「人を魅了する」は、米国で有名なマーケッターであるガイ・カワサキの書籍です。
献本を頂いたので、書評抜き読書メモを公開させて頂きます。
この本の原題は「ENCHANTMENT」。文字通り人を魅了する方法について考察されている書籍です。
ガイ・カワサキは、以前にも「神のごとく創造し、奴隷のごとく働け!」や「アップルとシリコンバレーで学んだ賢者の起業術」の書籍で紹介したように、個人的にも非常にファンなのですが、この本にはガイ・カワサキ流の考え方がぎっしり詰まっている一冊であると言えると思います。
ブライアン・ソリスとの対談動画を見つけたので貼っておきます。
【読書メモ】
■「魅了」された人は、心も考え方もおのずと変わり、結果として行動が変わる。
「魅了する」とは、人を思い通りに操作することではない。操作以上に、人を動かすことができるものだ。
■パンアメリカン・スマイル(作り笑い)は、顎から口角にかけての大頬骨筋だけを使う。この筋肉を使うのは歓談。
デュシェンヌ・スマイル(すばらしい笑み)は、眼輪筋も使う。これは目の周りの筋肉で、使うと目が細くなり、カラスの足跡ができる。
■相互関係には3つの形態がある
・最初から返礼を期待して何かをすること
・将来への投資、または「先払い」として何かをすること
・他の人を助けたいといった内面の理由から何かをすること
カテゴリー: 読書メモ
モバイルシフト (津山恵子、森直樹)
「モバイルシフト」は、タイトル通りモバイルへのシフトが進む現在の状況について考察している書籍です。
献本を頂いたので、書評抜き読書メモを公開させて頂きます。
この本では、ニューヨーク在住のジャーナリストである津山恵子さんと、電通・コミュニケーション・デザイン・センターの森直樹さんの共著という形になっており、米国における先進的なソーシャルメディア活用事情と、日本のモバイル環境の進展具合を重ねて読むことができるようになっていますので、米国と日本の違いを踏まえて、モバイルの未来を考えたい方には参考になる点がある本だと思います。
【読書メモ】
■(米国の)政治家やスポーツ選手、セレブは、もれなくファンページというのを持っている。ページは、友達ではなく「ファン」を集める目的で開かれるので、ファンであれば知古でなくてもみなが登録できる。
■この傾向を加速させたのは、間違いなく、08年大統領選挙に勝利し、初の黒人大統領となったバラク・オバマ氏のソーシャルメディアの活用例だろう。
日本の広報・PR 100年(猪狩誠也)を読むと、日本の広報やPRが独自の発展を遂げている理由を発見できるのではないかと思います。
「日本の広報・PR 100年」は、タイトル通り日本の広報・PR業界の100年間の歴史を整理している書籍です。
昨年のPRアワードグランプリで審査員をさせて頂いた際に献本を頂いたので、書評抜き読書メモを公開させて頂きます。
日本の広報・PR業界は、実はアメリカのそれと比べるとかなり様相が異なるというのは、書籍「戦略PR」で本田さんも書かれていましたが、この日本の広報・PR 100年では、そういう業界構造に至るまでの具体的な歴史をかなり細かく調査されています。
実はPRというコンセプトを日本に定着させることを推進させていたのは、広告業界の中心にあった電通の吉田秀雄氏だったり、米国でPRという言葉のイメージが悪くなった際にコーポレート・コミュニケーションズという定義が増えたりという、意外に言及されることのない話がいろいろ出てきて非常に興味深い歴史書と言えます。
広報・PR業界の方だけでなく、企業コミュニケーションの変化に興味がある方には参考になる点がある本だと思います。
