ブレーンステアリング 10億ドルのアイデアを生み出す新発想法(ケビン・コイン&ショーン・コイン)

4484121069 「ブレーンステアリング」は、ブレーンストーミングに変わるアイデアの出し方について考察された書籍です。
 献本を頂いたので、遅ればせながら書評抜き読書メモを公開させて頂きます。
 ブレーンストーミングという行為自体は、我々はあまり深く理解しないまま使うことが増えている気がしますが、この書籍では単純なブレーンストーミングの実施に警鐘を鳴らし、正しい質問をすることによって効率的に画期的なアイデアを生み出すブレーンステアリングという手法を提示しています。
 単純にブレーンストーミングをやってはみたものの、あまりに使えないアイデアばかり出てきて意味が無かったという経験をしたことがある人には、参考になる点がある本だと思います。
 
【読書メモ】
■ブレーンステアリングの秘密
・正しい質問をすれば、やがて答えといいアイデアが出てくる
・画期的なアイデアをつねに生み出すための正しいプロセスは、一般に今まで教えられてきたものとはかなり違って見える
■ベストアイデアを出すコンテスト
・3~5人のチーム二分ける
・全員の前でアイデアを発表するチャンスを与えられるのは4チームだけ
・コンテストに参加を希望するチームは発表の権利を入札形式で競い合う
・入札額が高かったチームは、徴収箱にその金額を入れることを条件に1分間の発表
・全員の投票でベストアイデアを決め、勝ったチームが全部もらえる

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ソーシャルインフルエンス 戦略PR×ソーシャルメディアの設計図(本田哲也、池田紀行)

4048864432 「ソーシャルインフルエンス」は、「戦略PR」で有名な本田さんと、「キズナのマーケティング」の池田さんが共著で書かれた書籍です。
 献本を頂いたので、遅ればせながら書評抜き読書メモを公開させて頂きます。
 米国においては、ソーシャルインフルエンスとかデジタルインフルエンスというキーワードは、インフルエンサーの影響力分析の文脈で使われることも多いようですが、この書籍のタイトルになっている「ソーシャルインフルエンス」は、そちらの文脈ではなくソーシャルメディア全体の影響力についてが対象となっています。
 この本では戦略PRとキズナのマーケティングのポイントが一冊にまとまったような作りになっていますので、二冊のポイントをまとめて一冊で読みたい方には参考になる点がある本だと思います。
【読書メモ】
■影響力の3つの変化
・影響力のベクトルが変わった
・影響力の範囲が変わった
・影響力のスピードが変わった
■知っていることは無視するが、知らないことはもはや無視でもない。
 その情報を知っているからできる「意識的なスルー」
 知らない無関心情報は「無関心のスルー」

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メイカーズ 21世紀の産業革命が始まる(クリス・アンダーソン)

4140815760 「メイカーズ 21世紀の産業革命が始まる」は、「ロングテール」や「フリー〈無料〉からお金を生みだす新戦略」などの書籍で有名なクリス・アンダーソン氏が書かれた書籍です。
 献本を頂いたので、遅ればせながら書評抜き読書メモを公開させて頂きます。
 メイカーズという言葉については、最近も3Dプリンタに代表されるメイカーズムーブメントなどの現象が、NHKやワールドビジネスサテライトなどでも頻繁に取り上げられるようになってきているので認識し始めている人も多いでしょう。
 「フリー」や「シェア」、「パブリック」など、NHK出版さんの分厚い来年のキーワード書籍とも言うべきシリーズは毎年恒例になりつつありますが、今回のメイカーズは過去の三冊とは異なり、明確にオフラインの世界の話になっているのが非常に大きな特徴です。
 私もこの本を読んですっかり3Dプリンタが欲しくなってしまいましたが、実はこのメイカーズのトレンドは、メディアにおけるブログや、ソフトウェア開発におけるオープンソースなどと同様、インターネットで人々の頭脳がつながったことによる民主化や分散化の進展と根っこは同じ流れにあります。
 ハードウェアの開発というのは、従来は一般人には足を踏み入れることのできない聖域だったわけですが、ついにその分野においてもボトムアップの革命が可能になり始めているわけです。
 ブログの黎明期にも同じような議論があったように、メイカーズを巡っても様々な議論が繰り返されることになると思いますが、長い目で見れば現在の大企業に寡占されているモノ作りの世界が、ゆるやかに中小企業にも分散していくことは間違いないでしょう。
 今こそ改めて「フラット化する世界」や「ヒトデはクモよりなぜ強い」を合わせて読むのをお勧めしたいと思います。
【読書メモ】
■メイカーズムーブメントの三つの特徴
・デジタルDIY(デスクトップのデジタル工作機械を使って、モノをデザインし、試作すること
・それらのデザインをオンラインのコミュニティで当たり前に共有し、仲間と協力すること
・デザインファイルが標準化されたこと。これが、発案から起業への道のりを劇的に縮めた。
■今の3Dプリンタは、25年前にジョブズのマッキントッシュとレーザーライターがいた場所にいる。
■「製造手段を所有しているかどうかは、問題ではない。製造手段の借り手であることが重要なのだ」(エリック・リース)

