何をするか?」、そして「それにいくらかけるか?」だった。だが、大統領を退任してからは、何をやりたいにせよ、それにどれだけの金額がかかるにせよ、いちばん大切なのは「人々の善意を広げて変革を進めるために、どのようにするか」だと思うようになった(ビル・クリントン)
■二つの公式
テクノロジー+人間の情熱×(まちがった考え+悪い価値観)=過激主義と世界的機能不全
テクノロジー+人間の情熱×(正しい考え+よい価値観)=世界の安定と持続可能な反映
■ウェーブは、個人がまわりの人々に働きかけることから始まる。ただし、ウェーブが続くためには、少数の人たちの生み出したエネルギーが多くの人へと流れる環境になっていなければならない。

続きを読む 人として正しいことを(ダヴ・シードマン)を読むと、結果さえ出せば良い社会が一時的なものだったかもしれないと思えてくるかもしれません。

「つながる消費者」台頭 企業は新たな体験提供を を、日経MJに寄稿しました。

 先週末、日経MJ「ECの波頭」に寄稿しているコラムが掲載されましたのでお知らせします。
 今回は、先日ご紹介したブライアン・ソリスさんの「エフェクト」から最も気になった点を紹介してみました。


 アメリカの広告業界でトップ10に入るほどの影響力を持つブログを運営しているコンサルタント、ブライアン・ソリス氏。そのソリス氏に先月、インタビューする機会があったので紹介したい。ソリス氏は最新テクノロジーやソーシャルメディアを組み合わせた新しいPRの概念などに精通しており、多数のベストセラー本も書いている。
《ポイント》
(1)ソーシャルメディアにより常に友人らとつながる消費者に注目。
(2)リアルからネットよりも、つながる消費者への変化の方が影響は大。
(3)商品のデザインから、顧客の体験をデザインする時代の変化に鍵。
 続きは日経新聞のサイトでご覧ください。
130528nikkeimj.png