(昨日ご紹介した「次世代コミュニケーションプランニング」とあわせて読むと、日本における広告の役割と広報の役割の違いについてもなんだか考えさせられます)
【読書メモ】
■パブリック・リレーションズと言う言葉の起源
アイヴィ・リーとともに近代PRの父と呼ばれたエドワード・バーネイズが1923年、PRについての初めての本「世論を結晶化する」を書いた時、自分の職業を「パブリック・リレーションズ・カウンセル」と名乗って以来、一般化したようである。
■コインの表がパブリック・リレーションズだとすれば、コインの裏がプロパガンダ
■日本で広報・PRに関連する言葉が現れたのは1923年、南満州鉄道が設置した弘報係とされてきた。
■宣伝と広報の違い
・宣伝=プロパガンダ
多数の人々の態度や行動に影響を与え、一定の方向に操作しようとする意図的・組織的な企てのこと
・広報=パブリック・リレーションズ
本来PRは、個人や集団が対立する利害関係者との間で自己修正の努力とそのための表現活動を積み上げ、健全で生産的な関係を作り上げていくプロセス全体を意味している。しかし日本などでは、実際には広告・宣伝などと同列の意味で理解されるケースがむしろ多い。
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次世代コミュニケーションプランニング (高広伯彦)を読めば、「広告」というものがネットやソーシャルメディアの普及もあり、どのように変化し始めているのか、その本質を整理し直すことができると思います。
「次世代コミュニケーションプランニング」は、「フェイスブックインパクト」や「次世代メディアマーケティング」の監修もされていた高広伯彦さんの書籍です。
献本を頂いたので、書評抜き読書メモを公開させて頂きます。
昨日丁度、この書籍の出版記念パーティーが開催されて光栄にも締めの挨拶をさせて頂き、その際にも同様の話をしたのですが、この本には高広さんの広告やコミュニケーションプランニングに対する姿勢や考え方のすべてが入っている本だと思います。
過去にも高広さんは、「フェイスブックインパクト」のような共著本や、「デジマーケティング(日本版のタイトルは「次世代メディアマーケティング」)」の監訳などをされていたので、てっきり単著も複数出されている印象があったのですが、実は高広さんが一冊一人で書き上げたのは今回が始めてなんですよね。
そう思って改めてこの本を読むと、なるほど高広さんはこの本を書けるようになるまで、単著を書くのを我慢していたんだろうな、と思えてきます。
それほど、この本には私が高広さんに初めてお会いしてから、機会がある毎に教えてもらっていた様々な要素が、ぎっしりと体系的に詰まっている本です。
高広さんには先日AMNで主催したソーシャルメディアサミットにもパネリストとして登壇頂きましたが、ツイッター上での辻斬り説法的なキャラクターが印象に残っている方と、広告業界における実績の方が詳しい方と、人によって印象が大きく異なる人だと思っています。
ただ、実は高広さんがツイッター上で、辻斬りをする形になってしまうのは、その広告への愛の深さと、日本語の言葉の定義に対する繊細さが背景にあるということが、この本を読むと良くわかるはずです。
広告業界やPR業界向けの本ではありますが、マーケティングやコミュニケーションに携わるすべての方に参考になる点が多々ある本だと思います。
【読書メモ】
■広告主から良く聞く話
・従来の広告が効かなくなった気がする
・かけられる広告費が以前より少なくなった
■広告業界にいると無自覚にも「広告媒体を買う=広告主」となりがちなのだが、実際には、まったく広告媒体を使わない広告主というのも考えられるわけだ。
とすれば、実はこの領域にはとんでもないマーケットが存在するのではないか?