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LINE なぜ若者たちは無料通話&メールに飛びついたのか?(コグレマサト、まつもとあつし)

4839944881 「LINE なぜ若者たちは無料通話&メールに飛びついたのか?」は、タイトル通りLINEのブームについて考察されている書籍です。
 献本を頂いたので、書評抜き読書メモを公開させて頂きます。
 この「LINE なぜ若者たちは無料通話&メールに飛びついたのか?」では、コグレさんとまつもとさんの共著という形で考察が展開されています。
 過去のTwitterやFacebookのブームは、アーリーアダプターから、週刊ダイヤモンドやNHKの特集という形でブームが展開しましたが、LINEで興味深いのはメディアが報じる前にすでに普通の人たちにムーブメントが届いてしまっていたという点。
 この書籍ではその背景について、著者の考察に加えて様々な有識者や関係者にインタビューを行うことで立体的な分析がされています。
 先日の北朝鮮のロケット発射の通知をいち早くLINEで行った内閣広報室のLINEアカウントの立役者であるいしたにまさきさんのインタビューや、iモードとLINEを比較した形での夏野さんのインタビューなど、なかなか興味深いところです。
 私自身も、「mixiのプライベートグラフ戦略が正しかったということが、LINEによって証明されたという仮説」や「LINEにユーザーを奪われるのを今心配すべきなのは、FacebookやTwitterのようなSNSではなく、携帯メールを提供する携帯電話事業者ではないか。」などのブログ記事を書く過程でいろいろLINEについては調べてきたつもりでしたが、それでも知らない話がたくさん含まれていました。
 未だにLINEブームの本質がピンとこないという方は、是非この本を読んでおくことをオススメします。
【読書メモ】
■月間のアクティブユーザーは、86.1%
■私の友だちリストはIT系の友人が多いのですが、実はタイムラインの活用しているのは、どちらかというと非IT系の友人です。
■最初にLINEに飛びついたのは、アーリーアダプターではなく、ブームを中盤以降にキャッチするような、いわゆる”普通”の友人たちでした。

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あの橋下市長にすら、ツイッター上の発言を制限させてしまう公職選挙法の巧妙な罠

 橋下市長が選挙期間中のツイッター利用に関連して連日で物議を醸してますね。
 一連の流れをニュースサイトの記事で追うとこんな感じ。
11月29日 橋下氏「公示後もツイッター続ける」
12月4日 橋下氏、ツイッター禁止「バカみたいなルール」
12月5日 橋下氏、ツイッターの書き込み控える意向
12月6日 橋下氏がツイッター継続「選挙運動ではない」
 まぁ、真ん中の二つの記事だけを見ると、いかにも4日に勇ましく総務省や法律に喧嘩を売ったところ、あっさり5日に前言撤回したように見えますが。
 実際には6日の記事にあるように、多数のツイッターへの投稿が継続中。
 実際に発言を見てみると大量の投稿の一部をニュースサイトが一部だけ切り出している面も強いようで。
 4日の発言はこんな感じ。


 で、5日の発言はこんな感じ。

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ソーシャル時代に音楽を”売る”7つの戦略(山口哲一、松本拓也、殿木達郎、高野修平)

4845621568 「ソーシャル時代に音楽を”売る”7つの戦略」は、タイトル通りソーシャルメディア時代の音楽産業の今後を考察された書籍です。
 献本を頂いたので、遅ればせながら書評抜き読書メモを公開させて頂きます。
 日本と米国におけるソーシャルメディアの普及度やツールの使われ方の違いは良く指摘されますが、音楽産業においてはiTunes Storeの普及度はガラケー向けサービスなど、さらに大きな違いがあります。
 この本ではそうした日本の独自性や、米国の先進事例など幅広くカバーされていますので、今後の音楽産業のあり方を考えたい方には参考になる点がある本だと思います。 
 
 ちなみに、個人的にはケイティ・ペリーの「Carifornia Gurls」の事例を知らなかったので非常に興味深かったです。


 
【読書メモ】
■日本だけで仕事をしているとなかなか気付きにくいのですが、従来型の日本の音楽業界のシステムは非常に洗練されていて、きめ細やかなものでした。
・若いバンドが地元の小さな地方都市のライブハウスを毎月一杯にしている
 ↓
・3ヶ月~半年以内には確実に東京からレコード会社やプロダクションがそのライブハウスを訪れる
 ↓
・ポピュラリティがあると判断されれば、メジャーデビューに繋がる
 しかし今や、そのエコシステムの右の部分がやせ細ってしまい、機能不全に陥っているのです。

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