■クライアントのいうことには”オーダー”と”オファー”の2つしかない
・オーダーっていうのは、広告主の方でも社内でいろいろ決まっていることだったりするので、そのまま良い形に実現してくれればいい
・オファーっていうのは、広告主のほうでもまだ明確に決まっておらず、頭の中でモヤモヤしていることで、そのモヤモヤの整理も含めて一緒に解決してくれるかどうか
■マッカーシーの「4P」とラウターボーンの「4C」
・Product → Cutomer value
・Price → Customer cost
・Place → Convenience
・Promotion→ Communication
■今までの「広告」とは、商品やサービスを消費者に「伝える」ための技術・作法
「コミュニケーションプランニング」とは、商品やサービスと消費者が「会話する」ための技術・作法である
リーダーを育てる会社・つぶす会社(ラム・チャラン) を読むと、部下として優秀な成績を上げた人が、上司になった時に壁にぶち当たる罠の仕組みが良くわかります。
「リーダーを育てる会社・つぶす会社」は、タイトルを見て頂ければわかる通り、リーダーの育て方について考察されている書籍です。
何か忘れましたが、どこかの本で言及されていた興味がわいたので買って読んでいたのですが、遅ればせながら書評抜き読書メモを公開させて頂きます。
優秀な成績を上げた人が、華々しく昇進したにもかかわらず、リーダーのポジションになった時に急に壁にぶち当たる、というのは実は珍しい話ではありません。
この本では実はそういった問題の多くは、昇進した人が新しいポジションの役割を従来の延長線上で考えているからだという非常にシンプルな構造にあることに気づかされます。
実は係長、課長、部長とポジションが一つ上がるということは、やるべき仕事が毎回90度~180度ぐらい大きく変わるため、根本的に仕事のやり方や時間の使い方、意識を根本的に変えなければいけない、というのがこの本に書かれている問題提起なんですが、一般的には昇進というのは直線的に考えている人の方が多いのではないでしょうか。
そういう意味で個人的にはこの本は非常に目からウロコな本でした。
組織構造をどうすれば良いか悩んでいる経営者の方はもちろん、リーダーになって壁にぶちあたっている方は、この本を読むと肩の荷が少し軽くなるのではないかと思います。
【読書メモ】
■「ベスト・アンド・ブライテスト」戦略は戦略的に破綻する
スター人材は法外な給料をとる一方で、決してそれに見合うだけの能力を発揮することはない。
失敗から学んだり、正しいスキルを身につけたり、安定的に成果を出すために必要な経験を積むには、ある程度の時間が必要。
■管理職が習得すべき三つの職務用件
・スキル--新しい責務を全うするために必要な新しい能力
・業務時間配分--どのように働くかを規定する新しい時間枠
・職務意識--重要性を認め、注力すべきだと信じる事柄
■係長に求められる三つの変化
管理職は自分のことだけを考えるのをやめて、他人について考えはじめなければならない
・仕事の定義とアサインメント
・部下に対するサポート
・関係構築
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コトラーのイノベーション・マーケティング (フィリップ・コトラー)
「コトラーのイノベーション・マーケティング」は、「コトラーのマーケティング思考法」や「マーケティング3.0」などの書籍でも知られるフィリップ・コトラーが、イノベーションについて考察している書籍です。
献本を頂いていたのですが、読書メモを公開していなかったので、遅ればせながら書評抜き読書メモを公開させて頂きます。
この本では、マーケティングの大家として知られるフィリップ・コトラーが正面からイノベーションのあり方について考察をしています。
書籍のテーマとして冒頭に出てくるのがラディカル・イノベーション。
いわゆるイノベーションのジレンマに出てくる破壊的イノベーションに対するフィリップ・コトラーなりの答えという本であると感じます。
「マーケティング」と「イノベーション」は、ピーター・ドラッカーも企業が持つべき機能としての二本柱にあげている、企業の経営において非常に中心的な役割を果たす概念。
そういう意味では、片方の柱の大家であるコトラーが、イノベーションについて言及する書籍を出すというのはある意味当然と言えるのかもしれませんが、イノベーション側の大家である「イノベーションのジレンマ」のクレイトン・クリステンセンや「キャズム」で有名なジェフリー・ムーアの主張と似ているようで違う視点が多くあるのがなかなか興味深いところです。
先日ご紹介したクレイトン・クリステンセンの「イノベーションのDNA」やジェフリー・ムーアの「エスケープ・ベロシティ」あたりと読み比べてみるのもお勧めです。
【読書メモ】
■ラディカル・イノベーションはすべてをかき消すほどの衝撃を与えるが、それだけがイノベーションなのではない
■いますぐラディカル・イノベーションを創出しようなどとは考えないことだ。むしろイノベーションに対する認識を改め、長い間に渡って積み重ねたイノベーティブな一歩一歩が、うまくすればやがて大きなイノベーションになると考えることが、この問題を解決する
■時代はクローズド・イノベーションから、協働的イノベーションを経て、いまやオープン・イノベーション時代なのだ
・クローズド・イノベーション:研究室や研究部門だけに限定される
・協働的イノベーション:組織の全員がアイデアの提供を奨励される
・オープン・イノベーション:組織外の人材もイノベーション・プロセスに関わる